妊娠中は、ホルモンバランスの影響で免疫力が低下しています。
生ものは食中毒になりやすいため食べないほうが良いことは、殆どの方がご存知ですよね。
厚生労働省では、妊娠中に避けたほうが良い食べ物の1つに「生ハム」を挙げています。
ですが、「妊娠中も生ハムを食べたい!」という人はいるはず。
熟成させて出来上がる生ハムは、なぜ食べてはいけないのでしょうか。
今回は、妊娠中に避けた方が良い食べ物である生ハムの危険性と、赤ちゃんへの影響、食べてしまった場合の対処法をご紹介します。
妊娠前には、何気なく食べていた「生ハム」が、実はとても恐ろしい細菌や寄生虫が潜んでいる可能性があることは意外と知られていません。
お腹の赤ちゃんに重大な影響を与えてしまうこともあるのに…。
知らないで食べてしまわずに、元気な赤ちゃんを安心して出産して頂くためにも、是非参考にして下さいね!
目次
妊娠中に生ハムを食べてもいいの?
生ハムには、寄生虫「トキソプラズマ」と細菌「リステリア菌」の感染の恐れがあるため、妊娠中には食べない方が良いでしょう。
ただし、日本の食品衛生基準は他国よりも厳しいため、日本で製造加工している生ハムは、海外から輸入しているものよりも、感染の危険性は低いと言われています。
妊娠をしていなければ、食べても問題はないかもしれませんが、妊娠中は免疫機能が低下をしているので控えるようにしましょう。
そもそも生ハムって何?
生ハムとは、豚肉を塩漬けして長期間熟成させたもの。
燻製にしたものや乾燥させたものなど、様々な種類があります。
ちなみに日本で生ハムを意味する「プロシュート」は、イタリア語が由来で非加熱のハム肉をあらわす言葉です。
生ハムの危険性① 寄生虫「トキソプラズマ」とは
トキソプラズマとは、寄生虫の1つで、目には見えない大きさです。
〈トキソプラズマの人への感染源〉
- 生ハムなどの加熱が不十分な肉
- 猫の糞
トキソプラズマは、どんな動物の肉にも含まれている可能性がありますが、糞に含まれているのは、ネコ科の動物だけです。
人から人への感染はありませんが、猫の糞が混ざった土に触れると感染の恐れがあります。
ガーデニングする場合は、しっかり手袋とマスクを着用するようしましょう。
※飼い猫の場合、外に出して土を触れていたり、ネズミを食べたりしていない限り、感染の可能性が極めて低いです。
〈トキソプラズマ症の症状〉
健康な成人が感染した場合、何も症状が出ないことがほとんどです。
しかし10〜20%の人は、リンパ節が腫れたりするインフルエンザのような症状や、筋肉痛が2、3日~数週間続く症状に悩まされることに。
〈トキソプラズマの予防法〉
- 生ハム、レアステーキ、馬刺しなどの生ものの食品は食べない。
- まな板、包丁などは調理前に熱湯消毒を行う。
- 猫の糞に触らないようにする、手袋やマスクをしてガーデニングを行う
生ハムの危険性② 細菌「リステリア菌」とは
リステリアは、河川水や動物の腸管内に潜む細菌で、食品を介して感染する食中毒菌です。
他の食中毒と同様に、加熱処理によって死滅しますが、4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも増殖するのが特徴です。
〈リステリア食中毒の主な原因となる食品〉
- 加熱殺菌していないナチュラルチーズ
- 肉や魚のパテ
- 生ハム
- スモークサーモン
〈リステリア食中毒の症状〉
健康な成人の場合、多くのリステリア菌を摂取しなければ発症の心配はありません。
もし、発症しても軽症であれば、自然に治ると言われています。
発症した場合の症状は、下記のようなものです。
- 悪寒
- 発熱
- 筋肉痛(インフルエンザと同様の症状)
※重篤の場合は、敗血症、髄膜炎、中枢神経系症状のような思い病気を引き起こします。
〈リステリア菌の予防法〉
- 冷蔵室ではなく、冷凍室で保存する
- 賞味期限や保存方法を守る
- 生野菜や果物などは、食べる前に良く洗う
- よく加熱してから食べる
妊婦が生ハムを食べても大丈夫?胎児への影響は?
生ハムには、トキソプラズマやリステリア菌の危険性があることが分かりましたね。
妊娠中にトキソプラズマやリステリアに感染すると、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼすので、十分な注意が必要です。
〈トキソプラズマによる赤ちゃんへの影響〉
妊娠中に初めて感染してしまった場合、胎盤から血液を介してお腹の赤ちゃんへ感染する場合があります。
妊娠前に感染していれば、既に抗体ができているので問題はありません。
しかし、稀に抗体が作用しないタイプのトキソプラズマに感染することもあるので注意が必要です。
もし、お腹の赤ちゃんに感染してしまった場合は、脳や目に障害が出る「先天性トキソプラズマ症」になる可能性があります。
※先天性トキソプラズマ症とは…
妊婦さんが、妊娠中に初めて感染してしまった場合、胎盤からお腹の赤ちゃんへ感染します。
赤ちゃんへの感染率は、妊娠末期になる程上がり、脳や視力障害が出る可能性があります。
詳しくは下記の記事をご参照ください。
⇒妊婦はトキソプラズマ症に注意!妊娠中のトキソプラズマの影響と9つの予防策
〈リステリア菌による赤ちゃんへの影響〉
妊婦さんが、リステリア菌に感染すると、リステリアが赤ちゃんへ感染し、最悪の場合、流産や死産を引き起こします。
また、子宮内や膣内にリステリア菌が潜んでいる場合には、産道を通った時に新生児に感染して、敗血症、髄膜炎、脳炎を引き起こす場合があります。
妊娠中に生ハムを食べてしまった時の対処法
妊娠中に、何も知らずに生ハムを食べてしまった場合、トキソプラズマであれば感染しているかどうかを検査することが出来ます。
検査では感染時期を特定し、妊娠後に感染した疑いがあれば、胎盤からお腹の赤ちゃんへ感染するリスクを減らす薬を飲みます。
出産まで薬を飲み続けることによって、重い病気の割合が、1/7まで減ると言われています。
日本ではまだ症例がないため、妊婦健診の必須検査に位置付けられていませんが、1000円前後で検査を受けることができます。
気になる方は、産婦人科にご相談下さい。
まとめ
妊娠がわかったら、食事に注意することが大切ですね!
妊娠中は、元気な赤ちゃんを出産するためにも、リスクがあるものはきちんと予防をしましょう。
もちろん、生ハムなどの非加熱食品などは、控えるようにして下さいね。