甘くて栄養豊富な『とうもろこし』は、そのまま食べたり、お菓子などに加工されたり、とても身近な食材のひとつです。
しかし「とうもろこしを主食にすると病気になる」とか「遺伝子組換えとうもろこしが危険」といった不安な情報もあり、授乳中に食べても大丈夫なのか心配になりますよね。
この記事では、授乳中でも安心してとうもろこしを食べるための注意点やレシピなどを5つの項目にまとめました。
- とうもろこしは食べてもOK!栄養豊富で主食になります
- 1日に食べるとうもろこしの目安量
- 遺伝子組み換えとうもろこしの安全性
- とうもろこしのひげ茶は飲んでもOK!でも生薬や漢方薬には要注意!
- お腹に優しいとうもろこしレシピ
結論から言うと、とうもろこしは授乳中でも食べられます。
安全性をしっかりと認識して、授乳期間中の食事にも、とうもろこしを摂り入れてみてはいかがでしょうか。
では、1項目ずつ詳しくみていきましょう。
目次
授乳中にとうもろこしを食べてOK!栄養豊富で主食にもなる!
とうもろこしは、米と同じように主食になる食品です。
米に比べて、低カロリー。
さらに、ミネラル類(カリウム、マグネシウム、リン、亜鉛)やビタミンA、ビタミンC、葉酸、食物繊維が豊富という特徴があります。
産後はむくみや便秘に悩む女性が多くいます。
そんな方がしっかり摂りたい栄養を、とうもろこしは米よりも多く含んでいるのです。
なお「とうもろこしを主食にすると病気になる」というのは間違い。
確かに、ペラグラという病気がヨーロッパなどで流行したことがありました。
しかしペラグラの流行は、とうもろこしではなく栄養失調が原因です。
食生活の偏りが原因で、食べ物から摂らなければならない必須アミノ酸トリプトファンが不足。トリプトファンから作られる「ナイアシン」が不足して発症する病気なのです。
米が主食の日本でも昔、ビタミンB1不足による脚気が流行したことがあります。それと似ていますね。
様々な食材が手に入る現在では、以上のような流行り病にかかることはほとんどありません。
そのため、授乳中でも、とうもろこしは食べて大丈夫。
むくみ改善に役立つカリウムなどのミネラル類や、便秘に効果が期待できる食物繊維などが豊富なとうもろこしを、おいしく食べるようにしましょう。
とうもろこしに含まれる食物繊維は不溶性の食物繊維。
腸内で水分を吸ってかさを増し、腸を刺激することで排便を促してくれます。
しかし水分不足の方や、慢性的な便秘に悩んでいて腸が張っている方には不向きです。
便秘が直接的に改善されるわけではないので注意してくださいね。
関連記事⇒授乳中は雑穀米を食べちゃダメ?母乳や赤ちゃんへの影響と2つの注意点やレシピ
1日に食べるとうもろこしの目安量
とうもろこしを食べる場合、米の代わりと考えるといいですよ。
いわゆる、主食として考えてください。
授乳中は、主食・主菜・副菜などをバランスよく食べなければなりません。
しかも、産前より多くの量が必要!
とうもろこしは米に比べて、ミネラル類や食物繊維が豊富ですが、タンパク質や複数のビタミン類をほとんど含んでいません。
あくまで主食の代わりになると考え、主菜や副菜、乳製品、果物と一緒に食べてくださいね。
1日に食べる量を知るためには、農林水産省や厚生労働省から出されている食事バランスガイドが便利です。
(引用元:妊産婦のための食事バランスガイド|厚生労働省)
授乳中は、主食が6~8つ必要になります。
おやつやデザートで、とうもろこしの食べられる部分100g分を食べたら、主食1つ分を食べたと考えるといいですね。
バランス良く食べながら、栄養満点の母乳を出して、産後の体をいたわるようにしましょう。
遺伝子組換えとうもろこしの安全性
とうもろこしと言えば、しばしば話題になるのが遺伝子組換えとうもろこし。
人が勝手に遺伝子を操作して、危険な物を作ったように言われていますね。
遺伝子組換えとうもろこしは「害虫の被害を受けない」「特定の除草剤でも枯れない」というメリットがあって、アメリカなどで多く育てられています。
日本はアメリカから大量のとうもろこしを輸入しています。
そうなると「遺伝子組換えとうもろこしが日本に来ているのでは?」と不安になりますよね。
でも、安心してください。
日本では、遺伝子組換えとうもろこしについて、国が規制・検査を行っています。
危険なものが国内で流通しないよう、チェックされていますよ。
~遺伝子組換えとうもろこしを規制する法律~
【カルタヘナ法】農林水産省/環境省
遺伝子操作された生物を規制する法律。
遺伝子組み換えとうもろこしが日本の生態系に悪影響を及ぼさないか、チェックしている。
【食品安全基本法】【食品衛生法】食品安全委員会/厚生労働省
人の健康を害する食品を取り締まる法律。遺伝子組み換えとうもろこしが、アレルギーを起こしたり、毒性のあるものを作り出したりしないか、チェックしている。
【飼料安全法】【食品安全基本法】食品安全委員会/農林水産省
牛などの家畜のエサの安全性を監視する法律。
日本は家畜のエサとしてとうもろこしを輸入しているが、家畜の健康を害するような物質が入っていないか、チェックしている。
(参考元:遺伝子組み換え農作物の現状について|農林水産省、遺伝子組換え食品|厚生労働省)
こうした3つの観点から国が検査をし、安全なものだけを国内で流通させています。過度に心配する必要はありません。
「遺伝子組み換えとうもろこしを食べてガンになった」「アレルギーが起こった」「糖尿病になった」といった情報がセンセーショナルに伝えられることがあります。
しかし、こうした報告については「科学的な根拠が不十分」「遺伝子組み換えとうもろこし以外の影響が大きい」といった疑問の声も。
遺伝子組み換えとうもろこしは、世界的な食糧危機対策であり、収穫量を増やすための工夫のひとつ。
注目されている技術であることから、安全性について世界中で研究が進められています。
日本もこうした世界の動きを注視して、遅れないよう対応していますよ。
なお「遺伝子組み換えとうもろこしは食べたくない!」という人は食品のパッケージをチェック!
原材料のところに「遺伝子組換えとうもろこしでない」といった表示がされているものを選びましょう。
過度に不安視してとうもろこしを避ける必要はありませんが、避けたい場合は自分でチェックすることを忘れないでくださいね。
とうもろこしのひげ茶は飲んでも大丈夫?!生薬・漢方には要注意!
とうもろこしの食べ方のひとつに「お茶」という方法があります。
「ひげ茶」や「コーン茶」と呼ばれているのが、とうもろこしのお茶です。
カフェインレスで、ミネラル類が豊富。むくみに悩む方におすすめ、と言われていますね。
産後のむくみに悩む女性が愛飲していることもあるのではないでしょうか。
「麦茶や水ばかりで飽きてきた」という方にも、とうもろこしのお茶はおすすめです。
ただし、あくまでお茶はお茶。
薬ではありません。
むくみの治療のために飲む、というのは間違い!
中でも「薬効がある」と言われていたり、「治療できる・効果がある」と断言されたりしている商品は要注意!
効果・効能をうたって販売していいものは国に認められた薬だけで、医師や薬剤の指導の下で利用するものです。
生薬、漢方、ハーブといった名前で販売されているものは薬ではありません。
漢方などは、効果や作用に関する科学的根拠がはっきりしていなかったり、赤ちゃんに対する安全性が確認されていなかったり、使う人によっては健康を損なうリスクが高いものもあります。
とうもろこしのお茶を普通に飲むことは問題ありません。
しかし、生薬や漢方、ハーブといった形で、「利尿作用・血糖値を下げる・血圧抑制」といった薬効をうたって販売されているものはなるべく利用しないようにしましょう。
関連記事⇒授乳中はそば茶を飲んじゃダメ?母乳や赤ちゃんへの影響と3つの注意点
お腹に優しいとうもろこしレシピ
とうもろこしは、そのまま食べれば咀嚼回数がアップして満足感が得られますし、ペースト状にするとお腹に優しくなります。
簡単に作れるとうもろこしを使ったレシピを紹介しましょう。
水分も食物繊維もたっぷり摂れる自家製コーンスープ
<材料>
スイートコーン 2本(実を芯からそぎ落としておく)
タマネギ 1個(皮を剥いて、みじん切りにしておく)
オリーブオイル 大さじ1(バターでも可)
牛乳 200ml
<作り方>
(1)鍋にスイートコーンとタマネギを入れ、タマネギが透明になるまでオリーブオイルで炒める。
(2)火が通ったら、かぶるくらいの水を入れて弱火で20分煮込む。
(3)(2)をハンドミキサーでペースト状にする。
(4)(3)を牛乳でのばし、好みの濃さのスープにする。
砂糖がなくても十分、甘いスープになります。
さらに、冷蔵庫で冷やすと冷製スープになりますが、授乳中は温かいまま召し上がるのがおすすめです。
コーン入りポテトコロッケ
<材料>
じゃがいも 中6個
豚あらびき肉 150g
玉ねぎ 中1/2個
コーン(缶詰) 1缶
牛乳 100ml
〇塩 少々
〇コショウ 少々
〇ナツメグ(無くても可)少々
小麦粉 適量
卵 1~2個
パン粉 適量
揚げ油 適量
<作り方>
(1)じゃがいもを一口大に切り、茹でてすりつぶしておく。
(2)粗みじん切りした玉ねぎと、豚あらびき肉を火が通るまで炒める。
(3)ボールに(1),(2)をいれて、さらにコーン、牛乳を加えて混ぜ合わせる。
(4)(3)を小判型にして、小麦粉→卵→パン粉の順番で衣をつける。
(5)180度の油で、衣がきつね色になるまで揚げたら完成。
いつものポテトコロッケの中身にコーンを好きなだけプラスするだけ!
コーンは缶を使えば下処理が不要で、手軽に料理できます。
食べ応えのあるコーンを加えることで、しっかり咀嚼できるので満足感が得られますよ。
筆者は、ポテトの量を減らしてコーンを多めにします。
通常のポテトコロッケより甘味が強く、子ども達にも好評です!
まとめ
とうもろこしは、米よりもミネラル類やビタミンA・C、葉酸、食物繊維が豊富で、主食となる食べ物です。
授乳中に食べても大丈夫ですから、主食・主菜・副菜・乳製品や果物のバランスを考えながらおいしく食べましょう。
遺伝子組換えとうもろこしは危険性が指摘されることがありますが、心配無用。
日本国内で流通するとうもろこしについては、国が安全性をチェックしています。
どうしても遺伝子組み換えとうもろこしが怖い!という人は、食品を買う時にパッケージをチェックして「遺伝子組換えでない」と書かれているものを選べぶと良いですよ。
とうもろこしのお茶は飲んでも大丈夫ですが、生薬や漢方、ハーブといった薬効をうたったものは注意が必要!
基本的に茹でて食べるのもいいですが、ペースト状にしたり、普段の料理に加えるなどして、おいしくとうもろこしを食べましょう。