亜鉛といえば男性にとって重要なミネラルというイメージが強いもの。
しかし女性はもちろん、妊婦さんにも必要不可欠な栄養素なんです。
この記事では妊婦さんも取る必要がある亜鉛について、必要量やおすすめの食品などを5つの項目にまとめました。
- 亜鉛は免疫力や生命維持に不可欠
- 妊婦の亜鉛1日摂取目安量は10mg/日で上限は35mg/日
- 亜鉛不足と取りすぎた時の症状
- 亜鉛を多く含む食品は穀物・魚介類・肉・乳製品などいろいろ
- 妊婦におすすめの亜鉛の取り方
こうした項目について、ひとつずつ詳しく解説します。
目次
亜鉛は免疫力や生命維持に不可欠
亜鉛は人にとって、ほんの少しでいいけれど無くてはならない微量ミネラルです。
よく知られているのは男性機能の維持ですが、実は免疫力や生命維持に不可欠なもの。
妊婦さんにとって病気は大敵!
病気予防のためには高い免疫力を維持しなければなりません。
そのためにも妊娠中は亜鉛をしっかりとりたいもの。
さらに、亜鉛はたんぱく質を作る時にも必要です。
皮膚・爪・ホルモン・酵素などを作る時はもちろん、DNAの合成、新しい細胞を作り出す時など。
亜鉛は人の生命維持に深く関わるミネラルなんですよ。
妊婦さんの体の中では妊娠前よりも活発に代謝が行われていて、いろいろな細胞や酵素、ホルモンが毎日たくさん作り出されています。
亜鉛の消費量も多いんですよ。
亜鉛は決して男性だけのものではありません。
覚えておいてくださいね。
妊婦の亜鉛1日摂取目安量は10mg/日で上限は35mg/日
妊婦さんのお腹では、胎児がスクスクと育っています。
さらに、妊娠中しか存在しない臓器「胎盤」が作られたり、胎盤や胎児を守り育てるために新たな血管が作り出されたり、体の中に留めておく水分量や血液成分量が増えたり!
とにかく、めまぐるしい早さで細胞が作り出されています。
取らなければならない亜鉛の量は産前よりも多くなります。
厚生労働省によれば、妊婦さんが1日の取るべき亜鉛の量(推奨量)は10mg/日。
上限は35mg/日です。
現代女性が摂取している亜鉛の平均量は1日6mg/日。
つまり、産前の食生活では妊婦さんの目標量には全然届かないということ!
お腹の中の赤ちゃんのためにも、意識して亜鉛を取るようにしてくださいね。
(参考:日本人の食事摂取基準|厚生労働省)
亜鉛不足と取りすぎた時の症状
もし、亜鉛が不足した場合どうなるでしょう。
もっとも有名なのは味覚障害です。
これは、舌の上にある味を感じ取る細胞を作れなくなるから。
他にも、酵素や細胞、ホルモンを作れなくなるので、全身に症状が現れます。
亜鉛が不足した時の症状
- 味覚障害
- 皮膚や爪が荒れる
- 嘔吐や下痢
- 口内炎が治らない
- 脱毛
- 血液成分が不足する貧血
- 生殖器の機能障害
- ホルモンの量が減ったり、バランスが崩れる
- 免疫力低下
- 学習や認知能力・運動能力の低下
妊婦さんが亜鉛不足に陥って、血液成分が足りなくなったり、生殖器の機能に影響が出たり、ホルモンが足りなくなると正常な妊娠が続かなくなる危険が!
妊婦さん自身だけでなく、胎児の成長維持にも危険が及びます。
亜鉛不足には十分気を付けてくださいね。
亜鉛を取り過ぎた時の症状
通常の食事だけで亜鉛を取り過ぎることはまずない、と言われていますが、サプリメントを利用している方は気を付けて下さい。
亜鉛には1日あたり35mgまでという摂取の上限量があります。
この上限を超えると、次のような健康被害が出ます。
- 銅の吸収が妨害される
- 胴不足によって血液成分が作れなくなり、鉄不足とは違うタイプの貧血になる
- 嘔吐や下痢
- 酵素の働きが低下
- 胃の不快感
一番怖いのが貧血です。
妊婦さんがなりやすい貧血の多くは「鉄不足で起こる貧血」。
しかし、亜鉛を取り過ぎると「鉄は足りているのに貧血(鉄を補うことで治すことができない貧血)」になります。
ちょっと気付かれにくい貧血で、治療が遅れることも。
サプリメントは栄養素を手軽に補充できる便利なもの。
しかし、どういった栄養素をどれだけ含んでいるのか確認しなければ、過剰に摂取してしまう危険があります。
特に複数のサプリメントを使う場合は、同じ栄養素が入っていないか必ず確認してくださいね。
亜鉛を多く含む食品は穀物・魚介類・乳製品などいろいろ
現代女性は亜鉛が不足していると紹介しましたが、実は亜鉛は穀物・魚介類・乳製品など幅広い食品に含まれています。
決して、取りにくい栄養素ではないんですよ。
<亜鉛を多く含む食品の例>
(参考:食品成分データベース|文部科学省)
亜鉛の1日摂取目標量は10mg。
肉や牡蠣を食べると、比較的簡単に目標量を達成できます。
主菜になにを持ってくるか。これがポイントですね。
なお一般的に、納豆や卵、チーズは亜鉛を多く含む食品と言われています。
確かに多く含まれているように見えますが、よく見てください。表の数値は100g当たりの含有量。
あなたは納豆や卵、チーズを一度にどれくらいの量食べるでしょう?
100g単位で食べるでしょうか?
卵もチーズも食べているから大丈夫!と思っていても、意外に亜鉛を摂れていない可能性もあります。
実際に普段食べている量を思い出して、自分なりにチェックしてみてください。
妊婦におすすめの亜鉛の取り方
亜鉛不足にならないようにするには、主食・主菜・副菜をバランス良く食べるのが重要です。
食事制限をせず、3食しっかり食べるのがポイント!
しかし、妊娠中は「しっかり食べる」が難しいんですよね。
妊娠すると、必ず指導されるのが体重管理。
妊娠時の体型を元に増えていい体重を指導されます。
また、最近は「妊娠中も綺麗な女性でいたい」「産後、できるだけ早く体型を戻すために太りたくない」ということを意識する女性が多くいます。
こうしたことから、妊娠中でも食事を制限するダイエットをしてしまうケースが多々あるんですよね。
食事を制限すると数多くの食材を食べることができません。
その結果、亜鉛をはじめとする栄養素が不足。
栄養失調の妊婦さんになってしまって、病気に対する抵抗力が落ちたり、髪や肌が荒れたり、貧血になったり、めまいや吐き気などの体調不良に陥ります。
さらに赤ちゃんが栄養不足で成長できなかったり、十分な量の酸素を赤ちゃんに送れなくなるなどのリスクも。
妊娠中の食事制限はNG!
バランス良く、数多くの食材を摂るのが鉄則です。
最低でも、昼&夜の食事で亜鉛を多く含む動物性たんぱく質(肉や魚介類)を食べましょう。
同時に、白飯を3度の食事で食べ、納豆・卵・チーズなども取り入れていけば亜鉛が不足することはありません。
食事制限しないで毎日、できるだけ多くの食品を食べる。
これが亜鉛不足にならないおすすめの方法です。
もし、どういう種類のものを、どうやって食べたらバランスが摂れるのか分からない場合は、農林水産省や厚生労働省が発表している「食事バランスガイド」を参考にしてみてください。
これを見れば、食事のバランスの取り方がよく分かりますよ。
<食事バランスガイド>
(参考:食事バランスガイド|農林水産省、妊産婦のための食事バランスガイド|厚生労働省)
まとめ
亜鉛は妊婦さんにも必要不可欠なミネラルです。
免疫力や生命維持に欠かせないもので、不足しても過剰に取っても健康被害が出ます。
亜鉛は穀物・魚介類・肉・乳製品など、幅広い食材に含まれています。
妊娠中は食事制限せず、数多くの食品をバランスよく食べてくださいね。
亜鉛は納豆・卵・チーズなどに多く含まれている、と一般的に言われていますが一度に食べられる量も考えながら、自分なりの効率が良い食べ方を考えてみましょう。
サプリメントを活用すると過剰摂取になることがあるので、上限も意識しながら摂取してくださいね。