妊婦さんの中には体重管理が気になって食事を制限してしまう方がいます。
しかし食事を制限すると栄養不足になってしまいます。特に不足しやすいのがタンパク質。
タンパク質は妊婦さんと胎児に必要不可欠で、不足すると命に関わることもあるんですよ。
この記事では妊婦さんが積極的に取りたいタンパク質について知っておきたい注意点を4つにまとめました。
- タンパク質は生命維持に必要不可欠
- 妊婦さんのタンパク質摂取量は、産前よりも25g増やすべき
- 妊婦さんにおすすめの摂取方法は塊肉&缶詰魚&発酵食品
それでは、命の源ともいえるタンパク質についてひとつずつ見ていきましょう。
目次
タンパク質は生命維持に必要不可欠
タンパク質というと筋肉のイメージが強いかもしれません。
しかし、人の体のありとあらゆる場所にタンパク質は存在しています。
人の体の中にタンパク質なしで成り立っているものはない!と言えるくらい重要なものなんですよ。
タンパク質は体のあらゆる機能を維持している
タンパク質が持つ機能は実に多種多様!リストアップすると、次のようになります。
<タンパク質の機能>
- 体を動かす
- 栄養素や酸素を全身に運ぶ
- カルシウムなどミネラル類と結合する
- 免疫機能に関与し、体を守る
- ホルモンとして体の働きを調整する
- 消化や代謝を促進させるための酵素として働く
- 味や匂い、光、圧をキャッチする
こうして見ると、体が持つ機能全てに関係しているのが分かりますね。
タンパク質がないと、感覚も内臓機能も命さえも維持できません。
妊娠すると自分の体はもちろん、胎児の命も育まなければなりません。妊婦さんにとって、タンパク質は必要不可欠!非常に重要な栄養素です。
体の中で作り出せない必須アミノ酸を取ろう
タンパク質は体の中で分解されるとアミノ酸になります。
アミノ酸の中には、人の体に必要なのに、体内で合成できないものがあるんです。
しかも、足りなくなると体の機能に支障が出ることも!
このように重要な食べ物から取らなければならないアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。
<必須アミノ酸の種類>
バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン
これらの必須アミノ酸は、肝臓の機能や血圧のコントロール、脳内の神経伝達物質等に深く関わっています。
もし、食事制限をしてタンパク質が足りなくなると、必須アミノ酸も足りない状況に!
妊婦さん自身だけでなく胎児の成長にも影響が出る危険があります。
タンパク質をしっかり取って必須アミノ酸を確実に摂取するよう心がけましょう。
妊婦さんのタンパク質摂取量は産前よりも25g多い
妊娠するとタンパク質はより多く必要になります。
厚生労働省によれば、妊娠初期は妊娠前と同じ摂取量でOKですが、妊娠中期には10g、妊娠後期には25g多くとるのが理想です。
<タンパク質摂取量(目安量)>
- 妊娠前の女性 1日当たり50g
- 妊娠初期1日当たり50g
- 妊娠中期1日当たり60g
- 妊娠後期1日当たり75g
(参考:授乳婦の食事摂取基準|厚生労働省)
妊娠初期は、妊娠に気付くのが遅かったり、つわりで食事が難しかったり。
たくさん食べることができなくて不安になるかもしれません。
タンパク質が多く必要になるのは妊娠中期以降です。つわりが終わってから、食事の内容に気を配るようにすればOKですよ。
タンパク質が多い食べ物は肉・魚・乳製品と大豆製品
タンパク質は肉や魚などの動物性タンパク質と、大豆や穀物などの植物性タンパク質があります。
効率良く吸収できるのは動物性タンパク質です。
しかし、日本人は米が主食。豆腐や味噌などの大豆製品も日常的に食べるので、植物性タンパク質も重要なタンパク源です。
タンパク質が多く含まれる食品を一覧表にまとめてみました。
種類毎に色分けしてみました。
やはり、魚や肉には多くのタンパク質が含まれています。
特に、丸ごと食べられる魚(いわしなど)が圧倒的に多くのタンパク質を含んでいます。
豚肉や牛肉も100g食べれば、1日の摂取量の半分以上を取れます。
献立を考える時に、主菜として取り入れたいですね。
大豆製品は100g食べるのが大変ですが、副菜として何度かに分けて食べればOK!
なお、穀物にもタンパク質は含まれています。
米は炭水化物が多く、体重が気になる妊婦さんは避けがち。
しかし、1日300gの精白米を食べると18.3gのタンパク質が取れますから、食べすぎには気を付けるものの過度な制限はしないようにしたいものです。
妊婦さんにおすすめの摂取方法は塊の肉&缶詰魚&発酵食品
タンパク質が多い食品を紹介しましたが、妊婦さんにおすすめなのは「塊の肉」「缶詰の魚」「発酵食品」です。
まず、塊の肉。
本当ならタンパク質を非常に多く含む動物の内臓(レバーなど)を食べるのが効率的なのですが、妊婦さんはビタミンAの取りすぎが心配!
ですから、肉からタンパク質を取りましょう。
次に、魚。
妊婦さんは水銀のリスクを避けるために、大型魚を避ける必要があります。
キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどはタンパク質が多い魚ですが、水銀も摂取してしまうので過剰摂取はNG!
しかし、缶詰に利用されている魚は水銀の心配がなく、骨も丸ごと食べられます。
さらに調理の手間がかかりませんから、妊娠中は缶詰の魚がおすすめです。
そして、米の発酵食品。
米は糖分を多く含んでいますが、体の中で簡単にエネルギーになる糖なんです。
肉などに比べると少ないけれどタンパク質が含まれていますし、発酵食品になると腸内環境を整える効果が強くなります。
肉と魚、そして米・発酵食品を活用し、動物性と植物性両方からタンパク質をとるようにしましょう。
まとめ
タンパク質は全身のあらゆる場所に存在し、全身の活動全てに必要不可欠なもの!
自分だけでなく胎児にも栄養を送らなければならない妊婦さんにとって、タンパク質は非常に重要な栄養素です。
妊娠後期には妊娠前より25g多く取ることを意識してください。
タンパク質は肉・魚・乳製品・大豆製品・穀物に多く含まれています。食事制限せず、しっかり食べるようにしましょうね。
ただし、妊娠中はビタミンAの過剰摂取や水銀のリスクを避けるため、レバーや大型魚はNG!
米・肉・魚・発酵食品などを上手に組み合わせながら毎日タンパク質をとるようにしてくださいね。