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妊婦は鯖を食べちゃダメ?妊娠中の鯖の栄養素とおすすめレシピ
青魚の代表ともいえる鯖!
焼いて煮てもいいですし、刺身も寿司も抜群に美味しいですよね。
身近な鯖は、知ったら食べずにはいられないくらい栄養豊富!
妊婦さんに強くおすすめしたい魚です。
この記事では、鯖の栄養と妊婦さんが食べる時の注意点、おすすめレシピについて5つの項目にまとめました。
・鯖は妊婦さんに欠かせないタンパク質やビタミン類が豊富
・鯖に含まれている脂質で、DHAとEPAをたくさん取ろう
・刺身と寿司は、アニサキスなどの寄生虫・細菌・ウイルスに要注意!
・妊婦さんは缶詰を控えめに。ビスフェノールが胎児に与える影響は未知数
・鯖のおすすめレシピ「鯖の味噌煮」「照り焼きサンド」「塩焼き」
では、ひとつずつ見ていきましょう。
鯖は妊婦さんに欠かせないタンパク質やビタミン類が豊富
鯖は栄養の宝庫と言っていいほど、栄養が豊富です。
その代表がタンパク質!
タンパク質は筋肉や内臓、皮膚、細胞、ホルモン、酵素などあらゆるものを作り出す時に必要です。
そして、ビタミン類!
脳や神経の働きを助けたり、カルシウムや鉄の吸収に不可欠だったり、ストレスに対する抵抗力を上げ、免疫力維持に働きかけ、血液を作り出すなど。
体内の活動に欠かせないビタミン類もバランス良く含まれています。
嬉しいことに鯖は調理の仕方によっては、骨まで全て食べられます。
栄養素を丸ごと無駄なく取れるのは、非常に大きなメリット!
妊娠前よりも多くのタンパク質やビタミン類を取らなければならない妊婦さんにとって、鯖はおすすめの食材です。
鯖に含まれている脂質で、DHAとEPAをたくさん取ろう
鯖には脂質(魚の脂)が多く含まれています。
脂というと「避けた方が良い」と思いますよね。
でも、鯖の脂は質が違います。
不飽和脂肪酸と呼ばれる積極的に取りたい脂で、DHAやEPAの宝庫!
頭を良くしてくれるというイメージが強いDHAとEPAは、数多くの健康効果をもたらしてくれます。
水産庁のHPには次のような記載があります。
魚の脂質には、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)といったn- 3系多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。
これらの物質については、すい臓がん、肝臓がんや男性の糖尿病の予防、肥満の抑制、心臓や血管疾患リスクの低減等、様々な効果があることが数々の研究で明らかにされており、その幅広い健康効果が知られています。
(引用元:平成28年度 水産白書|水産庁)
そして、東京都健康安全研究センターのHPにも
海産魚の脂質に多く含まれる脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA), ドコサヘキサエン酸(DHA) は血中のLDL(悪玉)コレステロール値を低下させ血栓を防ぎ、脳梗塞、心筋梗塞等の血管障害を予防します。また、DHAは脳神経系に高濃度で分布し、情報伝達をスムーズにし、脳の発育、視力の向上に係わっています。
(引用元:東京都健康安全研究センター)
こうしたメリットが紹介されています。
妊婦さんが魚を食べなければDHAやEPAが胎児に送られません。
血液の状態や脳神経の維持・発育をよくするために、たくさんのDHAやEPAを含む鯖を食べましょう!
なお、「魚といえば水銀が気になるけれど大丈夫?」と不安に思う方もいますよね。
大丈夫!
水銀濃度が高い魚は、キンメダイやマカジキ、クロマグロといった大型の魚と、バンドウイルカやマッコウクジラ。
小型・中型の魚は水銀の心配は不要です。
安心して鯖を食べて、栄養をしっかりつけましょうね。
刺身と寿司は、アニサキスなどの寄生虫・細菌・ウイルスに要注意!
栄養豊富な鯖ですが、ひとつ注意点があります。
それは食中毒!
特に、刺身や寿司といった火を通さずに食べる時は要注意です。
鯖に寄生虫や細菌、ウイルスが付いていたら、食中毒になることが!
特に注意したい3つの食中毒を紹介します。
アニサキス(寄生虫)
アニサキスは20~35mmの長さの線虫です。
サバ、サンマ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカ等の海産魚介類の刺身、冷凍処理をしていないシメサバ等これらの魚介類に、アニサキスの幼虫が寄生していることがあります。
(引用元:アニサキス|農林水産省)
アニサキスがついた鯖を食べると、数時間後に嘔吐・激しい腹痛の症状がでます。
これは胃や腸の壁にアニサキスが食い込むから。
アニサキスには駆虫薬がありません。消化器内科などで内視鏡検査を受け、アニサキスがどこにいるか探し、鉗子で取り除いてもらいます。
生で鯖を食べる時は、寄生虫がついていないか良く観察してから、しっかり噛んで食べて下さいね。
なお、アニサキスに寄生された時、蕁麻疹が出たり、呼吸困難などアナフィラキシーショックの症状が出る人もいます(アニサキスアレルギー)。
もし、鯖の刺身や寿司を食べて体調が悪くなったら、すぐに病院へ行きましょう。
腸炎ビブリオ感染症
腸炎ビブリオ感染症は、細菌に汚染された刺身や寿司を食べたり、魚を調理したまな板を綺麗に洗わずに使うことで感染します。
体の中に細菌が入って12時間くらい経ってから、耐えられないくらいの腹痛と嘔吐、下痢、発熱といった症状が出ます。
激しい下痢を繰り返して脱水症状に陥るケースも!
多く発生するのは夏場(7~9月)ですが、冬でも発生した事例があります。
火を通さないで鯖を食べる時は、新鮮で衛生的な鯖をしっかり水洗いし、調理に使う包丁やまな板も清潔なものを使いましょう。
(参考:腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)|東京都福祉保健局)
ノロウイルス
ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に潜んでいるウイルスで、しばしば冬に食中毒の原因になります。
感染すると、激しい嘔吐と下痢の症状がでます。
脱水症状に陥る危険があるので水分は取らなければなりませんが、水を飲むと、それが原因で吐いてしまうことが!
妊婦さんが感染した場合は、まず電話で産婦人科に連絡し、医師の指示を仰ぎましょう。
連絡なしで産婦人科へ行くと、その場にいる妊婦さんや赤ちゃんに感染が広がるリスクが!公衆衛生のために、必ず電話で連絡してくださいね。
鯖はカキじゃないから大丈夫なのでは?と思うかもしれません。
しかし、カキと同じ調理器具を使って調理された鯖を食べると、感染する可能性が!
また、生鮮食品を扱う店員がノロウイルスに感染していたため、その店で販売されていた刺身や惣菜を買ったお客さんが集団食中毒になった事例も。
生の食材は、衛生管理などを徹底しているお店で買うようにし、洗浄してから食べるようにしてくださいね。
アニサキスも、腸炎ビブリオも、ノロウイルスも、十分加熱すれば不安が減ります。
生は一切食べない!と決めてもいいですが、完全にゼロにするのは難しいもの。
控えめにしながらも、衛生管理や切り身の状態に十分注意して食べてくださいね。
妊婦さんは缶詰を控えめに。ビスフェノールが胎児に与える影響は未知数
鯖は食べたいけれど、調理するのが面倒。
筆者もそう感じるため、調理済みで長期間保存ができる缶詰をよく利用します。
しかし、厚生労働省によれば妊婦さんは缶詰を控えた方がいいとのこと。
理由は、一部の缶を作る時に使われているビスフェノールという化学物質です。
ビスフェノールの影響を受けるのは、甲状腺や膵臓、卵巣などホルモンを作る臓器。
ホルモンが正常に分泌されなくなったり、乳腺に異常が出たりするリスクが分かっています。
日本では、法律によってビスフェノールのような有害な物質が含まれた食品を販売することが禁止されています。
また、成人であればビスフェノールが体内に入っても代謝機能が高いので大量に摂取しない限りは大丈夫。
ビスフェノールの問題が指摘されてからは、製造業者もビスフェノールを使わないなど、注意を払っているので過剰に心配することはありません。
ただ、動物実験では微量のビスフェノールでも胎児に異常が出た、という報告も。
動物実験の結果がそのまま人に当てはめられる訳ではありませんが、念のため、妊婦さんは缶詰を控える方が良いでしょう。
厚生労働省はHPで
通常の食生活を営む限り、ビスフェノールAの曝露は少ないものと思われますが、念のため、公衆衛生的な観点から、できるだけ曝露しないように食生活に心がけて下さい。具体的には、偏った食事を避け、毎食缶詰を中心とするような食生活にならないよう、いろいろな食品をバランスよく摂るように心がけることが大切です。
(引用元:ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省)
こう注意を促しています。
缶詰は常温で長期間保存ができ、開封すればすぐに食べられるというメリットがあります。
しかし、缶詰に頼りっきりの生活は送らないようにしてくださいね。
鯖のおすすめレシピ
鯖をおいしく食べる3つのレシピを紹介します。
圧力鍋で時短・簡単「鯖の味噌煮」
圧力鍋を使えば、骨まで柔らかい鯖の味噌煮が作れますよ。
【材料】
鯖 1尾(ヒレや内臓を取り除き、7等分する)
★酒 1/3カップ
★水 1と1/2カップ
★みりん 大さじ1
★しょうゆ 大さじ1
みそ 大さじ4
【作り方】
(1)鯖は、大きな切り身3つに、小さな切り身を1つずつ入れる(内臓が入っていたお腹の部分に、小さな切り身を詰め込む)。
(2)圧力鍋に★を入れて火にかけ、沸騰したら火を止める。
(3)鯖と生姜(臭い消し)を入れてフタをし、強火にする。圧力がかかったら弱火にし、15分間加熱する。
(4)火を止めてから約1時間静置。その後、フタを開けて中火にかけ、煮立ったら味噌を入れる。
※味噌を入れた後は煮立てないで!風味が飛んでしまいます。
照り焼き鯖サンド
鯖の照り焼きをサンドイッチにするのも朝食におすすめです。
【材料】
塩鯖 3枚
★酒 大さじ3
★砂糖 大さじ3
★みりん 大さじ2
★しょう油 大さじ3
【作り方】
(1)塩鯖の身は、食べやすい大きさにカット。片栗粉をまぶしておく。
(2)フライパンにごま油を入れ、(1)を焼いて両面に焼き色を付ける。
(3)焼いた塩鯖をお皿に取り、フライパンの油を拭き取ってから★を入れて煮立てる。
(4)(3)に焼いた塩鯖を戻し、フライパンを揺すりながら火を通す。
(5)出来上がった照り焼き鯖を、サンドイッチ用のパンにレタスと一緒に挟む。
塩鯖と野菜の味噌焼き
冷蔵庫内にある野菜を一気に消費できる、美味しい味噌焼きです。
【材料】
塩鯖 3枚分(1cm幅にカット)
タマネギ・キャベツ・ニンジン・ピーマン・もやしなど。好きな野菜を好きなだけ
★マヨネーズ 大さじ1/2
★味噌 大さじ1/2
★みりん 小さじ1
【作り方】
(1)フライパンに野菜を敷き詰め、その上に塩鯖を並べる。
(2)★を上に乗せ、フタをして10分間蒸し焼きにする。
(3)よく混ぜてから食べます。
※テーブルの上で、ホットプレートを使ってもOK
まとめ
鯖はタンパク質やビタミン類が豊富なだけでなく、DHAやEPAも多く含まれています。
ただ、生で食べる時は要注意!
アニサキスや腸炎ビブリオ感染症、ノロウイルスのリスクがあるので、新鮮で衛生的な鯖の身を選んで下さいね。
また、鯖の缶詰は便利で手軽ですが、ビスフェノールという化学物質のリスクが考えられます。
妊娠中は缶詰メインの食事は避けましょう。
味噌煮、照り焼き、野菜と一緒に焼くなど、鯖を美味しく食べて栄養をしっかり取りましょうね。