普段生活している中で、発見しにくい疾患や臓器の異常が診断できる人間ドック。
万が一病になっていても、早期発見できれば適切な対策をとる事ができるため、自身の目的に合わせて行うことが好ましいとされています。
人間ドックは健康診断に比べて検査項目が多く、気になる箇所を重点的に調べられるのがメリットの一つです。
ですが、妊娠中に人間ドックを受けても問題はないのでしょうか?
今回はそんな妊婦さんに向けて、人間ドッグに関する情報を4つの項目にまとめてみました。
- 妊娠が発覚したけど、人間ドックを受けても大丈夫?
- 妊娠発覚前に人間ドックを受けてしまった!
- レントゲンに対して不安になり過ぎるのも問題?
- 妊婦さんは人間ドックを行うよりも、妊婦検診の方が適切!
人間ドックを妊娠前に予約済みであったり、行こうか迷っている方の参考になりましたら幸いです。
目次
妊娠が発覚したけど、人間ドックを受けても大丈夫?
基本的に妊婦さんが人間ドックを希望しても、実際に受けられる医療機関は少ないでしょう。
人間ドックのように細かな箇所の健康状態を診るためには、レントゲン検査が欠かせません。
しかし妊娠中は、胸部レントゲンや胃のレントゲンといった放射線を利用する検査は全て受けることができなくなっています。
これは放射線による胎児への健康被害を防ぐためです。
検査に関する放射線量自体は微量とはされているものの、被爆しないに越したことはありませんし、万が一の事を考えて受診は控えるように指導されることが殆どです。
受ける事ができる項目と言えば、身長体重の測定や視力、聴力の検査など、妊娠中であっても問題なくできる項目のみとなります。
精密に調べる事ができないため、人間ドックというよりは最低限の健康診断のような形となるでしょう。
血液検査や尿検査といった項目も、妊娠中のホルモンバランスや体調の変化により、通常時との診断基準が異なるため行いません。
上記の理由から、人間ドックを行うならば産後半年以上経過してからが好ましいでしょう。
もしもそれ以前に受けたい場合は、担当医師の指示を仰ぎましょう。
関連記事⇒妊婦と放射線~妊娠中のレントゲンや健康診断7つの注意点
妊娠発覚前に人間ドックを受けてしまった!
自身の妊娠に気づくのが遅れてしまい、その間にレントゲン検査を受けてしまったお母さんも少なからずいるのではないでしょうか?
そもそもなぜ放射線の被害が懸念されるのかというと、放射線が体内を通過する際に細胞やDNAを傷つけてしまう為です。
放射線で傷つけられた細胞やDNAは修復されるものの、そのダメージが修復力を上回る場合、様々な健康被害に繋がってしまいます。
特に妊娠初期の胎児は細胞分裂が盛んなこともあり、放射線を大量に浴びてしまうと、奇形や発育・精神発達遅延のリスクがあります。
ただし、下腹部や骨盤内を直接照射したり長時間透視したり、何枚も連続でレントゲンを撮るようなことがなければ、まず大丈夫です。
ただちに影響の出るような大量の放射線を浴びる検査は通常はありえません。
そんな検査があったら、それこそ大問題になってしまいますよね。
もし妊娠に気づかず人間ドックで放射線検査を受けてしまったとしても、酷く心配する必要はないと言えます。
また、胸や手足、歯のレントゲンなども腹部から離れており、問題ないとされているので安心してください。
レントゲンを撮る機会には、防護エプロンを着用すると、レントゲンの被ばく量を100分の1に抑えることができます。
レントゲン室に備え付けてあることが多く、稀に任意の場合もあるので、気になる際は必ず着用するようにしましょう。
レントゲンに対して不安になり過ぎるのも問題?
放射能に関しての不安が先立ってしまった例でもありますが、レントゲンの放射線の影響に対して、心配するあまりに堕胎という選択肢を選んでしまったケースも過去にはあったようです。
100mGy以下の放射線量は中絶に値する被ばく量ではなく、また一部の特別な放射線治療を除けば、X線診断検査で100mGyの線量を超える事は極めてまれな事例です。
胎児に奇形が起こる可能性が高まるとされている、100mGyの被ばく線量に達するには、骨盤のCT検査三回分、一般的なX線検査20回分などを上回る回数のレントゲンを行わなくてはなりません。
また、腹部以外の検査(胸部や頭部、四肢の他、歯医者での口腔レントゲンなど)での胎児被ばく量はほぼ無いと考えても良いです。
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妊婦さんは人間ドックを行うよりも、妊婦検診の方が適切!
人間ドックを予定している女性で、妊娠希望中や妊娠の可能性がある方の場合は、人間ドックの前に婦人科での診察、または市販の妊娠検査薬で一度検査することをお勧めします。
産婦人科へ行く時間がなかなか取れない方も、薬局の妊娠検査薬を利用すれば、手軽に妊娠の結果が判明します。
妊娠の発覚が早ければ、人間ドックの予定を産後に組み直すことが出来たり、妊娠の影響による検査値の異常に対して不安になる事もありません。
妊娠中に人間ドックを受ける事はあまり現実的では無いため、妊活以外の時期に予定することがベストですね。