初乳(しょにゅう)は、出産直後にしか出ない乳で、母乳とは違う役割を持っています。
ミルク育児を予定しているお母さんでも、出来る限り初乳は与えてくださいと、助産師さんより説明がある産婦人科も多いようです。
初めての出産を終えたお母さんは、初乳という言葉を知らない人も多く、免疫力を高める役割や、赤ちゃんの栄養補給になることを知らず捨ててしまうこともあります。
「そもそも初乳って何?母乳との違いは?」
「初乳はいつからいつまで出るの?」
「初乳がなかなか出なくてつらい…何か初乳を出す方法はないの?」
初産の場合は特に、初乳について、いろいろな不安や疑問が出てきます。
初乳の色や量も、実は母乳とは違うものなのです。
初乳に含まれている赤ちゃんへの大切な成分について、そして、いつまで続くのかなど、初乳についてのあれこれを、下記の内容でご説明していきます。
・初乳とは?量や色
・初乳はいつからいつまで出るのか
・初乳の成分
・初乳が出ない時の3つの対応
これから出産予定で授乳について知りたい人や、出産後に初乳が出ずにプレッシャーを感じてしまい辛い人や痛みを感じて心配な人など、赤ちゃんへの授乳について悩んでいるお母さんたちの参考になれば嬉しいです。
目次
そもそも初乳って何?初乳の色や量について
初乳とは、出産後にお母さんのおっぱいからでる乳汁のことです。
「え?母乳じゃないの?」という人もいますが、母乳は白くてサラサラとしているのに比べると、初乳は、黄色くトロっとしているのが特徴です。
透明がかったものやクリーム色をすることもあり、お母さんの体質や食べ物なども影響します。
母乳とは違い、この時期にしかでない成分も含まれており、生まれてきた赤ちゃんには、ぜひ飲ませておきたいとされる特別な母乳です。
初めは、びっくりするほど量が少ないので、心配になる人も多いようです。
しかし、母乳に比べると少ないのが当たり前で、赤ちゃんもスプーンで少しずつしか飲みません。
初乳はとても大切なので、余った場合には冷蔵庫などで保存し、次の授乳の時間に飲ませることもあります。
初乳の量が少ないからといって心配する必要はないでしょう。
せっかくの初乳が出ても、赤ちゃんがなかなか飲んでくれないということもよくありますよ。
でも、少しの量でも良いので、赤ちゃんの口にいれてあげたいですね。
初乳はいつからいつまで続くの?
初乳はいつからいつまで続くといった、明確な時期はありません。
一般的には、出産直後から1週間くらいまで続きます。
しかし、個人差があり、3日ほどで初乳から母乳になるお母さんもいれば、10日程初乳が続くお母さんもいます。
黄色のトロっとした初乳が終わると、今度は移行乳という濃い黄色の母乳になり、3~4日ほど続き、少しずつ白く、サラサラとした母乳になっていきます。
初乳の量はとてもすくないのですが、赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれることで、量もだんだんと増えていき、生後1ヶ月頃には、赤ちゃんがごくごく飲めるほど母乳が出ます。
もし、ミルク育児をされるのであれば、出産後の1週間に出る初乳は、飲ませてあげましょう。
おっぱいに吸い付かせなくても、助産師さんに絞ってもらうなどして出すことができ、スプーンで与えることができます。
ではなぜ、こんなに初乳が大切だと言われているのか、みていきましょう。
初乳のはたらきや初乳に含まれている大切な成分とは
初乳には、病気の感染から守る免疫物質や、アレルギーから守る物質が含まれていると言われています。
lgA抗体
初乳に含まれている免疫抗体は、生後6か月頃まで効果があります。
効果はありますが、全く病気にかからないというわけではありません。
lgA抗体も多く含まれており、分泌型免疫ブログリンAという抗体のひとつです。
呼吸器官や消化器官の粘膜の免疫を高めてくれる働きをします。
粘膜は、病原体の侵入を許しやすい場所なので、しっかりと守ることで病気に強くなります。
lgA抗体は、特定のウイルスだけでなく様々な病原体にくっつく反応を起こし、守備範囲が広い抗体です。
母乳にも含まれていますが、初乳に含まれているlgAの量は何よりも多いとされています。
ラクトフェリン
ラクトフェリンという言葉自体、あまり耳にしませんが、たんぱく質の1つです。
初乳が濁っていることが多いのは、このたんぱく質の影響です。
人間でなく、多くの哺乳動物の母乳に含まれています。
ラクトフェリンは、身体が未熟な赤ちゃんをウイルスや細菌から守る働きをします。
だいたいどのくらいの割合で含まれているのでしょうか。
一般的には、初乳100mlに対して、約600㎎のラクトフェリンが含まれています。
母乳には、この3分の1の量に減りますが、ラクトフェリンは含まれています。
βカロテン
初乳が黄色いのは、このβカロテンの影響です。
βカロテンは、緑黄色野菜や果物に含まれている黄色やオレンジ色の色素のことです。
腸で吸収されるとビタミンAに変わります。
皮膚の粘膜のもとになることや、身体を参加ダメージから守るなど、バリアの役割を担っています。
免疫力を高める効果や、生活習慣病から身体を守る効果、目の神経伝達物質など、
たくさんの働きを持っている、とても大切な成分のひとつです。
鉄分やビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれている
初乳には、赤ちゃんの成長に必要な栄養素がたくさん含まれています。
三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質の他に、鉄分やビタミン、ミネラルなどが、バランスよくたくさん入っています。
他にも、シアル酸やガングリオシド、母乳オリゴ糖は、赤ちゃんの消化管を守ります。
リボ核酸、ポリアミンは、食物アレルギーの病原体が体内に侵入するのを防いでいます。
ヌクレオチドは、病原体と闘う力を高めてくれます。
このように、たくさんの成分が、少ない初乳の中にたっぷりと含まれているのです。
子宮を収縮するはたらき
初乳は、お母さんにとっても良い効果をもたらします。
産後、大きくなった子宮は自然に収縮していき、母体も回復するのですが、授乳によって出るオキシトシンというホルモンの作用により、子宮収縮が早くなる効果があるのです。
初乳が出てない…そんなときに試してほしい3つの対応
初産の場合は特に、初乳がなかなか出てくれないということがよくあります。
ほんの少ししか出ない、全く出ていないなど、それぞれです。
産後の入院中であれば、助産師さんのサポートにより初乳が出ることもありますが、やはり不安ですよね。
では初乳が出ない時に、何か自分でできることはないのでしょうか?
リラックスする
出産後は、赤ちゃんのお世話や知らないことがたくさん起こり、気を張る毎日です。
しかし、緊張やストレスが原因となって、初乳や母乳が出ないことがあります。
赤ちゃんがそばにいて緊張がほぐれないときには、一旦病院で預かってもらうか、家族の人にみてもらうなどして、自分の時間を作ることも大切です。
他にも、ママ友が近くにいれば相談してみたり、好きなものを食べたり、など、自分が一番好きなこと、リラックスできることを試してみましょう。
赤ちゃんにたくさん乳首を加えさせる
出産後に初乳が出ないお母さんは大勢いますが、ほとんどは出るようになります。
それは、赤ちゃんが乳首を吸ってくれることで、出るようになっていきます。
初めは、赤ちゃんが乳首を加える練習だと思って、何度もトライしてみましょう。
もちろん、赤ちゃんもお母さんも授乳でとても疲れます。
汗だくになることもしばしばです。
また、赤ちゃんもおっぱいを吸うことには慣れていないので、乳首が痛くなることもあります。
おっぱいがたまってくることもあり、胸が張り、痛くなることもあります。
でも、休憩をはさみながら、何度も何度も挑戦することで、初乳や母乳が出るようになってきますよ。
努力が必要ですが、こまめに授乳をしていきましょう。
授乳の前にマッサージをしてみる
母乳は血液なので、まずマッサージすることで血流をよくしてみましょう。
妊娠中にしていた人は、その方法でもかまいませんし、助産師さんより指導があることもあります。
マッサージの方法は、胸を上下に上げて下げてを5回繰り返します。
素早くすると、傷むことがあるので、ゆっくりで大丈夫です。
つぎに、乳頭のマッサージをします。
指のひらで、乳首の周りをほぐすような感覚で押していきます。
入浴中に行うのも効果的です。
初乳が出ずに、赤ちゃんへの影響が心配な人も多いのですが、不安に感じることはありません。
初乳を飲まなくても、赤ちゃんはスクスクと育ってくれまし、産婦人科でも対応してくれます。
産後の入院中に、出ていないなと感じたら、助産師さんに相談するのが一番です!
まとめ
産後1週間ほどでる初乳は、赤ちゃんにとって、とても大切な役割をもっています。
素晴らしい免疫の成分や赤ちゃんの成長を促す成分が含まれているので、ぜひ飲ませてあげたいのですが、なかなか出ないこともあります。
初乳が出ないことは当たり前と踏んで、授乳に取り組んだ方が、ストレスがないかもしれませんね。