帝王切開にかかる費用は病院によって違い、40〜100万円程度かかると言われています。
かなり大きな出費ですね。
経膣分娩の場合には全額自己負担ですが、帝王切開は保険が適用される部分があるため、その部分に関しては高額療養費が適用されます。
ここでは、高額療養費についてやいくらくらいお金が返ってくるのか、注意点についてご紹介します。
目次
高額療養費って何?
全国健康保険協会によると「高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分があとで払い戻される制度」とされています。
高額療養費は、会社員や公務員の方が加入する健康保険組合と自営業の方が加入する国民健康保険のどちらに加入されていても条件を満たせば適用されます。
この説明で分かりにくいのが「一定の金額(自己負担限度額)」というところでしょう。
一定の金額っていくらなの?と思いますよね。この金額は年齢と世帯所得によって変わります。
年齢は70歳未満か、70歳以上75歳未満で分けられます。
今回は帝王切開の高額療養費についてなので、70歳未満についてお話しします。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
①区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) (報酬月額81万円以上の方) |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
②区分イ (標準報酬月額53万円~79万円の方) (報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方) |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
③区分ウ (標準報酬月額28万円~50万円の方) (報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方) |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
④区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) (報酬月額27万円未満の方) |
57,600円 | 44,400円 |
⑤区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) |
35,400円 | 24,600円 |
このように自己負担限度額は、ア〜オの5つの区分に分けて計算されます。
総医療費は保険適用される診察費用の10割の金額です。
多数該当というのは、診療を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた場合、4ヵ月目から多数該当になります。
そして注意して欲しいのは、高額療養費の適用になるのは、病院に支払った金額の内、保険適用のものだけです。
帝王切開の場合では、手術料、麻酔料、投薬料などが対象になりますが、分娩介助料、ベッド代、食費などは自費になるので対象外です。
一部保険適用になるとは言え、帝王切開での出産費用は40〜100万円と大変高額です。退院時窓口で支払うことが困難な場合もあるでしょう。
そのような場合には、事前に加入している保険組合に「限度額適用認定証」を発行してもらうと良いでしょう。
この認定証があれば、窓口で支払う医療費は自己負担限度額までにすることができます。
帝王切開の場合はいくらくらい返ってくるの?
実際に帝王切開をした場合いくらくらい返ってくるものなのでしょうか。
平成30年の診療報酬点数表によると緊急帝王切開222,000円、選択帝王切開201,400円でした。
実際はその他にも保険適用の診療があると思いますが、ここでは分かりやすく緊急帝王切開のみの金額で試算してみましょう。
全国健康保険協会こちらの簡易試算を利用しました。
窓口で医療費の自己負担の合計と、所得区分にチェックを入れるだけで限度額がいくらになるか分かるのでとても便利です。
負担額が222,000円の場合には、高額療養費見込み額は137,170円でした。
そのため保険適用分の自己負担額は84,830円ということになります。
その他の費用として、ベッド代、分娩介助料、新生児管理保育料などがかかりますが、こちらには高額療養費とは別に、出産一時金の42万円が当てられるのでそちらである程度カバーできます。
とは言っても出産にかかった費用全てが賄えるわけではありません。
十万単位で足が出ると思ってお金を準備しておいた方が良いでしょう。
また出産が帝王切開になった場合には、生命保険の支給対象にもなります。
加入している保険の内容を確認して請求漏れがないようにしましょう。
注意する点は?
高額療養費で注意する点は、対象となるのが1ヶ月ごと(1日から末日まで)ということです。
入院が月をまたいでしまった場合には、前の月と後の月にかかった費用別で計算されてしまうため、返金額が減ってしまいます。
緊急帝王切開で日にちを選べなかった場合には仕方ありませんが、予定帝王切開の場合には、入院が月をまたがないようにしたいですね。
高額療養費の制度は自分で申請しに行かなくては適用されません。
事前に限度額適用認定を受ける場合には、保険証、身分証、印鑑を用意して、各保険者の用意する書類に記入し申請します。
治療後に申請する場合には、領収書、保険証、印鑑、振込先口座がわかるもの、身分証を用意して各保険者の用意する書類に記入し申請します。
まとめ
帝王切開は保険が適用されると言っても十万単位でお金がかかります。
退院時は荷物も多いですし、赤ちゃんも連れていて手続きは手間取ってしまいます。
事前に限度額適用認定証を申請し、窓口での負担を軽減させることがお勧めです。