離乳食は基本的に調味料を使いません。
赤ちゃんが離乳食を食べてくれないと「味付けしていないのが悪いのでは?」と思ってしまいますよね。
でも、赤ちゃんが離乳食を食べない理由は「固い」「熱い」「お腹が空いていない」「食べ物だと思っていない」など様々!
さらに調味料は使わない方が赤ちゃんの成長にメリットが大きいんです!
この記事では、調味料を使わない方がいい3つの理由と調味料なしで離乳食をおいしくする方法、そして使っていい調味料一覧表で紹介します。
参考にしてみてくださいね。
目次
調味料を使わない3つの理由
調味料を使わない理由は「赤ちゃんの能力」「離乳食の目的」「赤ちゃんの体を守るため」の3つ!
赤ちゃんの舌は敏感!味をしっかり感じている
ひとつ目の理由は、赤ちゃんの高性能な舌です。
赤ちゃんは甘味・旨味・塩味を感じる能力を生まれつき体得しています。
しかも、とても敏感で薄くてもしっかり味をキャッチできるんですよ。
人間の舌には味を感じる味蕾という器官があります。
味蕾の機能は一般的に年齢が上がるにつれて低下。
しかも、濃い味ばかり食べていると、味蕾は強い刺激を受けないと反応しなくなってしまいます。
赤ちゃんのうちから調味料を多く使って濃い味ばかり食べさせていると、薄い味を感じ取れない舌に!
せっかく、敏感で薄味でもしっかり感知できる舌をしているのです。
素材の味を大切にした離乳食で、赤ちゃんだからこそ味わえる素材の味を経験させてあげましょう。
味わって食べるのは目的ではない
ふたつ目は、離乳食の目的です。
離乳食は「おいしく味わって食べよう!」を目的にしていません。
離乳食がおいしいことはいいことですが、もっと大切な目的があります。
<味わうこと以外の離乳食の目的>
・母乳やミルク以外のもの(固形物)を食べることに慣れる
・顎の使い方を練習する
・噛む練習をして、脳を刺激する
・手の使い方、力加減を覚える
・自分で食べたい!という心を育てる
・胃腸の機能を向上させる
離乳食に求められるのは「簡単に飲み込めるもの」「顎の動きを助けるもの」「手掴みしやすいもの」「消化にいいもの」といった目的達成に合った機能です。
味以外に大切にしなければならないポイントがたくさんあるんですよ。
いろんな調味料を使って凝った味を再現するのは二の次。
離乳食が終わって幼児食をしっかり食べられるようになってからで大丈夫!
固形物を食べたことがない赤ちゃんがチャレンジする離乳食は「簡単にクリアできるハードル」を準備し、少しずつ食べられるように促していくことを重視しましょう。
調味料を使うと、内臓に大きな負担がかかる
三つ目の理由は、赤ちゃんの体を守るため。
生後5~6か月に離乳食をスタートさせますが、赤ちゃんの内臓はまだまだ成長途中です。
食べ物を消化するには、胃・腸だけでなく、腎臓や肝臓、膵臓の機能も充実する必要があります。
未熟な内臓に、急に「働きなさい!」と言っても無茶というもの。
少しずつ機能をアップさせていくために負担が少ない食品で練習しなければなりません。
調味料には、塩分やスパイス、添加物が多く含まれています。
これらは赤ちゃんの内臓にとって負担が大きいもの。
赤ちゃんの体を守り、無理なく成熟していくために調味料は使わないで離乳食を作っていきましょう。
調味料を使わずに離乳食をおいしくする方法
調味料を使わなくても、素材の組み合わせを工夫すると離乳食を美味しくすることができます。
嬉しいことに、赤ちゃんの舌は敏感。
甘味・旨味・塩味に強く反応してくれます。
甘味はご飯や芋類で味わえますし、旨味はだし、塩味は多くの食材にすでに含まれています。
そのままでも味が濃い食材を活用すれば、調味料なしでも美味しい離乳食になりますよ。
だし
最も使いやすいのが「だし」
多くの旨味成分を含んでいる「だし」は赤ちゃんの内臓に負担をかけないので重宝します。
・大きな密閉容器に昆布と水を入れ、冷蔵庫で2時間待つ
・かつおぶし5gに熱湯150ccを注ぎ、1分待ってから茶こしでこす
・頭とわたを取った煮干し2尾と水100ccを耐熱カップに入れ、電子レンジで煮立つまで加熱して茶こしでこす
こうして作っただしを離乳食にプラスすると、グッと旨味が増しますよ。
※ベビーフードコーナーにある赤ちゃん向けのだしも便利
野菜スープ
野菜スープにも旨味がたっぷり含まれています。
タマネギ・ニンジン・ダイコン・ジャガイモなど。
冷蔵庫にあるアクの少ない野菜を茹で、茹で汁をこせば、野菜スープの完成!
離乳食が進めば、柔らかく煮た野菜をブレンダーなどでトロトロにしたものや、歯茎でつぶせるくらいの柔らかさにした野菜を具に加え、具だくさん野菜スープにしましょう。
味が濃い野菜を使う
野菜の中でも、味が濃いものがありますよね。
カボチャ、ニンジン、カブ、タマネギ、ジャガイモといった根菜類は甘味が強いですし、トマトも赤ちゃんが好む味です。
味が濃い野菜は、調味料代わりになって便利!
ビタミンやミネラル類も豊富なので、つぶしやすい物を選んで積極的に使っていきましょう。
焼きのり
焼きのりも、香りと味をプラスするのに役立つ食材です。
ただし、味のりは塩分が多いので使いません。
口の中に貼り付くことがあるので、細かくちぎり、水分が多いものと一緒に出してあげましょう。
海藻類に慣れるきっかけにもなります。
離乳食に慣れて2回食が定着してきた生後7~8か月の頃からどんどん使える食材です。
1回食(生後5~6か月)で使える調味料
離乳食をスタートさせた時期は、調味料なし!
液体のりのようなトロトロの10倍がゆをメインに、固形物を口に入れることに慣れ、舌を使って飲み込む動作に慣れてもらいましょう。
10倍がゆを嫌がらなくなってきて、野菜も食べられるようになってきたら「だし」「トマトピューレ(トマトを潰して裏ごししたもの)」は使ってOK。
なお、上白糖や三温糖、バター、オリーブオイルは使えますが、離乳食に慣れてから、ほんのわずかな量(薄味で作った大人の料理から取り分ける程度)にしておきます。
糖分はお米から摂ることができます。
上白糖や三温糖を使うと糖分過多になってしまうので注意してくださいね。
2回食(生後7~8か月)で使える調味料
離乳食に慣れ、2回食が定着してきたら使える調味料が少し増えます。
・上白糖や三温糖(黒砂糖はボツリヌス菌のリスクがあるのでNG)
・トマトケチャップ(味が濃いので少なめに。トマトピューレの方がおすすめ)
・無塩バター(初めての脂チャレンジにおすすめ)
・オリーブオイル(酸化しにくいので使いやすいけれど、バターに慣れた後、控えめに)
・酢(使えるけれど、赤ちゃんが嫌がる味なのでムリに使う必要なし)
こうした調味料は使えますが、やはり使ってもごく少量だけ。
香り付け・風味付け程度にしておく方がいいですよ。
塩、醤油、めんつゆ、みそ、サラダ油は、薄味の大人のおかずを取り分けるくらいならOKです。
積極的に離乳食に使うのは止めてくださいね。
3回食(生後9~11か月)で使える調味料
3回食になり、顎を上手に使って噛む動作をしながら食べられるようになってくると、胃腸も育ってきています。
調味料も、ごく少量であれば比較的広く使って大丈夫。
顆粒だし、固形スープの素、カレー粉、オイスターソース、みりんなどもごく少量、薄味の大人のおかずを取り分けるくらいなら平気です。
薄味にしておけば、大人用のおかずから取り分けられるようになるので、離乳食作りも楽になりますね。
1歳~1歳6か月で使える調味料
離乳食の最終時期で、幼児食に移行していく時期。
極少量の使用に限れば、ほとんどの調味料がOKになります。
黒砂糖やハチミツといったボツリヌス菌のリスクがあるものも、1歳を過ぎれば大丈夫。
ただし、次の物は1歳を過ぎても使わない方がベストです。
・マーガリン:トランス脂肪酸が多い。使うならバターを。
・カレールー:スパイスと脂肪分が多く、刺激が強すぎる。使うならカレー粉を。
・マヨネーズ:生卵を使っているのでアレルギーの心配あり。また、脂肪分が多いので極力控えて
・ソースやタレ:スパイスが多く含まれていて、塩分濃度も高いので離乳食には不向き
ただ、1歳を過ぎてくると遊び食べの頻度が高くなったり、食べムラに悩むことも。
ママが精神的に辛くなったり、どん詰まり!になってしまったら、ちょっと大人の味で刺激して食に興味を誘うのもアリです。
上手く味を利用して食事の時間を楽しくしていきましょう。
離乳食で使っていい調味料と使えない調味料一覧
これまで紹介してきた調味料を一覧表にまとめてみました。
参考にしてみてくださいね。
まとめ
赤ちゃんは甘味・旨味・塩味を生まれつき感じられるようになっています。
しかも、舌はとても敏感!
素材の味をしっかり味わうことができます。
調味料は塩分が多かったり、香辛料が含まれていたりして、赤ちゃんの未発達の内臓には不向き。
また、離乳食には「口や顎、手の機能の向上」や「自分で食べたいと思い、食に興味を持つという心の発達」を促す目的があります。
調味料で複雑な味を作るのではなく「食べやすい形や状態にする工夫」に目を向けてくださいね。
だしや味が濃い野菜などを使えば、調味料なしでもおいしくすることができます。
作ること・食べさせることが難しく感じられますが、素材を活かした離乳食作りにチャレンジしてくださいね。
【参考書籍】よくわかる離乳食|主婦の友社(ISBN:978-4-07-273689-0/全国書誌番号:21931344)