「産後は子宮の中がきれいになって妊娠しやすい」という話を聞いたことがありませんか?
しかしこれに医学的な根拠はなく、産後は妊娠しにくい体になっているんです。
再び妊娠するには体が妊娠前の状態に戻るまで待たなければなりません。
この記事では、産後の妊娠確率と2人目不妊の理由&対策について紹介します。
目次
産後直ぐは妊娠しない体になっている
産後は妊娠しやすいというのは誤りで、出産した後の体は妊娠しにくい状態になっています。
その理由について見ていきましょう。
子宮や産道が傷だらけ
妊娠しにくい最大の理由は、出産後の子宮や産道は傷だらけということ!
子宮はひどく傷付いた状態になっていて、とても次の赤ちゃんを育める状態ではありません。
子宮と産道の傷が治り、子宮のサイズも元に戻らなければ再びの妊娠は不可能!
産後は体の中が傷だらけで、完治までゆっくり体を休めなければならない状態なのです。
母乳を出すホルモン・プロラクチンが妊娠を抑制している
産後、妊娠しにくいふたつ目の理由は、母乳が出ていること。
産後の女性の体の中では「母乳を作りなさい!」と指令を出すプロラクチンというホルモンがたくさん分泌されています。
プロラクチンは母乳を作れと指示すると共に、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌を抑える働きも。
エストロゲンやプロゲステロンが分泌されなければ、卵巣の中で卵子が育ったり排卵が起こったりしません。
排卵が起こらなければ妊娠できませんから、母乳が出ている間(プロラクチンが分泌されている間)は妊娠しないと言えます。
産後は心身の疲労が溜まりやすく体が妊娠に向かない状態
三っ目の理由は、産後の女性は心身の疲労が溜まりやすいこと。
産後は乳児のケアで24時間緊張が続きます。
頻回授乳も必要で、まとまった睡眠時間の確保も難しく、ストレスが溜まり、心身共に疲労が蓄積しやすい時期です。
このような状態では自律神経も乱れやすく、ホルモンバランスもバラバラ。
ホルモンバランスが崩れると、例え妊娠できる体であっても排卵が起こらなかったり、性周期が乱れたりして妊娠は困難!
乳児のケアが落ち着き、充分な睡眠時間を確保できるようになるまでは、体は妊娠に向きません。
年齢が上がれば上がるほど妊娠しにくくなる
妊娠確率を考える時に忘れてはいけないのが年齢です。
避妊をせずにパートナーと関係を持って妊娠する確率は、20歳前半で30%、30歳で20%、35歳で10%程度。
年齢が上がれば上がるほど自然に妊娠する確率は下がっていきます。
そして流産する確率が高くなり、妊娠しても出産に繋がる率が低下。
さらに、年齢が上がれば上がるほど先天性の障害などの可能性が高くなっていくことも忘れてはいけません。
妊娠確率が下がったり、流産や先天性の障害の確率が上がったりするのは、卵子や精子の質に問題があるから。
年齢を重ねるごとに卵子や精子も老化していきます。
運動意欲が減ったり、疲れやすくなったり、肌や髪の毛の状態が悪くなるのと同じです。
二人目、三人目と子どもを希望する場合は、自分やパートナーの年齢を考えるようにしてください。
産後、再び妊娠するためには体を労ろう
産後は妊娠確率が下がる理由が多くがありますから、妊娠を望む場合は体を労るようにしましょう。
具体的には、次のような対策を取るといいですよ。
十分な睡眠時間を確保する
まず、良質な睡眠で脳をしっかり休めましょう。
脳は全身の機能を司る司令塔です。
脳が疲れてしまうと適切な指令が出せず、自律神経が乱れたり、ホルモンの分泌量が安定しなかったり、内臓がうまく働かなくなったりします。
必ず睡眠時間を充分取って脳を休め、全身の機能がベストな状態に保たれるようにしてくださいね。
バランスのよい食生活を心がける
次に、質のよい卵子や精子を作るためにバランスのよい食事を摂りましょう。
体の栄養状態を良好に保ち、栄養素が不足するような状態にしないことが大切!
特に、ビタミン類やカリウム・鉄・亜鉛などのミネラル類が不足しないようにしたいもの。
カロリーを摂取しすぎて太ってもいけませんし、美容目的で過剰なダイエットをするのもダメ。
主食・主菜・副菜を揃え、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを過不足なく取りましょう。
なにをどれだけ食べていいのか悩む方は、農林水産省の食事バランスガイドを参考にするといいですよ。
食べる量や内容が具体的に書かれているので分かりやすくておすすめです。
【参考】食事バランスガイド|農林水産省
規則正しい健康的な生活を送る
育児をしていると、自分の体を労る時間を作りにくいですし自由に行動できないのが難点です。
しかし、体を健康に保つためには、規則正しい生活が欠かせません。
規則正しい生活を送るためには早寝早起きと適度な運動が必須。
時間を作るのが難しい方も多いのですが、体調を整えるために軽いウォーキングやサイクリング、ヨガなどを生活に取り入れてください。
早起きして日の光を浴びると体内時計が整いますし、運動することで血行がよくなり、全身に栄養分や酸素が行き渡ります。
筆者は室内で利用できるエアロバイクを購入しました。リビングに置いているので、いつでもサッと乗れて便利です。
手軽に有酸素運動ができていいですよ。
育児と家事で忙しくても、健康な体を作ることを忘れないでくださいね。
二人目不妊の理由と対策
産後の妊娠確率が下がることで問題視されていることがあります。
それは二人目不妊。出産後に再び妊娠を希望して妊活するのに妊娠できないことです。
一人目は楽に授かったのに、二人目が思うようにできず、悩む方も多いんですよ。
二人目不妊の理由と対策を見ていきましょう。
二人目不妊の理由
二人目をなかなか授かれない理由は次のようなものがあります。
・元々、不妊症だったが、一人目は偶然授かれて不妊症に気付いていない
・ストレスや疲労などで排卵が起こっていない
・性周期が不順でタイミングが上手く合わない
・年齢(無排卵、卵子や精子の活力低下、卵管の機能低下による排卵の失敗など)
・セックスレス
不妊症だと自然に子どもを授かるのは難しいですし、ストレスや疲労が原因でホルモンバランスが乱れ、排卵が起こっていないと受精卵ができません。
さらに生理不順だと排卵日の予測が難しく、妊娠に繋がる可能性は低くなります。
そして一人目を出産した年齢が高いと、二人目以降は高齢出産になる可能性も。
そもそも妊娠に繋がる行為自体がないセックスレスは、男性の女性を見る目が変わったり、女性が育児に必死になってしまってパートナーに意識を向ける時間がなくなったり。
男女それぞれに理由があるので、それらを根本的に解決しなければ、次の妊娠は難しいでしょう。
二人目以降については、男女がそれぞれの考えと希望を包み隠さず話すことが重要です。
二人目不妊の対策
不妊の対策は、まず、男性側も女性側も「子どもが欲しい」という共通の意識を持つことが大切です。
そして、赤ちゃんを育む女性の心身を健康にするため、生活リズムを整えてください。
ホルモンバランスや栄養状態を良好にし、ストレスを溜めないようにして性周期を整えましょう。
男性の生活の質を高めるのも大切です。
質の高い精子が作られるよう、食生活に気を付け、運動を毎日続けてください。
心身共に健康な状態でなければ性的な関係を持つ気分になれませんし、妊娠することができません。
男女が一緒に子育てしながら規則正しく健康的な生活を送ることを目指してくださいね。
まとめ
子宮の中がきれいになるので産後は妊娠しやすいという話がありますが、医学的な根拠はありません。
産後は子宮や産道が傷付いていますし、プロラクチンという母乳を出すためのホルモンの働きによって排卵が起こらず妊娠できない体になっています。
さらに年齢が上がれば上がるほど妊娠確率は低くなり、流産率や先天性の障害などが起こる確率が高くなるため、妊娠しても出産できないことも。
産後、再び妊娠するためには卵子や精子が正常に作られるよう、健康維持に留意してください。
特に女性は育児と家事をひとりで抱え込み、心身共に疲れやすく、ストレスをかかえやすいもの。
必ずパートナーと一緒に家事・育児をするようにしてくださいね。
産後、妊娠を望む場合は、男女それぞれが心身共に健康的に過ごすようにしましょう。