女性が何歳まで出産できるかご存知でしょうか。
また、女性の妊娠適齢期がいつかご存知ですか?
女性の妊娠・出産に適した妊娠適齢期は20代前半~30代前半。
これを過ぎると妊娠できる確率が一気に下がり、高齢出産になればなるほど数々のリスクを負うことになります。
この記事では、女性の妊娠適齢期と妊娠できなくなる理由、そして高齢で出産する際に問題となる8つのリスクについて紹介します。
目次
妊娠適齢期は20代前半~30代前半
女性の妊娠適齢期は20代前半~30代前半と言われています。
「10代でも妊娠できるよ?」と思う方もいるでしょう。
確かに今は大体10~13歳で初潮を迎え、10代後半で妊娠する方もいます。
しかし10代は体がまだ完成しておらず、妊娠には不向き。
特に15歳以下ではリスクが高い妊娠になります。
20~35歳くらいが最も体が充実していて、病気のリスクも低く、妊娠しやすいので妊娠適齢期となっています。
妊娠の限界は45歳
妊娠適齢期が20代前半~30代前半と紹介しましたが、35歳を過ぎたら妊娠できないの?と疑問に思いますよね。
結論から言えば、妊娠適齢期を過ぎても妊娠は可能ですし、50歳を過ぎてから妊娠・出産した人も居ます。
しかし、一般的に妊娠できる限界は大体45歳。
これ以降は妊娠が非常に困難と思っておきましょう。
目安は、閉経する年の10年前。
50歳で閉経する方なら40歳からは生理があっても排卵が起こらず、妊娠できない状態です。
この限界を念頭に、ライフプランを立てたいですね。
高齢出産の8大リスク
日本産婦人科学会によれば、高齢出産の定義は35歳以上です。
また、国際産科婦人科連合(FIGO:International Federation of Gynecology and Obstetrics)では、初産婦は35歳以上、経産婦は40歳以上が高齢出産と定義されています。
つまり35歳を過ぎてからの妊娠・出産は高齢出産となり、様々なリスクを負うことになります。
8つのリスクをひとつずつ見ていきましょう。
【1】自然妊娠の確率&不妊治療の成功率が下がる
女性の中には「自然妊娠が難しい年になっても、不妊治療すれば妊娠できるでしょう?生理があるんだし」と考えている方がいます。
しかし、そうではありません。
年齢が上がれば上がるほど、肌や髪の手入れをしないといけなくなったり、運動後のケアが欠かせなくなったり、疲労回復に時間がかかったり、年齢を感じるようになりますよね。
こうした変化は内臓にも起こっていて、卵巣や子宮の機能も年齢が上がるにつれて低下していくのです。
また、年齢が上がると卵子の元になる細胞の数が減り、排卵の確率も低下。
自然妊娠の確率は下がりますし、いくら不妊治療で受精卵を移植したとしても、子宮の機能や全身の血行、新陳代謝、妊娠を維持するためのホルモンの力などが不足していて、妊娠を維持できません。
怖い話ですが、女性の妊娠する力にはタイムリミットがあります。
妊娠する力が充分あるのが妊娠適齢期ですので、可能な限り妊娠適齢期に妊娠するようにしたいものです。
【2】子宮内膜症の発症率が上がる
子宮内膜症という病気をご存知でしょうか?
子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)で増殖、剥離(はくり)を繰り返す病気です。子宮の内側からはがれ落ちた子宮内膜組織は、月経血として腟から体の外に流れ出ていきますが、子宮以外の場所で増殖した子宮内膜組織は腹腔内にとどまり、炎症や痛み、癒着(ゆちゃく)の原因になります。
(引用元:子宮内膜症ってどんな病気?|持田製薬株式会社)
卵巣の中に子宮内膜組織ができるのは、卵巣チョコレート嚢胞と言われ、悪性の癌に変わることがあります。
子宮内膜症になる確率は、年齢が上がるにつれて高くなります。
子宮内膜症が不妊の原因になることがあるので、年齢が高くなるに従って妊娠できない可能性も高くなります。
【3】流産率が高くなる
妊娠適齢期に妊娠したとしても流産する確率は15%くらいですから、流産すること自体は珍しくありません。
しかし、年齢が上がれば上がるほど流産する確率はアップ!
40歳では20~30%、45歳では30~50%の確率で流産すると言われています。
受精卵ができて、着床がうまくいき、妊娠検査薬で陽性反応が出たとしても、その後、流産しては出産できません。
年齢が上がれば上がるほど、妊娠を維持できない確率が高いことを知っておいてください。
【4】死産する確率が高くなる
残念なことに、妊娠する年齢が上がれば上がるほど、死産の確率も高くなります。
妊娠の途中で突然胎児の心臓が止まってしまったり、臍の緒に血栓ができて血流が滞ってしまったり、分娩途中に死亡してしまったり。
理由は様々ですが、高齢になってからの妊娠では出産に至らない確率が高くなります。
子どもを希望する場合は、できるだけ妊娠適齢期の期間に出産したいですね。
【5】妊産婦死亡率が高くなる
妊産婦の死亡は10万回の分娩で3件という非常に少ないケースですが、高齢出産の方がリスクが高いことが分かっています。
死亡の理由は妊娠高血圧症や前置胎盤、分娩前や後の出血多量など、理由は様々ですが、原因不明の死亡例も多くあります。
妊娠中のトラブルが死亡に繋がるので、できるだけ妊娠中のトラブルに遭う確率が低い妊娠適齢期に出産するのがいいですね。
【参考】妊娠適齢期を意識したライフプランニング|国立成育医療研究センター周産期・母性医療診療センター、平成22-24年妊産婦死亡 症例検討実施83事例のまとめ|日本産婦人科医会医療安全部会
【6】妊娠高血圧症になる確率が高くなる
妊娠している時に高血圧を発症することを妊娠高血圧症候群といいます。
妊娠高血圧症候群になると次のような症状が起こります。
・尿蛋白
・痙攣発作
・脳出血
・肝臓や腎臓の障害
・溶血や血小板減少
・赤ちゃんの発育が悪くなる
・出産前に胎盤が剥がれて赤ちゃんに酸素や栄養分が送られなくなる
・赤ちゃんの突然死
どの症状も、妊婦さん自身と赤ちゃんの命を危険に晒すもの。
高齢出産になると妊娠高血圧症候群になる可能性が高くなり、無事に出産できる可能性が低くなります。
【7】前置胎盤率が高くなる
全治胎盤というのは、胎盤が本来の位置よりも低い場所にできてしまって、子宮口を覆ってしまったり、一部が重なったりしてしまう状態です。
胎盤自体は機能しているので、赤ちゃんは成長できます。
しかし、前置胎盤では子宮口のすぐ側に胎盤があるため、分娩の時に赤ちゃんより先に胎盤が出てくることに。
大量出血して妊婦さんの命が危険にさらされたり、まだお腹の中にいる赤ちゃんが酸素も栄養分ももらえなくなってしまったりします。
このため、前置胎盤の場合は帝王切開で出産します。
さらに、前置胎盤の場合、子宮と胎盤が癒着してしまって出産後に剥がれるはずの胎盤が剥がれないことも!
子宮と胎盤が癒着した場合は、子宮を摘出する手術が必要になります。
帝王切開で赤ちゃんを出産した時に子宮摘出をすることになりますが、この手術中に妊婦さんが死亡する例もあります。
前置胎盤になる確率が高くなるということは、死亡する可能性があるということ。怖いのですが、知っておきたい事実です。
【参考】前置胎盤|日本産科婦人科学会
【8】胎児の染色体異常発生率が高くなる
決して障害があることが悪いことではありませんが、高齢出産になった時に確率が高くなることとして、染色体異常の発生率を上げます。
染色体の異常というのは、卵子や精子の中にある染色体が一部足りなかったり、通常より多いことをいいます。
染色体に異常があると、お腹の中で赤ちゃんが成長できなかったり、生まれてすぐ亡くなってしまったり、知的障害や身体障害を持って生まれてきたりします。
よく知られた染色体異常に、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーがあります。妊婦さんの年齢別の発生確率を表にまとめてみました。
ダウン症を例に挙げると、20歳では1441人に1人の確率なのに対し、40歳では84人に1人18トリソミーや13トリソミーでも、年齢が高くなると確率がアップ。
障害を持って生まれてきた子どもには、医療面でも生活面でも特別なサポート・注意が必要に。
妊娠適齢期を過ぎて高齢出産となった場合は、育児やライフプランに留意する点が多くなります。
まとめ
妊娠適齢期は20代前半~30代前半になります。
体が成熟し、病気のリスクが低く、妊娠しやすい時期なので、妊娠・出産に向いているのです。
妊娠適齢期を過ぎたからといって妊娠できない訳ではありませんが、妊娠する確率が低くなったり、流産率・死亡率・病気になる確率などが高くなり、障害を持つ子を出産する確率も高くなります。
母子の命に関わるリスクもあるので、できることなら妊娠適齢期のうちに出産したいもの。
高齢出産になった場合はリスクについて知識を深めた上で、妊娠の経過観察を慎重に行い、医師と相談しながら分娩に臨んでくださいね。