人との別れは誰にでもあります。
家族がいれば『身内の不幸』は残念ながら誰にでも起こりうるものです。
故人の友人知人や年賀状だけのやり取りをしている方に、故人が亡くなったことをお知らせするのが『喪中はがき』。
『喪中はがき』をどう出したらいいのか、分からないことや疑問に思うことが多いでしょう。
この記事では出す時期や書き方、マナーについて、喪中はがきに関する疑問を解決していきます。
ポイントは5つです。
・『喪中』の意味は?
・『喪中ハガキ』って?
・喪中ハガキの書き方や注意点
・いつまでに出せばいいの?
・出すときの3つの注意点
最後まで記事を読んでいただければ、喪中ハガキについて困ることはなくなるはずです。
ぜひ参考にしてくださいね。
目次
『喪中』の意味
身内が亡くなった後、『故人を偲ぶ期間』を『喪に服す』といいます。
この期間が『喪中』になります。
故人との関係でその期間は変わってきますが、一般的には1年前後ぐらいとなっています。
『喪中はがき』って?
『喪中はがき』は『年賀状』の代わりに送るはがきのことをいいます。
「喪中なので、こちらからの年始のご挨拶を今年は遠慮させていただきます」という趣旨を事前に周知することが目的になります。
近年は『家族葬』といった身内だけで葬儀を行うことも多く、『喪中はがき』で身内の不幸があったことを知らせる役割もあるようです。
喪中ハガキの書き方や注意点
書き方
①前文は省略する
『前文』とは、『拝啓』や『敬具』等の季節毎の挨拶を指します。
『喪中はがき』は、『死亡通知』や『会葬礼状』等と同様に主文から始めましょう。
②書き方のマナー
全文の次に気を付けることは、書き方のマナーです。
儀礼的な挨拶状・招待状等と同様に、『句読点は使わない』『行頭の一字下げはしない』『数字は漢数字で表記』するのが通例になります。
縦書きが一般的ですが、横書きでも大丈夫です。ただ、カジュアルな感じになってしまうので注意が必要です。
③「喪中はがき」の文
『主文』は『喪中のため、年賀欠礼すること』と『誰が』『いつ』『何歳』で亡くなったかを書きましょう。
以下、例文を何点かご紹介します。
●主文の挨拶
・喪中のため新年の挨拶は失礼させていただきます
・喪中につき年末年始のご挨拶はご遠慮申し上げます
●故人名を入れる
・(続柄)(名前)が×月△日○歳で永眠いたしました
※妻の親が亡くなった場合は、姓が異なるので氏名を書きましょう。
●故人氏名を入れる
・(続柄)(苗字 名前)が○月×日△歳で永眠いたしました
●家族葬にて葬儀を行った場合
『喪中はがき』で故人が亡くなったことを知ることになるケースが増えています。
家族葬の場合は、近親者で葬儀を行ったことや知らせるのが遅くなったことをお詫びする文章を入れましょう。香典を辞退する場合にはその旨もお知らせします。
(例文)
葬儀におきましては 故人の生前の意志により
誠に勝手ながら 家族のみにて執り行いました
本来ならば早速申し上げるべき処でございましたが
ご通知が遅れましたこと深くお詫び申し上げます
尚 お供えや御香典につきましてはご辞退させていただきたくお願い申し上げます
「末文」では、これまでの感謝や今後もお付き合いをお願いしますという気持ちを書き、また、相手の無事を祈る言葉を添えて締めくくりましょう。
●感謝の挨拶文
・ここに本年中のご芳情を厚くお礼申し上げますとともにみなさまには良い年が訪れますようお祈りいたします
・本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
●締めの挨拶
・皆様には時節柄一層ご自愛のほどお祈り申し上げます
・季節がらご自愛のほどお祈りいたします
②注意点
●差出の日付と差出人の住所・氏名
差出の日付は『喪中はがき』を出す年月を書きましょう。
『喪中はがき』の表の宛名面ではなく、裏面の文章の最後に差出人の住所と氏名を書きます。
夫婦連名で書く場合は問題ありませんが、子供の名前までは連名にしないのが一般的です。
●年賀状が出せないということ以外は書かない
原則、近況等『喪中』に関係のない私信報告は、『喪中はがき』とは別で行うのが一般的です。
ですが、印刷した定型文の『喪中はがき』を用意した場合は、手書きで一言添えてもいいのではないでしょうか。
(一言・添え書きの例文)
・生前は○○がお世話になり ありがとうございました
・まだまだ寒さが続きます くれぐれもご自愛ください
●はがきのデザインや文字は華美なものを避ける
はがきのイラストは一般的に、献花をイメージした花のイラストを選びます。
個人が好きだった花や、花言葉で選ぶことも。
イラストの色合いは落ち着いた色を選び、色数を抑えましょう。
また、イラストではなく写真を入れる際は、故人の顔が写っているものよりは、思い出の場所や故人の愛用品を写したものを使うと、『喪中はがき』を送った相手と一緒に故人を偲ぶことができるでしょう。
文字色は薄墨色、文字フォントは楷書体と明朝体が一般的で多いようです。
●郵便局の通常はがき、また切手の選び方
通常はがき(官製はがき)やインクジェット用のはがきは、『料額印面』が胡蝶蘭柄のものが喪中はがきとして定番化しているようです。
図柄が印刷済みの切手を貼るはがきには、『弔辞用62円普通切手花文様』が郵便局で購入ができます。
いつまでに出すのがいいの?
年内に届けば問題はありませんが、マナーとしては、先方が年賀状の準備に取り掛かる前の11月中旬から早めの12月初旬には出すのがいいでしょう。
ここで気をつけたいのは、『喪中はがき』を出すのは、相手からの年賀状の送付を止めるものではないということです。
『喪中はがき』を出したひとから年賀状が送られてきても構いませんし、「どうしよう」と気にすることもありません。
また、年末に不幸があった場合や『喪中はがき』を出していない人から年賀状が届いた場合は、松の内(1月7日)が明けてから立春(2月4日)までの『寒中見舞い』として、喪中で年賀状が出せなかった旨のお知らせをしましょう。
出すときの3つの注意点
①『喪中はがき』を出すかは個々の判断
厳密な決まりはありませんが、一般的には一親等以内や二親等以内の場合は『喪中はがき』を出すとされています。
しかしながら個人的な意見としては、『喪中はがき』を出すか出さないかは個々の気持ちの問題ではないかと考えています。
『喪に服したい気持ち』でなければ、例年通り年賀状を出してもいいと思っていますし、宗教によっては『喪中』という考えがないケースもあります。
『喪中はがき』を出すかは親等数だけでなく、自分の気持ちや環境等が重要になってくるのではないでしょうか。
『友人が亡くなって、年賀のお祝い事など出来ません』と『喪中はがき』を出す方もいるそうですので、『故人を偲ぶ気持ち』で出す出さないを決める。
最近はそういう観点から出すか出さないかを決めるケースも増えてきています。
②『喪中はがき』を出す相手の範囲
故人の友人や知人等、関係がある方や、故人が年賀状でのやり取りをしていた方には出すのが一般的です。
昔は故人と面識がなくても存在を知らない方にも出していましたが、現在は面識がない人には出さない方向に少しずつ変わってきているようです。
③『喪中』をはがきではなく『メール』で知らせてもいい?
『喪中』をメールで伝えてもいいかどうかは相手との関係性によるでしょう。
近年、メールやラインで新年のあいさつをする方も増えているので、わざわざハガキを出す手間を考えるとメールで……と考えてしまうこともあります。
受け取る方が親しい友人であまりマナー等に厳しくなかったり、いつもメールだけでやり取りしたり、年賀メールで新年の挨拶をする相手であれば、喪中メールを送っても許容範囲内といったところでしょうか。
メールやSNSでのお付き合いが主な友人や知人には、相手に不必要な気を使わせないために、あえて『喪中メール』はせずに通常通りに年賀メールを送るということも一つの方法です。
『喪中はがき』を出す機会は突然やってくるものです。
出すか出さないかは個々の判断によるところですが、もし出す際には、故人が生前お世話になった方々に対するマナーですので、失礼がないように気をつけましょう。
もしもの時が来ても慌てないよう、知識として覚えておくと安心です。
とはいえ、できれば喪中にはなりたくないもの。
もっと会っておくべきだった、話しておくべきだった、ああすればよかったなどなど……大切な人が亡くなってから後悔しないように、身近な人々を大事にしてくださいね。