「乃」という漢字について
字画数：2画
音読み：ない、だい
訓読み：の、なんじ、すなわ（ち）
目次
「乃」の意味や由来や成り立ちと特徴
「乃」という漢字は、弓の弦を外した形が由来となっています。
弓は、弓の弾力を保つために、弓矯め（ゆだめ）と呼ばれる器具に装着しておきます。
ノを部首とする「乃」は、弓の弦の一方を外した形をかたどったものです。
片一方の弦が外れているのは、弓を使い終わった直後であり、その弓矯めに装着前であることを表しています。
このことから「乃」には、もともと「ものごとの後」を表すという意味がありました。
日本では、ひらがなの「の」のもとの形となった漢字でもあります。
「の」に対する当て字として使われることも多く、例としては「越乃寒梅」や「養老乃瀧」「貴乃花」などが挙げられます。
これは、漢字が日本に伝わったころの中国語では、ノに似た発音がされていたからではないかと考えられています。
現在では「○○乃至（ないし）○○」という、“または”という意味の接続詞として使われています。
女の子の名付けに「乃」が使われる場合、まず一番の魅力として挙げられるのが、その言葉の響きのやわらかさです。
おおらかで、包み込むような優しさが感じられますね。
空のように広い心で何事も受け入れて、しなやかに生きていく女性像が浮かんできませんか？
止め字としての「乃」も根強い人気を誇ります。
おしとやかで、はんなりとした京美人を連想させるような名前が多いのが特徴です。
女の子として生まれたからには、優しく美しく品のある女性に育ってほしいとの親の願いが込められているのが感じられます。
古風でありながら、古いイメージを与えないのも「乃」の持つ魅力と言えるでしょう。
キラキラネームや洋風な名前が多いなかで、日本特有の和の素晴らしさを思い出させてくれます。
控えめでありながら、芯が強い。
そんな日本女性の特徴をよく表してくれる漢字です。
ところで、生駒吉乃という女性をご存知でしょうか？
織田信長の側室で、信長との間に3人の子どもがいました。
暴君として恐れられた信長の側室です。
さぞ、苦労したことだろうと思われますか？
ところが、吉乃は信長から大切にされ、格別に愛された女性として有名になりました。
吉乃はとても優しくあたたかい人柄で、今で言えば癒し系女子です。
そんな吉乃を信長はとても気に入っていたようです。
名は体を表すといいますが、やはり「乃」を名前に持つと、優しい女性に育つのでしょう。
「乃」を使った熟語
乃公（だいこう）
意味：男性が、目下の人に対して、または尊大に、自分をさしていう語。
乃至（ないし）
意味：あるいは。または。
乃祖（ないそ）
意味：汝 (なんじ) の祖父。
また、祖先。
乃父（だいふ）
意味：1父が、子に対して自分をいう語。
２他人の父。
また一般に、父。
「乃」の説明の仕方
例えば電話で自分の名前を名乗った際に、「どういう漢字を使われますか？」と尋ねられることがあります。
そんな時に、あらかじめ漢字の説明の仕方を何パターンか考えておくと、いざという時に慌てなくてすみます。
「乃」という漢字を説明するのに、昔は「乃木大将の乃」と説明する人が多かったようです。
今でも通じる相手には通じますが、他にもこんな言い方はいかがでしょう？
・A「のは、貴乃花の乃です。」
・A「のは、乃木坂の乃です。」
・A「のは、優秀の秀の下の部分の漢字です。」
この3パターンであれば、どれかひとつは大抵の人に通じるはずです。
「乃」を使った名前の有名人・芸能人
山岡 久乃さん（女優）
木村 佳乃さん（女優）
かたせ 梨乃さん（女優）
木村 文乃さん（女優）
池波 志乃さん（女優）
藍川 あさ乃さん（女優）
渡辺 明乃さん（声優）
南條 愛乃さん（声優）
小原 乃梨子さん（声優）
豊田 綾乃さん（アナウンサー）
岩本 乃蒼さん（アナウンサー)
菊間 千乃さん（弁護士・アナウンサー）
指原 莉乃さん（歌手）
福田 彩乃さん（タレント）
エレナ・舞乃・アレジさん（後藤久美子さんの長女）
田中 琴乃さん（元新体操選手）
可西 綾乃さん（舞踏家）
桜木 紫乃さん（小説家・詩人）
福地 文乃さん（小説家）
寺田 千代乃さん（実業家）
「乃」を使った名付け候補
乃（ゆき）
彩乃（あやの）
郁乃（いくの）
衣乃（いのり）
歌乃（うたの）
叶乃（かのり）
橘乃（きつの）
琴乃（ことの）
咲乃（さきの）
紗乃（さゆき）
詩乃（しの）
鈴乃（すずの）
乃耶（だいや）
乃琉（ないる）
乃亜（のあ）
乃愛（のあ）
乃香（のりか）
乃紗（のりさ）
芭乃（はの）
羽乃（はのり）
春乃（はるの）
尋乃（ひろの）
柚乃（ゆの）
夢乃（ゆめの）
嘉乃（よしの）
梨乃（りの）
恵理乃（えりの）
香乃子（かのこ）
乃々花（ののか）
未乃莉（みのり）
まとめ
先頭字に使えば現代風の可愛らしい名前になり、止め字に使えばおしとやかな古風な名前になる。
そんな変幻自在の魅力の詰まった漢字、「乃」をご紹介しました。
大切なお子さまの名付けの参考にしていただければ幸いです。
