目次
「左」という漢字について
字画数:五画
音読み:さ
訓読み:ひだり
「左」の意味や由来や成り立ちと特徴
「左」は、工具と左手のふたつの絵からこの漢字が生まれたと言われています。
物を作る時に右手の補助をする左手。
そのことから、「助けるという」意味を持つようになりました。
中国では「右」に優位性があり、官の階級では「左」は「右」よりも下位に位置づけられていました。
つまり、右官を補佐する役目だったのです。
左を下位としながらも、この漢字の意味の中には「尊ぶ」も含まれています。
それは「帝」の正妃の地位を示していたからです。
中国では、「帝」の正妃は「東」、二番目の妃を「西」と称しました。
なぜ「東」が正妃となるのか。
それは煌々と光差す玉座が置かれる南側を向いた時、左手が東側になるからです。
右の優位性から帝を「右」とした場合、対となる「左」が正妃となるのです。
映画などで「西太后」が有名になりました。政治的な権力を掌握した女性です。
しかし、そんな女性でも、東太后を蔑ろにすることはできませんでした。
「尊ぶ」とは、正妃を指した意味だったのです。
また正妃は、後宮を取り仕切り、宮殿の内側から帝を補佐する役目を担うことから、「内助の功」の語源にもなったと言われています。
「助ける」という意味合いの強い漢字が「左」です。
人を助けるには、まず自身が強く賢くあらねばなりません。
そのことから、日本では中国とは逆に、「右」よりも「左」の方が上位とされていました。
強い者が弱い者の手助けをしてやるという日本のならわしからくるものだと思われます。
ですから、日本では右大臣よりも左大臣の方が階級は上位だったのです。
「左」を子供の名付けに使う場合には、「右」と同様に女の子には難しい漢字でした。
なぜかというと、左右どちらも官職に用いられる程の重要な漢字だったからです。
女性より上とされた男性には使うことはできましたが、女の子の名前に使うには憚られる。
しかし平成に入ってからは「左」の見た目の可愛らしさと、音読みの「さ」のやわらかさから、この漢字を子供の名付けに使う親が増えてきました。
「左」という漢字は女の子に用いる場合、読み方は「さ」としか使えません。
けれども、どこに使っても違和感を覚えないのがこの漢字のよいところなのです。
頭や止めはもちろん、三字名の真ん中に置いても見た目はとてもキレイです。
声に出した時の響きもやわらかく、女の子らしい優しさを感じますね。
「左」はとても使い勝手がよく魅力的な漢字なのです。
「左」を使った熟語
関左
意味:南を向けば、東は左であること。
左記
意味:文章の左の方に記してあることを指す。
「結果は左記のとおりです」などに用いる。
証左
意味:事実を明らかにするよりどころ。証拠。
左相国
意味:国政を助ける人のこと。
日本では「左大臣」を指す。
左尊羅
意味:香木の名前。沈香の一種。
右往左往
意味:うろたえて、右に行ったり左に行ったりすること。
右文左武
意味:文武両道を兼ね備えて天下を治めること。
「左」の説明の仕方
例えば、電話などで話している最中に、「お名前はどういう漢字を使われますか?」と尋ねられることがありますね。
そんな時のために、漢字の説明の仕方を何パターンかストックしておくと、いざという時に慌てずにすみます。
例を挙げると…
・A「さは、左側の左です」
これは簡単ですね。
左側の左と言われてわからない人はいないでしょうから。
「左」を使った名前の有名人・芸能人
上月 佐知子さん(元宝塚歌劇団員、女優)
浮田 左武郎さん(俳優、著作家、文筆家)
橋本 左内さん(幕末期の思想家)
桜間 左陣さん(明治期の能楽師、明治三名人のひとり)
吉田 左春さん(江戸時代中期の医師、儒者)
工藤 左一さん(明治から昭和の教育者、合志義塾を設立)
岸本 左一郎さん(江戸時代後期の囲碁、棋士)
伊藤 左千夫さん(江戸時代後期から大正の歌人、小説家)
伊川 左茂理さん(江戸時代後期の漆工)
宮下 左右輔さん(明治から昭和の眼科学者、医学博士)
橋本 左五郎さん(明治から昭和の畜産学者、教育者、学校経営者)
秋月 左都夫さん(明治から昭和の外交官、宮内省御用掛)
上野 富左右さん(明治時代の自由民権運動家)
小松 左京さん(昭和の小説家、SF小説の第一人者)
堺 佐千夫さん(昭和の映画俳優)
「左」を使った名付け候補
左耶香(さやか)
左由利(さゆり)
杏左(あずさ)
左季(さき)
知左(ちさ)
美左子(みさこ)
璃左(りさ)
左羅(さら)
左希(さき)
実左(みさ)
左菜恵(さなえ)
左耶(さや)
左登美(さとみ)
左智子(さちこ)
左絵(さえ)
美加左(みかさ)
左優(さゆ)
左紗乃(ささの)
左雪(さゆき)
理左(りさ)
左湖(さこ)
真左与(まさよ)
陽左美(ひさみ)
左綾(さあや)
左織(さおり)
まとめ
「左」はどこか奥ゆかしさを感じさせ、清楚で純真な和のイメージを強く持っています。
どの漢字と組み合わせても派手にはならず、それでいて古さもまったく感じさせません。
漢字の意味の通り、人を助ける優しさを持った女の子になるように願う。
そんな「左」の魅力についてお届けしてきました。
お子さまの名付けの参考にしていただければ幸いです。