妊娠中期になると、夜になかなか眠れなかったり、しっかり寝ても日中眠くて眠くて仕方がないという妊婦さんはかなり多いようです。
仕事中や運転中にうとうとして困ったという声も。
そこで、こちらの記事では、妊娠中期に眠くなる原因、また眠気だけでなく頭痛もする場合の原因や仕事中に眠くなった場合の対処法を解説しています。
さらに、眠いのに寝られない時にぜひ行っていただきたい次の4つの対処法をご紹介しています。
- 「シムスの体位」でぐっすり安眠
- 入浴で身体をぽかぽかに温める
- 就寝前のスマホやタブレットの使用はNG
- 小腹が空いた時にはホットミルク
妊娠中の睡眠は胎児の成長に影響を与えますので、こちらの対処法をぜひ実践していただいて、ぐっすり眠ってくださいね!
目次
妊娠中期の眠気やだるさがひどい!その原因は?
妊娠初期(4~15週)に、ひどい眠気やだるさに襲われる妊婦さんはかなり多くいらっしゃいます。
しかし妊娠中期(妊娠16~27週)になっても、「夜しっかり寝ても、だるさが取れない。」「日中眠くなってうとうとする。」と、眠気やだるさの症状が止まない妊婦さんも少なくありません。
この妊娠中期の眠気やだるさは何が原因で発生するのでしょうか。
胎動やお腹の張りなどで夜に安眠できない
妊娠中期になると、妊婦さんによっては激しい胎動やお腹の張りを感じて、夜の寝つきが悪くなったり、就寝中に何度も目が覚めてしまったりすることも。
そのため、日中に眠気やだるさがひどくなるケースも少なくないようです。
女性ホルモンの分泌が多くなることも眠気の一因
妊娠中期になると、女性ホルモンのプロゲステロンの分泌がさらに多くなります。
このプロゲステロンには、催眠作用があることから、分泌が多い時期には眠くて眠くて仕方がないといった状態に。
生理前になると睡魔に襲われるのも、やはりプロゲステロンの分泌が増えるからなんです。
眠気やだるさは貧血が原因のことも
妊娠中の貧血の90%以上は鉄欠乏性貧血で、妊婦さんの約30%にこの妊娠性鉄欠乏性貧血が認められています。
(出典元:長尾クリニック)
だるさの他、めまい、頭痛、動悸などの症状が現れ、特に妊娠中期・後期に多くみられます。
その原因は、この時期になると胎児はどんどん成長し、多くの鉄分を必要とするため、妊婦さんの鉄分が欠乏しがちになるためです。
自律神経の乱れによる日中の眠気やだるさ
妊娠中は、ホルモンバランスが乱れやすいため、同じ脳の視床下部を司令塔とする自律神経のバランスもその影響を受けて乱れやすくなります。
自律神経は、日中の活動時に作用する交感神経と就寝時などに作用する副交感神経とがあり、バランスを保ちながら交互に働くことで、身体中の器官をコントロールしています。
ところが、この自律神経のバランスが乱れることによって、そうした器官にさまざまな不調をもたらします。
眠気やだるさもその症状のその一つです。
妊娠中期には、ホルモンバランスが大きく変化するため、日中、副交感神経が優位に作用し、眠気やだるさを感じるようになるんです。
妊娠高血圧症候群(PIH)
妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合に妊娠高血圧症候群と診断されます。
(出典:日本妊娠高血圧学会)
妊娠高血圧症候群は、脳出血や出産前に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離、高血圧で脳がむくんでけいれんを発症する子癇など、妊婦さんと胎児双方に重大なリスクを及ぼす恐れのある合併症になる可能性があります。
目立った自覚症状が見られないことが多いのですが、眠気やだるさ、むくみなどの症状がみられることも。
ただし妊娠中期にみられる他の原因による症状と似ているので、注意が必要です。
妊娠中期に眠気とともに頭痛も!その原因は?
妊娠中期に眠気とともに頭痛の症状が起こることもあります。
これは一体何が原因と考えられるのでしょうか?
鉄欠乏性貧血
鉄分の欠乏により発症する妊娠性鉄欠乏性貧血の場合、眠気の他、頭痛が起こることも少なくありません。
血液中のヘモグロビンは酸素と結合して身体中へ酸素を供給しています。
このヘモグロビンを作っているのが鉄なんです。
妊娠中期になると胎児が妊婦さんからたくさんの鉄分を取ってしまいます。
また、妊娠中は血液量が増えるので、血液が薄まって相対的な貧血になりやすいもの。
鉄分が減少してしまうと、妊婦さんの血液中のヘモグロビンも減少。さらに酸素の供給量も減少してしまうので、酸欠状態に。
脳も酸欠状態になるため、眠気や頭痛などを発症するんです。
自律神経の乱れ
(画像出典元:こころ整体院)
ホルモンバランスの乱れから起こる自律神経の乱れによっても眠気とともに頭痛の症状が現れます。
自律神経の交感神経には緊張作用、血管を収縮させる作用が、また副交感神経にはリラックス作用、血管を弛緩させる作用があります。
妊娠中期はストレスがたまりがちですが、ストレスはセロトニンという物質の分泌を促進。これによって交感神経が優位に働くようになり、脳の血管が収縮されます。
その後セロトニンが減少すると、今度は血管が弛緩されることに。この血管の周りにある三叉神経が圧迫されて神経ペプチドが放出され、炎症が起こって片頭痛を発症するんです。
妊娠高血圧症候群(PIH)
妊娠高血圧症候群になると、眠気やだるさの他、頭痛の症状がみられることも。
また、妊娠高血圧症候群が重症化して子癇になった場合、激しい頭痛や嘔吐、チカチカとした光のようなものが見えるなどの症状が現れます。
子癇とは、
妊娠20週以降に初めて起きたけいれん発作で、てんかんや脳炎、脳腫瘍、脳血管障害、薬物中毒を原因としないものをいいます。
(出典元:日本妊娠高血圧学会)
妊娠高血圧症候群は、定期的に妊婦健診に通院することで早期にわかり、重症化を防ぐことが可能です。
つわりの終わった妊娠中期には、大きな痛みや出血などがないと「まあ大丈夫か。」と健診に行くのを怠ることもあるかもしれません。
しかし、この妊娠高血圧症候群は中期以降にリスクが高くなりますので、きちんと健診に行ってくださいね。
妊娠中期の眠気で仕事が手につかない!3つのおすすめ対処法
日中に眠気がすると、ワーキングママさんは仕事中にうとうとしてしまいます。
また主婦の方でも運転中に睡魔が襲ってくると危ないですよね。
しかも妊婦さんは、胎児への影響からコーヒーなどのカフェイン入りの飲み物は控えた方がベターです。
それでは妊娠中にはどうやって眠気対策をすればいいのでしょうか?
新鮮な空気を吸う
外に出たり、窓を空けて新鮮な空気を吸うと、脳や体内に酸素がしっかり供給されて、眠気が解消されますよ。
とても眠い場合には、しっかりと深呼吸をするのがおすすめです。
キャンディーやガムを口に入れる
いつも好みのキャンディーやガムを常備しておいて、眠くなったら口に入れると、多少眠気が改善されます。
特にガムを噛むと脳に刺激が伝わり、覚醒作用がありますよ。
軽くストレッチ運動をする
眠くなった時には、デスクに座ったまま軽いストレッチ運動で身体をほぐすのもおすすめです。
解説動画をご紹介しますのでお試しください。
妊娠中期に眠くても寝られない!その場合の4つの対処法
妊娠中期に、夜眠くてもなかなか眠れないということがありますよね。
夜しっかり寝ておかないと、日中、より強烈な睡魔に襲われますよ。
また、妊娠中の睡眠は胎児の成長にも影響します。
そこで、寝つきをよくする方法を4つご紹介します。
「シムスの体位」でぐっすり安眠
(画像出典元:真野産婦人科)
お腹が大きくなってきた妊娠中期以降にあお向けで寝ると、身体のさまざまな臓器や血管が圧迫されてしまうので、血行不良に。
そのため、静脈瘤や仰臥位低血圧症候群という急な血圧低下の症状を発症することも。
仰臥位低血圧症候群は、妊婦さんがあお向けになることで心臓に戻る血液が送られる下大静脈が子宮に圧迫され、血圧低下を招くものですが、妊婦さんだけでなく赤ちゃんへ供給される血液も少なくなるので赤ちゃんも苦しくなります。
お腹が大きくなってきた妊娠中期以降は、あお向け寝は避けましょう。
身体の左側を下にして横向きになる「シムスの体位」で寝ると、身体に不要な負担がかからず、安眠できますよ。
私も妊娠中にはこの「シムスの体位」で寝ていましたが、圧迫感がなくとても楽に寝ることができました。胎動やお腹の張りなど感じにくくなりましたよ。
入浴で身体をぽかぽかに温める
お風呂はシャワーだけで上がっていませんか?
夜、バスタブに浸かると、身体がぽかぽか温まってぐっすり寝られますよ。
ただし、妊娠中に熱いお湯に浸かったり長風呂をすると、動悸が起こりやすく危険ですので、ぬるめのお湯にして10分以内には上がるようにしてくださいね。
バスタブに入浴剤を入れるのもおすすめですが、妊娠中には使用できないものもありますので、注意書をよく確かめてから使うようにしましょう。
また、アロマオイルの中には、子宮収縮を促すジャスミン、クローブなど、妊娠中の使用は避けた方がよいものが多くありますので気をつけてくださいね。
就寝前のスマホやタブレットの使用はNG
メラトニンというホルモンの作用により、眠くなります。
スマホやタブレット、パソコンなどの画面から発するブルーライトの影響で、メラトニンの分泌が減少し、脳が覚醒してしまい、眠れなくなったり、睡眠の質が低下してしまうんです。
就寝2時間前にはスマホやタブレットを見ないようにすると、メラトニンが正常に分泌されて眠りに就くことができます。
小腹が空いた時にはホットミルク
妊娠中期は胎児がどんどん成長するため、寝る前になって小腹が空いてしまうこともあります。
空腹ではなかなか眠れませんよね。
そんな時におやつや夜食を食べてしまっていませんか?おやつなどを食べてすぐ寝ると、未消化のまま胃や腸に残ってしまい、胃もたれや胃炎などを招いてしまいます。体重増加の原因になることも。
寝る前に小腹が空いたという時におすすめなのは、ホットミルクです。
牛乳には、必須アミノ酸のトリプトファンという成分が含まれています。
このトリプトファンはセロトニンという気持ちを穏やかにするホルモンを生成。
このセロトニンが睡眠ホルモンのメラトニンを生成し、眠くなるんです。
冷たい牛乳だと胃や腸に負担がかかりますから、温めて飲むようにしましょう。
まとめ
妊娠中期になって、胎動やお腹の張りで眠れないとお悩みの妊婦さんは多くいらっしゃいます。
それでしたらシムスの体位で寝ると概ね改善されます。
充分寝ても、眠気だけでなく頭痛などの症状がみられる場合には、もしかすると貧血や妊娠高血圧症候群による頭痛かもしれません。
その場合は、ぜひお早目に医師に相談するようにしてくださいね。