赤ちゃんがいびきをしていると、「こんな小さいときからいびきってするのかな?」と心配になりますよね。
赤ちゃんがいびきをするのは、何かしらの体調不良のサインであることが多いです。
赤ちゃんのいびきの原因を知り、症状別に適切な対策をとることができるよう、今回は主に以下3つのポイントについて紹介します。
- 赤ちゃんのいびき5つの原因
- 赤ちゃんのいびきの対策
- 小児睡眠時無呼吸症候群について
赤ちゃんのいびきは時に、重大な疾患の兆候でもあります。
以下の内容を参考に、赤ちゃんの睡眠時の様子をよく観察して、いびきがひどいときは早めに解消してあげるようにしましょう。
目次
赤ちゃんのいびきは体の異常を知らせる重要なサイン!いびきの主な5つの原因
赤ちゃんでもいびきをかくことはあります。
自分で体調不良を訴えることができない赤ちゃんにとって、いびきは体の異常をパパやママに知らせるための重要なサインです。
まずは、赤ちゃんがいびきをしているときに考えられる主な原因を5つ紹介します。
風邪による鼻づまりが原因
赤ちゃんも生後6ヶ月を過ぎママからもらった免疫がなくなる頃になると、風邪をひきやすくなります。
風邪の代表的な症状である鼻水や鼻づまりが原因で、いびきをかくことがあります。
軽いいびきなら問題ありませんが、鼻づまりがひどくて寝苦しそうであったり、母乳やミルクを上手く飲むことができなくなったりした場合は、自宅で鼻水の吸引などのケアや、病院の受診が必要です。
アレルギー性鼻炎による鼻づまりが原因
ダニやほこり、花粉などのハウスダストが原因でアレルギー性鼻炎を発症している場合、くしゃみや鼻水、鼻づまりの症状がいびきの発生につながります。
特に赤ちゃんなど乳幼児は、アレルギー性鼻炎により鼻づまりが起きることが大人よりも多い傾向にあります。
アデノイド肥大が原因
乳幼児の子ども特有の病気として、アデノイド肥大という病気があります。
アデノイドとは、鼻の突き当りにある部分で、鼻と喉の間にあるリンパ組織のかたまりのことを言います。
この部分が何らかの原因で大きくなり、鼻の空気の通り道が狭くなってしまうことで、鼻づまりやいびき、口呼吸などを引き起こします。
扁桃肥大(へんとうひだい)が原因
喉の奥の両側にある扁桃というリンパ線を口蓋扁桃(こうがいへんとう)と言います。
その部分が何らかの理由で大きくなってしまうことで、鼻づまりやいびき、口呼吸の原因となります。
アデノイドも扁桃の一つで口蓋扁桃と近い位置にありますので、アデノイド肥大と扁桃肥大は同じような症状が起きます。
舌根沈下(ぜつこんちんか)が原因
舌根沈下とは、主に睡眠時に舌のつけ根が下に落ち込んでしまうことで、呼吸がしにくくなり、いびきや無呼吸を引き起こす状態を言います。
生まれて間もない赤ちゃんが、下顎が小さかったり、生まれつき下顎の発達が悪いことが原因で発症します。
主にこれら5つが赤ちゃんのいびきの原因として考えられます。
このうち1つ目の風邪による鼻づまりについては、症状が悪化しない限り、風邪が治るのとあわせていびきも解消するでしょう。
それ以外の4つについては、根本となるアレルギーや扁桃の治療が必要です。
どのような症状があると風邪以外が原因のいびきの可能性があるのでしょうか。
次の項目で説明します。
参考
総合南東北病院 / 広報誌 健康倶楽部2012年9月号『子ども特有の病気~アデノイド肥大~』
赤ちゃんのいびきを解消したい!赤ちゃんのいびき対策や病院を受診するタイミングは?
赤ちゃんのいびきに気がついたら、どのように対処してあげれば良いのでしょうか。
また、上の項目で紹介したように、風邪以外が原因のいびきの場合は、早めに病院を受診して治療を相談する必要があります。
以下に、赤ちゃんのいびきの対策・治療法や、それぞれの症状で病院を受診するタイミングについてお伝えします。
鼻づまりの対策
いびきの大きな原因の一つとして鼻づまりがあります。
風邪やアレルギー性鼻炎、アデノイド肥大、扁桃性肥大などさまざまな疾患が原因で鼻づまりが起こります。
赤ちゃんは自分で鼻をかむことができませんので、パパやママが鼻づまりを解消してあげる必要があります。
自宅でできる鼻づまりの解消方法をいくつか紹介します。
<鼻づまりの解消方法>
- 湿らせた綿棒やティッシュで鼻の穴付近の鼻のかたまりを取る。(このとき、鼻の中を少し刺激してあげてくしゃみがでると、鼻水がより取りやすくなる。)
- 蒸しタオルを鼻の周囲にあてて加湿する。
- お風呂上がりなど湯気で鼻水がやわらかくなっているときに鼻水を取る。
- 市販の鼻水吸引器で鼻水を吸い出す。
- 寝るときは頭を少し高くしてあげる。
アレルギー性鼻炎の病院受診のポイントと治療
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状があり、風邪の初期症状と見分けがつきにくいと言われています。
風邪にある発熱がない、あるいは、鼻づまりなどの症状以外に目のかゆみや皮膚の腫れ、湿疹などの症状がみられる場合は、アレルギー性鼻炎の可能性が考えられるため、病院に相談をしてみると良いでしょう。
アレルギー性鼻炎が判明した場合は、病院で処方される薬を使用したり、自宅ではアレルゲン(アレルギーの原因)と考えられるダニやほこりの除去を行い改善を目指します。
アデノイド肥大・扁桃肥大の病院受診のポイントと治療
アデノイド肥大や扁桃肥大も、自宅で気がつくのが難しい疾患の一つです。
また、風邪や鼻炎をきっかけに悪化する場合もあるため、風邪がなかなか治らず受診をして発覚するということもあります。
特徴としては、単なる風邪による鼻づまりと比べて症状が重く、陥没呼吸(息を吸うときにのどや胸をへこませる呼吸)がみられたり、息苦しそうで寝つけなかったりする場合があります。
これらの症状がみられたときや、ひどいいびきが続くときは、病院の受診をおすすめします。
アデノイド肥大や扁桃肥大の治療は、病院で処方された薬を使用して様子をみるケースと、症状が重い場合はアデノイド切除や扁桃摘出術の手術を行うケースがあります。
アデノイドや扁桃腺が最も大きくなる時期は、3~6歳頃のため、手術はそのくらいの年齢で行うことが多いです。
舌根沈下の病院受診のポイントと治療
鼻づまりや熱がないのに、睡眠時のいびきがひどく、また呼吸が苦しそうな場合は、舌根沈下の可能性があります。原因不明のいびきが継続する場合は、早めに医師に相談をすると良いでしょう。
舌根沈下の治療としては、まだ歯の生えていない赤ちゃんの場合は、舌を前方に引き出して固定し、舌を沈下させないようにする手術を行うことがあります。
それ以外の方法としては、睡眠時は横向きで寝かせることで呼吸の改善をはかる、あるいは、鼻からチューブを挿入して呼吸を補助することもあります。
呼吸に関する疾患ですので、専門医の指導の下、睡眠時の体位や普段の姿勢に注意して治療を行います。
参考
荻窪中央耳鼻咽喉科医院 睡眠呼吸センター / こどものいびき(小児の睡眠時無呼吸症候群)
赤ちゃんのいびきに潜む危険な病気!小児睡眠時無呼吸症候群について
いびきが症状の一つにある危険な疾患に、小児睡眠時無呼吸症候群というものがあります。
小児睡眠時無呼吸症候群は、赤ちゃんの発育に影響を及ぼすばかりか、乳幼児がかかると突然死などにつながる可能性もある危険な病気です。
そんな小児睡眠時無呼吸症候群とはどのような疾患でどんな症状があるのか、詳しく解説します。
小児睡眠時無呼吸症候群とは
小児睡眠時無呼吸症候群とは、アデノイド肥大、扁桃肥大、舌根沈下など様々な要因により睡眠中に無呼吸となり熟睡できない状態を言います。
睡眠中に無呼吸に陥ると、深い眠りにつくことができず成長ホルモンの分泌が阻害されて、成長・発達に悪影響を及ぼします。
小児睡眠時無呼吸症候群のサインとなる症状
いびきをかくことは、小児睡眠時無呼吸症候群のサインの一つですが、その他に以下のような症状がある場合は、小児睡眠時無呼吸症候群の可能性があるということで注意が必要です。
<小児睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状>
- 寝息が荒く、毎日いびきをかく
- 睡眠時に数秒息が止まり、あえぐような呼吸をする
- 眠りが浅く、少しの刺激ですぐに起きてしまう
- 寝返りが多い(仰向けで寝ることができない子も多い)
- 口を開けて寝ている
- おねしょが多い
- 陥没呼吸がみられる(息を吸うときに胸や喉が陥没する状態)
- 日中眠そうであったりぼーっとしていることが多い
- 食欲がない
上記の症状以外にも睡眠時無呼吸は、乳児が幼児、児童へと成長するにつれて、注意散漫や情緒不安定、学業不振などの原因にもなると言われています。
小児睡眠時無呼吸症候群の治療
小児睡眠時無呼吸症候群の治療には、原因となるアレルギー性鼻炎やアデノイド・扁桃腺肥大、舌根沈下を治療して呼吸状態を改善することが重要です。
それらの疾患の治療法については、前の項目で説明の通りです。その他にも、無呼吸状態への対処法として、CPAP(シーパップ)という機械を使って気道を広げて睡眠時の無呼吸を防止する治療もあります。
CPAPは、睡眠中に装着するマスクのようなもので、重度の小児睡眠時無呼吸症候群の治療に使用される場合があります。
参考
荻窪中央耳鼻咽喉科医院 睡眠呼吸センター / こどものいびき(小児の睡眠時無呼吸症候群)
日経電子版 『小児に広がる「睡眠時無呼吸」落ち着きなく粗暴に』
一般社団法人日本呼吸器学会 / 呼吸器Q&A / Q32 CPAP(シーパップ)とはどのような治療法ですか?
赤ちゃんの眠る様子をよくみて、いびきが知らせる異常のサインに注意しよう!
話すことができない赤ちゃんにとっていびきは、風邪や鼻炎、扁桃の異常など、さまざまな体の異常のサインです。
一時的な軽いいびきなら心配いりませんが、今回紹介したようないびきに関連した注意すべき症状がみられた場合は、早めに病院に相談して治療を進めると良いでしょう。
赤ちゃんの健やかな成長にとって、ぐっすりと眠ることはとても重要です。
普段から赤ちゃんの眠る様子や寝息をよくみるようにして、普段と違う呼吸や、いびき、寝苦しそうな様子があれば、早めに気がついてあげられるようにしましょう。