女性は妊娠をすると、ホルモンバランスが変わることで妊娠初期におりものが増える傾向にあります。
そして妊娠後期に再びお産に向けておりものの量が増えます。
ところが妊娠中期に入って、おりものの量などに変化があったという妊婦さんはとても多くいらっしゃいます。
それも妊娠5ヶ月~7ヶ月の間でタイミングは様々。
おりものもさらさらで水っぽいものからゼリー状のもの、匂いがあったり、さらにはピンクっぽいものまであります。
この原因は一体何なのでしょうか?
こちらの記事では、妊娠中期のおりものの色や量などの変化について解説しています。
また、この時期のおりものの症状に対して次の4つの注意点をまとめました。
- 医師に相談する
- 清潔を心がける
- 生臭くて水っぽいおりものが!破水の場合の注意点2つ
- 電車やバス、ご自身での運転はタブー
- 入浴を避ける
妊娠中期のおりものは、妊婦さんの体調を示すとても重要なシグナルです。
ぜひこちらの注意点を留意していただけましたら幸いです。
目次
妊娠中期はおりものの量が増える?かたまりが出ることもある?
妊娠中期(妊娠16~27週)になって急におりものの量が増えると、「どうしたんだろう?」と不安に思いますよね。
またこの時期に、おりもののかたまりが出る方もいらっしゃいます。
そこで、妊娠中期におりものの量が増えたり、おりもののかたまりが出る原因について解説します。
おりものの量が増えるのはエストロゲンの影響
妊娠中期になると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が多くなります。
このエストロゲンは頸管粘液の分泌を促進する作用がありますので、水っぽいおりものが多くなります。
したがって妊娠中期におりものの量が増えるのは、身体の異常ではなく、むしろ正常なことなんです。
無臭でゼリー状のかたまりのおりものなら大丈夫!
妊娠中期にはエストロゲンの分泌量が増えるため、頸管粘液が混ざったおりものが多くなります。
排卵期の前から排卵期にかけておりものが増えますが、やはりその時期にエストロゲンの分泌が増えるためです。
においのない白みがかったゼリー状のドロッとしたおりものでしたら、エストロゲンの作用によるものですので、心配ありません。
しかし、臭いにおいがする色のついたおりものや陰部にかゆみがあるような場合は、性感染症やカンジダ膣炎などによるものかもしれません。
気になるようでしたら、早目に受診されるようおすすめします。
妊娠中期に水っぽいおりものが!その原因は?
妊娠中期になって、サラサラと水っぽいおりものが増えたら、「もしかして流産?」と心配になりますよね。
そこで、妊娠中期に水っぽいおりものが出る原因を解説します。
破水によるもの
胎児を覆っている卵膜が破れて、中の羊水が流出することを破水といいます。
前期破水とは、陣痛より前に卵膜が破れてしまうこと。
中でも高位破水は、前期破水のうち、子宮口から離れた卵膜上部が破れるものをいいます。
通常、破水は大量の羊水が溢れ出てきますが、高位破水の場合、尿漏れ程度の羊水しか出ないので、水っぽいおりものと勘違いすることも。
おりものと破水の大きな違いは、おりものは無臭か少し酸っぱいようなにおいがするのに対して、破水は独特の生臭いにおいがします。
この前期破水は、
全妊娠の5~10%に生じ、そのうち少なくとも約60%は妊娠37週以降に生じるとされています。
(出典元:日本産科婦人科学会)
妊娠中期の前期破水は、胎児がまだ未熟であることに加え、感染症のリスクが高くなり、さらに母子にさまざまな合併症をひき起こす可能性があります。
前期破水の主な原因は、細菌感染により発症する絨毛膜羊膜炎といわれています。
(画像出典元:堀産婦人科)
絨毛膜羊膜炎は、炎症部位の好中球から放出されたエラスターゼという酵素が卵膜のコラーゲンを溶かして前期破水をひき起こします。
また、子宮の収縮や子宮頸管を柔らかくしてしまうので、早産の原因になるんです。
さらに、妊娠中に胎盤が剥がれる常位胎盤早期剥離を発症することもある恐ろしい病気です。
性感染症によるもの
妊娠中は、抵抗力が低下するため、膣内を酸性にして雑菌等の侵入や繁殖を防ぐデーデルライン桿菌が減少し、性感染症にかかりやすくなります。
性感染症が原因で水っぽいおりものが出ることがあります。
まずカンジダ膣炎は、抵抗力の低下によって膣内のカンジダ菌が繁殖することで発生。
陰部のかゆみとともに、カッテージチーズのような白いポロポロしたものが混ざった水っぽいおりものが出ます。
次にトリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が膣内に入り炎症を起こす病気です。
陰部のかゆみのほか、強烈な生臭いにおいがする黄色く泡立った水っぽいおりものの症状が現れます。
膣内の大腸菌などが繁殖して炎症を起こす細菌性膣炎は、陰部のかゆみとともに、生臭い黄色の水っぽいおりものが出ます。
さらに、クラミジア・トラコマチスという細菌に感染する性器クラミジア感染症にかかると、水っぽいおりものが出ます。
特に、性クラミジア感染症や細菌性膣炎、トリコモナス膣炎などは、早産の原因となる絨毛膜羊膜炎を発症するリスクが高いといわれています。
妊娠中に性行為を行う際にはコンドームを着用するなど、極力清潔な状況で行うようにしてくださいね。
子宮内の病気によるもの
子宮頸部のうち膣内に出ている部分が子宮膣部です。
この子宮膣部がただれた状態を子宮膣部びらんといい、
性成熟期の女性の8~9割にみられます。
(出典元:兵庫県医師会)
無症状のことが多いのですが、水っぽいおりものが増えたり、不正出血などの症状が現れることも。
子宮筋腫は、子宮内にこぶのような腫瘍ができる病気です。
水っぽいおりもののほか、下腹部痛や頻尿などの症状がみられます。
子宮頸管ポリープは、子宮頸管の粘膜が増殖してできるキノコ状の腫瘍で、水様状のおりものが出ます。
また出血しやすいことから、おりものに出血が混ざって出ることも少なくありません。
妊娠中期のおりものに血が!流産は大丈夫?
妊娠中期に、おりものに血が混ざる原因について主なものをピックアップして解説します。
子宮頸管炎によるもの
(画像出典元:ゆかりレディースクリニック)
子宮頸管炎は、子宮頸管にクラミジアなどの細菌が感染することで発生する病気です。
子宮頸管炎になった場合、水っぽいおりものや不正出血などの症状がみられることがあります。
そして子宮頸管炎が進行すると、前期破水などのリスクをひき起こす絨毛膜羊膜炎になる場合もありますので、早目の対応が必要です。
子宮内の病気によるもの
妊娠中は、子宮内の粘膜が充血しているため、子宮頸管ポリープや子宮膣部びらんがあると出血しやすくなります。
そのため、水っぽいおりものに出血が混ざって出ることもあります。
また、子宮筋腫がある妊婦さんは、妊娠中期になると子宮が大きくなるのに伴い、子宮筋腫が大きくなり、不正出血がみられることも少なくありません。
また、子宮筋腫の影響で切迫流・早産になることも。
いずれにしても、出血した場合には、早目に医師の診断を受けてくださいね。
妊娠中期のおりものがピンクや茶色に!その原因は?
妊娠中期にピンクや茶色のおりものが出るのは、おりものに出血が混ざるためです。
微量の出血がおりものに混ざると、ピンクになります。
特に妊娠中期には、子宮の収縮で卵膜と子宮の壁の間がずれることで出血し、ピンクのおりものがみられることもありますが、これは心配ご無用。
一方、前期破水の場合、羊水に出血が混ざってピンクのおりもののように見えることがあります。
水っぽいおりものが生臭い場合は、すぐに医師に連絡して指示をあおいでください。
茶色のおりものは、出血してから時間が経ち、血液中のヘモグロビンが酸化したものがおりものに混ざって排出されたものです。
ピンクや茶色のおりものが微量であり、継続しない場合は、あまり気にしなくても問題ありません。
しかし、万が一の場合に備えて少量でも出血があった場合には、早急に医師に相談しましょう。
妊娠中期ににおいのあるおりものが!これって感染症?
妊娠中期のおりものは、においがないか、少し酸っぱいようなにおいがする程度です。
もしも生臭いにおいがする場合は、前期破水かもしれません。
また、羊水よりにおいがキツイ、魚のような生臭さのおりものが出ている場合は、トリコモナス膣炎か細菌性膣炎の疑いも。
妊娠中期のおりもの4つの注意点
もし妊娠中期に気になるおりものの症状がみられたら、どのように注意すればいいのでしょうか?
注意点を4つご紹介します。
医師に相談する
水っぽいおりものと判断がつきにくい高位破水など、母子に影響を及ぼす可能性があるトラブルや疾患の可能性があります。
したがって、気になるおりものの症状が現れたら、すぐ医師に相談することをおすすめします。
清潔を心がける
妊娠中は抵抗力が低下しているため、雑菌などによる感染症が発症しやすくなっています。
そのため、もしもおりもの対策でおりものライナーなどを使われる場合には、こまめに交換して清潔な状態を保つように心がけてくださいね。
生臭くて水っぽいおりものが!破水の場合の注意点2つ
もしも生臭いにおいのする水っぽいおりものが出た場合、前期破水の可能性があります。
この場合、まずは医師に連絡して指示をあおいでから、次の2つのポイントにご注意くださいね。
電車やバス、ご自身での運転はタブー
破水が起こると、その後どんなトラブルが発生するかわかりません。
電車やバスの場合、途中は徒歩で移動するため負担がかかりますので、絶対にタブーです。
また、普段の健診などはご自身で運転して通院されるという方でも、必ずご家族などの運転で通院されるか、ハイヤー、タクシーをご利用ください。
入浴を避ける
破水によって卵膜が破れていますので、入浴すると母子ともに感染症にかかるリスクがあります。
そのため入浴やシャワーは行わないでくださいね。
まとめ
妊娠中期のおりものの症状について、色やにおい、量の変化などについて解説してまいりました。
妊娠中期になると、女性ホルモンの関係でおりものの量が増えるのは自然なことです。
しかし前期破水も起こりやすい時期ですので、羊水とおりものとの違いは認識しておきましょう。
おりものが気になる場合は、お早目に医師に相談するようにしてくださいね。