赤ちゃんの肌にポツポツと湿疹のようなものができてしまうことがしばしばあります。
湿疹を見つけると、
「もしかしてアトピー?!」
「それともあせもかな?」
と何が原因の湿疹かなかなかわからず不安になってしまうでしょう。
あまり心配のない一時的な湿疹なら良いですが、アトピー性皮膚炎だった場合は、早めにお医者さんに相談して治療をすることが改善への近道です。
今回は、赤ちゃんのアトピーとはどんな症状なのか、またアトピーになる原因や治し方について解説します。
- 赤ちゃんのアトピーの症状
- 赤ちゃんのアトピーの原因
- 赤ちゃんのアトピーの治療・予防法6選
赤ちゃんのアトピーの原因は多岐にわたります。
また、母乳や食物アレルギーとの関係性など、わからない点も多くあると思います。
以下の内容を参考に、赤ちゃんのアトピーの症状や原因について知り、赤ちゃんが快適に過ごすことができるよう対策してあげましょう。
目次
赤ちゃんのアトピーってどんな症状?アトピー性皮膚炎とはいつわかるの?
赤ちゃんの肌に起きるトラブルの一つに、アトピー性皮膚炎というものがあります。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の診断は簡単ではなく、最初はただの湿疹だと思っていたのに、実はアトピー性皮膚炎だったということもあります。
まずは、アトピー性皮膚炎とはどのような症状があり、赤ちゃんの場合はいつ頃アトピーだとわかるのかを説明します。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状とは
アトピー性皮膚炎は、かゆみの伴う湿疹を繰り返す疾患です。
日本皮膚科学科発表の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』によると、アトピー性皮膚炎と判断する基準は、以下3つあります。
- かゆみのある湿疹がでる
- 良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 湿疹の状態や、湿疹ができる場所に特徴がある
最後の3について詳しく説明すると、まずアトピー性皮膚炎の湿疹には、赤みのある湿疹やじゅくじゅくした水分の多い湿疹、ゴツゴツと盛り上がる湿疹など様々な形状ががあります。
そして、湿疹を掻くことで皮膚が厚くカサカサになったり、かさぶたができたりします。
また、湿疹は左右対称に広がりやすく、湿疹ができる場所は、額や目や口周り、耳や首の周り、腕や足の関節付近、体全体にまで至ります。
赤ちゃんについては、初期の段階では、頭や顔(額や頬)に赤みのある湿疹がでることが多いとされています。
かゆみのため、頭や顔をママの胸にこすりつけることがよくあり、こうした症状がみられた場合は、アトピー性皮膚炎の可能性があると考えられます。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎はいつわかるのか
赤ちゃんはさまざまな要因で湿疹を発症するため、病院に行ってもすぐにアトピー性皮膚炎だと判断されないことがあります。
日本皮膚科学科発表の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』によると、乳児の場合、湿疹が出たりなくなったりを2ヶ月以上繰り返すときにアトピー性皮膚炎と判断するとされています。
(乳児以外の場合は、6ヶ月以上で判断されます。)
よって、赤ちゃんにかゆみのある湿疹が2ヶ月以上みられる場合は、アトピー性皮膚炎の可能性も考えて医師に相談をすることをおすすめします。
参考
日本皮膚科学科発表『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版』
第一三共ヘルスケア / くすりと健康の情報局 / アトピー性皮膚炎の原因
赤ちゃんがアトピーになる原因について ~ 母乳、離乳食は関係あるの?
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になってしまう原因は何にあるのでしょうか。
アトピーになる原因がわかれば、アトピーの予防や治療にもつながる気がしますよね。
また、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎に母乳や離乳食の内容が影響しているのか悩むママも多いと聞きます。
それでは、アトピー性皮膚炎の原因について詳しく見ていきましょう。
アトピー性皮膚炎は原因がたくさんある「多因子性」の疾患
アトピー性皮膚炎は、一つの原因で起こるのではなく、ほとんどの場合、多くの原因が重なり合って発症しま
す。また、人によって原因となるものや症状の大きさが異なるため、原因の特定がなかなか難しい疾患です。
アトピー性皮膚炎の原因は大きく分けて、赤ちゃんの体質による要因と、環境による要因があります。
まず体質の要因としては以下3つあります。
<体質による要因>
・家族あるいは赤ちゃん本人が、アレルギー性の病気(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎など)を持っていること。
- アレルギーの原因となる糖タンパク「IgE抗体」を体内に作りやすい体質であること。
- 皮膚のバリア機能が低下しており、皮膚から抗原や微生物が侵入しやすくなっていること。
次に環境による要因ですが、環境による要因は非常に多岐にわたり、以下にあげた以外にもその赤ちゃん特有の要因があることも考えられます。
<環境による要因>
ダニ、ほこり、カビ、花粉、食べ物、洗剤、化粧品、ペット、大気汚染、気候、ストレス、寝不足など
以上の体質による要因と、環境による要因が複数重なり合って起こるのがアトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎の対策には、これら複数の原因を一つ一つ減らしていく必要があります。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎と母乳の関係
母乳で育つ赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になってしまった場合、母乳が原因ではないかと関係を疑うこともあるかもしれません。
結論としては、母乳とアトピー性皮膚炎との関連性は、良い影響も悪い影響も立証されていないようです。
完全母乳の赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になったとしても、母乳がその原因となっている証拠はありません。
また反対に、母乳で育てていることがアトピー性皮膚炎の予防につながるわけでもないということです。
よって赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になってしまった場合は、医師に相談して母乳栄養の継続を判断すると良いでしょう。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎と離乳食の関係
離乳食を始めた赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になると、食べさせたものが原因ではないかと、食物アレルギーを疑う方も多いと思います。
まず、先にも述べたようにアトピー性皮膚炎の原因は複数考えられるため、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎を起こす一つの要因になっていることは考えられます。
特に0歳の赤ちゃんの場合は、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を同時に発症している割合が半数以上当てはまるということです。
ただし気をつけないといけないのは、アトピー性皮膚炎の原因はさまざまなので、ある離乳食を食べた後に湿疹が出たと思ったら、実は部屋のほこりが原因だったということも考えられます。
よって、アトピー性皮膚炎になってしまったからと言って、自己判断で卵や牛乳、大豆など食物アレルギーの原因として考えられる食品を除去するのは健康面でおすすめできません。
食物アレルギーかどうかは、専門医に判断してもらうようにすることと、たとえ食物アレルギーがわかったとしても、その対策だけでアトピー性皮膚炎が完治するとは限らないことを覚えておくと良いでしょう。
参考
公益財団法人日本アレルギー協会『新版 よくわかるアトピー性皮膚炎』
第一三共ヘルスケア / くすりと健康の情報局 / アトピー性皮膚炎の原因
赤ちゃんのアトピーは治るの?アトピー性皮膚炎の治療や予防法6選
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になったら、治すことはできるのでしょうか。
アトピー性皮膚炎は、原因が複数あり判別が難しいので、まずはしっかりと専門医を受診して対策をとると良いでしょう。
しっかりと対策をとることで、アトピー性皮膚炎の症状が大きく緩和されたり、成長するにつれて症状がなくなった赤ちゃんもいます。
以下に、アトピー性皮膚炎の主な治療法を3つと、アトピー性皮膚炎の予防にもつながる治療法を3つ、計6つの対策を紹介します。
<治療法>薬で皮膚のバリア機能を回復させる
アトピー性皮膚炎になり皮膚に湿疹があるときは、皮膚のバリア機能が低下してしまっています。
皮膚のバリア機能が低下することで、アトピーの原因となるアレルゲン(ホコリやカビ、食べ物など)の影響をより受けやすくなり、さらにアトピー性皮膚炎が悪化するという悪循環が発生します。
よって、皮膚のバリア機能を良い状態に回復させるための薬による治療は一般的によく行われています。
病院でよく処方される薬に、ステロイド外用剤がというものがあります。
ステロイド外用剤は、効き目の強さによって5つのランクに分かれています。
使用する薬のランクや、使用量、使用頻度は症状により異なりますので、医師によく相談して正しく使用しましょう。
<治療法>アトピーの原因となるアレルゲンを除去する
アトピーの原因となるアレルゲンを除去することで、アトピー性皮膚炎を改善することができます。
しかしアトピー性皮膚炎の原因は、赤ちゃんに多い食物アレルギー以外にも、複数同時に存在することが多いため、わかるものから一つ一つ改善していく必要があります。
基本的なことですが、規則正しく生活し、身の回りの清潔、心身の健康を心がけることが、多岐にわたるアトピーの原因除去につながることが多いに考えられます。
<治療法>かゆみを抑え掻くことによる悪化を防ぐ
アトピー性皮膚炎の湿疹はかゆみを伴いますが、掻くことで皮膚の状態が悪くなり、症状をさらに悪化させてしまうことにつながります。
赤ちゃんでも自分で体を掻くことができる月齢になってくると、掻くのを防ぐ対策は必要になります。
以下にかゆみを抑える方法や、掻くことを防ぐ方法をいくつか紹介します。
- かゆがるときは体を冷たいタオルなどで冷やしてあげる
- 寝室の室温をなるべく一定にする
- 服は綿など肌への刺激が少ない素材のものにする
- 爪はなるべく短く丸く切っておく
- 痒がるからと言ってパパやママが代わりに掻いてあげるようなことはしない
<予防&治療法>スキンケアで皮膚を洗浄・保湿する
ヒトの皮膚には「黄色ブドウ球菌」という常在菌が存在しています。
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、皮膚の抵抗力や殺菌力が弱まっているので、通常では特に影響のない黄色ブドウ球菌に感染してしまい、皮膚に炎症を引き起こすことも少なくありません。
よって、赤ちゃんの体を毎日石鹸などでやさしく洗い清潔を保つことは、アトピー性皮膚炎の予防・治療にとって非常に重要です。また、体を洗った後は皮膚が乾燥しやすくなります。
乾燥した皮膚は、外部からの刺激を受けやすく、またアトピーの場合はかゆみの原因にもなりますので、しっかりと保湿剤で保湿する必要があります。
保湿剤は、市販の赤ちゃんにも使える低刺激のものなどを使用し、体全体に手のひらでやさしく伸ばして塗ってあげましょう。
<予防&治療法>掃除や換気でダニやほこり、カビを防ぐ
アトピー性皮膚炎の原因は赤ちゃんによってさまざまですが、ダニやほこり、カビなどが皮膚への刺激の一つになることは多くあります。
こまめに掃除や換気をしたり、お布団やクッションは天日干しをしたりして、清潔な生活環境を整えることが、アトピー性皮膚炎の予防・治療につながります。
<予防&治療法>食べ物で腸内環境を良くする
アトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患にかかりやすくなる原因の一つに、食生活の影響で腸内の悪玉菌が増加することがあげられています。
悪玉菌は、肉類の多い食事を続けたり、食物繊維や野菜・果物が不足すると増えると言われています。
赤ちゃんについては、最初のうちは食べることができるものが限られているので、なかなかケアは難しいと思います。
できる範囲内で、食物繊維や野菜・果物を意識して与えることや、ヨーグルトなど乳酸菌を含む離乳食を与えることで、腸内環境を良くすることにつながるでしょう。
参考
公益財団法人日本アレルギー協会『新版 よくわかるアトピー性皮膚炎』
第一三共ヘルスケア / くすりと健康の情報局 / アトピー性皮膚炎の原因
アサヒグループホールディングス / Kin’s Vol.16 『乳酸菌と発酵』
赤ちゃんのアトピーの原因はたくさん!一つひとつ対策してかゆみを解消してあげよう!
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎にかかる原因は、食物アレルギー、ダニ、ほこり、カビ、気候など多岐にわたることがわかりました。
これをすればすぐに治る!という治療法はなく、原因と思われるアレルゲンを除去したり、薬やスキンケアで皮膚の状態を改善させたりすることが必要です。
アトピー性皮膚炎のかゆみは、赤ちゃんにとっても大変つらいものでしょう。
赤ちゃんのうちにしっかりと対策をとってアトピーの症状をやわらげ、赤ちゃんが快適に過ごすことができるように日々のケアを行ってあげましょう。