授乳中、気になる成分のひとつにカフェインがあります。
カフェインといえば、コーヒーや緑茶を思い浮かべるでしょう。
実は、抹茶にも多く含まれています。
母親が抹茶を飲むとカフェインが母乳に入り、赤ちゃんにも影響が…!
この記事では、授乳中の抹茶との関係を以下6つの項目にまとめてみました。
- 抹茶には産後の女性に嬉しい栄養素が豊富
- 脳を興奮させるカフェインの作用は、メリットであり、デメリットでもある
- カフェインの効果は人によって全く違う
- 赤ちゃんは内臓の働きが未熟で、少しのカフェインでも影響が長く続く
- 授乳中に飲んでもいい抹茶の量は1日2~3杯(カフェイン量100~200mg)
- 抹茶を飲むときに注意したい3つのこと
では、ひとつずつ見ていきましょう。
目次
抹茶には産後の女性に嬉しい栄養素が豊富
抹茶は、臼でお茶の葉っぱを挽き、お湯に混ぜて飲むものです。
葉をまるごと全部使うので、一度に多くの栄養成分を摂取できるのがメリット!
そんな抹茶には体に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。
<抹茶の主な栄養素>
- ミネラル類:亜鉛・鉄・カリウム・マグネシウム
- 食物繊維
- ビタミン類:K、B1、B2、B6、C
- β-カロテン
亜鉛は新しい細胞を作る時に欠かせないミネラル類で、髪や全ての臓器で必要になります。また、不足すると味覚障害になる可能性も。
カリウムは体内の水分量調節に関係していて、不足するとむくみの原因になったり、足がつったりします。
マグネシウムは骨や歯の形成に必要不可欠。
食物繊維は腸の調子を整え、便秘予防に効果的です。
ビタミン類は、免疫作用・新陳代謝・疲労回復・ホルモン製造・脂質や糖質の分解などに欠かせないもの。
どの栄養素も産後の女性には非常に重要なものばかりです。
脳を興奮させるカフェインの作用は、メリットでありデメリットでもある
先述した通り、抹茶にはカフェインが多く含まれています。
実はこのカフェインがくせもの!
抹茶に含まれるカフェインの量は以下の通りです。
<抹茶(粉末)に含まれるカフェインの量>
(参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂))
この表だけを見ても、カフェインの多さが分かりにくいですよね。
では、実際に飲む量に換算し、コーヒーと比較してみましょう。
飲む抹茶は、お茶屋さんなどで点ててもらうお抹茶(お湯の量:60~70cc)1杯分。
コーヒーは、カフェなどで出されるカップ1杯分の量(150cc)です。
(参考:抹茶の点て方|一保堂茶舗、日本食品標準成分表2015年版(七訂))
カフェインといえばコーヒーというイメージが強い方も多いでしょう。
しかし、コーヒーと抹茶は、どちらも同じくらいのカフェインを含んでいるのです。
抹茶はさまざまな食品に使われており、抹茶のお菓子や抹茶アイスなどは老若男女問わず人気がありますね。
授乳中にも、ほろ甘い抹茶の味が恋しくなることもあるでしょう。
ただカフェインが多いとなると、授乳中に食べても大丈夫なのか気になりますよね。
カフェインの主な作用は、脳を興奮させること。これはメリットであり、デメリットでもあるんです。
2つの特徴を具体的に見てみましょう。
カフェインのメリット
カフェインは脳の興奮を抑える物質の働きを邪魔します。
つまり、カフェインを摂ると脳は興奮しっぱなし!
このため、次のようなメリットが得られます。
- 目が覚める
- 血管拡張作用(血の巡りが良くなる)
- 交感神経が興奮し、基礎代謝アップ(体脂肪を燃焼する)
- 胃酸の分泌量が増える
- 利尿作用
(参考:全日本コーヒー協会)
アクティブに動きたい時や、眠気を覚ましてがんばりたい時に嬉しい効果ですね。
カフェインのデメリット
適度な興奮はメリットです。
しかし、脳が興奮しすぎるとそれはデメリットになることも!
次のような不快な症状が出てしまいます。
- めまい
- 心拍数の増加
- 不安
- 震え
- 不眠
- 胃腸の不快感や吐き気、嘔吐、下痢
- 高血圧
また、何事もほどほどが肝心。過剰摂取しないように注意しましょう。
関連記事⇒授乳中にレッドブルを飲んでも大丈夫?レッドブルの栄養素と3つの注意点
カフェインの効果は人によって全く違う
カフェインにはメリット・デメリットがありますが、人によって感じ方が全く違うということをご存知でしょうか?
同じ量のカフェインを摂っても、頭がスッキリする人と、頭痛やめまいを感じる人がいます。
カフェインに敏感な人は、ほんの少しのカフェインで十分!
反対にカフェインに強い人は、たくさんのカフェインを摂っても不快な症状が出ません。
この感じ方には遺伝子が関係しています。
欧米人はカフェインに強いのですが、日本人は遺伝的にカフェインに敏感。
カフェインのデメリットを感じる人が多いのです。
抹茶や緑茶といったお茶の文化があるのに面白いですね。
(参考文献:お酒やコーヒーなど日常的飲み物と日本人の遺伝子)
もし、両親がカフェインに弱い場合、赤ちゃんも敏感な体質かもしれません。
母乳に少しのカフェインが混じっていただけで不快感が出ることも。
自分やパートナーがカフェインに対して、どんな体質なのか。
確認しておくことをおすすめします。
赤ちゃんは内臓の働きが未熟で、影響を受けやすい
母乳に含まれたカフェインは赤ちゃんの脳を興奮させます。
赤ちゃんの内臓は機能も能力も未熟で、カフェインを体の外へ出すのがとても苦手!
少しのカフェインでも数日間体の中に残るので、脳の興奮が続いてしまいます。
- 夜泣きが激しい
- 昼間、ぐずることが多い
- お昼寝の眠りが浅い
- 母乳を吐く
- 下痢
- 興奮した様子が治まらない
- なにをしても赤ちゃんが泣き止まない
- 赤ちゃんが落ち着かない
上記の症状が続く場合は、カフェインの影響を考えてみてください。
関連記事⇒夜泣きの原因って何?0歳~5歳まで年齢別の理由と8つの対処法
授乳中に飲んでもいい抹茶の量は1日2~3杯
赤ちゃんに影響するから、カフェインを多く含む抹茶はNG!という訳ではありません。
少しくらいなら抹茶を飲んでもOK!
日本ではカフェインの1日の摂取量が決まっていませんが、海外では目安があります。
次の表をひとつの目安に、体質に合わせて飲む量を調節してみましょう。
<海外で示されている、1日当たりのカフェイン摂取量の目安>
(引用元:食品安全委員会、カフェインの過剰摂取について|農林水産省)
成人は約400mg、妊婦と授乳中の方は約200~300mgのカフェインを1日に摂っても大丈夫。
ただし、表の「成人」とは体重約70kgを想定。体重50kgの成人なら約285mgとなります。
ここで注意したいのは、表の数値は遺伝的にカフェインに強い海外の方の目安ということ。
カフェインに敏感な傾向がある小柄な日本人の場合、表より少ない量を目安にしましょう。
お店などで点ててもらう抹茶だと1杯あたりカフェインが64mgなので、授乳中は2~3杯が目安です。
抹茶を飲むときに注意したい3つのこと
授乳中でも飲んで良い抹茶の量を紹介しましたが、ちょっと待って!
抹茶を飲む時には、次の3つに注意してください。
1.摂っていいカフェインは1日の合計で100~200㎎
抹茶を1日2~3杯ならOKと紹介しましたが、これは抹茶以外から摂るカフェインがゼロとした場合。
カフェインはコーヒー、紅茶、ココア、コーラ、緑茶、烏龍茶、栄養ドリンク、チョコレートなどにも含まれています。
産後の疲れやすい体をいたわるために、滋養強壮・栄養補給を目的として栄養ドリンクを飲んでいませんか?
商品にもよりますが、栄養ドリンクのカフェインは1本あたり30~50mg。
自分の食生活を振り返って、1日にどれくらいのカフェインを摂っているのかを確認して、上手く調整してみてくださいね。
関連記事⇒授乳中に栄養ドリンクを飲んでも大丈夫?母乳や赤ちゃんへの影響と4つの注意点やレシピ
2.カフェインに敏感な人は控えめに!
カフェインの影響をどれくらい受けるか。これは人によって全然違います。
遺伝子が関係しているので、カフェイン入りの飲料や食品を好まない家族が居る場合は要注意!
例え抹茶1杯でも、めまいや不眠、胃腸の不快感があるならカフェインに敏感な体質と考えていいでしょう。
その場合1日に摂る量を控えた方がいいですね。
3.赤ちゃんに影響が出たらストップ!
母親がカフェインに強い体質でも、赤ちゃんに悪影響が出たらカフェイン摂取をストップしましょう!
父親や祖父母にカフェインに敏感な体質の人がいたら、赤ちゃんもカフェインが不得意かもしれません。
赤ちゃんはとてもデリケートです。
カフェインを多く摂る母親で、赤ちゃんがよくぐずる、よく眠れていない、母乳を吐く場合は、カフェインの摂取を控えてみましょう。
妊娠中・授乳中は、カフェインが入っていない飲み物や食べ物で気分転換してみてくださいね。
まとめ
抹茶の栄養成分を見ると、産後の女性に嬉しいものが多くあります。
しかし、やはりカフェインは注意が必要なもの。
母親が抹茶を飲むと、母乳にカフェインが混ざって赤ちゃんも影響を受けます。
カフェインの影響をどれくらい受けるのかは人それぞれで、遺伝的に日本人は弱い傾向にあることが分かっています。
妊娠・授乳中の女性は1日に摂取するカフェインを200mgまでに抑えるよう注意喚起している国もあるので、カフェインに慣れている海外の方の推奨値よりも少ない摂取量を意識しましょう。
カフェインは1日200mgより少ない量を心がけながら、日本伝統の飲み物である抹茶を楽しみましょう。