生まれてからしばらくはずっと仰向けで寝ている赤ちゃん。
「仰向けばかりじゃなくて、そろそろうつぶせの姿勢にもしてあげたほうが良いのかな?」
「自分で寝返りをしてうつぶせになるのはいつ頃からだろう?」
と、赤ちゃんが成長するにつれてうつぶせの姿勢について疑問が浮かぶこともあるのではないでしょうか。
また、「赤ちゃんのうつぶせ寝は危険!」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。
そこで今回は以下のポイントに沿って、赤ちゃんがいつ頃からうつぶせで過ごすことができるのかや、うつぶせ時の注意点や危険について紹介します。
- 赤ちゃんの月齢別うつぶせの発達
- うつぶせ練習のポイント
- うつぶせ寝による危険と防止策
赤ちゃんの発達に応じたうつぶせ姿勢の変化をしっかりと理解し、快適にうつぶせで過ごすためにサポートしてあげることが必要です。
そして、うつぶせ姿勢やうつぶせ寝で起こりうる危険を防いで、赤ちゃんが安全に楽しくうつぶせ姿勢で過ごすことができるようにしてあげましょう。
目次
□赤ちゃんのうつぶせ姿勢はこう変化する!月齢別うつぶせの発達と注意点
赤ちゃんは、生後何か月頃からうつぶせの姿勢をとることができるようになるのでしょうか。
月齢別に赤ちゃんのうつぶせ姿勢の発達と、各段階で注意すべき点について紹介します。
■新生児から生後56日頃 ~うつぶせ姿勢はとらない
生まれて間もないこの時期の赤ちゃんは、母乳やミルクを飲んだり、排せつ時以外はほとんど眠っています。
首も座っておらず寝返りもできないため、まだうつぶせの状態をとることはできません。
<注意点>
この時期に、うつぶせの姿勢にして寝かせてしまうと窒息死や乳児突然死症候群(SIDS)※のリスクがあります。
寝かせるときは、うつぶせではなく仰向けにしてあげましょう。
※窒息死や乳児突然死症候群(SIDS)については、以後の項目で詳しく説明しています。
■生後56日頃から3ヶ月頃 ~ うつぶせ姿勢で過ごすことができる
生後2ヶ月を過ぎるこの頃から、うつぶせ姿勢で過ごすことができるようになります。
自分からうつぶせ姿勢をとることはできませんが、うつぶせの姿勢にしてあげると頭を少し持ち上げるようになります。
<注意点>
まだ頭を持ち上げる筋力が不十分なため、うつぶせ姿勢のときは下にやわらかいものを置かないようにし、赤ちゃんが窒息しないようにしましょう。
うつぶせ寝にするときは必ず大人が近くで目を離さないようにしましょう。
また、自分で寝返りができない時期のため、うつぶせ姿勢のままで寝てしまうことがないよう注意してみてあげましょう。
■生後3ヶ月頃から6ヶ月頃 ~上半身を持ち上げたうつぶせ姿勢をとることができる
この時期の赤ちゃんをうつぶせの姿勢にしてあげると、ひじで上半身を支えて少しずつ体を上に持ち上げることができるようになります。
赤ちゃんによっては、生後5ヶ月前後で自分で寝返りができるようになる子もいます。
<注意点>
そろそろ寝返りができないかと気になる時期ですが、赤ちゃんが嫌がるのに無理に寝返りをさせる必要はありません。
赤ちゃんが望んで寝返りを試みている場合は、少しずつ手助けして練習してみましょう。
また、これまでの月齢時と同様に、寝返りができない赤ちゃんがうつぶせのまま寝てしまわないように注意しましょう。
■生後6ヶ月頃から9ヶ月頃 ~ 寝返り・飛行機ポーズ・ピボットターンができる
生後6ヶ月を過ぎると多くの赤ちゃんが自分で寝返りができるようになります。
また、このくらいの時期はうつぶせ姿勢の動きも活発になります。
例えば、飛行機ポーズといって、うつぶせ状態で背中を反らして両手両足を上げて空を飛んでいるようなポーズをとることが多くなります。
また、うつぶせ状態からおなかを中心に手足をひねって左右に回転するピボットターンもできるようになります。
<注意点>
ピボットターンなど動きが活発になるため、赤ちゃんの遊ぶスペースの衛生や安全に十分に注意してください。
どの動きも、後にハイハイや歩行をするに向けて重要な運動ですので、のびのびと動けるスペースをとってあげましょう。
参考 東京都教育委員会 / <参考>0歳児から2歳児の発達過程
□赤ちゃんのうつぶせ姿勢はどのくらいサポートすべき?練習のポイントは?
赤ちゃんの発達段階に応じて、うつぶせ姿勢がどのように変化するかがわかりました。
では、うつぶせ姿勢で過ごすサポートや練習はどのくらい行えば良いのでしょうか。
赤ちゃんをうつぶせ姿勢にしてあげる必要性と練習するときのポイントについて説明します。
■赤ちゃんをうつぶせ姿勢にしてあげる必要性
赤ちゃんがうつぶせの姿勢をとることは、首や肩の筋肉の発達にとって重要です。
特に、まだ自分で寝返りをすることができない生後6ヶ月頃までの赤ちゃんについては、どうしても仰向けで過ごすことが多くなってしまいます。
仰向けの時間が長くなることで、赤ちゃんの後頭部が平坦になる症状が悪化したり、首の筋肉の発達を阻害したりする要因にもなってしまいます。
よって、まだ寝返りができない赤ちゃんでもうつぶせ姿勢で過ごさせてあげる時間は必要になります。
■赤ちゃんのうつぶせ練習のポイント
生後2ヶ月を過ぎたら、1日のうちに何度か赤ちゃんをうつぶせにして遊ばせる時間を作りましょう。
その際は以下のポイントに注意してください。
- 窒息を防ぐために赤ちゃんの下にやわらかい毛布やクッションを置かない
- 寝返りができない赤ちゃんの場合特に、うつぶせ中は目をはなさない
- 赤ちゃんが苦しそうで嫌がっているときは無理にうつぶせにしない
- 授乳後は吐く可能性があるのでしばらくうつぶせにしない
赤ちゃんによって、うつぶせが好きで長く遊べる子とそうでない子がいます。
赤ちゃんが嫌がらない程度の時間で、毎日なるべくこまめにうつぶせ姿勢をとらせてあげると良いでしょう。
参考 AHS japan / Tummy Time Tools
□うつぶせ寝は危険?窒息と乳幼児突然死症候群(SIDS)の防止策
月齢別のうつぶせの発達と注意点でも紹介しましたが、特に自分で寝返りができない赤ちゃんは、うつぶせのまま寝かせないことが重要なポイントです。
赤ちゃんのうつぶせ寝が危険だと言われている理由は主に2つあります。1つは窒息を起こす可能性があるということです。
もう1つは、うつぶせ寝が乳児突然死症候群(SIDS)の発症率を上げる要因の1つとされていることです。
この2つの危険の詳細と、その危険から赤ちゃんを守る方法をお伝えします。
■窒息の危険と防ぎ方
赤ちゃんの不慮の事故死の原因のうち、寝ているときの窒息死は高い割合を占めています。
特に、うつぶせ寝の状態で顔がマットレスなどに埋まってしまうことで窒息するという状況が多くなっています。
うつぶせ寝の赤ちゃんの窒息を防ぐためには、以下のポイントに注意が必要です。
1.寝返りができるようになる前の赤ちゃんは仰向けで寝かせる
(寝返りができるようになっても、1歳になるまでは寝かしつけるときは仰向けが良いとされています)
2.布団やマットレスは赤ちゃん用の、かためのものを利用する
3.寝ている赤ちゃんの近くに顔を覆ってしまうようなタオルやクッションなどを置かない
4.寝室には赤ちゃんの顔が挟まってしまうような隙間をなくす
5.保護者が添い寝中に寝てしまい、赤ちゃんを圧迫することがないようにする
6.必ず大人が近くで見守る
寝返りができる赤ちゃんは、寝苦しさを感じれば自ら体勢を変えたり、うつぶせ寝から仰向け寝になったりすることができます。
よって寝ている間に寝返りをしていつの間にかうつぶせ寝になってしまっても、仰向け寝に戻すことに神経質なりすぎる必要はありません。
しかしその場合でも、窒息のリスクを減らすために、上の2~5のポイントには注意をしましょう。
参考 消費者庁『0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください! – 家庭内で、就寝時に窒息死事故が多数発生しています- 』
■乳児突然死症候群(SIDS)の危険と防ぎ方
乳児突然死症候群(SIDS)とは、睡眠中に赤ちゃんが突然死亡してしまう病気のことを言います。
詳しい原因がわからない病気ですが、以下のポイントに注意することで、乳児突然死症候群(SIDS)の発症率が低くなると厚生労働省が発表しています。
- 1歳になるまでは仰向けで寝かせる
- できるだけ母乳で育てる
- たばこを吸わない
乳児突然死症候群(SIDS)は、生後4ヶ月頃の発症が多いと言われています。
この時期は、まだ自分で寝返りができない赤ちゃんが多いですが、うつぶせで過ごしたり遊んだりすることができるようになっています。
赤ちゃんがうつぶせで遊んでいるまま寝てしまったり、寝かしつけの際にうつぶせ姿勢にすることがないように注意することが大切です。
<参考>
日本医師会 / 健康ぷらざNo.136 『ある日突然赤ちゃんが-乳児突然死症候群(SIDS)-』
赤ちゃんのうつぶせの発達を理解し、安全にうつぶせ姿勢を楽しませてあげよう
赤ちゃんの発達にとって、うつぶせ姿勢を経験することはとても重要です。
うつぶせにしてあげたときは、危険がないようにしっかりと注意して赤ちゃんをみていてあげましょう。
また、寝返りができない赤ちゃんは特に、うつぶせのまま寝てしまわないよう注意が必要です。
うつぶせ姿勢やうつぶせ寝で起こりうる危険をしっかりと理解し、防いであげてください。
そして、赤ちゃんが安全にうつぶせを楽しみながら、成長していく様子を見守ってあげましょう。