妊娠中期に入ると、つわりはおさまっているはず。
それなのに吐き気がぶり返して気持ち悪いということはありませんか?
なかには立っているだけで気持ち悪さを感じるという人も。
今回は、なぜこの時期に気持ち悪くなる症状が現れるのか、気持ち悪い時にどんなものを食べたらいいのかについて解説します。
さらに、吐き気がひどい時や眠れない時におすすめの5つの対策をご紹介しています。
- 気持ち悪い時の3つの対策
・正しい原因を知るには医師に相談
・お腹が空かないよう食事をちょっとずつ取る
・軽い運動などでストレスを解消
- 眠れない時の2つの対策
・身体の左側を下にする体位で気持ち悪さを解消
・足の間にタオルなどを挟んで寝る
気持ち悪くて寝れないとお困りの妊婦さんは、ぜひこちらの方法を試してみてくださいね。
目次
妊娠中期に吐き気で気持ち悪い!その原因は?
妊娠中期(妊娠16~27週)になっても、吐き気がして気持ち悪いのは一体何が原因なのでしょうか?
この時期に起こりうる主な原因を解説します。
赤ちゃんの成長によるもの
妊娠中期からはお腹の赤ちゃんが大きく成長します。
れに伴って、胃や腸が圧迫され、さまざまな症状が現れます。
胃が圧迫されると、消化不良を起こしたり、胃酸などの内容物が食道に逆流する逆流性食道炎を発症することも。
腸が圧迫されると、腸の働きが低下するため便秘になりやすくなります。
腸内に便が貯留し腸全体の動きが悪くなると、消化液は消化管に貯留しやすくなり吐き気の原因となります。
(出典元:東京学芸大学保健管理センター)
プロゲステロンの増加も原因に
妊娠中期以降、女性ホルモンのプロゲステロンの分泌量が増加。
プロゲステロンは、胃や腸など消化器官の筋肉を緩める作用があるため、胃や腸の働きを低下させてしまいます。
そのため、胃の内容物が食道に逆流しやすくなるので逆流性食道炎の原因に。
便秘にもなりやすくなることから、便秘が重症化すると、先述のように吐き気をもよおすこともあるんです。
ムカムカ気持ち悪い上に頭痛も!妊娠中期の症状を解説
ムカムカして気持ち悪いだけでなく、頭痛も発症することもある妊娠中期。
気持ち悪いだけでもつらいのに、頭痛まで起こると立っているのもしんどいですよね。
吐き気と頭痛を併発する症状はどうしてひき起こされるのでしょうか?
鉄欠乏性貧血が原因
妊娠中期になると、赤ちゃんが成長していくために、胎盤から赤ちゃんに鉄分などの栄養分がどんどん供給されていきます。
また、出産に向けてお母さんの血液量が増加していくので、相対的に血液が薄まって貧血になりやすいのもこの時期です。
女性は身体に貯蔵されている鉄分が少ない傾向にありますが、妊婦さんの身体に蓄えられている鉄分が少ないと、血液中の鉄分が赤ちゃんに送られることに。
そうなると、妊婦さんの血液中の鉄分が不足し、鉄欠乏性貧血を発症し、頭痛やだるさといった症状が現れます。
さらに症状が重くなると、吐き気で気持ち悪くなったり、食欲の減退などの症状も。
また、既に鉄欠乏性貧血で医師にかかっていて、鉄剤を飲んでいる妊婦さんには、鉄剤の副作用として吐き気がすることも少なくありません。
血圧低下でも気持ち悪い症状や頭痛が出現
妊娠中期になるとお腹が大きくなることから、下大静脈などが圧迫されて血圧が低下してしまうことも。
そうなると、気持ち悪くなるだけでなく、頭痛などの症状も現れます。
自律神経のバランスの乱れが原因になることも
妊娠中は、女性ホルモンのバランスの乱れや冷え、ストレスなどが原因で、自律神経の乱れが起こりやすくなっています。
自律神経は、身体の全ての器官や臓器に作用する神経です。
交感神経と副交感神経が互いに作用しながら、生きていく上で必要な身体の働きのコントロールを行っています。
この自律神経のバランスの乱れによって、気持ち悪くなったり頭痛など身体の不調が現れることがあります。
妊娠中期に気持ち悪い時はどんなものを食べたらいいの?
妊娠中期は赤ちゃんが成長する時期なので、妊婦さんは「お腹の赤ちゃんのためにしっかり食べなくちゃ」と思うもの。
頭ではそう思っていても、気持ち悪くて食べ物を受け付けないと困りますよね。
食べたら気持ち悪くて戻してしまうような事が続くと、お腹の赤ちゃんに栄養を届けられません。
そこで、気持ち悪いときにどんなものを食べるのがいいのか、解説します。
消化のよいものを食べよう
妊娠中期の気持ち悪さをひき起こす原因の多くは、胃や腸などの消化器官の機能低下によるもの。
胃が気持ち悪いと感じる人は、消化不良が原因かもしれません。
したがって、胃や腸などに負担がかからない消化のよいものを食べるように心がけましょう。
揚げ物や肉の脂身、ごぼうやさつまいもなど消化しにくい食べ物はなるべく避けてくださいね。
冷たいものはNG!なるべく温かいものを取ろう
たまには冷たい飲み物やアイスクリームが欲しくなることもありますよね。
しかし、気持ち悪くなっている時にこうした冷たいものを取ると、血流の悪化から胃や腸の働きがますます低下し、さらに気持ち悪くなることも。
妊娠中期に冷たいものを取ると、お腹の張りを起こしやすくなる上、自律神経の乱れなどさまざまな不調をもたらすこともあるんです。
なるべく温かいものを取るようにしましょうね。
鉄分の多いものを意識して取ろう
鉄欠乏性貧血を防ぐためには、鉄分の多いものを摂取するようにしましょう。
厚生労働省が発表した、2015年版「日本人の食事摂取基準」は以下の通りです。
妊娠中期の妊婦さんの鉄分摂取推奨量は、
・18~29(歳)6.0+15.0=21.0mg/日
・30~49(歳)6.5+15.0=21.5mg/日
(出典元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2015年版)
妊娠中期には、15.0mg/日の鉄分を摂取するよう推奨されているんです。
鉄分の多い食べ物は、レバー、ひじき、乾燥きくらげ、あさりの缶詰などがあります。
また、野菜に含まれる非ヘム鉄より、肉・魚などに含まれるヘム鉄の方が身体への吸収率が高いと言われています。
鉄欠乏性貧血対策としては、非ヘム鉄を意識して取るように心がけましょう。
関連記事⇒妊婦に鉄は必要?目安量や不足した時の対策、おすすめ食品など5つの注意点
妊娠中期に気持ち悪い時はどう対処したらいい?3つの対策
妊娠中期に「うっ!」と気持ち悪くなった時にはどのように対処したらいいのでしょうか?
おすすめの対策を3つご紹介します。
正しい原因を知るには医師に相談
妊娠中期の吐き気について主な原因をご紹介しましたが、もしかしたら病気によるものかもしれません。
鉄欠乏性貧血が原因であれば、放っておくと重症化してしまう可能性もあるでしょう。
また、一言で気持ち悪いと言っても感覚は人それぞれ異なります。
胎動でお腹が気持ち悪い感じになったり、免疫力の低下による口内環境の悪化で口の中が気持ち悪くなったりする場合もあります。
何が原因かを知るだけでも気持ちが楽になるので、
気持ち悪いなと感じたら、まずは医師に相談して適切な処置を受けてくださいね。
お腹が空かないよう食事をちょっとずつ取る
つわりと同様に、妊娠中期も空腹時に気持ち悪くなるという妊婦さんが多いようです。
そのため、食事の回数を分け少しずつ取るようにして、なるべく空腹時を作らないようにすると、気持ち悪さが解消されますよ。
空腹状態が続いた寝起きに気持ち悪くなるという妊婦さんも少なくないのではないでしょうか?
そんな時には、枕元に小さなおにぎりなどを用意しておき、目が覚めたらすぐ口にすることをおすすめします。
軽い運動などでストレスを解消
ストレスは、気持ち悪さなど自律神経の乱れによる不調の原因となります。
妊娠中期になると動きづらさなどからストレスがたまってしまうもの。
医師から制限を受けていなければ、ウォーキングやマタニティピラティスなどの軽い運動をするのもおすすめ。
ご自身に合った方法で、ストレスを発散してくださいね。
関連記事⇒妊娠中期に食欲がない!食欲不振の原因や影響と4つの対処法
妊娠中期に吐き気で眠れないときの2つの対策
この時期になると、大きなお腹に内臓などが圧迫されて寝苦しくなったり、気持ち悪くなることもあるでしょう。
気持ち悪くてなかなか眠れない時に、ぜひ試してもらいたい2つの対策をご紹介します。
身体の左側を下にする体位で気分悪い症状を解消
身体の左側には動脈、右側には静脈が流れています。
お腹が大きくなってから、妊娠前と同様にあお向けや右側を下にして寝ると、子宮が下半身からの血液が心臓に向けて流れている最も大きな静脈の下大静脈を圧迫。
血圧が低下して、気持ち悪くなったり、めまいがみられることもあります。
そこで、お腹が大きくなってきたら、身体の左側を下にする「シムスの体位」で寝るようにしましょう。
詳しい方法は、こちらの動画をご覧くださいね。
足の間にタオルなどを挟んで寝る
「シムスの体位」でも、寝苦しくて困るという妊婦さんは少なくないようです。
同じような経験のある先輩ママさんからは、足の間にタオルなどを挟んで寝ると、楽に寝られたという声が多く上がっています。
抱き枕を使うと「シムスの体位」を取りやすい上、足の間に挟むこともできておすすめですよ。
まとめ
妊娠中期になって、つわりが落ち着くなどようやく体調が回復してきた時に、吐き気をもよおす妊婦さんもいます。
その原因は、単に大きくなったお腹の圧迫だけでなく色々と考えられます。
吐き気がして気持ち悪いと感じたら、医師の診断を受けましょう。
また寝る時は、抱き枕を使ってシムスの体位を取ると楽に寝られますので、ぜひ試してみてくださいね。