お腹がどんどん大きくなる妊娠中期。
妊娠6ヶ月~7ヶ月頃になればお腹もせり出し、見た目はすでに立派なプレママです。
つわりも落ち着き気持ちも安定する時期ですが、この時期に現れやすい症状の一つが、息苦しさ。
急に息苦しくなって不安を感じたという妊婦さんは少なくありません。
そこで今回は、妊娠中期になぜ息苦しくなるのか、その原因を解説しています。
また、息苦しさを感じた場合に取るべき対処法や、息苦しさを防ぐ予防法をそれぞれ3つずつまとめました。
息苦しくてどうしたらいいかわからないという妊婦さんは、ぜひお役立てくださいね。
目次
妊娠中期の息苦しい症状はどうして起こるの?
妊娠中期の妊婦さんに現れることが多い、息苦しさ。
他にも動悸などの症状が現れることも。
こうした症状はどうして起こるのでしょうか?
その原因について解説します。
大きくなった子宮による圧迫
妊娠中期(16~27週)からは、お腹の赤ちゃんの成長にしたがって子宮がどんどん大きくなっていきます。
一方、どんどん大きくなる胎児の分も合わせて2人分の酸素を取り入れようと、母体の肺はいつも以上に働きます。
そして胸郭をやや広げるように。
ところが、大きくなった子宮が横隔膜を上昇させることによって肺の容量が低下し、息苦しくなるんです。
また、子宮の中の羊水の量も増えるため、重くなったお腹に血管が圧迫されることで、血圧が低下すると、息苦しさや動悸などが発症します。
貧血によって息切れなどを発症
(画像出典元:慶應義塾大学医学部血液内科)
妊娠中期以降、胎盤からお腹の赤ちゃんへ多くの鉄分が供給されます。
ところが妊婦さんに貯蔵されていた鉄分が少ないと、妊婦さん自身が必要とする鉄分が欠乏した状態になってしまいますね。
また、出産に備えて妊婦さんの血液量が増えるため、相対的に血液が薄まって貧血になりやすい時期でもあります。
鉄分は赤血球の色を赤くするヘモグロビンの合成に不可欠な材料で、体内の鉄分が少なくなるとヘモグロビンの合成に支障をきたすことに。
ヘモグロビンは体内に酸素を運ぶという重要な役割があることから、酸素不足に陥り、息切れや動悸、めまいなどの症状がみられるようになるんです。
自律神経の乱れ
自律神経は、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、24時間働き続けている神経です。
体の活動時に活発になる交感神経と、安静時に活発になる副交感神経があり、その2つのバランスが崩れた状態が「自律神経の乱れ」です。
(出典元:青山・まだらめクリニック)
妊娠中期には、妊娠中の制約された生活、環境や体形の変化などから、いつの間にかストレスが溜まりがち。
このストレスは自律神経のバランスを崩す要因に。
さらに、妊娠中期は女性ホルモンが増加しますが、これもまた、女性ホルモンと同じ脳の視床下部を司令塔とする自律神経を乱す要因になるんです。
自律神経が乱れると、息苦しさや動悸、肩こり、胃もたれなど多くの身体の不調がみられるようになります。
薬の副作用によるもの
お腹の張りを抑えるために、病院で処方された張り止めの薬を服用されている妊婦さんもいらっしゃいますよね。
張り止め薬には、息切れや動悸、めまいなどの副作用がみられることもあるようです。
実際に、多くの先輩ママさんから、張り止め薬を飲んで、急に息切れなどの症状が現れたという声が上がっています。
妊娠中期に息苦しい時、どう対処すればいい?3つの対処法
急に息苦しさを感じた時には、どう対処すればいいのでしょうか?
慌てないよう対処するために3つの対処法をご紹介しますね。
横になって休む
息苦しくなった時には、ひとまず横になって休みましょう。
すぐに横になれる場所がみつからない場合は、症状が落ち着くまで座って休んでくださいね。
そして再び立ち上がる際はゆっくりとしたペースで行ってください。
そうすることで、子宮から横隔膜にかかる圧力を軽減させることができます。
息苦しい時の寝方はシムスの体位で
(画像出典元:いろどり整骨院)
身体の右側には大静脈が通っているので、身体の右側を下にして横になると、お腹が静脈を圧迫して心臓へ血液が戻りにくくなり、酸欠やむくみを起こすことも。
『横になるとかえって息苦しいな』と感じている方は、ひょっとすると右を下にして寝ているのかも?
またあお向けで寝ると、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫して低血圧になることがあります。
お腹が大きくなってからは、必ず左側を下にして横になるように心がけてくださいね。
画像のように抱き枕を使うと姿勢を取りやすく、安眠することができますよ。
お腹の赤ちゃんのためにも、正しいリズムで睡眠を取るように心がけたいものですよね。
医師に相談する
先輩ママさんからは、鉄欠乏性貧血が重症化して息切れを発症したという声も。
放っておくと、お腹の赤ちゃんも鉄分不足になり、重大なリスクを及ぼすかもしれません。
したがって、息切れの症状が現れたら、早急に医師の診断を受けましょう。
また、張り止め薬を飲まれている方も、別の薬へ差し替えてくれる可能性がありますので、医師に相談されることをおすすめします。
関連記事⇒妊娠中期3つの貧血対策~妊娠中期の貧血の症状と赤ちゃんへの影響
妊娠中期の息苦しさを防ぐ3つの予防法
妊娠中期に息苦しい症状を起こりにくくするためにはどうすればいいのでしょうか?
ぜひ取り組んでいただきたい3つの予防法をご紹介します。
鉄分をしっかり摂取する
多くの妊婦さんが発症する鉄欠乏性貧血。
これを予防するためには、鉄分を積極的に摂取するようにしましょう。
鉄分には、肉や魚に多い「ヘム鉄」と野菜などに多い「非ヘム鉄」とがあります。
消化管からの吸収率では、ヘム鉄は非ヘム鉄の5~6倍(日本人のデータでは、ヘム鉄25%VS非ヘム鉄5%)と言われています。
(出典元:みぞぐちクリニック)
したがって、「ヘム鉄」が多く含まれる食品を積極的に取るのがおすすめ。
牛肉、ブリ、マグロ、イワシなどに多く含まれます。
鶏や豚のレバーやうなぎにも「ヘム鉄」が豊富に含まれていますが、赤ちゃんに深刻な影響を及ぼすとされているビタミンAも多く含有されています。
妊娠初期から中期までの間は、摂取量に気をつけて食べてくださいね。
入浴は半身浴がおすすめ
貧血や自律神経の乱れなどから、妊娠中期の妊婦さんはのぼせやすくなっています。
全身浴では身体がしっかり温まる前にのぼせてしまうでしょうから、身体を芯からじっくり温めることができる半身浴がおすすめ。
身体を温めると血流がよくなるため、乱れた自律神経のバランスの修復や免疫力も高めるなどの効果が得られますよ。
ストレスを上手に解消する
ストレスによる自律神経の乱れをひき起こす妊婦さんは結構多いようです。
ストレスは妊婦さんにとって息苦しさだけでなくさまざまな不調をもたらします。
また、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性も。
そのため、ウォーキングやマタニティヨガなどの軽い運動をしたり、友人とおしゃべりをするなど、ご自身に合った方法でストレスを解消してくださいね。
まとめ
息苦しさや動悸など、これまで経験したことがない症状が現れると、とても不安になって、どうしたらいいのかわからなくなりますよね。
でもこの息苦しさは多くの妊婦さんが経験するものですので、あまり心配する必要はありません。
ただ、貧血は重症化すると妊婦さんだけでなく赤ちゃんにも影響を及ぼすかもしれませんので、息苦しさを感じたら、お早目に医師の診断を受けてくださいね!