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「房」という漢字について
字画数:八画
音読み:ぼう
訓読み:ふさ
「房」の意味や由来や成り立ちと特徴
「房」は、「小さな戸」「小さな台の前に座っている人」の、2つの絵から生まれた漢字です。
小さな戸の前にある小さな台の前に座って何かをしている人の様子から「あまり広くない小さな部屋」の意味になりました。
房は様々な「小さな部屋」を表す言葉に用いられています。
文房具は「勉強をする部屋」で用いる道具を示し、房中・房事などは「男女が一緒に寝る部屋」を指す。
“女房”は、もとは「妻がいる部屋」だったものが妻そのものを指す言葉となりました。
転じて、工房や酒房などの「仕事場」「お店」の意味でも用いられています。
また、乳房のような膨らんだ部分も言うことがあります。
そして、小さな部屋がいくつも並んでいる様子から、「ぶどうの房」「藤の花房」といった密集した果実や花の房を指すこともありますが、これは日本独特の言い回しです。
そこから転じて、「房飾り」や「リボンの房」などの垂れ下がった紐やリボンも表すようになりました。
家屋の中の部屋というよりは家屋そのものを指し、工房や離れなど本宅から別の建物という感じの狭い場所のようです。
絵の様子からだけではよくわからないので、とりあえず「小さな部屋」と意味付けをしているようです。
小さな部屋といえば、厨房もそうですね。
女性が家族の食事を作る台所です。
結婚したら夫の実家で暮らすことが当たり前だった時代では、そこが妻の唯一の安らぎの場所でした。
昔ですから現在のように家族ひとりひとりに部屋が割り当てられることはありませんでした。
また子だくさんの大所帯が普通でしたから、左を見れば夫やその両親が、右を見れば子供達がいるといった具合になかなか落ち着けなかったのですね。
そこで台所だけは死守したいと作り出したのが「男子、厨房に立ち入らず」という言葉でした。
これはなかなかに便利な言葉でした。
表向きは男性を立てているかのように思わせながら、台所には近寄らせない。
「水仕事は女の仕事、男がやるものではない」と子供の時から教え聞かせておくと、それを聞いて育った男の子は尊厳をもって台所には入らなくなるのです。
これは一種の洗脳のようなものですね。
けれども、書斎などがある夫とは違って妻は部屋を与えてもらえなかった時代ですから、ひとりで息抜きができる場所が必要だったのです。
ましてや、手伝いをしてくれる女の子なら役にも立ちますが、ただ立っているだけでなんの役にも立たない男性陣に台所にいられても邪魔なだけですからね。
「男子、厨房に立ち入らず」これは世代を超えて女性だけに受け継がれてきた魔法の言葉だったのです。
「房」を使った熟語
船房
意味:船室、船内の人が居住したり休憩したりする室。
監房
意味:刑務所や拘置所で罪を犯した人が収監される部屋。
文房
意味:文人の書斎で使われる文具。
書房
意味:家の中では書斎、家の外では書店という。
雑居房
意味:刑務所内で複数の受刑者が居住する部屋。
文房具
意味:文房と同じ意。筆記用具や記入する紙。
他にハサミなど勉強や仕事に必要な文具。
冷暖房
意味:室内の温度を下げたり高くしたりする装置。
世話女房
意味:夫の面倒をこまめにみる妻。
大臣官房
意味:内閣府及び各省に置かれる部局のひとつ。
「房」の説明の仕方
電話や役所の受付などで名前を伝える際、どういう漢字を書くのか聞かれる時があります。
その場合、どのように説明すればよいのか悩みますよね。
ここではその例を紹介したいと思います。
例えば、あなたの名前が房子(ふさこ)だとします。
・「ふさこのふさは、女房の房です」
これは簡単ですね。
「房」はいろんな言葉に使われています。
自分が説明しやすいように例をいくつか考えておくとよいですね。
「房」を使った名前の有名人・芸能人
小崎 政房さん(昭和期の俳優、劇作家、演出家、映画監督)
占部 房子さん(女優、声優)
藤 定房さん(江戸時代中期の歴史家)
大森 房吉さん(明治から昭和期の地震学者)
庵原 忠房さん(戦国時代の武将、今川義元に仕えた)
井上 之房さん(戦国時代から江戸時代前期の武将、黒田八虎のひとり)
宇佐 公房さん(平安時代後期から鎌倉時代の神職)
奥村 政房さん(江戸時代中期の浮世絵師)
安部 公房さん(大正から昭和期の小説家)
嘉悦 氏房さん(明治期の政治家)
歌河 芳房さん(江戸時代後期の浮世絵師)
大江 匡房さん(平安時代後期の公卿、儒学者、歌人)
「房」を使った名付け候補
紫房利(しおり)
美早房(みさお)
乙都房(おとは)
陽房(あきは)
真房(まお)
房江(ふさえ)
房花(のぶか)
紗那房(さなお)
房津穂(はつほ)
志房子(しおこ)
房子(ふさこ)
房芽(のぶめ)
房葉(よしは)
奈々房(ななお)
胡埜房(このは)
房代(のぶよ)
智房(ちお)
房紀(まさき)
希房(ののは)
房音(のぶね)
美房祢(みふね)
房都季(はつき)
志房(しのぶ)
房寧(おね)
奈房(なお)
まとめ
「房」の意味は、「あまり広くない小さな部屋」です。
しかし絵の感じから受ける印象は、部屋というよりも家屋のようです。
せまくても人がたくさんいてにぎやかで楽しそうなイメージ。
そして、その中で中心的な存在でいるのは妻であり母親なのです。
母性豊かでおおらかな優しい女性になるように。