赤ちゃんのうんちは柔らかく、黄色に近い色をしています。
これは、母乳やミルクを栄養としているからで、離乳食が進んでいくと、だんだんと形のある茶色のうんちになってきます。
赤ちゃんの下痢とうんちは一見すると同じような柔らかさではありますが、酸っぱい匂いがしたり、水が多く含んでいたりと、明らかな違いも。
消化器官が未熟な赤ちゃんは、下痢をしやすくなっています。
大人でも辛い症状の下痢。
身体の小さな赤ちゃんは、もっともっと辛いことでしょう。
できることなら下痢を防ぎ、なってしまったら早めの対処をしてあげたいですよね。
この記事では、赤ちゃんの下痢について対処法や予防法、注意点などをご紹介します。
ポイントは8つです。
- 下痢はどんな状態のことを言うの?
- 赤ちゃんの下痢を見分ける方法は?
- 赤ちゃんが下痢になる原因
- 病院に行く目安
- 下痢になったときの治療方法
- 自宅でのケア方法
- 下痢の時にミルクはだめ?3つの注意点
- 下痢を予防しよう
最後まで読んでいただければ、予防法と治療法を覚えておくことができるはずです。
ぜひ、参考にしてくださいね。
目次
下痢とはどんな状態のことを言うの?
下痢とは、健康な状態でのうんちと比較したときに、非常に柔らかいゲル状(お粥のような硬さ)や液体のようなうんちがでる状態のことを意味します。
人間や動物に起こる症状で、原因としては消化機能の異常により起こります。
軟便(なんべん)、泥状便(でいびょうべん)、水様便(すいようべん)などと呼ぶことも。
世界で毎年17億人が発症し、そのうち76万人もの5歳以下の小児が、下痢(コレラなどの感染菌)が原因で亡くなっているというデータもあります。
医療に恵まれている日本では下痢で亡くなることはほとんどありませんが、世界規模で考えると甘く見てはいけないと感じますよね。
赤ちゃんの下痢を見分ける方法は?
月齢が低いほどうんちはゆるめですが、普段よりも回数が多く、うんちが明らかに水っぽい状態ならば、下痢をしていると考えられます。
消化機能が未熟なので赤ちゃんはたびたび下痢をしますが、他に熱や咳、鼻水、よく眠れないなどの症状がなく、元気であれば心配はないでしょう。
赤ちゃんが下痢になる原因
上記のポイントで紹介したように、赤ちゃんは健康であっても下痢になる場合があります。
これを『単一症候性下痢』と言い、うんちの色が一時的に緑色になったり、ツブツブがうんちに混ざっていることがありますが、他の症状がなく元気でしたら、様子を見て問題ないでしょう。
気を付けなければいけないのは、「病気になっていて下痢をしている時」です。
赤ちゃんがなりやすい病気として『胃腸炎』と『アレルギー』があげられます。
病状別に詳しく紹介しましょう。
ウイルス性胃腸炎
症状としては、下痢、嘔吐、発熱です。
悪さをするウイルスが口や鼻から胃腸に入り込むことで発症します。
下痢をしすぎて脱水症状をおこしたり、高熱の影響でけいれんをおこしたりすることも。
ロタウイルス胃腸炎
発熱と下痢が主な症状です。
特徴的なのは、白っぽい水のようなうんちが何度も出ることと、その匂いが酸っぱいことです。
原因はロタウイルスによる感染です。
細菌性胃腸炎
腹痛と血便を伴う下痢、嘔吐がある場合は、「細菌性胃腸炎」の可能性があります。
細菌に感染したペットのふんを素手で触ったり、食べ物を口にしたりすると発症します。
アレルギー性腸炎
症状としては、下痢や発疹、痒みなどです。
他にもアレルギー反応として、唇や舌、のどの痒みや、嘔吐などが現われることもあります。
アレルギーを起こす食べ物を口にしたことが原因で発症します。
乳糖不耐性下痢(にゅうとうふたいせいげり)
主な症状は、下痢や嘔吐です。
原因はおっぱいやミルクに含まれる乳糖という成分を分解することができなかったり、不足しているために発症します。
乳糖が小腸で吸収されることなく大腸に送られるために下痢や嘔吐を起こしてしまうのです。
こちらは下痢などが要因となり一時的に併発する場合が大半を占めます。
以上の他にも、腸が原因の危険な病気の可能性も考えられます。
腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)
症状としては、急激に顔面が蒼白になり、お腹が痛くて激しく泣くのが特徴。
下痢の他に嘔吐や血便、腫瘤が触れるなどの症状が出ます。
原因は腸の中に腸の一部が入り込んでしまい重なった状態になることで起こります。
処置が遅れると腸が壊死してしまうので大変危険です。すぐに病院を受診する必要があります。
生後3カ月から1歳までの赤ちゃんに起こりやすいとされているので、このような病気があると知っておくと対処を早くできるでしょう。
赤ちゃんの下痢。いつ病院に行けばいい?
生後3カ月以内の赤ちゃんは症状が急変しやすいので下痢で食欲もなく、ぐったりしているときは、診療時間外であってもすぐに病院に行くようにしましょう。
たとえ食欲があり元気であっても急変する可能性もあります。
診療時間内にかかりつけの小児科に行って診てもらってください。
生後4カ月以降の場合は以下の症状を目安に病院を受診しましょう。
様子を見ても大丈夫な症状
下痢はしているけれど、よく眠れていて食欲もある。
水分も取れていて、元気がある場合は、様子を見てからの受診でも大丈夫でしょう。
診療時間外に病院へ
38℃ほどの高い熱が出ていても元気。下痢の回数が少ない場合は、診療時間外であっても一度診てもらうほうがいいでしょう。
緊急で受診が必要
元気がなくぐったりしていて、水分や食事がとれていない。
嘔吐や下痢を繰り返しているが、おしっこの回数が少ない。血便がある。
以上の場合は、急いで病院に行きましょう。
下痢になったときの治療方法
下痢を止めることは、ウイルスを身体の中に留めることになるのでしません。
悪いウイルスを全部下痢で身体の外に出すことで、症状が改善してくれるからです。
治療は主に整腸剤で行います。
赤ちゃんに処方される薬は『ビオフェルミン』『ビオフェルミンR』『ラックビー』『ラックビーR』です。
抗生物質と整腸剤を一緒に飲むと、腸にとって良い菌『善玉菌』まで殺菌されてしまいます。
それを防げるのが「R」がついている整腸剤です。抗生物質に殺されない菌でできている薬になります。
また、ウイルス性の下痢には抗生物質は効きませんので、自己判断で余っている抗生物質を服用しないようにしましょう。
下痢は治るまでに5日~7日間ほどかかりますが、赤ちゃんは消化機能が未熟なのでしょうがないことです。
気長にゆっくり治るのを待つことにしましょう。
自宅でのケア方法
赤ちゃんの下痢をできるだけ早く治し、症状を少しでも和らげてあげるためのケアをご紹介します。
食事
ミルクや母乳が主食の赤ちゃんは、飲めるときに少量ずつ与えてあげてください。
3時間おきや5時間おきという間隔は、下痢のときは守らなくても大丈夫です。
1時間に1度、少量を飲ませてあげるのがいいでしょう。
離乳食を始めている赤ちゃんの場合は、いつもよりも量を少な目にして、消化のよいものを選びましょう。
代表的なのは、うどんやおかゆ、野菜スープなどです。
水分補給は下痢の時に必須。
脱水症状を防ぐために、電解質や塩分を含んだ赤ちゃんの用のアクアライトやポカリスエットを薄めたものを少量ずつ何度も与えてください。
関連記事⇒赤ちゃんが下痢をした時の食事って?栄養士が教える量やおすすめメニュー
お風呂
元気で機嫌が良いのでしたら、お風呂に入っても大丈夫です。
むしろ、下痢の時はおしりが荒れやすいので、お風呂で清潔にするべきだと私は考えます。
しかし、ぐったりしているのに無理やり入れるのは厳禁です。
あくまでも元気な状態の時にお風呂に入れるようにしましょう。
また、細菌やウイルスによる下痢は湯船を通して家族に感染することがあるので、下痢がある間は湯船に浸かるのを控えたり、最後に入浴するようにしましょう。
おしりのケアとしては、うんちを拭いた後にお湯で絞ったガーゼなどで拭いて、最後にベビーパウダーやワセリンなどを塗っておくと、荒れを防ぐことができますよ。
おむつ
下痢のうんちは肌への刺激が強いので、すぐに荒れてしまいます。
うんちが出たらすぐにおむつを替えてあげるようにしましょう。
その時、ママやパパへの二次感染を防ぐために消毒を忘れずに。
うんち処理のあとは、必ず石鹸で手をよく洗ってください。
床に飛び散ったうんちを拭うときは、使い捨てエプロンや手袋、マスクをしましょう。
そしてペーパータオルなどでうんちをとった後、塩素系の漂白剤(ハイターなど)で床を拭きます。
下痢の時にミルクはだめ?3つの注意点
「牛乳を飲むとお腹を壊す」というのを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
ともなれば、赤ちゃんが下痢の時にミルクをあげてもいいものか考えてしまいますよね。
離乳食前の新生児にはミルクを与えても大丈夫です。
ですが、離乳食が始まっている場合は、なるべく乳製品は与えないようにしましょう。
下痢のときの食事については、3つの注意点があります。
①ミルクを薄めて与えるのはNG。
乳製品は消化が悪く、下痢の治りを遅くします。
ですが、離乳食を始めていない赤ちゃんの栄養源はミルクや母乳です。
それを取り除くことは命にかかわるので、ミルクや母乳は通常どおり飲ませてあげます。
できるだけ消化不良にならないためにミルクを薄めるのはどうかという意見がときどき出るようですが、
薄めてしまうと味が落ちてしまい、下痢が治ってもミルクや母乳を嫌いになってしまう可能性があります。
赤ちゃんが安心してミルクを飲めるように、粉ミルクや母乳は薄めないようにしましょう。
母乳やミルクがいつもよりも飲めていなくて、水分不足が気になるようであれば、ポカリスエットを薄めたものや、乳幼児用のアクアライトなどを飲ませると良いですよ。
関連記事⇒赤ちゃんがミルクを吐くのは病気?原因と危険、5つの対処法
②乳製品、柑橘類は食べさせない。
食欲がないとき、口当たりのよいヨーグルトを与えたくなりますが、乳製品は消化がよくないのでNGです。
チーズなども食べさせないようにしてください。
みかんやオレンジなどの柑橘類は、胃腸を刺激してしまい下痢を悪化させてしまう原因になります。
オレンジジュースなども同様のリスクがありますので、与えないようにしましょう。
③離乳食は通常どおりに。
普段の食事をお休みしてしまうと抵抗力や体力が落ちて、治りが悪くなる可能性があります。
消化の良いうどんやおかゆにしたり、野菜をコトコト煮込んだスープを飲ませたりと、下痢の時にでも離乳食を与えることは可能です。
食欲が戻ってくれば、治ってくるサイン。
たとえ少量でもいいので、食べられそうなら食べさせてあげましょう。
下痢を予防しよう!
下痢の主な原因は『ウイルス』です。
ウイルスは目に見えないものなので厄介ですよね。
なによりの予防は、殺菌・除菌をすること。
風邪と同じように飛沫(ひまつ)や人の手などを介して感染するので、周囲の大人は手洗いうがい、手指消毒を徹底してください。
赤ちゃんには殺菌・除菌ができるジェルなどで手を拭いてあげたり、自分できるようならば、外出した後は手洗いうがいを必ず行うようにしましょう。
他にも、
- 食べ物はよく加熱して食中毒を防ぐ
- ロタウイルスの予防接種を受けておく
- 湿度は50%以上をキープ(ウイルスが繁殖しにくくなります)
以上のことに気を付けておくと、下痢になる確率を下げることができるはずです。
まとめ ~赤ちゃんは下痢をしやすい。~
赤ちゃんが初めて下痢をしたとき、ママやパパにとって一大事。
私もなにが原因なのか、どうケアしたらいいのか、あたふたした経験があります。
どれぐらいの症状ならば病院に行くべきか、行かなくてもいいのか、心配でたまらなくなりますよね。
赤ちゃんは下痢をしやすいもの。これはどの赤ちゃんも同じです。
適切なケア方法や受診の目安を覚えておくことが、一番の治療の近道。
下痢になっても慌てないように、知識として頭の中に入れておきましょう。