妊娠すると吐き気やだるさなど、つわりの症状に悩まされる人は少なくありません。
私も妊娠初期には軽い吐き気とむかつき、倦怠感がしばらく続きました。
この症状も安定期に入ると軽くなりましたが、妊娠後期に再びつわりに似たような症状があらわれました。
「妊娠後期なのにつわり?」
とびっくりしたことを覚えています。
妊娠中ずっとつわりの症状が続く人も少なくありませんが、私のように後期になって再びつわりのような症状が出た場合、『逆流性食道炎』の可能性もあるそうです。
「妊婦でも胃薬って飲んでもいいの?」
「つわりとの違いがわからない」
「いつまでこの症状が続くの?」
などなど、不安や疑問が出てきますよね。
妊婦さんの逆流性食道炎は、
・妊婦さんでも飲める胃薬はある!
・つわりとはちょっとだけ症状が違う!
・食事の見直しなどで改善できる!
といった特徴があります。
逆流性食道炎で悩んでいる妊婦さんのために、予防法や対策法、食べ物などを詳しく紹介します!
参考にしてみてくださいね。
目次
つわりだと思ったら逆流性食道炎だった!?
妊娠後期に差し掛かり、
「なんだか胸やけがする」
「胃酸がこみあげてくるような感覚がある」
といった症状が出ることがあります。
多くの人は、妊娠後期にあらわれるつわりの症状だと思うでしょう。
『後期つわり』などと呼ばれることもありますが、実は逆流性食道炎であるケースが多いのです。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、食道の筋肉が緩むことで胃酸や胃液が逆流し、食道に炎症が起きる病気です。
胃酸だけでなく消化途中の食べ物が逆流してくることも珍しくありません。
食道が炎症を起こすだけでなく、
・潰瘍
・びらん
といった症状のきっかけとなることもあります。
逆流性食道炎の主な4つの症状
逆流性食道炎の主な症状は、
・胃もたれ
・吐き気
・胸やけ
・胃痛
この4つです。
この4つに加えて、
・ゲップ
・咳
・のどの痛み
・呑酸(酸っぱいものや苦いもの)がこみあげてくる
・お腹の張り
といった症状が出ることも多いです。
つわりとの違いは?
逆流性食道炎はつわりの症状とよく似ています。
妊婦さんの多くは逆流性食道炎と気づかずに、つわりが戻ったと思ってしまいます。
実は私もそうでした。
つわりは、
・食事のタイミングに関わらず吐き気やむかつきがある
・においでも気持ち悪くなる
・体がだるい
などが主な症状ですよね。逆流性食道炎は、
・食事のあとに起こりやすい
・空腹時や夜間に胸やけが起こる
といった特徴があります。
逆流性食道炎はつわりの症状と似ているため区別がつけにくいですが、つわりの症状に加えてのどに違和感がある場合は逆流性食道炎の可能性が高いです。
妊婦が逆流性食道炎になりやすい2つの理由
逆流性食道炎は、
・加齢
・脂肪分の摂りすぎ
・姿勢の悪さ
・ストレス
などが主な原因といわれています。
妊婦さんは逆流性食道炎になりやすいといわれていますが、その理由は2つあります。
- 大きくなったお腹に胃が圧迫される
- ホルモンバランスの変化
お腹が圧迫されて胃酸が逆流しやすくなる
妊娠後期はお腹がどんどん大きくなり、内臓を圧迫します。
特に影響を受けるのが胃です。
胃は大きくなった子宮に押されて上に持ち上げられ、横隔膜や肺など上からの圧迫も受けるようになります。
そのため胃酸や胃液が逆流しやすくなるのです。
胃液は強い酸性ですから、これが逆流することで食道を荒らしてしまいます。
妊娠中はホルモンバランスが変わる
妊娠すると妊娠を継続するためにプロゲステロンというホルモンの分泌量が増えます。
このホルモンには、
・食道の筋肉を緩める
・消化機能を低下させる
といった影響が出るということがわかっています。
食道の筋肉が緩むことで胃酸が逆流しやすくなり、消化機能が低下することで胃もたれを感じやすくなるのです。
プロゲステロンは出産するまで分泌量が多く、出産すると同時に分泌量は急激に減少します。
妊婦が逆流性食道炎にならないためには
妊婦の逆流性食道炎は、ある程度予防することができます。
予防法は次の3つ。
・食べ過ぎないようにすること
・ゆっくり食べることを心がける
・胃にやさしい温度がカギ
妊娠後期になってからなんとなく胃の調子が悪いな、と感じたら、次の予防法を取り入れてみてくださいね。
食べ過ぎると胃に負担がかかる!
つわりの症状が落ち着き、妊娠後期に入るころまでは食欲も旺盛になります。
「今まで食べられなかった分を食べちゃおう!」
「こんなにおいしく感じられてうれしい!」
というように、妊娠後期はつい食べ過ぎてしまう時期でもあります。
食べ過ぎは胃に負担がかかります。
大きくなったお腹に圧迫された胃は、食べ過ぎるとさらに窮屈に。
さらに消化機能が低下し、胃もたれの原因となってしまいます。
食事はよく噛んでゆっくり食べよう!
早食いも逆流性食道炎を引き起こすきっかけとなることがあります。
妊娠後期は消化機能が低下している時期ですから、
・よく噛む
・ゆっくり時間をかけて食べる
この2つを意識するだけで胃への負担を減らすことができますよ。
冷たすぎても熱すぎてもNG!
食事の温度も逆流性食道炎を防ぐひとつのポイントです。
寒い季節には熱いお茶を飲みたくなりますよね。
熱い季節にはキンキンに冷えた飲み物がおいしいです。
このような熱いもの・冷たいものは胃に負担がかかってしまいます。
胃をびっくりさせないために、
・飲み物は常温のものを選ぶ
・食事は少し冷めてから
といったように、胃にやさしいものを選ぶようにしましょう。
妊婦さんの逆流性食道炎、3つの対処法
妊婦さんは逆流性食道炎になりやすいです。
特に妊娠後期は逆流性食道炎の症状が出やすい時期。
もし逆流性食道炎のような症状が出てしまった場合、どのような対処法をすればいいのでしょう。
逆流性食道炎の対処法は次の3つです。
- 食生活の見直し
- 姿勢の改善
- ゆとりのある服装
具体的にどのようなことをすればいいのか詳しく見ていきましょう!
食生活を見直すことで症状を改善
逆流性食道炎を緩和するには、食事内容に気を使うことが大切です。
・消化のいいものを食べる
・よく噛んで食べる
・栄養バランスに気を付ける
・胃の刺激になるものは避ける
など、胃に負担をかけない食生活を心がけることが大切です。
特に胃に不調を感じているときは、
・温野菜
・豆腐
・柔らかくゆでたうどん
・おかゆ
など、温かく消化が良いものを食べるようにしましょう。
姿勢を良くすると胃の圧迫が取れる
逆流性食道炎の原因のひとつに、姿勢の悪さがあることを紹介しました。
原因が姿勢の悪さである場合、姿勢を改善してあげることがもっとも早い解決策です。
・背中を伸ばすことを意識する
・前かがみにならない
・肩甲骨を中心に寄せる
・骨盤を立てる
・ストレッチをして背中の筋肉をほぐす
などを取り入れて、普段の姿勢を見直してみてください。
姿勢を矯正することで胃の圧迫感が取れ、逆流性食道炎の症状が軽くなることも。
妊婦さんはなかなか難しいこともありますが、背中のストレッチをすることはとってもおすすめですよ!
ゆったりした服装で締め付けを軽減
妊婦さんはお腹の圧迫を避けるために、普段からゆったりした服装を心がけていますよね。
洋服だけでなく下着は大丈夫ですか?
妊婦さんの逆流性食道炎は、意外と下着が原因だったということも少なくありません。
・ブラのサイズは合っているか
・腹帯が苦しくないか
など、もう一度サイズのチェックをしてみてくださいね。
洋服も、腹部だけにゆとりがあればいいというわけではありません。
背中や腕などフィット感のあるものは避けるのがベター。
逆流性食道炎で気を付けたい食品3選
逆流性食道炎を防ぐため・症状を悪化させないためには、次の3つの食品は避けましょう。
- 脂っこい食べ物
- 甘いお菓子
- 刺激の強い食べ物
脂っこい食べ物は胃に負担がかかる
・揚げ物
・スナック菓子
・ケーキ
これらの食べ物は脂肪分が多く胃に負担がかかりやすいです。
つわり中でも揚げ物なら食べられたという妊婦さんは多いですよね。
私もそうだったのですが、いい気になってフライドポテトやから揚げをパクパク食べていたら、最終的に胃もたれして気持ち悪くなった、ということが妊娠中よくありました。
逆流性食道炎の症状があるときは特に、脂っこい食べ物は避けましょう。
甘いお菓子もNG
・和菓子
・洋菓子
・チョコレート
などの甘いお菓子は、消化が悪く胃に負担がかかります。
少量であれば大きな影響はありませんが、毎日大量のチョコレートを食べたり毎日ケーキやおまんじゅうを食べたりするという生活をしている人は注意が必要です。
刺激のあるものは胃の炎症を悪化させる
・強炭酸系飲料
・唐辛子
・にんにく
・カフェイン
・酢
これらは胃への刺激が強く、胃が炎症を起こしている場合さらに症状を悪化させてしまいます。
キムチやカレーなど、香辛料がたっぷり使われている食品は避けたほうがいいでしょう。
妊娠中は味覚に敏感になっている人も多いです。
刺激のあるものは胃の調子が良くても避けたほうがいいかもしれません。
逆流性食道炎を緩和してくれる食品3選
では反対に、逆流性食道炎の症状を緩和してくれる食品はあるのでしょうか。
今回おすすめしたいのは次の3つです。
- 乳製品
- 野菜や豆類
- 白湯
牛乳やヨーグルトなどの乳製品がおすすめ!
・牛乳
・ヨーグルト
この2つは胃に膜を張り、胃を刺激から守ってくれる効果があると期待されています。
よくお酒を飲む前に牛乳を飲むといい、なんて言われますよね。
これも牛乳が胃に膜を張ることで、アルコールの吸収を抑えるからなんです。
胃の調子が悪いなと感じたら、食事からの刺激を軽減させるために、乳製品を取り入れてみてください。
ただし、アイスクリームや生クリームは脂肪分が多いのでおすすめできません。
野菜や豆類は消化がいい!
柔らかくゆでた野菜や豆類は、消化を助ける働きがあります。
野菜は
・葉物野菜
・根菜
・イモ類
など、バランスよく取り入れましょう。
柔らかくゆでたものをしっかり噛んで食べることが大切です。
豆類は柔らかくゆでないと消化が悪くなってしまいます。
乾燥豆はよく戻してしっかり加熱してから食べましょう。
面倒な場合は、すでに加熱加工された缶詰やパウチの豆類を購入し、煮豆などにして食べるのがおすすめ。
白湯は体の調子を整えるためにおすすめ!
健康な人は白湯を飲んでいる、ということを聞いたことはありませんか?
私の周りでも生き生きとしている人に話を聞くと、白湯を飲んでいる人が多いことに驚きました。
白湯はアツアツの状態では飲まず、50度程度に冷ました『湯冷まし』がおすすめ。
・食事の前後
・寝る前
・起きてすぐ
などに白湯を取り入れると胃の働きが良くなり、体を温める効果もありますよ。
妊婦でも胃薬を飲んでも大丈夫?
次に気になるのが胃薬です。
「妊婦は薬を飲めないから困っている」
「妊婦でも逆流性食道炎の薬を飲んでいいの?」
と思っている人も多いでしょう。
私も妊娠中はちょっと調子が悪くても「薬は飲めないから」と我慢していました。
しかし妊婦でも飲める胃薬はたくさんありますよ。
妊婦でも飲める胃薬はたくさんある!
『妊婦=薬はすべてNG』というイメージですよね。
胃薬に限っては、妊婦でも飲めるものがたくさんあります。
・太田胃酸
・セルベール整腸薬
・ザ・ガードコーワ整腸錠
・新ビオフェルミンS錠
・エビオス錠
・ミヤリサン錠
・パンシロンAZ
ざっと調べただけでもこれだけありました。
症状が出た時だけ飲めるものや、常用服用してもあまり影響がないものなどいろいろあります。
まずはかかりつけの産科医に相談しよう
妊婦でも飲める胃薬はたくさんありますが、自己判断で市販薬を飲むことはおすすめできません。
まずはかかりつけの産科医に相談しましょう。
・どんな胃の不調があるか
・逆流性食道炎の可能性はあるのか
・飲みたい市販薬があるが飲んでもいいか
などをきちんと確認したうえで飲むようにしましょう。
市販薬ではなく症状に合った薬を処方してくれることもあります。
その場合は、市販薬ではなく処方薬を飲んだほうが安心です。
逆流性食道炎は出産とともになくなるケースが多い!
「この胃の痛みはいつまで続くの?」
と不安や不快感がある妊婦さんも多いでしょう。
妊娠後期から逆流性食道炎の症状が出た場合、出産するまで続くケースも少なくありません。
しかし出産すると同時に症状がまったく出なくなる人が多いことも特徴のひとつです。
赤ちゃんが生まれて胃のつかえがなくなった
今まで胃を圧迫していた赤ちゃんが生まれてきたことで、胃がもとの位置に戻りすっきりします。
圧迫感がなくなれば逆流性食道炎の症状もパタリとなくなることが多いです。
赤ちゃんが生まれても胃の痛みや胃酸の戻りなどが気になる場合は、医師に相談することをおすすめします。
ホルモンバランスが整い始める
出産をしたからといってすぐにホルモンバランスが整うわけではありませんが、食道の筋肉を緩めているプロゲステロンの分泌は減少します。
この影響で食道の筋肉は正常に働くようになり、胃酸が逆流しなくなるというわけです。
まとめ
逆流性食道炎は妊婦さんのマイナートラブルのひとつ。
特に妊娠後期に逆流性食道炎の症状が出やすいことが多いです。
つわりとよく似た症状ですが、つわりと違って対策法があります。
・食生活の見直し
・姿勢の改善
・ゆとりのある服装
これらの対策法を試してみてくださいね。
妊娠中の逆流性食道炎は出産までの辛抱です。
お腹にやさしい食事を取り入れるなどして、乗り切りましょう!
あまりにも症状がつらい場合は無理をせずに医師に相談してくださいね。