「広」という漢字について
音読み:コウ
訓読み:ひろ(い)、ひろ(まる)、ひろ(げる)、ひろ(がる)
画数:五画
姓や名前に用いられる場合には、他にも読み方があります。
「ひろむ」「お」「たけ」「みつ」「とう」「やす」「ゆたか」などです。
目次
「広」の意味や由来や成り立ちと特徴
漢字の由来は、「屋根の広い大きな建物」。
成り立ちは、屋根の下に、人がいる様子を表した象形。
特徴は、屋根の下にいる人が「腰に玉をつけている」こと。
玉は宝石を示していることから、身分の高い人を表しています。「広」の正式な漢字は「廣」です。
古代中国では黄色が身分の最上位とされていたので、屋根の下にいるのは「王」を指しています。
建物は「王が住む広く大きな宮殿」。
そのことから、「広」は面積や範囲などが広いことを表す漢字となりました。
意味は、「広い」「広げる」「広める」「広がる」「広さ」「広がり」「虚しい」。
「広」の本来の意味は「広い」のみ
「広」の持つ本来の意味は、面積や範囲などの土地の広さを表すだけのものでした。
それがいつの頃からか、「広い」だけの意味ではなくなっていました。
それは古代中国からなのか、それとも日本に漢字が伝わってからの日本独自の解釈なのかは意見が分かれるところです。
広がっていった意味の解釈
「広」が「広い」だけの意味から変化していったのは、「王」が関係しているからだと言われています。
領土を「広げる」、命令を国民に知らしめるために「広める」、命令が国の隅々まで口伝で伝わってゆくことを表した「広まる」。
やがては王とは関係のない「布を広げる」、「被害が広がる」「噂が広まる」、果ては精神的な「空しい」などの意味まで広がっていきました。
(「空しい」は一見「広」とは関係のないように思われますが、「広い場所に何もない状態」を表しています)
「広」を使った熟語
「広」を使った熟語には、元々の「広い」を表すだけではなく、変化していった「広げる」「広める」「広がる」「広さ」「広がり」「虚しい」などの意味を含むものまで見受けられました。
一部書き出してみます。
二字熟語・・・広域、広益、広縁、広義、広告、広宣、広範、広聴、広言、広略
三字熟語・・・広葉樹、広範囲、長広舌、広角端、
四字熟語・・・広域行政、誇大広告、広域入所、広角接写、広大無辺、
まだ多数ありましたが、意味が重複するので省きました。
三字熟語以降は言い回しや格言や名詞などに使われることが多いようです。
「広」の説明の仕方
口頭で名前を伝える際、どういった漢字を書くのか聞かれる時があります。
例えば、あなたの名前が「広美(ひろみ)」だとします。
その場合、「広」をどのように説明すればよいのでしょうか。
ここで例を挙げてみます。
・「ひろみのひろは、広島の広です」
これは簡単ですね。
「広島の広」と言われてわからない人はいないでしょうから。
「広」を使った名前の有名人・芸能人
大口 広司さん(おおぐち ひろし・ミュージシャン、俳優、服飾デザイナー
矢崎 広さん(やざき ひろし・ミュージカル俳優)
平田 広明さん(ひらた ひろあき・声優、俳優、ナレーター)
福崎 和広さん(ふくざき かずひろ・テレビドラマ、映画俳優)
佐藤 貴広さん(さとう たかひろ・俳優、映画監督)
真田 広之さん(さなだ ひろゆき・俳優、歌手)
室井 光広さん(むろい みつひろ・小説家、文芸評論家)
水野 広徳さん(みずの ひろのり・海軍の軍人、軍事評論家)
西尾 末広さん(にしお すえひろ・大正から明治の政治家)
河角 広さん(かわすみ ひろし・昭和期の地震学者)
安藤 広太郎さん(あんどう ひろたろう・明治から昭和の農政家、農学者、農学博士)
五十嵐 広三さん(いがらし こうぞう・昭和から平成の実業家、政治家)
駒田 徳広さん(こまだ のりひろ・元プロ野球選手、野球解説者、タレント)
佐藤 広純さん(さとう ひろずみ・俳優、歌手、和太鼓奏者)
岡本 広美さん(おかもと ひろみ・女優、タレント)
役所 広司さん(やくしょ こうじ・俳優、声優)
「広」は漢字の読みから女性の名前に不向きだった
冒頭の漢字の説明で記したように、「広」の読みは男性向けが多く、女性の名前に用いるには難しかったようです。
けれども、平成になってからは三字名が増え、可愛い名前を求める傾向から工夫を凝らして、「広」の漢字を女の子に用いる親が増えています。
「広」を使った名付け候補
菜広未(なおみ)
利広子(りおこ)
美広(みひろ)
弥広(みお)
広海(ひろみ)
広夢(みつむ)
実広子(みおこ)
玲広奈(れおな)
真広(まひろ)
広与(ひろよ)
広子(ひろこ)
広佳(たけか)
広美(こうみ)
千広(ちひろ)
広奈多(ひなた)
菜々広(ななお)
広葉(やすは)
広都葉(おとは)
広湖(とうこ)
広音(おね)
紗広莉(さおり)
広希(みつき)
亜広李(あおい)
広羽(みつは)
広香(ひろか)
まとめ
漢字の幅広い形から、物事に動じないスケールの大きさを感じさせます。
見た目も響きも可愛くて、明るく爽やかな印象を与えます。
広い心を持って多くの人を許容する優しい女性に成長するよう願いを込めて、この漢字を大切な我が子に用いられてみてはいかがでしょうか。