目次
「祝」という漢字について
字画数:九画
音読み:しゅく、しゅう
訓読み:いわ(う)
「祝」の意味や由来や成り立ちと特徴
「祝」は、「神にいけにえを捧げる台」「ひざまずき祈りを捧げる人」の、2つの絵から生まれた漢字です。
神にいけにえを捧げたあと台の前でひざまずいて祈りを捧げている人の様子を表していることから、「神や仏に祈る」という意味になりました。
本来は「祈る」が正しい意味です。
それが転じて、「祝(いわ)う」という意味に変わりました。
「祈り」が「祝う」にどうつながったのかは諸説ありますが、祈った結果それが叶えられた時に喜び祝ったことから「祝う」の意味が強くなったという説が有力視されています。
純粋に考えればその説以外には考えられないのですが、かつて「祝」には「呪う」という意味も含まれていたため単純に「喜び祝う」と結びつけられないと言う学者もいるようです。
確かに他人の不幸を祈ったあとでそれが叶えられたとしても喜び祝う気持ちにはなりませんね。
ましてや「祝う」という意味に当てはめるのは道義上、無理があるというものです。
ですから様々な説がありますが、まだどれが正しいかは判断が難しいようなのです。
しかし、どのような経緯であれ「祝」は「祝う」という意味になりました。
音読みでは「祝福(しゅくふく)」「祝電(しゅくでん)」「祝言(しゅうげん)」「お祝儀(おしゅうぎ)」、訓読みでは「祝う」という喜びを表す言葉が一般的となったのです。
日本人は、根本的に宗教については寛容だと言われています。
仏教や神道が日本古来の宗教とされていますが、他の国のように民族特有の宗教としては縛られていません。
歴史上、一時期だけキリスト教は禁じられていましたが、開国してからはキリスト教だけでなくいろんな宗教を信仰するようになったのです。
その際、日本人のユニークなところは、その宗教のいいところだけを取り入れてしまうのです。
そして、お祝いにしてしまいます。
美味しい食事を食べてお酒を飲んで楽しいイベントにしてしまう。
最近ではハロウィンがそうですね。
皆が街に出て見ず知らずの者同士がお祭り騒ぎ。
本場のキリスト教の国の人達まで日本のハロウィンの方が面白いと、わざわざ観光に訪れるくらいです。
そういうことを書いていてふと思ったのですが、「祈る」が「祝う」に変わったのはキリスト教が解禁されてクリスマスを祝うようになったからかもしれませんね。
本来は「神に祈りを捧げる日」であるクリスマスを日本人が勘違いして「お祝いの日」としてしまったことから「祈る」と「祝う」が同義になってしまったのかもしれません。
「祝」を使った熟語
慶祝
意味:ある事柄を喜んで祝うこと。
祝言
意味:祝いの言葉。
または昔の婚礼の言い方(例:祝言を挙げる)。
祝賀
意味:ある事柄をめでたいとして祝うこと。
祝砲
意味:祝意を表すため空に向けて撃つ空砲。
快気祝
意味:お見舞いに来てくれた人に快気を知らせる意味を込めて祝いの品を贈ること。
祝儀花
意味:めでたい席にいける花。
御免祝
意味:大相撲で、協会が関係者を招待して本場所開催を祝う会。
不祝儀袋
意味:通夜や葬儀の際に金品を包む袋のこと。
予祝儀礼
意味:農耕儀礼。
その年の豊作を祈って小正月に行う祝いの儀式。
御祝奉行
意味:室町幕府の職務のひとつ。
宴席を取り仕切る役目の人。
「祝」の説明の仕方
電話や役所の受付などで名前を伝える際、どういう漢字を書くのか聞かれる時があります。
その場合、どのように説明すればよいのか悩みますよね。
ここではその例を紹介したいと思います。
例えば、あなたの名前が祝子(よしこ)だとします。
・「よしこのよしは、祝電の祝です」
これは簡単ですね。
「祝」はいろんな言葉に使われています。
自分が説明しやすいように例をいくつか考えておくとよいですね。
「祝」を使った名前の有名人・芸能人
後藤 祝秀さん(元プロ野球選手、俳優)
津川 祝子さん(女優、声優)
松平 信祝さん(江戸時代中期の大名、老中)
中田 祝夫さん(昭和から平成期の国語学者)
北高 全祝さん(戦国時代の曹洞宗の禅僧)
木下 祝郎さん(昭和から平成期の研究者、のち功績を認められ経営者となる)
「祝」を使った名付け候補
美祝奈(みいな)
胡祝梨(このり)
祝美(よしみ)
結祝(ゆい)
祝絵(ときえ)
叶祝(かのり)
詩祝七(しいな)
美祝香(みのか)
祝々胡(ののこ)
祝花(のりか)
実祝(みのり)
祝奈(しゅうな)
祝子(ときこ)
祝(はじめ)
栄祝子(えいこ)
与祝美(よしみ)
祝絵瑠(のえる)
舞祝子(まいこ)
華祝子(かのこ)
緋祝羽(ひのは)
祝恵(よしえ)
祝葉(ときは)
祝緒(ときお)
琴祝(ことの)
祝埜(よしの)
まとめ
「祝」の元々の意味は「祈る」であり、それが転じて「祝う」になりました。
そのため、楽しい祝いの字でありながらもどこか神聖な感じがしますね。
そのせいか、名前に用いれば、おしとやかで奥ゆかしい印象になります。
そして愛らしい。
読みも多いことから声に出した時の響きにも違和感はありません。
結婚しても相手方の姓に自然に馴染むでしょう。
いつも穏やかで、ささやかな喜びも幸せと感じられる女性になるように。