羊水検査はよく知られていても、絨毛検査はご存じない方も大勢いると推測されます。
実はこの絨毛検査は羊水検査より早い初期の段階から行えます。
羊水検査と同じようにメリットやデメリットや絨毛検査を行う事による問題もありますのでお伝えしていきますね。
目次
■絨毛検査とは?
「絨毛検査」とは羊水検査と同じように胎児の状態を把握するために行われる「出生前診断」の1つの方法です。
羊水検査より早い段階で実施できる検査なのですが、この検査が実施されている医療機関が少ない為、普及していません。
羊水検査と同じく「確定診断」として用いていて、主には超音波検査からの異常が見つかった時でも実施される場合があります。
■絨毛検査で何がわかるの?
絨毛検査では、胎盤の元となる絨毛細胞を採取して胎児の染色体異常や遺伝性疾患の可能性が在るか否かを把握する事ができます。
培養の必要がなく、膨大な数の胎児の細胞をチェックする事が実現できます。その為、DNA診断としても活用されています。
絨毛検査が実施される条件には主に以下のような事が条件に挙げられます。
<実施条件>
- 両親のいずれかが染色体異常が見られる
- 過去の出産で染色体異常児分娩をしたことがある妊婦
- 高齢妊婦(40歳以上)
- 妊婦や配偶者が重い遺伝病がある
- 胎児が重篤な病気になる恐れがある
<検査でわかる病気>
染色体の変化による異常や遺伝子異常は、全て絨毛検査で把握することができます。
以下はその中の代表となる疾患です。
- Duchenne_Becker型筋ジストロフィー
- 福山型筋ジストロフィー
- 血友病A・B
- 21トリソミー
- 水酸化酵素欠損症
- オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症
■絨毛検査の検査方法は?
「経腹壁法」と「経頸管法」の2通りあり、子宮内の絨毛の位置によって絨毛検査の採取方法が決定されます。
検査時期は主に10~14週目に行われ、羊水検査の羊水穿刺法よりも早い時期に行えます。
きちんと絨毛を採取できているか、他の組織が混ざっていないかが誤診の原因にもなりますので、厳しくチェックします。
方法の手順は以下に述べていますので、方法が気になる方はご参考になさってくださいね。
<経腹壁法>
経腹壁法は、羊水検査と同じく針をお腹に指して細胞の採取を行います。
絨毛の位置が子宮前壁付近にある場合には。経腹壁法が行われます。
1.経腹壁法では羊水検査と同じように、お腹の消毒を行う
2.超音波検査を行いながら、胎児の位置や臍帯の場所を確認する穿刺する箇所を決める
3.穿刺する場所周辺の消毒が行われ、必要であれば局所麻酔が行われる
4.穿刺して吸引し、絨毛を採取する
5.30分間安静にして、問題がなければ帰宅できる
絨毛の採取に必要な時間は約10~15秒でまたたく間に完了します。
その後は約30分ベッドで安静にし、状況に応じて抗菌薬を数日間の処方薬をもらって帰宅できますよ。
<経頸管法>
絨毛の位置が子宮口付近や子宮後壁にある場合には、経頸管法が行われます。
1.診察台に乗る
2.絨毛の位置を超音波検査で確認しながら行う
3.消毒を行い、子宮口まで器具を入れて胎嚢を傷つけないように慎重に絨毛部位へ
4.採取を行い、消毒を行い終了
■絨毛検査の結果はいつ出るの?
絨毛検査の結果が出るまでには2~3週間かかります。結果が心配になりますが、あまり過敏になる事無く落ち着いて待ちましょう。
■絨毛検査の費用はどのくらい?
絨毛検査の費用は医療機関にもよりますが、羊水検査と同じで相場は10万~20万円になります。
保険は適用になりませんし、リスクもあります。
簡単に受けられる検査ではないですので家族や家族の周囲の方も含めしっかりと話し合いが必要になります。
■絨毛検査にはリスクがあるの?
破水
経頸管法による採取で多くの場合、感染との合併で破水が起こると考えられています。
出血
経頸管法では約10%の方に出血が見られます。
採取部分から出血が続く事や血腫ができてしまう事があります。
血腫ができた場合にも、妊娠16週までには血腫は消滅することがほとんどですので安心して下さいね。
脱落膜の間と絨毛のある部分の間に傷がつくと、多量出血する場合があり、この場合は入院する必要があります。
感染
子宮内に細菌や真菌が入ってしまい絨毛羊膜炎のリスクも出てきます。
流産
約1%の確率で流産が起こるとされています。
妊娠の初めの頃に実施される検査のため、妊娠初期による流産も多いので羊水検査を上回る結果です。
しかしながら、絨毛検査による流産も低いながら起こりますのでリスクがあります。
■絨毛検査のメリットやデメリット
絨毛検査などの出生前診断を受ける事で産後の予定を経てる事ができるので「検査して良かった」と思う方もいれば、反対に「検査しない方が良かった」と受けたことを後悔する方もいます。
論理的なメリットやデメリットをご紹介していきますね。
◇メリット
確率ではなく、ほぼ間違いのない結果が認識する事が期待できる
◇デメリット
- 母体への負担もある
- 流産の恐れがある
- 実施されている医療機関が少ない
- 検査費用が高い
- 子の障害を向き合うことができず精神的に辛い思いをする
■出生前診断の種類とは?
お腹の胎児が元気で健やかな成長することを望むのは親御さんとしまして当たり前の事ですよね。
それに対し、全員が正常な状態で誕生してくるということはありません。元々疾患を持っている乳児もいます。
更に、妊娠中には気づかなかった疾患が、出産してからに明らかになることもあり得ます。
この頃では、出生前診断をして欲しいといった欲望があるのなら、検査が誰でも可能なのです。
異常の傾向がある時に、絨毛検査や羊水検査を行なうのも、原則的にはご自身の意思決定に左右されます。
- 母子血清マーカー検査
- 超音波検査
- 母体血胎児染色体検査
- 羊水検査
- 絨毛検査
■まとめ
絨毛検査を含める出生前診断は気軽にする検査ではありません。
後に赤ちゃんの命の選択し「人工中絶」を選択する人もいれば、妊娠状態を続けて「出産」に差し掛かる人もいる事を認識してもらいたいです。
リスクやデメリットも十分に知った上で家族との話し合いの機会をもって、相談しましょう。