「葉酸の摂取上限量は決まっているの?」
「過剰摂取したら胎児に影響はある?」
このような悩みをお持ちではありませんか?
葉酸は適量を摂取さえすれば、ママと胎児に嬉しい効果をもたらしてくれます。
しかし、過剰摂取すると悪影響を及ぼすことが研究で判明しているのです。
例えば、赤ちゃんに自閉症が発症する確率は2倍にもなります。
そもそも妊娠期には、どのくらいの葉酸を摂取すべきなのでしょうか?
今記事を読むことで、各妊娠時期に必要な葉酸摂取量、過剰摂取が及ぼす7つの影響、過剰摂取を防ぐ方法が分かります。
ぜひ今記事を参考にして、赤ちゃんの健康と成長を守れる葉酸摂取を行ってください。
目次
赤ちゃんの成長に役立つ葉酸!妊娠期はどのくらい摂取すべき?

水溶性ビタミンの一種である葉酸は、赤ちゃんの成長には欠かせない栄養素です。
葉酸は、細胞分裂を促進して赤ちゃんの成長を促す、先天性障害のリスクを下げる、子宮内膜の状態を整え妊娠確率をアップさせるなど様々な働きをしてくれます。
特に、神経管閉鎖障害という生涯にわたって深刻な問題を引き起こす障害発症リスクを下げるので、神経管が形成される妊娠初期には、必ず葉酸サプリを飲まなければいけません。
そんな葉酸ですが、摂取量をご存じでしょうか?
どんなに優れた働きをしてくれる栄養素であっても、過剰摂取をしてしまっては身体に悪影響を及ぼしてしまうのです。
妊婦の場合は、母体だけではなく胎児にも影響が及びます。
葉酸の過剰摂取による影響を知る前に、まずは推奨摂取量を知りましょう。
推奨量さえ守れば、何も問題は起きません。
妊活中から妊娠初期は葉酸をたっぷりと摂取

妊活中と妊娠16週目ころまでは、かなり多くの葉酸を摂取する必要があります。
日本人成人女性の1日当たりの推奨摂取量は240㎍です。
しかし、妊活中と妊娠初期は倍以上の摂取が必要となります。
厚生労働省によると、妊娠初期と妊活中は食事性葉酸240㎍とサプリメントなどから400㎍の葉酸を摂取することが推奨されています。
通常の約2.7倍ものの葉酸摂取が必要となるのです。
【妊活中から葉酸サプリを飲むべき理由】
葉酸が妊活中から摂取すべきと言われる理由は、神経管が形成される時期は妊娠の兆候が表れないからです。
神経管が形成されるのは、妊娠の超初期。受精後約17日目には神経系のもとになる神経板が形成されるのです。
すでに神経管が形成されたときに妊娠が発覚することはよくあります。
神経管が形成される前から、十分な量の葉酸を摂取できるように、妊活中から葉酸サプリを摂取しましょう。
妊娠中期から出産までは通常の2倍摂取

妊娠中期からは葉酸摂取量は少し減りますが、それでも一日当たり480㎍の葉酸摂取を厚生労働省は推奨しています。
注意点は、厚生労働省が推奨しているのは、食事性葉酸240㎍+食事性葉酸240㎍の計480㎍だということ。
妊娠初期はサプリメントなどから400㎍の葉酸摂取でしたが、初期以降は食事からだけでもいいのです。
食品に含まれる葉酸は天然葉酸ですが、多くのサプリに含まれる葉酸は合成葉酸。
2つの葉酸の違いは、体内吸収率にあります。
天然葉酸の場合は約50%しか吸収されませんが、合成葉酸だと約80%も吸収されるのです。
体内吸収率の良さを考慮し、葉酸摂取量が重要となる妊娠初期は合成葉酸が勧められます。
しかし、中期以降は480㎍摂取できれば天然葉酸でも構いません。
合成ものが気になるという方は、天然葉酸配合のサプリに変えても良いですね。
授乳期間中も平均以上の葉酸が必要
葉酸は良質な母乳を作るために必要なので、授乳期間中も意識して摂取しなければいけません。
厚生労働省は1日当たり340㎍の葉酸摂取を推奨しています。
授乳婦も天然葉酸・合成葉酸どちらを摂取しても構いません。
葉酸の過剰摂取をした時に起こる7つのこと

妊娠中は通常よりも2倍以上の葉酸摂取が必要となりますが、厚生労働省は摂取量の上限も定めています。
上限は1,000㎍で、それを超えると過剰摂取になるというわけです。
ここからは、葉酸の過剰摂取を続けたときに起こりうる7つのことを解説します。
1.自閉症につながるリスクが高くなる
葉酸の過剰摂取を続けると、産まれてくる赤ちゃんに自閉症が伴うリスクが2倍ほど高まる可能性があると研究で判明しています。
研究を実施したのは、ジョンズ・ホプキンス大学。
研究では、アメリカ合衆国内にいる1,391名の母親と子どものデータを調査しました。
母親の血液中の葉酸濃度を調べると、10人に1人が極度に高い葉酸濃度を示しており、その母親は自閉症の子どもを持っていることが極めて高かったのです。
同様に、ビタミンB12を過剰摂取すると自閉症のリスクが高まるとも判明し、葉酸とビタミンB12ともに過剰摂取した場合は自閉症のリスクが3倍も高くなります。
女性たちが葉酸を過剰摂取していた理由は明らかになっていませんが、以下3つのいずれかが原因と考えられているようです。
・サプリメントの過剰摂取
・食品からの過剰摂取
・遺伝的に葉酸を吸収しやすい体質
この研究結果を受けて、科学者たちは以下のように結論付けました。
「適量の葉酸を摂取することは非常に有効だが、過剰摂取は悪影響を及ぼす可能性が高くある。葉酸とB12を摂取するとき、妊婦は摂取量に注意する必要がある」
妊娠期間中は栄養摂取の重要性ばかり強調されますが、どの栄養成分であれ過剰摂取は害になることを知っておきましょう。
アプリなどで栄養管理を行うと良いですね。
2.がんリスクが高まるかも

動物を対象にした臨床実験で、葉酸の過剰摂取は乳がんリスクを高める可能性があると判明しています。
それだけではなく、直腸がんやその他のがんリスクも高めるのではと指摘されているのです。
しかし、まだ人体を対象とした研究は行われておらず、あくまでも可能性があるということ。
がんリスクと葉酸過剰摂取の関係性を証明するためには、数多くの実験が実施される必要があります。
3.貧血と認知症のリスクが高まる
ビタミンB12は葉酸と協力して、赤血球中に存在するヘモグロビンを作ったり、神経機能を正常に保ったりする働きがあります。
葉酸が正常に機能するためには欠かせない成分で、不足すると貧血などを起こします。
妊娠中は胎児の血液も作る必要があるため、ビタミンB12の需要が高まります。
そのため、ビタミンB12不足になりやすいのです。
ビタミンB12欠乏症が発症すると、貧血や立ちくらみ、息切れ、めまいなどが起きます。
しかし、葉酸を過剰摂取していると、余った葉酸がビタミンB12の不足を補うかのように働きます。
そのため、一見すると体に大きな問題が現れないので、ビタミンB12欠乏症に気づきにくくなってしまうのです。
ビタミンB12欠乏症の発見が遅れるほど、症状は悪化します。
さらに、ビタミンB12が不足すると認知症のリスクが高まると判明しています。
葉酸の過剰摂取によって、ビタミンB12欠乏症に気づけない、結果的に認知症リスクを高める可能性だってあるのです。
4.子どもが肥満と糖尿病になるリスクが高まるかも

Journal of Endocrinologyに掲載された研究によると、葉酸の過剰摂取が産まれてくる子どもの肥満と糖尿病のリスクを高める可能性があると判明しました。
研究では、マウスに推奨量の20倍も多い葉酸を与えたそうです。
結果、産まれてきた子どもは高確率で糖尿病と肥満になりました。
しかし、これもまた動物を使った実験であり、葉酸摂取量も通常の20倍と極端なものです。
おそらく、少し過剰摂取したくらいでは肥満と糖尿病リスクは高くならないでしょう。
また、人間を対象とした他の研究では、妊娠中の葉酸不足が子どもの肥満リスクを高めると判明しています。
極度に過剰摂取しても、不足しても肥満の確率は上がるので、妊娠中は葉酸の適量摂取が大切です。
5.喘息リスクを高める

過去50年間で喘息持ち患者の数は増加していますが、研究で葉酸摂取が原因ではないかと指摘されています。
ノルウェーの科学者が実施した研究で、葉酸の過剰摂取が生まれてくる子どもの喘息リスクを高める可能性があると判明したのです。
研究では、2,000名の妊婦の血中葉酸濃度と子どもの喘息関係を調べました。
すると、葉酸濃度が高い妊婦から産まれた子どもほど、出産から3年以内に喘息を発症する確率が高かったのです。
他の研究では、妊娠後期に合成葉酸を摂取すると喘息リスクが高まる可能性があると指摘しています。
この研究では、合成葉酸が問題であり、食品などに含まれる天然葉酸は無害だと結論付けられました。
6.亜鉛の吸収を阻害する

亜鉛は妊娠しやすい体質つくりをしたり、赤ちゃんの成長をサポートしたりする重要なミネラルです。
葉酸とはチームのような関係で、亜鉛は葉酸を吸収する酵素の働きを手助けします。
妊活中と妊娠中に重要な亜鉛ですが、葉酸を過剰摂取すると葉酸が亜鉛と結びつき、体が亜鉛を吸収できなくなるのです。
7.その他の問題
その他に葉酸を過剰摂取すると、妊婦に吐き気やめまい、頭痛、むくみ、食欲不振、呼吸障害などが起きるかもしれません。
これは葉酸過敏症と呼ばれ、時には発熱やじんましんも起こしてしまいます。
基本的には葉酸を過剰摂取することはない

葉酸を過剰摂取したとき、起こりうる悪影響を見てきましたが、多くの方は葉酸の過剰摂取の心配は必要ありません。
基本的にサプリの服用量さえ守れば、葉酸の過剰摂取は起きないのです。
例えば、サプリで800㎍の葉酸を摂取したとしましょう。
200㎍以上食品から摂取すると、過剰摂取になりますが、食事で葉酸を取り過ぎることはほとんどありません。
先に説明した通り、天然葉酸は体内吸収率が悪いです。
さらに、葉酸は水溶性ビタミンなので、調理過程で多くの量が失われてしまいます。
余分な量は尿と一緒に排出されるため、過剰摂取することはほとんどありません。
また、長期間過剰摂取続けて、初めて悪影響が及びます。
1日や2日だけ過剰摂取したからと、心配する必要もありません。
むしろ恐れるべきなのは、十分な量の葉酸を取れないことなのです。
葉酸を過剰摂取しないために守りたい3つのこと

葉酸の過剰摂取は赤ちゃんに悪影響を及ぼすので、母親として摂取量には気をつけたいところです。
これから紹介する3つのポイントを意識していただくと、十分な量の葉酸を摂取できつつ、同時に過剰摂取の予防もできます。
ぜひ参考にしてください。
1.妊娠の段階に合わせてサプリメントを変えると良いかも
妊娠の各段階で必要となる葉酸量は異なります。
そのため、各段階に合わせて葉酸サプリを変更するといいかもしれません。
例えば、最も葉酸量が必要となる妊活中と妊娠初期時には、合成葉酸500㎍以上配合されたものを選ぶと良いでしょう。
エレビットのように800㎍配合されているのもオススメです。
この時期は、とにかく吸収しやすい合成葉酸をたっぷりと摂取して、赤ちゃんの先天性障害を避けるのが最優先事項です。
妊娠中期からは、葉酸の量を減らしてもいいかもしれません。
厚生労働省は食事性葉酸480㎍を推奨していますが、食事から480㎍ものの葉酸を摂取するのは難しいです。
そこで、妊娠初期と同じ合成葉酸を摂取し続ける、もしくは天然葉酸配合サプリに変えてもいいでしょう。
妊娠中期からは、多量の葉酸を摂取する必要はありません。
各ステージに応じた量、もしくは種類の葉酸サプリ選びができると、過剰摂取は防げるでしょう。
2.国産サプリを購入する

葉酸サプリは必ず国産のものを購入しましょう。
海外製の葉酸サプリも販売されてはいますが、日本人女性向けに開発されたものではありません。
そのため、葉酸配合量が国産サプリよりも多ければ、日本人向けではないので体内吸収率が悪い可能性だってあるのです。
また、国産ものでも品質に要注意してください。
数多くの葉酸サプリが販売されていますが、残念ながら品質の悪いものもあります。
特にサプリは製造過程で、配合成分のバラつきが出やすい製品。
大事な時期に口にするものだからこそ、安全管理を徹底したサプリ選びを行いましょう。
3.葉酸が豊富に含まれた食品を知る

葉酸サプリを飲むのと同じくらい重要なのが、葉酸が豊富に含まれた食品を知ることです。
あくまでももサプリは補助と考え、基本的には食事からも葉酸を摂取するのがオススメ。
葉酸が豊富に含まれた食品を知ることで、葉酸不足と葉酸の過剰摂取を防げます。
葉酸が主に含まれた食品は、青菜類や柑橘類、ナッツ類です。
特に以下の食品に豊富に含まれているので、サプリの葉酸量と計算しながら献立作りを行ってください。
・ホウレン草
・アスパラガス
・ブロッコリー
・柑橘類
・豆類
・オクラ
・ひまわりの種やピーナッツなどのナッツ類
・セロリ
・カボチャ
また、アボカドにも非常に豊富な量の葉酸が含まれています。
アボカドを約3個食べれば、480㎍の葉酸が摂取できますが、カロリーが高いという問題があるのです。
アボカド1個に含まれるカロリーは、お茶碗1杯分以上。
計画的に体重管理を行う上で、毎日アボカドを食べるのはオススメできません。
葉酸が豊富に含まれた食品には、豊富なビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれています。
栄養バランスとれた食事を心がけることで、お腹の中にいる赤ちゃんは健やかに成長できるのです。
まとめ

葉酸を過剰摂取すると、ママと胎児に悪影響を及ぼしますが、葉酸サプリメントを適量摂取する限り過剰摂取のリスクは極めて低いです。
それよりも危険なのが、過剰摂取を恐れて、十分な量の葉酸を摂取できないこと。
1,000㎍までの摂取なら、葉酸は様々な嬉しい効果をもたらしてくれます。
特に妊娠初期は葉酸の摂取量が重要なので、服用量を守って葉酸サプリメントを飲んでください。