離婚するのは、双方の意思で決めますが、子どもがいる場合は子どもの事を中心に考えていきます。
親権はどちらになるのか、子どもと会うことはできるのか、養育費はいくらなのかなど、
子どもの将来のことを踏まえて、細かく決めていかなければなりません。
この中で、『養育費』についてのトラブルや不安が多くあるようです。
養育費がしっかりと支払われずに困っている、相手側が要求する養育費が高すぎるなど、
弁護士に相談したり裁判所に足を運んだりすることもあります。
のちのち揉めるのであれば、その体力と気力を他の事に使いたいですよね。
養育費に関するトラブルを少なくするために、まずは知識を蓄えておきましょう。
「養育費って、みんなどのくらいもらっているの?」
「養育費は子どもがいくつになるまでもらえるの?」
「養育費が足りない…改善策は?」
など、離婚の前だけでなく後になっても養育費についての疑問が出てくるでしょう。
今回は、離婚後の子どもの養育費について詳しくご説明していきます。
・養育費とは
・養育費の期間
・金額の相場や計算方法
・増額請求をしたい場合
・養育費が支払われない場合
・お互いにトラブルが起きないために
ひとりで悩んでいる人や、離婚を考えているが子どもの将来が不安な人などの参考になればと思います。
目次
養育費ってそもそも何?
養育費は、子どもが未成年の間、育てていくために必要な費用のことです。
夫婦が離婚し、子どもの親権者となったほうが子どもを育てていく義務を負います。
子どもを育てていくには、教育費や生活費など様々な面でお金が必要になります。
そのため、親権者ではないほうが親権者へ費用を負担するというものです。
養育費は、元々夫婦でなくても、相手側(ほとんどの場合は男性側)が子どもを認知していれば、
籍を入れていなかったとしても支払う義務が起こります。
また、血のつながりがなく、子ども連れで一度結婚し、離婚した場合も養育費は発生します。
養子縁組をした場合も同じです。
法律上で親子の関係があったと証明できる限りは、養育費を支払わなければなりません。
養育費の内訳は特に決まっていません。明確ではないということです。
養育費が発生するのは子どもがいくつになるまで?
次に養育費の支払う期間ですが、基本的には子どもが成人するまでです。
以前までは20歳までと言われていましたが、成人年齢を引き下げるという法案もあります。
基本的には成人するまでと言われていますが、法律では何歳まで支払うという定めはありません。
そのため、夫婦で話し合った年齢まで支払うということになります。
離婚する場合、子どもが大学まで通うことを想定に入れると、やはり20歳まででも養育費は受け取りたいもの。
特に決まりはないため、話し合いや裁判での場でしっかりと意志を貫きましょう。
養育費の金額の平均相場や計算方法は?
養育費の全国的な平均額は、月4万円以下と言われています。
意外に少なく感じるかもしれませんが、養育費以外にも児童扶養手当なども入るようになります。
また養育費は、夫婦それぞれの年収や子どもの数でも違います。
子どもが1人の場合で母子家庭になる場合35,000円ほど、2人の場合50,000円ほど、
3人の場合54,000円ほど、4人の場合は96,000円ほどが平均です。
父子家庭になる場合は、母子家庭より5,000~1万円ほど安くなります。
それば、男性の方が女性に比べて出産などで仕事を辞める必要はなく、所得が高い上、
仕事の選択肢が多いために母子家庭の方が養育費は高くなっています。
養育費は夫婦で話し合うこともありますが、年収を基に算定する方法もあります。
サラリーマンと自営業者で年収の計算方法が違うので注意しましょう。
また一般的には、年収が高くなるほど、養育費も高くなる傾向になります。
夫婦それぞれの年収を入力して、養育費の相場を計算できるシミュレーションがあるので、
参考に利用してみてください。
―参考URL 養育費のシミュレーション|弁護士法人ALG&Associatesよりー
また、相手に貯金がない場合は、養育費の請求には全く影響はありません。
年収や子どもの人数で決まるので、資産は関係ないのです。
しかし、相手に収入がない場合には養育費を請求することができないので注意しましょう。
相手がわざと仕事を辞めた場合には養育費の支払い義務が生じる場合もありますが、
収入が100万円以下の場合には養育費を請求できないことがあります。
養育費を途中で増額したい場合はどうすればいいの?
特に教育費においては、年齢を重ね、中学校や高校、大学に進学するにつれて高くなっていきます。
幼稚園の頃の養育費では、まったくまかなうことができなくなることもあり、
途中で養育費の増額を請求したいと考える人も多いでしょう。
実際に、話し合いの場をもち増額請求することは可能です。
元旦那さんであれば昇進して年収があがっている場合もあるので、さらなる増額が期待できます。
このように、養育費はいつでも決め直すことができることを覚えておきましょう。
親権者ばかりが負担することのないように、元夫婦のどちらも子どもの養育費を負担するために、
相手側に直接交渉しても良いですし、家庭裁判所で養育費増額調停を行うことができます。
相手の同意がない場合でも、審判により裁判所で金額を定めてくれるので、
調停を行うことも考えておきましょう。
逆のパターンですが、養育費が途中で減額されることもあります。
相手の年収が減る、転職して収入が減る、失業するなどにより、養育費に影響が出ます。
最悪の場合、養育費が支払われなくなることもありますが、
何の手続きもないまま急に減額されることがありません。
養育費は、増える場合もあれば減る場合もあるので、しっかりと押さえておきましょう。
養育費が毎月支払われないときの対処法
離婚の際に、お互いに養育費について納得の上、取り決めをします。
しかし、初めのうちは支払いがあったとしても、途中で支払われなくなったり、
最初から養育費の支払いがない場合もあります。
子育てをしていくのに必要なお金なのに、支払われないと困ってしまいます。
取り決めの際、協議離婚であったか、調停離婚であったか、公正証書があるかで手続きが違います。
少し説明すると、協議離婚とは夫婦が話し合いをし、お互いが合意し離婚届を出す離婚ことです。
調停離婚とは、裁判所への申し立てにより家庭裁判所の家事調停によって成立する離婚のことです。
公正証書とは、公証人が法令に従い法律行為や試験に関する事実について作成した証書です。
簡単に言うと、強い証拠力を持ち、強制執行をさせることができます。
少し離脱しましたが、もし養育費が支払われない場合、受取人は何からすればよいのでしょうか?
まず、するべきこととしては、相手に直接連絡をいれて、養育費の支払いを求めましょう。
もし、相手が応じてくれない場合には、相手の給料や財産を差し押さえることができます。
調停調書や公正証書をもっていることで、相手の財産を差し押さえることができます。
裁判所に強制執行を申し立てる必要があるので、何もしないというわけではありません。
もし、協議離婚で公正証書をもっていない場合、養育費調停をし、
裁判所にて養育費の取り決めをしなければなりません。
相手が応じない場合でも、裁判所が審判で養育費の額などを決めてくれます。
これから、離婚を進めていく上で養育費の取り決めをするのであれば、調停調書か公正証書を、
発行してもらえるように行動するとよいでしょう。
元夫婦、お互いにトラブルが起きないためには?
養育費の話し合いは協議離婚や調停離婚で行うべし
養育費を話し合う場がもてるのであれば、第3者がいる場所で、金額などを決めるようにしましょう。
審判となると、裁判所が機械的に養育費を決めてしまいますが、
双方の話し合いであれば、お互いの希望の金額をすり合わせて決めることができます。
また、その際に、調停調書や公正証書を発行してもらうようにしておきましょう。
何年もたって、口約束では忘れてしまったという場合もあるので、法律に準ずる証明書を発行しておきます。
弁護士に依頼するほうがよい
離婚となると、精神的にもボロボロになりますし、長期になる場合があります。
そのため、1人の力ですべてをおこなおうとすると、疲れてしまって、
しっかりとした気持ちや話し合いが持てなくなる可能性があります。
感情的になることもあり、話し合うところではなくなることもあります。
まずは、弁護士に依頼しましょう。できれば、離婚問題に強い弁護士を探します。
成功報酬などの支払もありますが、一括だけでなく、ローンを組んで支払うこともできるので、
可能であれば弁護士を挟んで離婚の決め事をおこなっていくとよいでしょう。
離婚後のそれぞれの生活について考えておく
離婚が成立したあと、どのように生活をしていくのか、計画をたてておきましょう。
離婚にばかり気がとられて、離婚が完了したときに、家に住み続けるのか、
新しい家を探すのかなども視野にいれておきましょう。
子どもがいる場合は、校区などや通学路なども変わってくるので早めに考えておきます。
離婚後の見通しを立てることも大切ですが、考えることが多すぎてヒステリックを起こしそうになります。
冷静で落ち着いて対処できるようにするためにも、弁護士や誰かに相談しながら進めていきましょう。
まとめ
養育費の平均は月額約4万円です。これでは足りないと思う場合には、増額請求をすることもできます。
相手の収入に応じた金額になることもあるので、まずはどのくらいの費用を希望するのか決めておきましょう。
また、相手が仕事をしていない場合には養育費を受け取ることができないので注意しましょう。
まずは、事前調査と準備をしながら、順を踏んで進めていってくださいね。