いろいろな家族形態があるなか、子どもがいない家庭もあります。
その理由は様々で、子どもがいる家庭からみると考えられない理由もあるのかもしれません。
しかし、子どもがいない、もしくはできない夫婦だからこそ、できることや楽しいことがあります。
子どもがいない夫婦のことは子なし夫婦と呼ぶ人もいます。
この子なし夫婦は年々増加傾向にあるのですが、その背景や理由について、また子どもがいないがために浴びせられる辛い言葉などについても知っていただき、
理解度がもっと上がればと願います。
「子どもがいない夫婦は、日本でどのくらいいるの?」
「どうして子どもを持たない人生を選んだのか。」
「子どもがいない夫婦だからこそのメリットとは?」
など、子どもがいない夫婦についての疑問や不安などもたくさんありますね。
今回は、子どものいない夫婦の割合やメリット、また心無い人からの子なしハラスメントなどについて、詳しくご説明していきます。
・子どもがいない夫婦の割合
・子どもがいない理由
・子なしハラスメントとは
・子どもがいない夫婦のメリット
子どもがいなくて肩身の狭い思いをしているご夫婦、周りに子どものいない夫婦がいて理解度を深めたい方、
これから結婚予定で子どもについて不安のある方など、たくさんの悩んでいる方の参考になれば幸いです。
目次
子どもがいない夫婦はどれくらいいるの?
国立社会保障・人口問題研究所の最新の調査2015年のものによると、子どものいない夫婦は全体の28.2%となっており、約3割の夫婦に子どもがいない現状です。
さらに、2015年は夫婦の出生時数が初めて2人を下回る結果になっています。
1940年代は4.27人でしたが、2015年には1.94人と出生率は大幅に減少してきています。
子ども1人の夫婦が増加しており、子どもを3人以上もつ夫婦の割合は低下してきています。
2015年は子どもを2人産んでいる夫婦は半数以上を占めて、54%でした。
20代で子どもがいない夫婦の割合が多く、年齢を重ねるごとにその割合は減っています。
若い世代での子どもをもつという意識が変わってきているのかもしれませんね。
さらに、未婚者の人の意識も変わってきています。
未婚者の将来に希望する子どもの数も、年々低下してきています。
2015年は、男性で1.91人、女性で2.02人でした。
日本では少子化問題が問われていますが、調査をみると子どもが欲しいという親世代の意識が、低下してきているのですね。
では、どうしてこのように子どもがいない夫婦の割合や、子どもが欲しいと願わない未婚者がいる現状になったのでしょうか。
その理由について、詳しくみていきましょう。
―参照 第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所よりー
結婚しても子どもがいない夫婦が抱える理由について
晩婚化や不妊治療を受ける人などから子どもが欲しくてもできないという理由があります。
それ以外に、子どもを希望していない夫婦はどのような理由からそう考えるのでしょうか。
以前から最も多い理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という意見があります。
複数選択できるアンケートでは、56.3%の人が選択した項目です。
妻側の35歳未満の層で、8割前後の高い選択率となっています。
他には、
「自分の仕事や家事に差し支える」
「家が狭いから」
「高年齢で産むのはいやだから」
「これ以上育児への心理的、肉体的負担に耐えられないから」
「夫の家事や育児への協力がないから」
「夫が望まないから」
「子どもがのびのび育つ社会環境ではないから」
「自分や夫婦の生活を大切にしたいから」
というものが挙げられていました。
これ以外に
「欲しいけれどもできないから」
「健康上の理由から」
といった意見もありました。
年齢や健康の問題から子どもを授かることができない、また子どもを授かるチャンスはあるけれど、収入が少なかったり不安定であったりするから金銭面で不安がある、など理由は様々です。
どのような理由にしても、子どもがいない夫婦という不安や葛藤などの思いはそれぞれにあるのだと思います。
逆に、子どもが欲しいと思う理由や子どもを産む理由についての調査もありました。
その理由には
「子どもがいると生活が楽しく豊かになるから」
「結婚して子供を持つことは自然なことだから」
「好きな人の子どもを持ちたいから」
「子どもは将来の社会の支えとなるから」
「子どもは老後の支えになるから」
「夫や親など周囲が望むから」
「子どもをもつことで周囲から認められるから」
といった意見がありました。
子なしハラスメントとは?
セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなど、あちこちで問題になっているハラスメント。
実は、子どもがいない夫婦に向けての子なしハラスメントも問題になりつつあります。
特に子どもを希望していたのに、不妊症に悩んでいる夫婦へのハラスメントは心理的な負担を与えます。
全国の夫婦の約5.5組に1組は不妊治療を受けた経験があります。
しかし、妊娠や出産できる割合は全体の2~3割と少なく、出産まで至らないケースの方が多いのです。
どのような場合が子なしハラスメントとなるのか、まだ知らない人にぜひ広めていってください。
職場での不公平な扱い
近年働く女性が増えてきていますね。
そこで、独身者や子どもがいない既婚者の女性に対して、子どもがいる女性よりも過労になるケースがあります。
「あなたは子どもがいないんだから、遅くまででも大丈夫でしょう!」などひどい一声が。
子どもがいるから優遇されると不遇感を感じている女性も、職場には多くいます。
子育て支援や育休などの恩恵を受けることもありませんね。
黙っている女性が大半ですが、やはり心のどこかに深い傷を負ってしまうこともあるので、
子どもの有無で、勝手に決めつけて仕事量を増やすなどの対応はするべきではありません。
子どもを育てた方が偉い風潮
女性が多い現場でのハラスメントなのでしょう。
「あなたは子どもを育てたことがないから分からないでしょう。」
「子どもがいないから暇でしょう。」と子どもがいる女性からの言葉があります。
言われた側は、本当は子どもが欲しくて子育てをしたかったのかもしれません。
子どもがいるほうが上の立場である、偉いという風潮が消えません。
周りにいる人は、子どもがいない女性という風に見るのではなく、どうして子どもがいないのかという理由まで寄り添ってあげられる、優しい職場や社会環境を心がけてみましょう。
―参照 子を持たない彼女たちの明かしたくない本音|東洋経済オンラインよりー
子どもがいない夫婦のメリットを考える
子どもを授かることができなかった、子どもを望まない夫婦のその後の人生のメリットについてみてみましょう。
子どもがいないからとデメリットばかりではないので、良い方向の考え方も参考になります。
仕事を辞めずに続けやすい
女性は妊娠や出産、子育てにより仕事を辞める、休暇を取る必要があります。
職場から離れてしまい自宅で赤ちゃんとずっと二人の生活になるので、孤独になることもあります。
しかし、妊娠や出産がないと男性と同じように、職場で仕事を続けることが可能です。
大好きな仕事であればなおさらですね。
現在の仕事が好きだから、赤ちゃんを産まない選択をする場合もあるでしょう。
仕事に集中できるという意味では子どもがいない場合のほうがよいのでしょう。
お金を貯めやすく夫婦で使える
子どもが生まれると、家や車など大きな買い物が増えます。
小さな車や小さなおうちに住んでいると、荷物が増え、どうしても買い替える必要性が出てくるのです。
そのため、予想していない出費が増えることも多々あります。
将来の教育費の貯金も必要です。
しかし、子どもがいないのであれば、現在の住まいにずっといても良いですし、
車も小さなままでも大丈夫ですね。
さらに、仕事を休む必要がないので、お金も貯めやすいと言えます。
頑張って貯金したお金で、夫婦で旅行に出かけたり趣味を増やしてみたりと、夫婦で好きに使うことができます。
小さな子どもがいた場合、旅行や趣味などを楽しむ時間もなくなってしまいがちです。
自分の時間が確保できる
子どもがいると、驚くほど子ども中心の生活となります。
何をするにも子どもが一緒で、自分の時間がなかなか取れずに、疲れて1日が終了です。
子どもと一緒にいる時間が幸せと感じられることも多いのですが、それだけでなく毎日が戦争のようです。
その反面、子育てに投じる予定であった時間や気力を自分のものとして使うことができます。
仕事に向けても良いですし、好きなことに向けることもできますね。
夫婦関係が悪化した場合
3組に1組が離婚している現在、子どもがいると、子どもへの負担が気になります。
子どもに辛い思いをさせてしまう、転校や転居など環境が変わってしまう、
大好きな家族と離れなければならないと辛い状況になりますね。
しかし子どもがいない場合だと、夫婦2人だけの問題となるので、子どもを巻き込まないですみます。
他にもそれぞれにメリットがどこかにあるはずです。
子どもがいないからと後ろ向きになるのではなく、何か一つでもよいのでメリットを感じてみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
子どもがいない夫婦の割合は全体の約3割。
特に若い世代の夫婦に多く存在しています。
職場や社会の対応に気を付けながら、子どもがいないだけで差別せず、寄り添える環境を作っていきたいですね。
また、子どもがいない理由にも様々で、あえて子どもを作らないという選択をしている夫婦もいます。
子どもがいないことでメリットも多くあるのですから、他人が口出しする必要がないでしょう。
様々な考えをもつ人も多いと思います。現状を見ながら考えていきましょう。