「子ども一人育てるのにかかる費用が知りたい」
「大学時代までにいくらお金を用意するといいの?」
このような考えをお持ちではありませんか?
子供の進路などにもよりますが、子供一人育てるのに最低3,000万円は必要だと言われています。
重要なのは計画的に子育て費用を貯蓄すること。
今回は子育て費用について、各時期に必要な額、オススメの貯蓄方法4選、絶対に活用すべき補助制度まで紹介します。
ぜひ今記事を読んで、将来的に必要となるお金の理解を深めてください。
目次
意外と知らない子育て費用の定義
「子育て費用」と聞いて何を思い浮かべますか?
多くの方は入学金や学費などの学校活動に必要な費用を思い浮かべるはずです。
しかし実際に子育てにかかる費用は多岐にわたります。
養育費と言われる子供の食費やおもちゃ代、衣服代なども考慮しなければいけません。
つまり子育て費用とは、教育費と養育費の合計のこと。
そんな子育て費用は莫大なものになるとはよく言われますが、具体的にイメージできない方も多いでしょう。
子供の進路にもよりますが、一般的に3,000万円はかかると言われています。
実は企業や政府が子育て費用に関する調査を行っています。
ここからは調査で判明した具体的にかかる金額を観ていきましょう。
2つの子育て費用に関する調査で判明した各時期に必要な費用
ここからは子育て費用に関する調査結果と幼稚園時代から大学までにかかる費用を紹介します。
調査が行われた時期によって結果は微妙に異なりますが、これから育児に励む方にとって大きな参考になるはずです。
1.AIU保険会社による調査「現代子育て経済考2005年度版」
現在AIU保険会社は富士火災と合併して、AIG損害保険株式会社となっています。
まだAIU保険会社だった2005年に、子育てに関する調査を実施したのでした。
調査内容によると、出産から大学卒業までの22年間にかかる基本的教育費の総計は約1,640万円。
詳細は以下の通りです。
【基本的教育費】
- 出産、育児費用:約91万円
- 22年間の食費:約671万円
- 22年間の衣料費:約141万円
- 22年間の保険医療、理美容費:約193万円
- 22年間のおこづかい費:約451万円
- 子供の私的所有物代:約93万円
合計:約1,640万円
すでにお気づきの方もいると思いますが、基本的教育費の中には教育費が含まれていません。
基本的教育費は毎年かかる養育費なのです。
AIU保険会社は教育費に関する調査も行っています。
調査結果が以下の通り。
【教育費】
- 公立幼稚園:約64万円
- 私立幼稚園:約147万円
- 公立小学校:約308万円
- 公立中学校:約229万円
- 私立中学校:約525万円
- 公立高校:約252万円
- 私立高校:約479万円
- 国立大学:約492万円
- 私立文系:約604万円
- 私立理系:約720万円
- 私立医系、歯系:約2,965万円
基本的教育費と教育費を合わせると、子育て費用の合計が出ます。
最も安価に収まるのが幼稚園から高校まで公立、大学は国立に進学したパターン。
このパターンの場合は、教育費1,345万円+1,640万円=総額2,985万円がかかるのです。
以下が基本4パターンの合計子育て費用です。
- 全て国公立:2,985万円
- 高校まで公立+大学私立:3,097万円(私立理系:3,212万円)
- 中学まで公立+高校と大学私立:3,324万円(私立理系:3,440万円)
- 小学校まで公立+中学校から私立:3,620万円(私立理系:3,736万)
一見すると莫大な費用に思えますが、支払うのが難しい額ではありません。
基本的教育費は毎月の収入や貯蓄からやりくりできます。
支払が難しいのは教育費だけ。
短期間で莫大な費用がかかるので、事前に計画的な貯蓄を行う必要があるのです。
またこれはあくまでも平均であり、基本的教育費は1,640~1,800万円の間に収まると考えていた方が良いでしょう。
2.内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査(2010年4月28日)」
内閣府は高校までの子育て費用に関する詳しい調査を行っています。
調査結果は以下の通りです。
【調査結果】
- 公立幼稚園:約63万円
- 私立幼稚園:約150万円
- 公立小学校:約192万円
- 私立小学校:約921万円
- 公立中学校:約144万円
- 私立中学校:約401万円
- 公立高校:約122万円
- 私立高校:約297万円
内閣府が行った調査では、私立小学校がAIUの調査よりも約400万円ほど高くなっていますが、それ以外は大きな差異はありません。
また年齢・学年別にかかる学習費用の調査も実施しています。
3歳から18歳の間で最も教育費用がかかるのは、私立小学校に入学する6歳時です。
平均で約186万円かかっています。
全て公立の場合だと、中学校3年時の約58万円が最も学習費用のかかる年です。
クラブ活動や受験に向けた塾代、そして受験費用などが原因と考えられます。
調査結果から推測できる高校までの学習費用総額パターンは以下の通りです。
【パターン別にかかる学習費用総額】
- 全て公立:約523万円
- 幼稚園のみ私立:約609万円
- 高校のみ私立:約698万円
- 幼稚園と高校が私立:約784万円
- 小学校のみ公立:約1,401万円
- 全て私立:約1,770万円
上記に大学費用と養育費を足すと、子育て費用が出ますね。
全て公立の場合だと、523万円+492万円+1,640万円=2,635万円。
AIUの調査と見比べても、最もお金のかからないパターンでも約3,000万円近く必要になることが分かります。
調査から判明した子育て費用に関する3つのこと
信頼できる2つの調査結果を見ると、大きく3つのことが判明します。
- 最低基準子育て費用
- 子供の進路が教育費に大きく影響する
- 一人暮らしかどうか
子育て費用を考えるときは、確実にこの3つのポイントを考慮しておかなければいけません。
ここからは重要な3つのポイントを詳しく見ていきましょう。
1.最低でも3,000万円はかかると見積もっておくべき
絶対に知っておくべきなのが、子育て費用は最低でも3,000万円はかかるということ。
2つの調査だと、最も安いパターンで約2,900万円と約2,600万円でした。
だからと言って、2,600万円だけ貯蓄するようにしてはダメです。
子育て費用に限るならば、余裕を持った貯蓄をすることが大事。
例えば将来、留学の必修化が行われる可能性は高くあります。
実際に一橋大学は2018年までに新入生に短期語学留学をさせる方針を打ち出し、立教大学や早稲田大学といった有名私立大学は新入生の留学必修化方針を出しています。
現在留学をするのはマイナーでも、さらにグローバル化が進んだ未来では留学が当たり前の時代になっているかもしれません。
また経済状況によっても、必要となる資金が変わってきます。
余裕を持った貯蓄をするためにも、最低3,000万円はかかるとの意識を持つようにしましょう。
2.子供の進路によって費用が大きく変わる
子育て費用は子供の進路によって大きく異なります。
例えば全て公立の場合は3,000万円以下で済みますが、全て私立となると学習費用だけで2,374万円(私立理系の場合は2,490万円)、養育費と合わせると4,014万円(4,130万円)にもなってしまいます。
教育費が莫大になるからと、子供に私立は行かせないということはできません。
幼稚園や小学校はまだしも、高校・大学は進学のために受験を受ける必要があります。
合格すれば問題ありませんが、落ちてしまう可能性もあります。
実際に公立進学のつもりで子育て費用を貯蓄していたけど、受験失敗してしまい私立大学に行くことになり、資金が足りなくなったという人は多くいます。
また子供が私立大学や海外大学、大学院に進学したいと言う可能性も高くあるのです。
一般的に子供が中学もしくは高校卒業するまでに、大学4年間にかかる教育費(492~720万円)をカバーできる貯蓄があれば問題ないと言われています。
子供の進路は予測できないので、どの進路になっても資金不足にならないように事前に準備しておく必要があるのです。
ただ私立小学校に通わせて、あとはエスカレーター式で大学まで私立に行かせる方もいます。
最初の小学校入学さえ難関ですが、一度はいると充実した教育環境で安心して大学まで行ける魅力があります。
経済面だけ見ると公立が良いでしょうが、重要なのは子供の将来を考えた選択をすること。
残念ながら教育費用は無料ではないので、子供の可能性をつぶさないためにも教育資金の準備は必須です。
3.一人暮らしすると費用は4倍近く高くなる
見落とされることが多いですが、大学時代を自宅で過ごすのか、それとも一人暮らしをするのかは費用に大きな影響を与えます。
東京地区私立大学教職員組合連合が実施した調査「私立大学新入生の家計負担調査について」(2016年)によると、自宅から大学に通った場合にかかる費用は23万5千円。
対して一人暮らしする場合にかかる費用は、約4倍の81万4千円だと判明したのです。
これは1年目にかかる費用で、2年目からは資金・礼金などがなくなるので負担が軽くなる可能性はあります。
しかし同時に、引っ越しをする可能性もあれば、女性の場合は家賃の高い安全性が高いマンションに住む可能性もあるのです。
一人暮らしをする場合は毎年の家賃に加え、仕送りも必要となります。
地元から離れた大学に進学する場合もあり、その際にかかる一人暮らし費用も考慮しないといけません。
子育て費用の貯蓄方法4選
子育て費用は計画的に貯蓄すれば、中学もしくは高校卒業までにある程度の資金を貯めることができます。
自分の力で子育て費用を貯めるのは難しいですが、現在は活用を検討したい貯蓄方法が4つあります。
どの方法にもメリット・デメリットがあり、あなたに合ったものを選ぶ必要があります。
ここからは4つの貯蓄方法を解説するので、ぜひ検討の参考にしてください。
1.オススメは学資保険
昔から人気があり、最もオススメの子育て費用の貯蓄方法は学資保険です。
学資保険とは、子供の教育資金貯蓄に特化した保険で、主に大学進学に必要な資金を貯めることができます。
学資保険は自身で受取金額を設定できます。
受取金額は200~400万円に設定するのが一般的で、保険料の払い込み期間は商品にもよりますが10歳払い・15歳払い・18歳払い・22歳払いがあります。
学資保険をオススメする理由は3つ。
1つ目は誰でも強制的に学習費用を貯蓄できるから。
一度学資保険に加入すると解約するのは難しいです。
解約すると、大きく損してしまいます。
毎月1~2万円の金額が固定費のように貯蓄されていくので、意思の弱い方でも無理なく教育資金を貯蓄できます。
2つ目の理由は、支払金額よりも受取金額の方が多くなるため。
学資保険選びでは返戻率が重要視されます。
返戻率とは、受取金額に対して支払った金額の総額を数値化したものでパーセンテージで表されます。
返戻率が100%を下回ることを「元本割れ」と呼び、受取金額よりも支払金額の方が多くなる「損」した状態になるのです。
対して返戻率が100%を上回ると、受取金額の方が多くなる「得」した状態になります。
返戻率の高い学資保険は保障がシンプルですが、経済面を重視する方にとっては非常に魅力的なはずです。
最後3つ目の理由が、保険料払込免除特約の存在。
学資保険が「保険」の理由は、契約者である親に万が一のことが起きても、子供の学習費用が保障されるからです。
保険料払込免除特約とは、契約者が死亡もしくは所定の高度障害状態になったとき、その後の保険料の支払いは免除されつつも保障期間は満期まで続くこと。
子供が0歳の時に契約者が亡くなっても、子供は予定通り学資金を受け取れるのです。
学資保険には知っておくべきデメリットもあります。
それが金利に影響されやすいこと。
学資保険は契約時の金利で固定され、将来金利が上昇することで損する可能性もあります。
しかし学資保険は10年以上の積み立てになるので、経済予測が不可能です。
予測できないリスクがあるのはデメリットでしょう。
2.低解約返戻金型終身保険
学資保険ではなく、低解約返戻金型終身保険に加入する方が増えています。
低解約返戻金型終身保険とは、保険料の払い込みを終えた後に解約すると返戻金を受け取れる終身保険。
契約者が親となり、保険料払込免除特約はありません。
しかし低解約返戻金型終身保険は、契約者に万が一が起きた際、すぐに保険金が支払われるというメリットがあります。
例えば契約者である父親が亡くなったとしましょう。
学資保険の場合は18年後に保険金が受け取れますが、実際にお金が必要となるのは父親が亡くなったすぐ後です。
生活が安定するまでにまとまったお金が必要となりますが、学資保険ではすぐにお金を受け取れません。
そのデメリットを解決したのが、低解約返戻金型終身保険。
契約者に万が一が起きたらすぐに保険金が下り、無事に満期を迎えられたら解約返戻金を受け取れるのです。
返戻率はソニー生命の学資保険のような高さこそありませんが、元本割れを起こさない低解約返戻金型終身保険もあります。
3.投信信託
子供がまだ小さくて、お金にも少し余裕のあるかたは投信信託を検討してみてもいいかもしれません。
投信信託と聞くと、「自分で投資をしてお金を運用する」とイメージする方がいますが、これは少し違います。
投信信託とは、投資のプロであるファンドマネージャーにお金を預けて、あなたの代わりに投資運用をしてもらうこと。
よく投信信託では、あなたはスポーツチームの監督で、ファンドマネージャーはプレーヤーだと説明されます。
投信信託はプロに任せるためリスクが少なく、少額から始められるという魅力もあります。
しかしハイリスク・ハイリターンの言葉通り、大きな利息を得る可能性もあれば、元本割れを起こしてしまう可能性もあるのです。
学資保険や定期貯金のような安定性はありません。
投信信託のみで子育て費用を積み立てるよりも、学資保険やつみたて貯蓄と組み合わせて、リスク分散をした方が堅実でしょう。
4.自動つみたて貯蓄
自動つみたては、あらかじめ決めておいた金額を毎月自動で口座に預け入れる貯蓄方法です。
メリットは自動的に預金が行われるので、預け忘れがなくなること。
安定して貯蓄できる方法ではありますが、現在の利回りはよくないです。
そのため返戻率の高い学資保険に加入した方が、お得かもしれません。
しかし解約しても損しないことを考えると、必要な時にお金を引き落としやすい貯蓄方法でもあります。
オススメは学資保険と自動つみたて貯蓄を組み合わせること。
毎月1万円に加え、2回のボーナス時に4万円貯蓄すると5年間で100万円貯められます。
学資保険で300万円、つみたて貯蓄で150~200万円貯めると、大学進学後に資金不足に悩まされる可能性は極めて低くなるでしょう。
子育て費用に活用したい児童手当
子供を育てる保護者には、毎月児童手当として国から助成金が送られます。
児童手当の支給対象となるのは0歳の赤ちゃんから中学校卒業時までで、受取金額は以下の通りです。
- 0~3歳未満:15,000円
- 3歳~小学校修了未満:10,000円(第一子、第二子)、第三子以降15,000円
- 中学生:10,000円
※約960万円以上の所得がある場合は10,000円
毎月10,000円以上の児童手当は、子育て費用に活用するのが賢明です。
学資保険に合わせて、児童手当を毎月つみたて貯蓄行うと良いですね。
子供1人につき約198万円も児童手当として支払われます。
これは子育て費用の大きなサポートとなるはずです。
また子供の医療保険などに加入する前には、お住いの自治体の補助制度を確認しましょう。
多くの自治体では子供の医療費は補助対象となっていて、自治体によっては医療費無料のところもあります。
知識は大きな財産となるので、必ず自治体の制度をチェックしてください。
教育資金を贈与して節税対策
2015年の租税改正で結婚・子育て資金に関する非課税制度が誕生しました。
祖父母や両親が20歳以上50歳未満の子供や孫にお金を贈った場合、1人当たり1,000万円までは税金がかかりません。
この制度は2019年3月31日までの期限付きです。
受付には金融機関に相続する資金を預け、教育のために使用された証拠を示す領収書や書類を提出する必要があります。
少し面倒ですが、節税対策としては非常に便利です。
お金の受け取り者が50歳になったとき、もしくは贈与者が死亡したときに終了し、終了した際に残っていたお金は課税の対象になるので要注意。
もし学資金が不足すれば、奨学金にも目を向けるべき
学資金が不足した際には、奨学金を借りるという手段もあります。
しかし現在大きな社会問題となっていることからわかるように、奨学金はあまりオススメできる方法ではありません。
あくまでも最終手段であって、理想は計画的な貯蓄を行うことです。
奨学金自己破産の大きな問題は、返済者である子供が自己破産しても、保証人である親が返済に追われること。
子供が社会人になった時、退職をしている親が莫大な借金を負ってしまうのです。
将来的にどうなるかわかりませんが、現在のところ奨学金は学生ローンみたいのものです。
奨学金を借りて子どもや自分自身を苦しめないようにも、今のうちから子育て費用だけはしっかりと貯蓄しておきましょう。
まとめ
トータルで見ると子育て費用は莫大なものですが、重要なのは子供が高校卒業するまでに大学時代にかかる費用をカバーできる金額を貯蓄すること。
早い段階から計画的に貯蓄すると、決して不可能な金額ではありません。
自分だけの力で子育て費用を貯蓄するのは難しいです。
ぜひ今回紹介した4つの方法から、あなたに合ったものを選び定期的に貯金を行いましょう。
安定的に貯蓄できる、親に万が一のことが起きても学資金が保障されるという点で、学資保険がオススメです。
ぜひパートナーと一緒に、子育て費用の貯蓄方法を真剣に検討してみてください。