妊娠中はさまざまな体の変化・不調が起こりますが、頭痛に悩まされている方も多くいます。
特に、出産に向けて体調を整えていきたい妊娠後期になっての頭痛はつらいですよね。
妊娠後期の頭痛は何が原因で、どう対処すれば良いのでしょうか。
また、市販の頭痛薬や鎮痛剤は使用できるのでしょうか。
今回は妊娠後期の頭痛について、以下の3点を詳しくお伝えします。
- 妊娠後期の頭痛の原因
- 妊娠後期に市販の頭痛薬は使用できるのか
- 妊娠後期の頭痛8つの対策
妊娠後期の頭痛は少しでも改善して、出産に向けて心身ともにリラックスした状態で過ごすことができると良いですね。
目次
妊娠後期の頭痛がつらくて吐き気やめまいも!妊娠後期の頭痛の原因について
妊娠中、特に妊娠後期は頭痛になる原因が複数考えられるため、ひどい頭痛に悩まされる妊婦さんも多くいます。
妊娠後期に頭痛が起きる原因として考えられることを以下に6つ挙げます。
1. お腹が大きくなることで血行不良に陥りやすいため
妊娠中、お腹が大きくなってくると、ついつい姿勢が悪くなってしまったり、体の普段使わない筋肉が緊張してしまったりします。
すると、体の血管が圧迫され、血行不良に陥りやすくなり頭痛を感じてしまう原因になります。
血行不良が原因の頭痛では、頭痛以外にも肩こりや首の痛み、足のむくみなどを感じる場合もよくあります。
2. ホルモンバランスの変化により血管が拡張しやすいため
妊娠すると体内の女性ホルモンのバランスが変化します。
その一つに、プロゲステロン(黄体ホルモン)の増加がありますが、プロゲステロンには血管を拡張させる働きがあります。
血管が拡張すると、その血管が他の神経を圧迫することで、人によっては頭痛を感じやすくなってしまいます。
血管拡張による頭痛では、頭の片側だけなど一部が痛む、偏頭痛を発症する場合も多くあります。
参考:命の母ホワイト / 生理不調の基礎知識 / 生理トラブルの主な原因
3. ストレスを感じることで自律神経が乱れるため
ストレスを感じると自律神経が乱れます。
そして、自律神経の乱れは、頭痛を引き起こす原因になってしまいます。
したがって、妊娠後期に入り、出産への不安が高まることでストレスを感じて頭痛・偏頭痛を感じることがあります。
4. 水分不足により血行が悪くなるため
妊娠中は、赤ちゃんの成長や羊水をつくるためにたくさんの水分が必要になるため、水分不足に陥りやすい状態になっています。
体が水分不足になると、血液の循環が悪くなってしまい、血行不良による頭痛を招きやすくなります。
特に妊娠後期は、赤ちゃんがどんどん成長するにしたがって水分不足になりがちですので、注意が必要です。
5. 鉄分不足による貧血の症状の一つの可能性も
妊娠中期~妊娠後期にかけて起こりがちな良くない症状の一つに、鉄分不足による貧血があります。
頭痛は貧血の症状の一つでもありますので、もともと貧血気味だった人に頭痛がある場合は、貧血が原因である可能性もあるでしょう。
あるいは、それまで貧血の症状がなかった人でも、妊娠後期、胎児の成長に伴いより多くの血液が必要になったことで、鉄分不足の状態になり頭痛を発症している可能性もあります。
6. 妊娠高血圧症候群による症状の可能性も
妊娠高血圧症候群とは、妊娠前にはなかったのに、妊娠中期以降に高血圧になってしまうという妊娠中にかかりやすい病気の一つです。
妊娠高血圧症候群は自覚症状があまりない病気ですが、血流が悪くなるため、頭痛や倦怠感、眠気などを感じる場合があります。
妊婦健診で測定する血圧の値が高めということで注意を受けている人であれば、頭痛の原因は、妊娠高血圧症候群の悪化の可能性も考えられます。
妊娠高血圧症候群は、お腹の赤ちゃんの成長に影響を与えうる危険な症状ですので、発症した場合は産婦人科医の指導の下しっかりと治療する必要があります。
妊娠後期のつらい頭痛、市販の頭痛薬は飲んでも良いの?病院への相談は必要?
妊娠後期に頭痛があまりにもつらく、今すぐにでも何とかしたい!と思うと、つい市販の頭痛薬に手が伸びてしまいそうになるかもしれません。
しかし、妊娠中、特に妊娠後期の頭痛薬の使用には注意が必要です。
薬の成分によっては、お腹の赤ちゃんへ悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
妊娠後期に飲んでも良い頭痛薬と、危険な頭痛薬
よくある頭痛薬などの鎮痛剤に入っている成分で、妊娠後期に飲んでも良い成分、飲んではいけない成分は以下の通りです。
妊娠後期に飲んでも良い頭痛薬
- アセトアミノフェンが主成分の頭痛薬(ノーシンなど※ただし事前に医師に確認をすること)
妊娠後期に飲んではいけない頭痛薬
- イブプロフェンを含む頭痛薬(イブなど)
- アスピリンを含む頭痛薬(バファリンなど)
- ロキソプロフェンを含む頭痛薬(ロキソニンなど)
妊娠後期に安全飲める頭痛薬の成分として、アセトアミノフェンというものがあります。
アセトアミノフェンを主成分とした市販薬ではノーシンが有名ですが、ノーシンの説明書には、妊娠中の場合は服用前に必ず医師に相談するよう記載がありますので、自己判断での服用は避けましょう。
また、妊娠後期に飲んではいけない頭痛薬のイブプロフェン、アスピリン、ロキソプロフェンなどの成分は、妊娠初期~中期は比較的安全に飲むことができると言われています。
しかし、分娩間近の妊娠後期になると、胎児への影響が考えられるため服用しないほうが良いとされています。
頭痛薬は自己判断で飲まずに、飲む前に必ず医師に相談する
妊娠後期に飲んでも良い頭痛薬の成分は、妊娠初期・妊娠中期と比べても非常に限られています。
どの頭痛薬にどんな成分が含まれているかは、素人ではわかりづらい点もありますので、自己判断で市販薬を飲むことは避けるようにしましょう。
また、例え妊娠後期に問題ないとされている成分の薬を見つけたとしても、個人の体質や赤ちゃんの状況によっては服用しないほうが良い場合もありますので、必ず服用前に医師に相談すると良いでしょう。
頭痛がひどくどうしても薬を服用したい場合は、産婦人科で相談をすれば、妊娠後期でも問題がない頭痛薬を処方してもらえることもあります。
参考:社団法人 愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班 発行 /「妊娠・授乳と薬」 対応基本手引き(改訂 2 版) 2012 年 12 月改訂
妊娠後期の頭痛8つの対策 ~ 頭痛薬を使わずに頭痛を乗り切る方法は?
妊娠後期のつらい頭痛は、どう対処すれば良いのでしょうか。
できれば頭痛薬に頼らずに、普段の生活の工夫で頭痛を緩和させたいですよね。
頭痛薬を使わない方法で、妊娠後期の頭痛を乗り切る方法を8つ紹介します。
1. ストレッチや軽い運動で血行不良を改善する
妊娠後期の頭痛の原因には、ホルモンバランス変化やお腹が大きくなることによる血行不良が考えられます。
無理のない範囲内でストレッチをしたり、ヨガやウォーキングなど軽く運動をすることで血流が良くなり、頭痛の改善につながります。
2. 首や肩を蒸しタオルなどで温める
血行不良が原因で頭痛が起きている場合は、同時に首や肩などにこりや痛みを感じることもあります。
そんなときは、蒸しタオルを首や肩にあてるなどして温めてみると、こりと一緒に頭痛が改善することもあります。
3. 偏頭痛の場合は痛む患部を冷やす
頭の片側だけがズキズキと痛むような偏頭痛を感じる場合は、痛む患部を濡れたタオルなどで冷やすと、痛みが緩和されることがあります。
偏頭痛は、血管の拡張が原因で起きることが多く、患部を冷やすことで血管が収縮して痛みがおさまるためです。
4. 偏頭痛の場合は少量のカフェイン飲料を飲む
上と同じく偏頭痛の場合は、拡張した血管を収縮させることで痛みが和らぎます。
カフェインには血管収縮作用があるため、コーヒーなどカフェインを含む飲み物を1杯程度飲むことで、頭痛の緩和が期待できます。
カフェインは妊娠中に摂りすぎるといけない成分ですが、コーヒーであれば1日1~2杯程度なら問題ないとされています。
5. 横になって休む(できれば暗く静かな場所で)
頭痛がひどい場合は、ゆっくりと横になって休むようにしましょう。
特に、ストレスによる自律神経の乱れや、血管拡張が原因で頭痛が起こっている場合は、なるべく暗くて静かな場所で横になることが効果的です。
光や音を遮断することで、拡がった血管が収縮し、また心が穏やかになることで頭痛が改善すると言われています。
6. 好きな音楽やアロマでリラックスする
ストレスがたまることは、頭痛の原因の一つでもあります。
体の不調のことや迫る出産について考えすぎて不安を感じることがないように、好きな音楽を聴いたり、好きなアロマを炊いたりなど、自分なりの方法でリラックスできる環境を整えると良いでしょう。
7. 水分補給をこまめに行う
水分不足により血液循環が滞ることも頭痛の原因として考えられます。
特に妊娠後期は、胎児の成長に伴い多くの水分を必要としますので、こまめな水分補給を意識するようにしましょう。
妊娠中は1日1.5リットル~2リットルは水や麦茶などで水分補給をすると良いと言われています。
8. 鉄分の多い食事をして貧血を防ぐ
鉄分不足による貧血は、頭痛の原因の一つになります。
頭痛がなかったとしても、特に妊娠中期~妊娠後期は赤ちゃんの成長のために大量の鉄分が必要になりますので、不足しないよう毎日の食事で鉄分摂取を意識しましょう。
鉄分は、レバーや豚もも肉、牛肉赤身、あさり、しじみ、かつお、ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆などに多く含まれます。
妊娠後期は頭痛薬の使用に注意し、日々の生活の工夫で頭痛の悪化を防ごう!
妊娠後期に頭痛が悪化すると、吐き気やめまいなどの症状が併発する場合もあり、とてもつらいですよね。
しかし、市販の頭痛薬は妊娠後期には危険なものも多いため、自己判断で飲むことがないよう注意が必要です。
妊娠後期の頭痛は、血行の改善や、水分不足・鉄分不足を防ぐことでも改善につながりますので、日々の生活を工夫して悪化を防ぐことが大切です。
無事、元気な赤ちゃんを産むことができる日まであと一息、頭痛を乗り切り体調を整えていきましょう。