「赤ちゃんがアレルギーになりそうだから、くるみは食べない方がいい。」
「脂肪分が多くて母乳がまずくなるから、授乳中にくるみを食べちゃダメ。」
こんな声が聞かれます。
でも、これは明らかなウソ!
くるみは授乳中の女性に嬉しい栄養成分がたくさん含まれているのですから。
もちろん食べ物なのでアレルギーの心配はあります。ただ、それはどんなものでも同じですよね。
大事なのは、正しい知識を持つこと。
この記事では、授乳中のくるみについて紹介しています。
- くるみの栄養素は、授乳中の女性に嬉しいものが豊富
- くるみはアレルギーの原因に!症状、治療法、対処法の紹介
- アレルギーがある女性はくるみNG
- 「授乳中にくるみを食べると、赤ちゃんがアレルギーになる」はウソ!
- 「くるみは脂肪分が多くて、母乳がまずくなる」はウソ!
最後まで記事を読んで、くるみについての疑問や不安を解消できれば幸いです。
目次
くるみの栄養素は、授乳中の女性に嬉しいものが豊富
くるみは脂肪分が多いから太る、食べない方がいい食品、と思われがち。
確かに脂肪分は多いのですが、実は積極的に摂りたい脂肪分であることをご存知ですか?
ひとくちに脂肪といっても、積極的に摂りたい脂肪と、そうでない脂肪があります。
オリーブオイルは体に良い、マーガリンは体に悪い、ということを一度は耳にしたことがあるはず。
どちらも油が使われていますが、その種類に違いがあるのです。
下記の図は脂肪の種類をまとめたものです。
<脂肪の種類>
難しい言葉が並んでいますが「いい脂肪=常温で液体の油」と覚えましょう。
ピンクの飽和脂肪酸以外が、常温で液体の油。積極的に摂りたい脂肪です。
くるみに含まれている脂肪は、ほとんどが図でみると黄色の脂肪。
「多価不飽和脂肪酸」と言い、体の中で生成されず、食べ物から摂取しなければならない成分です。
多価不飽和脂肪酸には、血中コレステロール値や悪玉コレステロール濃度を下げ、血管や心臓の病気のリスクを抑えてくれる他、脳や神経細胞維持に欠かせない作用があります。
くるみは、健康に嬉しい脂肪が多く含まれた食品なのです。
嬉しい成分は脂肪だけではありません。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラル類、ビタミンE、ビタミンB群が豊富!食物繊維も多く含まれています。
栄養バランスに配慮したい授乳中の女性にとって、くるみは非常に嬉しい栄養源ですよ。
(参考:脂肪酸の種類について|J-オイルミルズ、栄養と健康|カリフォルニア くるみ協会)
くるみはアレルギーの原因になる
くるみは体に嬉しい食品ですが、残念ながらアレルギーの原因になることがあります。
小麦や卵のような激しいアレルギー症状が出る例は少ないのですが、人によってさまざまな症状を引き起こします。
種実(ナッツ)類アレルギーの人にとっては、NGの食品です。
アレルギー症状
くるみアレルギーの場合、ほとんどが食べてすぐ(15分~2時間以内)に症状が出ます。
よく見られる症状は次のようなものです。
- 口の中や喉が痒くなる
- 口の周りが腫れる
- 口の周りや体に蕁麻疹がでる
- 目が充血したり、目の周りが腫れる
- 気持ちが悪くなる
- 吐く
- 下痢をする
くるみはアレルギー反応の中でも、呼吸困難やショック状態に陥るアナフィラキシーショックのような症状は起こらないといわれています。
ただ、人によって症状の内容や重症度合いが違います。
特に落花生アレルギーの人は要注意!
重篤な症状が出やすい落花生アレルギーの人は、くるみでも激しい症状が出ることも。
「アレルギーと言っても、大したことない」と軽く思わないようにしてくださいね。
くるみアレルギーで注意すること
アレルギー症状を抑える、また発症させないためには単純にくるみを食べないことです!
くるみ自体はもちろん、わずかでも入っている加工品(パンやお菓子)もダメ。
敏感な人は「くるみ入り食品と同じ工程で作られた別の(くるみ無し)食品」もダメです。
ただ、食品にくるみが入っているかどうかの表示は、義務ではなく「推奨」なのが現状。稀にくるみが入った商品を買ってしまう可能性もあります。
アレルギーがある場合は、食品を買う前にパッケージを念入りにチェックしましょう。
入っているかも……と思ったら避けるのがベストです。
関連記事⇒授乳中はナッツを食べても大丈夫?母乳や赤ちゃんへの影響と注意点、1日の摂取量とレシピ
授乳する本人がくるみアレルギーならNG!
当然のことながら、くるみアレルギーがある人は授乳中のくるみNGです。
これは、母親自身がアレルギー症状で治療が必要になってしまうから。
授乳中は飲むことができる薬が限られます。
また、症状によってはどうしても薬を飲まないといけなくなってしまい、授乳をストップせざるを得なくなることも!
アレルギーがあるお母さんは自分自身のためにも、赤ちゃんのためにも、食品選びを慎重にしてくださいね。
「授乳中にくるみを食べると、赤ちゃんがアレルギーになる」はウソ!
くるみにはアレルギーの可能性があります。
しかし、これはアレルギー反応が出る人がくるみを食べた場合。
決して、くるみを食べたから授乳した赤ちゃんがアレルギーになるという訳ではありません。
「授乳中にくるみを食べると、その成分が母乳に混ざり、赤ちゃんがアレルギーになる」というのはウソ!
科学的な根拠はないことが事実です。
アレルギーになるのを心配して、食べる食品を制限することはかえってよくありません。
食べ物を制限するのは、医師に指導された場合のみ。
勝手な自己判断で食べ物を制限するのは止めましょう。
どうしても不安で仕方が無い!という場合は、アレルギー科の医師に相談してくださいね。
(参考:食物アレルギー診療ガイドライン2016ダイジェスト版)
「くるみは脂肪分が多くて、母乳がまずくなる」はウソ!
授乳中にくるみを食べると母乳の質が悪くなって赤ちゃんが飲まなくなる、という話があります。
でも、これはウソ!
母乳には母親が食べたものの成分が含まれています。
しかし、くるみだけで味が変わり、質が悪くなって赤ちゃんが飲まなくなることはありません。
母乳の出の悪さには多くのことが影響しています。
- 睡眠時間が足りていない
- ストレスが溜まっていて、自律神経の働きが乱れている
- ホルモンバランスが崩れている
- 水分不足
- ビタミン類などが足りていない(栄養バランスが偏っている)
- 引っ越しなど、環境の変化によって生活リズムが変わった
- 体調不良
こうした、複数の事が関係して母乳の量や質が変わります。
また、赤ちゃん自身の体調・気分でも飲む量は簡単に変わるもの!
「くるみがダメ!」そんな風に思わないでください。
くるみに含まれる脂肪は質の良い脂肪です。悪者扱いする必要はありませんよ。
まとめ
くるみには、血液の状態を良くしたり、コレステロール値を改善したり、脳や神経の維持に欠かせない成分が豊富に含まれています。
脂肪は多いけれど、食べ物から積極的に摂りたい脂肪です。
くるみは授乳中でも積極的に食べてOK、体に嬉しい食品と覚えてください。
ただし、くるみはアレルギーがあります。母親がくるみアレルギーの場合は授乳中のくるみはNG。
落花生アレルギーがある人も要注意です!
授乳中にくるみを食べたからといって母乳の質が悪くなったり、赤ちゃんがアレルギー体質になることはありません。
健康に役立つくるみを上手に食べて、バランスのとれた食生活を実現しましょう。