妊娠中、妊娠初期から続いていたつわりが落ち着いてくるといろいろと食べたくなりますよね。
しかし、やっと食べられるようになっても、妊娠中の食べ物には何かと制限が多く食事には気を遣います。
そんな中でも、ひと癖あるもつは妊娠中に食べてもいいのか、気になった人もいると思います。
そこで今回はもつについて。記事のポイントは3つです。
- 妊娠中にもつを食べても大丈夫?
- 妊娠中にもつをおいしく食べるための注意点
- もつを使ったおすすめレシピ
それでは解説していきます。参考にしてみてください。
目次
妊娠中にもつを食べても大丈夫?
うしやぶた、鶏などの内臓を総称してもつといい、その中でも肝臓や心臓を赤もつ、胃や腸を白もつといいます。
一般的な肉類よりくせのあるもつですが、妊娠中にこれらを食べても大丈夫です!
妊娠15週頃には、胎児の形態、器官がほぼ完成するとともに胎盤の形成も完了します。
これ以降、胎児は胎盤を通して母体から栄養をもらって発育していきますが、各器官の機能が未熟で胎盤から取り込んだ有害物質を上手に代謝・排泄することができないため、お母さんはできるだけ毒となるものの摂取は控える必要があります。
妊娠中、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるのは、一部の薬剤やたばこ、アルコールに加えて、食中毒菌や過剰に偏った栄養素。
そのため、食中毒や食べ過ぎにさえ注意すればもつを食べることに何の問題もないのです。
妊娠中にもつを食べるときの3つの注意点
妊婦さんでももつを食べても大丈夫ということはわかりましたが、いろいろと食事には気を配る妊娠中です。
もつを食べる際にも注意した方が良いことはあるのかな?と気になる方もいることでしょう。
やはり、妊婦さんが安心しておいしくもつを食べるために、気をつけてほしいポイントが3つあります。
- しっかりと下処理、加熱をする
- 食べ過ぎに注意する
- 他の食材もバランスよく取り入れる
それでは1つずつ見ていきましょう。
下処理・加熱を入念に!
うしやぶた等の内臓であるもつは、加熱して食べることを前提とされており、腸管出血性大腸菌などが付着している可能性が。
そのため、調理の際には十分な下処理が重要になります。
1.余分な脂、皮を切り落とす(すでに取り除かれた状態で売られているものもあります)
2.水洗い後、塩又は小麦粉を揉み込んで十分に洗い流す(これを2~3回繰り返します)
臭みの強い部分を取り除いておき、さらに塩や小麦粉で汚れや臭みをからめとることでおいしく食べられるだけでなく、食中毒菌の除去や余分なカロリー摂取を抑えることができます。
下処理に加えて、十分な加熱をすることで多くの食中毒菌を死滅させることができるのです。
十分な加熱とは、中心部から赤い肉汁が出てこない、または中心部を75℃で1分以上加熱することを言います。
ちなみに『妊娠初期で半生のもつ鍋を食べてしまっていた!』という方は、妊娠初期を思い起こしてぞっとしているかもしれません。
しかし、先にも触れたように、胎児は胎盤が形成されてからママからの栄養の影響を受けることになります。
妊娠初期の段階ではまだ胎盤の形成は完了していませんので、赤ちゃんが大きな悪影響を受けることはないでしょう。
ただしもしご心配なようでしたら、一度医療機関へ相談されてみてください。
食べ過ぎに注意
どんなに栄養価の高い食事であっても、食べ過ぎはよくありません。
食べ過ぎ予防には自分に必要な量を知っておくことが重要です。
18~49歳の女性で、仕事や家事、軽いスポーツをする程度の活動量のひとが妊娠中の1日に必要なエネルギー量がこちらです。
初期(14週未満) 中期(14~28週未満) 後期(28週以降) 18~29歳 2000㎉ 2200㎉ 2400㎉ 30~49歳 2050㎉ 2250㎉ 2500㎉
妊娠が進むにつれて赤ちゃんも成長し、必要になるエネルギー量も増えていきます。
次に、もつをはじめとした肉類の成分を見てみましょう。
エネルギー(㎉) たんぱく質(g) 脂質(g) レチノール (μgRE)
ビタミン B₂
ビタミン B₁₂
うし小腸 生 287 9.9 26.1 2 0.23 20.5 うし肝臓 生 132 19.6 3.7 1100 3.0 52.8 ぶた小腸 ゆで 171 14.0 11.9 15 0.03 0.4 ぶた肝臓 生 128 20.4 3.4 13000 3.6 25.2 うし(和牛)ばら 【カルビ】
517 11.0 50.0 3 0.11 1.2 ぶた(中型)ばら 【カルビ】
434 13.4 40.1 9 0.11 0.3 うし 肩ロース
411 13.8 37.4 3 0.17 1.1 豚(中型) ロース
291 18.3 22.6 6 0.13 0.3
もつはその他部位よりカロリーが低く、その中でも肝臓(レバー)はずば抜けて栄養価が高いことがわかりますね。
レバーに多く含まれるレチノールはビタミンAの大半を構成するもので、視覚・聴覚・皮ふ粘膜の保持・たんぱく質の合成などに必要とされる栄養素。
レチノール(ビタミンA)が不足すると視覚障害などを起こす可能性がありますが、現代では通常の食事が摂れていればレチノール(ビタミンA)が不足することはほとんどないとされています。
健康維持に必要とされる一方で、妊娠初期にレチノール(ビタミンA)を摂りすぎると先天性の奇形が増加するという報告が。
そのため妊娠初期の摂取上限が最大でも2700μgRAE/日となっています。
このように、カロリーが低いからといって、過剰に食べるとレチノール(ビタミンA)の摂りすぎになるので注意が必要です。
他の食材でバランスよく
肉が中心になるメニューの場合、脂質やたんぱく質が増えてどうしてもバランスが悪くなりがち。
自宅でもつを調理するときには、できるだけ野菜と一緒に食べるようにしょう。
ここで18~49歳の妊婦さんが1日に必要な栄養素の目安量を見てみましょう。
たんぱく質 脂質 ビタミン 葉酸 カルシウム 鉄 B₂ C A ℊ %エネルギ- 月経 あり
月経 なし
㎎ ㎎ μgRAE μg ㎎ ㎎ ㎎ 18~29歳 50 20~30 1.2 100 650 240 650 10.5 6.0 30~49歳 50 20~30 1.2 100 700 240 650 10.5 6.5 初期 (16週未満)
+0 - +0.3 +10 +0 +0 +0 - +2.5 中期 (16~28
週未満)
+10 - +15.0 後期 (28週以降)
+25 - +80 +2.5
食品例
- 葉酸:ほうれん草2株(70g)で150μg、ブロッコリー3~4房(70g)で150μg
- 鉄:ひじき10gで5.5㎎、豚レバー串1本(30ℊ)で3.9㎎
- カルシウム:牛乳コップ1杯(180g)で200㎎、ししゃも3尾(50g)165㎎
特に葉酸は厚生労働省でも注意喚起されているほど大切な栄養素ですので、積極的に摂取してくださいね。
関連記事⇒葉酸サプリランキング2018~市販vs通販!妊娠中におすすめ葉酸サプリ35選
以上の必要量の目安を知って、栄養素が偏らないようレシピに上手に取り入れていきましょう。
妊娠中におすすめなもつを使ったレシピ
妊娠中にうれしい、栄養豊富なもつメニューを紹介します!
牛もつを使用したもつ料理の定番。
丁寧に下処理したもつを、野菜やこんにゃくと一緒に煮込みます。
・鶏もつ煮
栄養価の高い鶏レバーを使用した居酒屋風メニューです。
3種のもつを甘辛く煮込みます。
どちらも美味しいですのでぜひ試してみてください!
まとめ
妊娠15週頃には胎盤が形成されて胎児への栄養供給を始めるため、お母さんは一部の薬剤やたばこ、アルコール、食中毒菌や過剰に偏った栄養素の摂取などを控える必要がありますが、これらにさえ注意すればもつを食べることに何の問題もありません。
ただしもつの一種であるレバーにはレチノールというビタミンAが多く含まれています。
この成分は妊娠中に過剰摂取すると先天性の奇形を増加させる可能性があるとされているので、食べ過ぎは特に注意が必要ということを念頭にいれておきましょう。
安心しておいしくもつを食べるためには、しっかりと下処理・加熱をすること、食べ過ぎないこと、他の食材も併せてバランスよくすることが大切です。
以上のことから、正しい調理法、必要な量を知り、もつの豊富な栄養素をしっかりいただきましょう。