寝ることが多い赤ちゃんはいつも同じ方向ばかりを向いていると思った事はありませんか?
実はそれは「向き癖」というものなのです。
赤ちゃんの向き癖は頭の形に影響を与えることもあります。
そこで今回は赤ちゃんの向き癖について4つのポイントをお伝えします。
・赤ちゃんの向き癖4つの原因
・赤ちゃんの向き癖による病気のリスクや影響
・赤ちゃんの頭の形と頭の柔らかさ
・赤ちゃんの向き癖8つの改善方法
赤ちゃんの向き癖は大人のサポートが必要な場合もあります。
赤ちゃんの向き癖について知ることで、向き癖を改善してみましょう。
目次
赤ちゃんの向き癖4つの原因
赤ちゃんに向き癖がある時にはいくつかの原因が挙げられます。
赤ちゃん自身や、赤ちゃんの周りの環境を良く見てみましょう。
①赤ちゃん自身に頭の形によるもの
②音や光などの興味を引かれるものが片側にある
③添い寝、沿い乳が毎回同じ方向
④病気
赤ちゃん自身の頭の形によるもの
経膣分娩での出産では、赤ちゃんは狭い産道を通って生まれてきます。
赤ちゃんは頭蓋骨を重ね合わせて、頭の形を変えながら骨盤や産道を通ってきます。
その際に頭の形に歪みが生じることで、向き癖になることがあります。
赤ちゃんがママのお腹の中にいた際に、赤ちゃんの背中がママの左右どちらにいたかによって頭の形が決まります。
・ママのお腹の中で、赤ちゃんの背中が左、頭が右側にある場合
→赤ちゃんの頭を背中側から見た時に、左がへこみがち、右が丸みを帯びた形になる
・ママのお腹の中で、赤ちゃんの背中が右、頭が左側にある場合
→赤ちゃんの頭を背中側から見た時に、左が丸みを帯び、右がへこみがちの形になる
赤ちゃんが出産時に産道を通る際に、回旋しながら移動してきます。
この回旋時の赤ちゃんの姿勢によっても頭の形は左右されるのです。
・赤ちゃん自身が顎を引いて頷くような姿勢だった場合
→赤ちゃんの後頭部が伸びた形
・赤ちゃん自身が顎をあまり引かない姿勢だった場合
→赤ちゃんの頭頂部が伸びた形
・赤ちゃん自身が顎をあげた姿勢だった場合
→赤ちゃんのおでこが伸びた形
上記のように、赤ちゃん自身がお腹の中にいた時の姿勢と生まれる時に取っていた姿勢によって、頭の形が左右され、その頭の形によって向き癖が生まれることがあります。
出産が帝王切開による出産だった場合には、生まれてきた赤ちゃんの頭の形はキレイな丸になるのです。
音や光などの興味を引かれるものが片側にある
赤ちゃんは光や、音、色など興味を引かれるものがある方向を向きます。
赤ちゃんが寝ている場所をよく観察してみましょう。
添い寝、沿い乳が毎回同じ方向
添い寝や沿い乳をしている場合には、赤ちゃんが同じ方向を向くことが多くなります。
そのため、向き癖になってしまうこともあります。
病気
赤ちゃんに向き癖がある場合には実は病気が隠れている場合があります。
赤ちゃんに向き癖以外の病気のサインが隠れていないかしっかりと観察・確認する必要があります。
赤ちゃんの向き癖による6つの病気のリスクや影響
赤ちゃんの病気の中には、そのサインの1つとして向き癖が出ることがあります。
向き癖がでる病気には以下の6つがあります。
①先天性筋性斜頸
②骨性斜頸
③炎症性斜頸
④眼性斜頸
⑤先天性股関節脱臼
⑥斜視
先天性筋性斜頸(きんせいしゃけい)
筋性斜頸は、首のあたりにある胸鎖乳突筋が拘縮といって、筋肉が収縮した状態になることによって首が傾いてしまう病気です。
首を傾ける側に、こぶができます。
例えば、右側にこぶがある場合には、顎は左向き、顔全体は右に傾きます。
筋肉が拘縮しているため、動かそうとしても抵抗を感じます。
一ヶ月検診でチェックされる項目でもあります。
こぶは生後1週間~出来ることが多く、1歳頃までには改善することが多いです。
骨性斜頸
頸椎や胸椎に先天性奇形があるために、首が傾いてしまう病気です。
筋性斜頸と同じく、新生児期から起こり、レントゲンを撮ることで分かります。
炎症性斜頸
中耳炎や扁桃腺炎のあとに、頸椎や頸部の筋肉に痛みが起こり、動かすと痛いために、斜頸になっている病気です。
眼性斜頸
眼性斜頸は、物を集中してみると、首が傾いてしまう病気です。
目の運動に関わる筋肉に異常が起こり、眼球の上下のズレを治そうと首を傾けてしまうのです。
テレビなどをみるようになる生後6ヵ月~見つかることが多い病気です。
先天性股間節脱臼(発達性股関節脱臼)
先天性股間節脱臼は赤ちゃんの股関節、足の付け根の骨が外れてしまう状態をいいます。
先天性とはついていますが、後天的のことが多く、約90%の赤ちゃんが生まれたあとに発症することが多いです。
そのため近年では「発達性股関節脱臼」と呼ぶようにもなりました。
股関節脱臼を起こしている赤ちゃんには向き癖があります。
股間節脱臼を起こしている足とは反対側を向くようになります。
左の股関節脱臼をしているのであれば、右を向くようになります。
股関節脱臼を起こしている赤ちゃんは、以下のような特徴があります。
①足の長さが左右で異なる
②膝を曲げた状態で股を広げると音がする
③太もものしわが左右非対称
④足をM字に広げた時に、膝の角度に左右差がある
⑤股関節動きに左右差がある
また股関節脱臼は股関節が外れた状態ですが、股関節亜脱臼といって、外れかかっている状態もあります。
向き癖があり、股関節脱臼の特徴がみられる場合には速やかに小児科、あるいは整形外科を受診しましょう。
斜視
斜視というのは、簡単にいうと両目の動きがバラバラに動くことです。
通常眼球は左右揃って動きます。
ですが、斜視の場合では、右目と左目の動きが揃いません。
斜視があると正しい立体感や距離感が捉えられないことがあり、見え方に問題が起こります。
また子供の場合は、視覚の発達時期にあるため、斜視があると後の目の運動機能に影響を及ぼす可能性もあります。
斜視には、偽斜視、外斜視、内斜視、上下斜視、麻痺性斜視があります。
①偽斜視
偽斜視は、実際には両目ともちゃんと視線が揃っているにも掛からず、見た目には視線がずれている様に見える状態をいいます。
赤ちゃんの頃は内側に目が寄る、いわゆる寄り目に見えます。
本当の斜視との区別が付きにくいのも問題です。
②外斜視
外斜視は、どちらかの目が外側をむいている斜視です。
外斜視はさらに分けられ、常に外斜視の状態を「恒常性外斜視」、時々外斜視になる状態を「間欠性外斜視」と言います。
外斜視の状態では、片目だけでものを見ているか、ものが2つ見えている状態になります。
子どもの場合は、片目だけで見ていることが多いため、両目で視る機能が低下する可能性があります。
③内斜視
内斜視は、どちらかの目が内側を向いている斜視です。
内斜視に乳児(先天)内斜視と後天内斜視があります。
乳児(先天)内斜視は生後6ヵ月以内に発症した内斜視を指します。
原因ははっきりとしていません。眼位のずれによっては斜視手術が必要なケースが多く、斜視によっては弱視になっていることもあるので早めに受診する必要があります。
生後6ヵ月以降に発症した内斜視を後天内斜視と言います。
原因には遠視、近視、脳の異常、けが、ストレスなどがあります。
内斜視の程度によって眼鏡などで矯正し、必要に応じて手術を行う場合もあります。
④上下斜視
上下斜視は、目のどちらかが上下にずれている状態をいいます。
眼の運動に関わる筋肉や神経の異常、視力や両眼視機能の異常などで起こります。
また上下斜視があると頭を傾けてみたり、ものが2つに見えたり、両眼視機能の発達に影響が出ることがあります。
メガネやコンタクトレンズでの矯正や眼球のずれの程度によっては手術を行う場合もあります。
⑤麻痺性斜視
麻痺性斜視では、眼球を動かす神経に麻痺がおこることで斜視になります。
ものが2つに見える事が代表的な症状ですが、乳幼児は者が2つ見えても、脳の働きから不要な像をけしてしまうため、自覚症状がでないことが多くあります。
そのため、弱視や両眼視機能の発達に影響が出ることが多くあります。
見る時に、頭を回す、傾けている時には注意が必要です。
斜視にはいくつかの種類があり、中々気づけないことがあります。
眼球のずれや、距離感や立体感がうまくつかめない事や、頭を動かすようにして物を見る時には注意が必要です。
特に乳幼児期は視力の発達の時期にあるため、今後の両眼視機能に影響が出ることがあります。
出来るだけ早く気づくのが大切です。
赤ちゃんの頭の形は?
赤ちゃんの頭の形によって実は名称があるのです。
①斜頭症
後頭部の片方だけが平らで、左右非対称。向き癖でなりやすく、右ばかり向く子は左の後頭部が平らになります。
②短頭症
後頭部すべてが平ら。鼻から後頭部までの長さが短いので短頭症と言います。
いわゆる絶壁です。
仰向けに寝ることが多いとなります。
③長頭症
長頭症は横向きに寝ている事が多い赤ちゃんに多い頭の形です。
横向きが多いために、鼻から後頭部までの長さが長くなります。
赤ちゃんの向き癖によって頭の形が決まってしまいます。
向き癖によって長時間同じ方向を向いていると頭の同じ部分だけに圧が掛かります。
そのため圧が掛かっている部分だけが平らになってしまうのです。
赤ちゃんの頭の形はいつまで?
赤ちゃんの頭は、頭蓋骨が柔らかくできています。
これは出産の時に頭蓋骨を重ね合わせることで狭い産道を通れるように、どの赤ちゃんも生まれる前から備わっているものです。
そして頭が柔らかいからこそ、向き癖によって頭の形が変形してしまうのです。
では赤ちゃんの頭はいつまで、柔らかく、いつから硬くなるのでしょうか?
答えは生後6ヵ月です。
生後6ヵ月までは柔らかく、6ヵ月を過ぎると徐々に硬くなっていきます。
向き癖による頭の形が気になる時には、できるだけ早めに対処するのが良いでしょう。
赤ちゃんの向き癖9つの改善方法
赤ちゃんの向き癖を改善するには次のような方法を試してみましょう。
①ドーナッツ枕を使用する
ドーナッツ枕は、中心がへこんだドーナッツのような形をした枕です。
くぼみがあるため、頭を丸みのある状態にしたい時に向いています。
②向き癖防止クッションを使用する
赤ちゃんの身体の下側に向き癖防止クッションをいれることで、身体全体の向きを変えていきます。
多くの向き癖防止クッションは生後3ヵ月頃~5ヵ月頃まで使用することができます。
寝返りができるようになると、クッションを乗り越えてしまうため、寝返りができるようなるまでの短い期間で使用するママが多いようです。
使用できる期間が短い為、向き癖防止クッションを購入せずに、バスタオルなどを使用するママもいます。
その場合は、十分に注意する必要があります。
必ず赤ちゃんの様子を見ながら使用しましょう。
③寝かせる時に頭の向きを毎回変える
赤ちゃんを寝かせる時に頭の向きを毎回変えて上げましょう。
とくに寝る時間が長い月齢が低い赤ちゃんは、2~3時間程度で向きを変えてあげるのが良いでしょう。頭の向きを変える時は優しく行いましょう。
④寝る場所や寝る向きを変える
赤ちゃんは興味のある方向を向きます。
例えば、音や光に反応します。
赤ちゃんが同じ方向ばかり向いている時には、寝る場所ごと反対向きにするのも良いでしょう。
⑤添い寝、沿い乳の時にはママの位置を変える
ママがいつも場所にいると赤ちゃんはママの方向をみるために、同じ方向を向くことになります。
添い寝、沿い乳をしている場合には、反対側に変えてみましょう。
⑥赤ちゃんの向き癖とは反対側から話しかける
赤ちゃんの向き癖とは反対側から話しかけてみましょう。
赤ちゃんは、声のする方向を探そうとするはずです。
⑦メリーを使ってみる
メリーを使って赤ちゃんの興味を引き、向き癖を治してみましょう。
メリーは赤ちゃんの向き癖とは反対方向に設置すると良いでしょう。
⑧抱っこする腕を変えてみる
赤ちゃんを抱っこする時、右手の方が抱っこしやすい、左側の方が抱っこしやすいがあるかと思います。
この抱っこをいつもとは違う腕で抱っこすることも向き癖には効果があります。
抱っこされている赤ちゃんは、いつも同じ体勢になるので、抱く腕を変えることで向く方向も変わります。
抱っこの時も意識してみましょう。
⑨医療機関での頭の形の矯正をする
専門の医療機関にて、頭の形を矯正することができます。
「頭蓋形状誘導ヘルメット」や「モルディングヘルメット」などと呼ばれています。
赤ちゃんの頭の形に合わせたヘルメットを作り、着用していくことで、形を矯正していきます。
赤ちゃん一人一人に合わせたヘルメットを作るため、費用が高いこと、長時間ヘルメットの着用をしなければいけないため赤ちゃんにとって負担になる事が考えられます。
また首座り~生後18ヵ月(1歳6ヵ月)までであれば治療が可能です。
ですが、月齢が小さい方が、頭が柔らかいため効果は高いです。
家族でよく相談してから決めるのが良いでしょう。
向き癖による、赤ちゃんの耳の臭い
向き癖によって、片方の耳ばかりがお布団に触れていると、お布団に触れている耳が蒸れてしまい、臭うようになることもあります。
赤ちゃんの耳の臭いが気になる時には以下の3つのチェックしてみましょう。
①耳だれはないか
②耳を痒がっていないか
③耳垢がたまっていないか
耳だれがある場や、耳を触ったり引っ張ったりと痒がるような仕草を見せる時には、中耳炎や外耳炎などの耳の病気を起こしている事があります。
耳鼻科を受診する必要があります。
耳垢が溜まっている場合にも耳が臭うことがあります。
耳垢は基本的には自然と出てくるものです。
したがって赤ちゃんの耳掃除は、毎日奥までする必要はありません。
お風呂上がりにタオルで耳の穴の周りを拭くだけで十分です。
ですが耳垢が溜まっている場合には、耳鼻科にて耳垢を取って貰いましょう。
病気もなく、耳垢もない場合には、耳が蒸れてしまうために、臭うことも。
頭の向きを変えてあげましょう。
まとめ
赤ちゃんの向き癖の原因には病気が隠れていることがあります。
向き癖が気になる時にはまずは病気ではないかをよく観察してみましょう。
赤ちゃんの向き癖対処法には、ドーナッツ枕、向き癖防止クッションなどのグッズを利用するほか、寝る場所や寝る時の環境を変えるのも有効です。
赤ちゃんは音や光に興味があり、ママが好きなので、赤ちゃん周辺の環境を見直してみましょう。
向き癖による頭の形の変形は月齢が早ければ早い程治るとされています。
頭の形が気になる時には早めにとりくみましょう。