カルシウムといえば歯や骨。
背がグングン伸びている成長期の子どもや、激しい運動をする人に必要不可欠なもの、というイメージですよね。
しかし実は妊婦にも欠かせない栄養素って知っていますか?
不足すると骨がスカスカになったり、胎児に悪影響が出る可能性があったりする、重要なものなんです。
この記事では、妊婦さんが1日に取るべき摂取量や不足した時の悪影響、カルシウムが多い食品などについて5つの項目にまとめました。
- カルシウムは骨・歯・血液に必要不可欠!イライラを抑える効果も
- 不足すると骨がスカスカに!骨粗鬆症のリスクがアップ
- 1日の摂取目安量は650mg!500mg未満は不足状態
- カルシウムが多い食品とおすすめの摂取方法
- サプリメントを活用する時は過剰摂取に注意
妊婦さんにも欠かせないカルシウムについて、ひとつずつ詳しくみていきましょう。
目次
カルシウムは骨・歯・血液に必要不可欠!イライラを抑える効果も
皆さんがご存知のとおり、カルシウムは骨や歯を作り上げている成分です。
人の体内にあるカルシウムの99%が骨や歯に含まれており、1%が血液や細胞の中にあります。
血液の中のカルシウム濃度は一定に保たれています。
血液中のカルシウムが足りなくなると、骨や歯からカルシウムが溶け出します。
血液中のカルシウム濃度が高くなると骨や歯に蓄積したり、余分なものは尿などと一緒に排出されたりします。
一定の量に保たれた血液中のカルシウムが全身を巡り、細胞の分裂を助けたり、筋肉が動く時に使われたり、神経の興奮を抑えたりしています。
よく「イライラする時は牛乳を飲む(カルシウムを取る)」と言いますよね。
これはカルシウムが神経の興奮を抑えてくれるから。
妊婦さんは、ホルモンバランスが産前とは全く違う状態です。
体が経験したことのないような状態にあるため、不安感が強くなったり、イライラしたり、急に気分が沈んだりします。
こうした気分の浮き沈みに関わる神経の働きを調節するのにもカルシウムは役立ちます。
妊婦さんの体だけでなく、心にも重要な栄養素です。
不足すると骨がスカスカに!骨粗鬆症のリスクがアップ
カルシウムが不足すると、次のような悪影響がでます。
- 骨や歯から溶け出すカルシウム量が増えて、骨粗鬆症になる
- 高血圧
- 動脈硬化
- 胎児に必要な量のカルシウムを送れない
- 神経の興奮を調整しづらくなり、イライラしたり、気持ちのコントロールが難しくなる
妊婦さんの体は、胎児を守り育てることを優先しています。
また、胎児の体内のカルシウムはほとんどが母体から送られたもの。
妊婦さんのカルシウム摂取量が不足すると、骨や歯からどんどんカルシウムが溶け出していきます。
そうすると骨や歯の中がスカスカに!
骨がもろくなって骨粗鬆症予備軍になってしまいます。
骨粗鬆症になると、骨折しやすくなったり、折れた骨が元に戻らないなど。
生活に支障が出てしまいます。
さらに、妊婦さんが慢性的なカルシウム不足の状態だった場合は胎児もカルシウム不足に陥りますので要注意です。
1日のカルシウム摂取量は650mg!500mg未満は不足状態
女性の1日のカルシウム摂取量(目安量)は650mgです。
妊娠している・していないに関わらず、この量です。
妊娠したからといって、余分に取る必要はありません。
実は、妊娠するとカルシウムを吸収する能力が高まります。
余分に摂取しなくても、いつもより多い量を体の中に貯め込もうとするのです。
ですから、妊娠前と同じ。1日に650mg取ることを目標にしましょう。
なお、1日当たりの摂取量が500mgに満たない人はカルシウム不足に陥っています。
その場合は、摂取するカルシウム量を増やさなければなりません。
一度、食事の内容をチェックしてカルシウムがどれくらい取れているのか確認するといいですよ。
文部科学省の「食品成分データベース」で食品に含まれている栄養素の量がチェックできます。
自分が食べている主な食品に含まれるカルシウム量をチェックしてみましょう。
カルシウムが多い食品とおすすめの摂取方法
カルシウムを多く含む食品の代表といえば、牛乳やチーズといった乳製品。
他にも、納豆や豆腐など大豆製品、骨も含めて丸ごと食べられる小魚やエビ、野菜にカルシウムが含まれています。
上の表の一番右端。
一食分のカルシウム量を見てみましょう。
やはり、牛乳やヨーグルトといった乳製品に多く含まれていますね。
日本人は欧米に比べて乳製品を食べる機会が少なくなりがち。
さらに近年は魚介類を食べる量も減っています。
1日の目安量650mgを摂取するには乳製品や魚介類を毎日食べたいものです。
さらに、実はカルシウムだけを取っても吸収されません。
ビタミンDを一緒に取り、さらにジャンプや運動をするなど、骨に負荷をかけなければならないのです。
妊婦さんは激しい運動は難しいですよね。
おすすめは、日光に当たりながらウォーキングすること。
日光に当たると体内でビタミンDが合成され、歩くことで骨に負荷をかけられます。
体調に合わせて運動することも意識してくださいね。
サプリメントを活用する時は過剰摂取に注意
妊娠中はつわりがあったり、体調の変化、気分の浮き沈み、胃の圧迫などで思うように食事がとれないこともあります。
そんな時はサプリメントを活用しましょう。
おすすめのサプリメントは、複数の栄養成分が入ったサプリメント。
カルシウムの吸収率をあげるビタミンD、妊婦さんの多くが不足している鉄分、そして葉酸や亜鉛。
こうした栄養素がまとめて取れるサプリメントがいいですよ。
ただし、栄養素の過剰摂取に要注意!
1日に取っていいカルシウムは2500mgまで。
食事とサプリメントを合わせた量が2500mgを超えないように注意しましょう。
カルシウムを取り過ぎてもある程度は尿などと一緒に体の外へ出されていきます。
しかし摂取する量が多すぎると体の中に石ができたり(尿管結石)、腎臓に障害が出たり。
悪影響がでてきます。
今すぐに健康被害が出てくる訳ではありませんが、体の中にジワジワ溜まっていくのは怖いですよね。
食事やサプリメントの内容をチェックする習慣を付けたいですね。
まとめ
カルシウムは妊婦さんにも必要な栄養素です。
1日の摂取量は650mgが目標。
500mg未満はカルシウム不足の状態なので、乳製品や魚介類を積極的に取りましょう。
食事で取り切れない場合はサプリメントが便利。
ただし、2500mgよりも多く取ってしまわないよう注意してくださいね。
胎児のためにも、妊婦さん自身の骨や歯の健康のためにも、カルシウムを適量摂る習慣をつけましょう。