高級食材で知られる「フカヒレ」。
頻繁に食べられる物ではありませんが、コラーゲンが多く含まれているため美意識の高い女性は積極的に取っている方も。
また、結婚式やお祝いの席で食べることの多いフカヒレなので妊娠中でも食べる機会があるかもしれません。
妊娠中に魚介類を食べる場合は、水銀の心配があるので注意をしなければなりませんが、フカヒレも気をつけるべき食材なのでしょうか。
そこで今回は、フカヒレの原料や栄養素、お腹の赤ちゃんへの影響や妊娠中のフカヒレ6つの注意点を紹介します。
今回のポイントは下記の4つです。
フカヒレの原料とは
水銀とお腹の赤ちゃんへの影響
フカヒレに含まれる栄養素
妊娠中のフカヒレ6つの注意点
フカヒレは高級食材ですので日常では頻繁に食べている人は少ないでしょう。
しかし、最近ではフカヒレもどきなものや乾燥フカヒレに使われてはいけない添加物が使用されているものが報告されています。
なかなか食べる機会がないものとは言え、妊娠中に食べる機会がないとも言えません。
お腹の赤ちゃんのためにも大切なことですので、妊娠中の注意点をまず確認して下さいね。
目次
フカヒレの原料とは
フカヒレの原料はみなさんもご存じの通り「サメのヒレ」です。
世界には数百種類のサメが生息していますが、そのうちフカヒレに使われるのは約40種類ほど。
細い種類別に分かれていて価格もピンキリです。
フカヒレに使用されるサメ
フカヒレは白いものと黒いものに分かれています。
黒いフカヒレの原料のひとつとされる「ヨシキリザメ」は、妊婦が注意するべき魚介類の種類ひとつとされているのです。
しかし、妊婦さんが全く食べてはいけないというものでなく、過剰な摂取は控えて目安量程度にとどめておけば食べても良いとされているようです。
厚生労働省ホームページ「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」より
〈妊婦が注意するべき魚介類の種類とその摂食量の目安〉
- ヨシキリザメ 1回80gとして妊婦は週2回まで
※1週間に160g程度
フカヒレの姿煮は約120〜150gなので、1回の目安量は超えています。
毎日美容のためにフカヒレの姿煮を食べているという方は直ぐにやめるべきですが、そんな人はなかなかいないですよね。お祝いの席や結婚式などで食べる量程度に留めておけば良いでしょう。
それでも気になる方は、半分程度にしておくのも良いでしょう。
水銀とお腹の赤ちゃんへの影響
海にいる魚介類は食物連鎖の関係上、少なからずどんな生物においても水銀は含まれています。
しかし、大きいサメやマグロ、タイ、クジラの大きめの魚類や海の深くに生息している深海魚には他の魚介類よりも水銀は多く含まれている傾向です。
何故、妊娠中に水銀を摂取するのは良くないのか、赤ちゃんにどんな影響が出てしまうのかを探ってみましょう。
水銀とは
水銀は天然に生息をしていたり、ゴミ焼却やセメントの製造等からも出ている金属の一種です。
昔は体温計や乾電池、蛍光灯、歯の詰め物にも使われていました。しかし、水銀は身体に害を及ぼす物質のため、現在ではほとんど使用されていません。
メチル水銀と水俣病
昔、熊本県水俣市の工場からメチル水銀を含んだ工場排水が海へ流れ出ました。
メチル水銀を含むプランクトンを小魚が食べ、その小魚を食べた多くの魚介類もまたメチル水銀が含まれているのです。
メチル水銀を含んだ魚を人間が食べ、身体に水銀が蓄積されてしまい難聴や手足の痺れ、言語障害などの症状が出てしまいました。これらの症状こそが、公害が原因の病気「水俣病」です。
赤ちゃんは水銀の影響を受けやすい
赤ちゃんはまだ臓器が完全に出来上がっておらず未熟な状態です。
そんな中、水銀が身体に入ると排出できず蓄積をしてしまいます。
たとえ微量の水銀であってもお腹の赤ちゃんにはリスクは伴うのです。
メチル水銀を含んだ魚介類を毎日のように知らずに食べていた妊婦さん。
胎盤を通してお腹の赤ちゃんへ水銀が移行し胎児性水俣病となってしまったのです。
生まれた赤ちゃんには脳に障害が残ったり、言語障害や運動失調などの様々な症状が。
中には症状が重く亡くなってしまった赤ちゃんもいるそうです。
お腹の赤ちゃんを守るのはママです。とってはいけないものはもちろん。
目安量が決められているものは、しっかりと守るようにして下さいね。
フカヒレに含まれる栄養素
フカヒレにはコラーゲンが豊富に含まれているのでお肌がプルプルになります。
美意識の高い女性には特に人気の食材です。また、その他にも妊娠中に不足しやすいカルシウムや鉄分も含まれているのです。
ママが食べた物は血液となりお腹の赤ちゃんへ栄養が優先的に送られます。
ただでさえ現代人はカルシウムが不足とされているので妊婦さんであれば尚更。
また、妊婦さんは血液量も増えるため貧血にもなりやすいのです。フカヒレには意外にも鉄分が含まれているので貧血予防にも良いと言えるでしょう。
ただし、水銀やカロリー、コレステロールを考えると食べすぎには注意な食材です。
〈フカヒレの主な栄養素〉
フカヒレ100gあたりの栄養素の含有量
栄養素 | 含有量 |
エネルギー | 342kcal |
たんぱく質 | 83.9g |
ナトリウム | 180mg |
カルシウム | 65mg |
マグネシウム | 94mg |
鉄 | 1.2mg |
コレステロール | 250mg |
参考:文部科学省食品成分データベース「魚介類/フカヒレ」より
妊娠中のフカヒレの6つの注意点
妊娠中にフカヒレを食べる際は食べる量はもちろんですが、下記の6つの注意点を事前に把握してから食べるようにすると良いでしょう。
- 水銀
魚介類には少なからず水銀が含まれています。
しかし、フカヒレの原料とひとつとされるヨシキリザメの水銀量には気をつける必要があるのです。厚生労働省も妊婦さんが注意する魚介類のひとつとして摂取目安を掲げています。
ヨシキリザメを使ったフカヒレを食べる際は量に注意して下さいね。
- カロリーやコレステロールが高い
フカヒレは魚介類の中でもカロリーとコレステロールが高いとされています。
妊娠中の急な体重の増加やコレステロール値が過剰に高くなると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まるので食べすぎには気をつけましょう。
- 塩分
フカヒレ単独での塩分相当量は多くはないのですが、塩分の成分のひとつであるナトリウムが豊富。
そして中華料理で姿煮やラーメンに調理される際には、しっかりと味付けするために塩分が多く使われています。
妊娠中の過剰な塩分摂取は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高めるので、食べる量やスープは飲まないようにするなど注意して下さい。
- 神経毒
アメリカマイアミ大学の研究で、サメのヒレに高濃度の神経毒が含まれていると発表されました。
神経毒は、アルツハイマーやALSなどの神経変性疾患の関連性が認められたとしています。
- 偽物のフカヒレ
フカヒレには偽物に気をつける必要があります。
ゼラチンで固めたものなら百歩譲ったとしても輸入品の一部には発がん性物質が含まれている物も。しっかりと原料を確認して食べるようにしましょう。
- 食品添加物の違反事例
厚生労働省の報告により乾燥フカヒレに使用基準よりも上回って添加物が使用されている違反事例が発表されています。
確認されたのは「過酸化水素」と「二酸化硫黄」。
過酸化水素は、漂白剤や殺菌料としてしらす干しやかまぼこ、ちくわに使われています。
また、二酸化硫黄は酸化防止剤としてドライフルーツなどに使用されています。
食品添加物はできるだけ妊娠中には避けたいもの。フカヒレには添加物の入っていないこだわりのものもあるので、成分表を確認してから食べると良いでしょう。
まとめ
中華料理でも人気で高級食材で専門店もある「フカヒレ」。
特にヨシキリザメから作られるフカヒレには食べる量に気をつける必要があります。
魚介類には少なからず水銀が含まれていますが、大きい魚や深海魚には水銀が多く含まれている傾向です。
お腹の赤ちゃんの成長のためにも、妊娠中に口にする食べ物のリスクは事前に確認しておくと安心ですね。