妊娠中は食事の管理が気になりますね。
栄養素の中には過剰摂取をすると胎児に影響を及ぼすものがあります。
その中のひとつがビタミンAです。
ビタミンAは人間の身体に必要な栄養素ですが、過剰摂取をすることで胎児に先天性異常が起こる可能性があるといわれています。
そのため厚生労働省では、ビタミンAの耐容上限量を定めているほどです。
今回は、妊婦とビタミンAについて3つのポイントに重点をおいて解説していきます。
- ビタミンAが及ぼす人体への影響
- 妊娠中のビタミンA、1日の耐容上限量と推奨量
- ビタミンAを含むおススメ食材5つ
参考にしてください。
では解説していきます。
目次
ビタミンAが及ぼす人体への影響
ビタミンAは身体にどのような影響があるのでしょう。
そもそもビタミンって何?
五大栄養素の一つビタミンは、三大栄養素の代謝をサポートして身体の調子を整える栄養素です。どんな働きがあるのでしょう。
- 三大栄養素の代謝をサポートする補酵素の役割
- 新陳代謝を促進する
以上のような働きがあります。
ビタミンは身体の調子を整えてくれる栄養素なので、たくさん摂ると身体にいいと思っている方は多いと思います。
しかし、ビタミンの中には水に溶けない脂溶性ビタミンが存在します。
脂溶性ビタミンは水に溶けにくく油脂やアルコールに溶けやすい性質があります。
脂肪性ビタミンは、肝臓に蓄積されやすいので過剰摂取をすると身体に害を及ぼします。
ビタミンAも脂溶性ビタミンです。
ビタミンは2つの種類に分類される
ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあります。
- 水溶性ビタミンは水に溶けやすく脂に溶けにくい性質(ビタミンB群とビタミンC)
- 脂溶性ビタミンは水に溶けにくく脂に溶けやすい性質(ビタミンA、D、E、K)
水溶性ビタミンは過剰摂取をしても体内に残らず排出されるので心配はいりません。
しかし、脂溶性ビタミンは過剰摂取をすると腎臓に蓄積されるので注意が必要です。
ビタミンAは妊婦にどのような影響があるの?
ビタミンAは身体にはどんな働きがあるのでしょう。
- 目、のど、皮膚、消化管の粘膜を健康に保つ
- 免疫維持
- 感染症予防
ビタミンAは人の身体の粘膜を健康に保つ働きがあり、外部からの病原菌が身体に侵入するのを防いでくれる働きがあります。
抵抗力が弱っている妊婦にはありがたい栄養素ではあります。
しかし、妊婦がビタミンAを過剰摂社すると母体や胎児に影響がでてきます。
どんな影響がでるのでしょう。
- 頭痛、吐き気、肝臓や骨の障害
- 胎児に先天性異常の可能性
母体と胎児に以上のような影響がでる可能性があります。
しかし通常の食事を摂るくらいではビタミンAの過剰摂取は考えにくく、ビタミンAの過剰摂取は主にサプリメントの摂り過ぎや、偏った食事によるものです。
ビタミンAを多く含む食材は?
鶏レバー(生):14,000㎍RAE
豚レバー(生):13,000㎍RAE
やつめうなぎ:8,000㎍RAE
ほたるイカ(生):1,900㎍RAE
うなぎ蒲焼:1,500㎍RAE
ぎんだら(生):1,100㎍RAE
牛レバー(生):1,100㎍RAE
妊婦はサプリメントや以上のような食材を大量に食べて必要以上にビタミンAを摂取しないようにしましょう。
特に妊娠3ヶ月頃までは胎児の重要な臓器などが作られる大切な時期ですので、ビタミンAの過剰摂取は控えるようにしてください。
胎児に先天性異常の可能性が起こる場合があります。
なお、緑黄色野菜に含まれているβ-カロテンは体内でビタミンAにかわるプロビタミンAです。
体内に必要な分だけ変換され、残りは排出されるか体内に蓄積して強い抗酸化作用を発揮するので、過剰に摂取しても問題はありません。
妊娠中のビタミンA、1日の食事摂取基準(厚生労働省)
ビタミンAは摂り過ぎると母体にも胎児にも影響がでる可能性があります。
そこで気になるのが1日の摂取量ではないでしょうか?
厚生労働省の1日の推定平均必要量・推奨量・耐容上限量をご紹介します。
(推定平均必要量とは、栄養素の摂取不足を回避するための指針)
(耐容上限量とは、過剰摂取による健康障害が起こる可能性がある数値のこと)
ビタミンA(1日の推定平均必要量)
日本人が1日に推定平均必要量をご紹介します。
18歳~29歳→450㎍REA
30歳~69歳→500㎍REA
妊婦(後期)→+60㎍REA
妊婦は後期のみ+60です。妊娠初期や中期は通常と変わりません。
ビタミンA(1日の推奨量)
1日の推奨量は若干高くなっています。
18歳~29歳→650㎍REA
30歳~69歳→700㎍REA
妊婦(後期)→+80㎍REA
妊婦は後期のみ+80です。
ビタミンA(1日の耐容上限量)
耐容上限量は、前述したようにこれ以上摂ると健康障害がでる可能性がある数値です。
とくに妊婦は胎児に影響がでるので必ず守るようにしてください。
18~69歳:2,700㎍RAE
緑黄色野菜に含まれているプロビタミンAの過剰摂取は心配いりません。
ビタミンAを含むおススメ食材5つ
ビタミンAはバランスのよい食事を心がけていれば心配ない量を補うことができます。
必要以上のサプリメントや鶏や豚、牛のレバーなどビタミンAを多く含む食材は控えたほうがいいでしょう。
そこで、ビタミンAが含まれているおススメ食材を5つご紹介します。
妊婦におススメのビタミンAが含まれている食材5つ
緑黄色野菜に含まれているβ-カロテンは体内で必要な量だけビタミンAに変換されるので摂り過ぎても問題ありません。
緑黄色野菜
緑黄色野菜にはβ-カロテンが多く含まれていて妊婦におススメです。
・緑黄色野菜のおススメ食材5つ
- ブロッコリー(β-カロテン・ビタミンK・葉酸・ビタミンC・カリウム)
- しそ(β-カロテン・カリウム・カルシウム・ビタミンK・ビタミンE)
- ほうれん草(β-カロテン・鉄・カリウム・ビタミンK・ビタミンC)
- アスパラガス(β-カロテン・ビタミンC・ビタミンE・ビタミンB2・カリウム)
- モロヘイヤ(β-カロテン・葉酸・ビタミンK・ビタミンE・ビタミンC)
以上の食材は食べ過ぎても問題がないだけでなく、妊婦が必要としている葉酸や、カリウム、カルシウム、鉄分を含んでいます。
まとめ
ビタミンAは母体の免疫維持や感染症予防になくてはならない栄養素です。
しかし、過剰摂取をすると母体や胎児に影響がでる可能性があります。
・母体(吐き気、頭痛、皮膚疾患)
・胎児(先天性異常)
通常の食事ではビタミンAを摂り過ぎるということはありません。
偏った食事(ビタミンAを過剰に含む食材ばかりを食べる)や、ビタミンAのサプリメントを多く摂っている方は注意が必要です。
妊娠中はバランスのよい食事に心掛け、過剰なサプリメントを摂ることは控えるようにしましょう。