『妊娠したけど結婚は相手が拒否!相手に子どもの認知をさせるにはどうしたらいいの?』
妊娠が発覚して相手に告げたら、結婚できないし認知もしないと言われてしまったけれど、せめて認知だけでもさせたい!
結婚という選択をしない女性が増えている現代、こんなお悩みを抱えておられる方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
・そもそも認知とは
・認知ありと、認知無しはどう違うのか
・認知はなぜ必要なのか
・母親になるのに認知は必要ないのか
・認知をしない男性はどうして認知をしようとしないのか
・どうやったら認知させることができるのか
・認知の手続きにお金はかかるか
・認知はいつからいつまでにしなければならないのか
・相手が認知したら、相手の男性に親権が渡ることはあるのか
この記事では認知をするということがどういうことなのか、相手に子どもの認知をさせるにはどうしたらいいのかについて、中心にお話します。
認知があるのとないのとではお子さんが受ける権利が全く違ってくるので、認知をよく理解した上で認知を相手に求めるかどうか検討すると、お子さんの将来に少しでも不利益な状況になることを防ぐことになります。
お子さんにとって幸せの選択肢が増えるよう、それでは1つずつ見ていきましょう。
目次
そもそも認知とは?
結婚しないで子どもを産む場合、血のつながり上では父親がいることになりますが、法律的には婚姻届けを出していないため、夫婦関係は成立していないことになります。
だからこの場合の女性は“未婚の母”、いわゆるシングルマザーとなります。
認知とは、父親が“この子は自分の子どもです”と認め、認知届という書面を通して役所に申し出ることで、父親と子どもの法律的な親子関係が認められることを言います。
言い方を変えると、認知によって子どもは法律上の父親を得ることになります。
結婚は訳あってできないけれど、この子の父親はこの人という証明となるのです。
認知ありと、認知なしはどう違う?
認知はただ相手に自分の子どもだというのを認めてもらうだけだと思われがちですが、認知されるのとされないのでは全く立場が違ってきます。
認知なし
相手に認知されない場合、法律上は父でも子でもありません。血がつながっていても、赤の他人で、法律上では父親が存在しないことになります。
だから例え両親の話し合いで任意によって養育費をもらっていたけれど、養育費を相手が払わなくなって不満に思っても、それに対して不満を言ったり訴えたりすることはできません。
血がつながっていても、法律上では養育する義務のない赤の他人だからです。
もちろん戸籍謄本の父親の欄は空白になります。
認知あり
相手に認知される場合、法律上は父子の関係が成立することになります。
そうなると法律的に父親には子供を扶養する義務が、子どもは父親の遺産を相続する権利が発生します。
もしも母親が自分に何かあった時には、金銭的に頼る場所があればと考えるのであれば、認知してもらったほうが安心ですよね。
婚姻関係のある夫婦から生まれた子は“嫡出子”と言われるのに対して、婚姻関係にない女性から生まれた子を“非嫡出子”と言います。
父親の遺産相続の際には、相続順位も結婚して生まれた嫡出子と変わりありませんし、同じ割合の金額をもらうことができます。
また認知されると、子どもの戸籍謄本には父親の名前が記載されます。
認知はなぜ必要?
出来ることなら自分一人で育てたいし、父親の援助は期待したくないという場合、認知は必要ないのでは?と思いがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。
子育てにはお金がかかる
子どもが大きくなるにはお金がかかります。オムツ・ミルク・保育園代・学費・ランドセル・制服・食費と大きくなるにつれて出費もかさんできます。
始めは誰の手も借りずに自分で立派に育てるから大丈夫だと思っていても、限界を感じることがあるかもしれません。
養育費をもらって子どもを育てていきたいという場合には、子どもが認知されている必要がありますね。
認知は子どもの権利
認知によって、父親の扶養義務と、子どもの遺産相続権が発生します。
もちろん自分一人で育てたい、子どもには父親のことを伝えたくないと思っていても、子どもが大きくなって自分が生まれたルーツについて知りたいと思ったり、父親のことを知りたいと思った時の手がかりともなります。
母親は父親に二度と会いたくなくても、子どもはそうではないかもしれません。父親を知りたいと思うのも、子どもの権利です。
子どもが生きていくうえで、子どもが持てるだけの権利をしっかり胸を張って持たせてやりたいと思うのであれば、認知は必要なのではないでしょうか。
それでも育てているのは自分だし、金銭的に父親を頼りたくないので認知は必要ないという場合は、認知を請求しなくても、子どもが大きくなった時、子どもが自分の意思で認知を求めたいと思ったのであれば、子ども自身が認知を請求するというのも一つの方法ですね。
母親になるのに認知は必要ないの?
婚姻関係を結ばず母親になる場合、母親の認知も必要です。
でも実際のところ子どもを産むのは母親です。
子どもを分娩することで、自分が母親であるという証明をしていることになり、生まれた瞬間から子どもには法律上の母親がいるということになるんです。
だから、母親の認知の手続きは改まって書面でする必要はなく、出産することで認知しているということになります。
認知をしてくれない相手は、どうして認知したくないの?
相手が子どもを認知したくないと思うのは、それぞれ理由がありますが、次のような理由が多く挙げられます。
・相手に妻子がいる場合
妻に内緒にしたいという場合は、認知することで自分の戸籍謄本にも認知した自分の子どもとしての記載が載ります。
家族が戸籍謄本を必要として、申請した場合にその事実はばれてしまいます。
・本当に自分の子どもかどうか疑っている場合
あなたの子どもだと言われても、実は他の男性の子どもではないかと思うと、扶養の義務や相続させるなんて無理と考える男性も多いです。
この場合、DNA鑑定で親子関係が分かった場合納得して任意認知するという男性も多いです。
・養育費の支払いができない
認知すると扶養義務が発生するわけですから、子どもに対して養育費を支払わなければなりません。
自分の生活だけでいっぱいいっぱいなのに、子どもの養育費を支払うのが困難だと感じている男性もいます。
・自分の子どもという実感が湧わかない
結婚はする気はないし、母親となる女性と今後付き合いをするわけでもないのに、自分の子を育ててもらっているという実感はわかないし、自分は中絶を望んでいるのにそれに対処してくれない。養育費を支払いなくない。といった無責任な考え方をする男性も多くいます。
どうやったら相手に認知させることができる?
相手に子どもの認知をしてもらいたい場合は、まずは相手に妊娠を伝えると同時に自分が産みたいこと、結婚が難しいなら“認知”して欲しいことを伝えましょう。
任意認知
相手が認知することに同意し、自発的に認知届けを出すことを言います。
認知届は、父親か子どもの本籍地に父親が提出します。
認知調停
相手が認知を拒む場合は、調停で話し合います。
相手側の住所のある家庭裁判所に、認知を求める子どもや母親など法定代理人が申し立てを行います。
調停委員が間に入って、それぞれの意見を聞いていきます。半年~8ヶ月かけてお互いの言い分を調整していくことで、話がまとまり相手が認知を認めるのであれば合意となります。
強制認知(裁判認知)
認知調停でも相手が認知を拒み、それでも認知を求めたい場合は、裁判を提起します。
訴状を用意したり、親子である証拠、子どもとの親子関係を立証したりしていくわけですが、半年~1年ほどかかります。
親子関係を立証するために、DNA鑑定も行われますが、相手が非協力的な場合には、母親の陳述書が必要だったり、証人尋問が必要だったり手間がかかります。
でも、父親との親子関係が立証することができれば、相手に強制的に認知させることが出来ますよ!
ただしこの強制認知、子どもの戸籍謄本にもしっかり“強制認知”という記載が残ります。子どもからすると、自分のことを最後まで認めようとしなかったという事実にショックを受けるかもしれません。
出来るだけ認知調停で認知をしてもらいたいですね。
認知の手続きにお金はかかるの?
相手が拒否せず認知すればお金はかかりませんが、相手が認知しない場合は裁判までもつれ込み沢山のお金がかかることが予想されます。
任意認知の手続き
認知の際には必要な書類を提出するだけなので、費用はかかりません。
認知調停を申し立てる場合
相手が任意認知しないので、調停で認知を求める場合、認知調停の手続きでかかるお金は収入印紙1200円が必要です。
強制認知(裁判認知)
認知調停でも認知を拒まれた場合、更に裁判で認知を求めようとするなら更にお金がかかります。
全て自分で法的な手続きなどするのであれば、収入印紙代の2万円ほどで出来ます。
でも、法的な知識が必要なため、弁護士に手続きを代理してもらわなければならない場合がほとんどです。
弁護士を依頼する場合、事務所によって違いはありますが、着手金で約30万円、成功報酬約30万円はかかってきます。
そして、裁判で重要な父子関係を証明するための“DNA鑑定”に関してですが、10万円~20万円かかります。
いずれも相手にも支払ってもらいたいという気持ちは分かりますが、裁判を申し立てた方が支払いをしなければならない場合がほとんどですね。
いつからいつまでに認知してもらわなければならないの?
認知に期限はありません。
赤ちゃんがお腹の中にいる時から、父親の死後3年以内まで認知を請求することができます。だから、急いでこの日までに認知してもらわなければという必要はないんです。
また、できれば赤ちゃんがお腹の中にいる間に認知してもらったほうが、安心して産後の新しいスタートを切ることができます。
赤ちゃんがお腹の中にいる状態
赤ちゃんがお腹の中にいる状態で認知することを、“胎児認知”といいます。
胎児認知届を妊娠中に母親の本籍地がある市町村へ父親が提出しておくことによって、出生届の父親の欄に父親の名前を記すことができます。
妊娠直後から胎児認知は可能となるんです。
特に外国人のお母さんが日本人男性の子どもを身ごもって、結婚をしない場合、
出産後日本国籍を取得させたいと思っているのであれば、胎児認知しておくと出産後から子どもは日本国籍を取得することができるので、そういったケースで胎児認知を求めるケースもあります。
私の友人も結婚せずに学生の時に妊娠をして一人で産む覚悟をしましたが、胎児認知をしてもらい、煩わしいことは一切産後に持ち越さず、新しい生活をスタートさせましたよ。
お腹の中にいる間に話し合いが出来ればいいですが、男性側から拒否され続けてしまうとストレスになり身体にも良くありません。
胎児認知に関しては、強制認知は出来ませんので、裁判の訴えを起こすことはできません。
だから余計にもどかしく不安に感じてしまいますが、どうか無理なさらないようにしてくださいね!
成人した子供を認知する場合、手続きは違うの?
子ども自身が認知することを認めているという承諾書が必要となります。
今度は逆の立場で父親が自分を介護をさせようとしたり、金銭的に援助を求めようとしているかもしれない場合があるためです。
亡くなってからも認知される場合がある
父親の死後3ヶ月以内は認知を請求できるということに加えて、“遺言認知”という方法で子どもが認知される場合があります。
父親の死後、遺言執行人が遺言執行人となって10日以内に届け出をすることになっています。
相手が認知したら子どもの親権が相手に渡る心配があるの?
よく、結婚しないで相手に子どもを認知された場合、相手に親権が発生するのではないかと勘違いされる方も多いですが、そうではありません。
相手に自分の子どもだと認知されても、お互いに婚姻関係はないため、子どもは母親の戸籍に入って母親の姓名を名乗ります。親権は子どもを産んだ、あるいは産む母親です。
認知は子どもと父親を法的に親子関係と認めただけなので、親権が父親に渡ったりしません。実際万が一母親に何かあっても、認知しただけの男性が子どもの親権を獲得することは難しいくらいです。
男性側が親権を認められるのは、女性と話し合って女性が認めた場合や、裁判所が親権者にふさわしいと認めた場合であって、法律上の父親になったからと言って親権を獲得できるわけではないことを覚えておくと安心ですよ!
まとめ
男性に子どもの認知を求めるということは、相手の出方次第では裁判にもなりますし、手間も時間もかかり、精神的にダメージを負うことも少なくありません。
私の友人は学生の時妊娠5ヶ月になるまで周りに妊娠していることを言えずにいましたし、本人も怖くて認められずにいました。
気付けば既に中絶できない時期に突入し、相手の家族と自分の家族を交えて話し合った結果、結婚を一度はしようと言ってもらえたにも関わらず、1週間後に破棄されてしまいました。もう二度と顔を見たくないという彼女とは逆に、彼女の両親は産まれてくる子どもに罪はないし、男性にも人の親になった責任はもってもらうべき、養育費・相続権など子どもが持っておいて損のない権利をみすみす放棄する必要はない、子どものためだと彼女と相手の男性を説得し、認知してもらうことになりました。
それ以降、全く彼女は相手の男性に会うこともしていないし、養育費ももらっていないそうです。
その子は今高校生ですが、やり取りは全くないので、認知をしたからと特に生活が変わったりするわけではないけれど、彼女のこの先の人生を狭めるような判断をしなくて良かったかもしれないと母親である彼女は言っています。
産む選択は女性の権利、認知は子どもの権利、お子さんのことを第一に考えて、認知がスムーズにいくといいですね!