皆さんは子どもの頃『おたふく風邪』にかかったかどうかわかりますか?
おたふく風邪は一度かかると免疫ができ、二度かかることはないとされています。
おたふく風邪は子どもの疾患と思われるかもしれませんが、まだかかった経験がない人は大人になってからかかることも珍しくありません。
それが妊娠中であったら・・・と思うと不安ですよね。
私もおたふく風邪かかった記録がなく、「妊娠中にかかったらどうしよう」と感じていました。
・おたふく風邪ってどんな病気?
・妊婦がおたふく風邪にかかったらどうなる?
・胎児への影響は?
・予防法を知りたい!
私と同じようにおたふく風邪にかかったことがない妊婦さんに向けて、おたふく風邪の影響や予防法などを徹底調査しました。
予防できるものはしっかり予防し、安心して妊娠期を過ごせるといいですね。
目次
おたふく風邪について詳しく知ろう!
まずはおたふく風邪とはどのような病気なのか、おたふく風邪の基本について知ることから始めましょう。
医学名は『流行性耳下腺炎』
おたふく風邪の医学名は『流行性耳下腺炎』といい、名前の通り耳の下にある耳下腺というところに『ムンプスウイルス』が入り込み、炎症を起こす病気です。
流行性とある通り、保育園や小学校では集団感染するケースも珍しくありません。
感染経路は
・咳やくしゃみによる飛沫感染
・唾液などの接触感染
この2つが主な感染経路となっています。
感染力が強いため、感染率は
・同居家族・・・97%
・保育園や小学校・・・90%
と高確率で感染してしまうというデータも出ています。
しかし、感染したからといってすべての人に発症するわけではなく、おたふく風邪には症状がまったく出ない『不顕性感染』問うケースもあるのです。
全体のおよそ30%が不顕性感染だとされており、自覚症状がないため血液検査でしかおたふく風邪にかかっているかどうかを知ることはできません。
おたふく風邪の潜伏期間と症状
おたふく風邪は、おたふくのように頬が腫れるイメージが強いですよね。
実際は頬ではなく耳の下が腫れ、その腫れが広がるとフェイスラインも腫れたように見えてしまいます。
一般的には片方の耳の下が腫れ、翌日~翌々日には両側の耳の下が腫れてくるというケースが多いようです。
おたふく風邪にかかると耳周辺の腫れに加え、
・痛み
・発熱
などがあらわれるケースもあります。
潜伏期間は12日~25日程度と長く、症状があらわれた時にはいつ・どこで感染したかはほとんどわかりません。
発熱した場合は2日ほどで落ち着きますが、腫れは3日ほどでピークを迎え10日ほどで引いていきます。
おたふく風邪には具体的な治療法はなく、腫れや発熱などの症状が落ち着くまで安静に過ごすことが基本です。
症状に合わせた薬が処方されることがありますが、ムンプスウイルスに直接働きかけるわけではありません。
おたふく風邪には合併症もある
おたふく風邪には気を付けなければいけない合併症がいくつかあります。
・無菌性髄膜炎
・脳炎
・脊髄炎
・精巣炎
・卵巣炎
・すい臓炎
・ムンプス難聴
・心筋炎
合併症の多くは発熱や痛みなどがあり、おたふく風邪だと気づいてから判明することが多いです。
気を付けたいのは『ムンプス難聴』です。
ムンプス難聴に関しては、症状が現れない不顕性感染でも起こってしまうのです。
ムンプス難聴の合併率は0.4%とわずかですが、めまいやふらつきなどを感じることが多いようです。
一度聞こえなくなると回復することはありません。
妊婦がおたふく風邪にかかったら?
おたふく風邪の罹患者は3~6歳が60%を占めていますが、大人になってからおたふく風邪にかかる人も少なからずいます。
もし妊婦さんがおたふく風邪にかかってしまったらどうしたらいいのでしょう。
おたふく風邪よりも合併症が心配
妊婦さんがおたふく風邪にかかった場合、おたふく風邪よりも合併症のほうが心配です。
大人になってからかかるおたふく風邪は重症化しやすいといわれており、これは合併症として髄膜炎が発症しているからと考えられます。
髄膜炎の主な症状は、
・高熱
・吐き気
・おう吐
・頭痛
・けいれん
などが挙げられます。
つわりの時期と重なってしまうと、体力の低下や脱水症状などが心配されます。
まずは受診、そして安静に
妊娠中におたふく風邪のような症状があらわれたら、まずは受診しましょう。
もしおたふく風邪だった場合まわりにうつしてしまうかもしれませんから、かかりつけの産科ではなく内科を受診します。
事前に妊娠していることや耳の下が腫れていることを連絡しておくと安心ですね。
妊娠中は薬の服用などは基本的にできません。
合併症がある場合でも同様です。
対症療法となりますから、とにかく食べられるものを食べ、安静に過ごすことが大切です。
おたふく風邪は胎児に影響があるって本当?
妊婦さんがおたふく風邪にかかると胎児にもうつるのでは?という心配がある人もいるかと思います。
感染症の多くは胎盤を通して胎児にも影響があるものも少なくありませんが、おたふく風邪に関してはどうなのでしょう。
おたふく風邪が胎児にうつることもある
ほかの感染症と同様に、おたふく風邪も胎盤を通して胎児に移ってしまうケースもあります。
しかし胎児に移ったからといって、胎児奇形などの障害が出るなどの危険性が報告された例はなく、ほとんど心配する必要はないでしょう。
ただし、妊娠22週以降の周産期におたふく風邪に感染した場合、生まれてきた赤ちゃんに肺炎や脳炎の症状が出てしまうケースが報告されています。
流産のリスクは?
もうひとつ妊婦さんが気になるポイントといえば、流産ではないでしょうか。
以前はおたふく風邪にかかったことで流産のリスクが高まるといわれていましたが、現在ではおたふく風邪が直接流産に関係するとは考えにくいという研究報告が出てきています。
おたふく風邪というよりも、合併症によるおう吐などで体調が悪化してしまうことがひとつの要因と考えられています。
妊婦さんのためのおたふく風邪予防法
できるだけ妊婦さんはおたふく風邪にかからないように予防することが大きなポイントとなります。
おたふく風邪はインフルエンザのように、季節で流行するわけではなく1年を通して流行することも特徴のひとつです。
そのため予防することがなかなか難しいとも言われていますが、できる限りの予防をしておたふくにかからないようにしたいですね。
手洗い・うがい・マスクなど基本的な予防が大切
おたふく風邪は基本的な風邪予防である、
・手洗い
・うがい
・マスク
などで予防することができます。
人の多いところへ出かけるときはマスクをする、帰宅したら手洗いうがいをする、外食などでも食事前には石けんでしっかり手を洗う、など、基本的な風邪予防を習慣化することが大切です。
家族に予防接種を受けてもらう
おたふく風邪は家庭内感染もひとつの感染経路だと紹介しました。
もし家族におたふく風邪にかかっていない人がいる場合は、予防接種を受けてもらうことも予防法のひとつです。
おたふく風邪の免疫があるかどうかわからないという人は、血液検査で抗体検査をすることができますから、抗体がない場合は予防接種を希望している旨を伝え、内科を受診することをおすすめします。
ちなみに妊婦さんは、残念ながらおたふく風邪の予防接種を受けることはできません。
過去におたふく風邪にかかった記録がない場合、できれば妊娠前に内科を受診しておくことが理想です。
抗体がない場合は、妊娠前に予防接種を受けておくことで妊娠中の感染を防ぐことができます。
地域のおたふく風邪の流行をチェックしよう
私が住む地域では、小児科の先生がネット上で今流行している疾患を紹介してくれています。
幼稚園や保育園のホームページでも罹患者が多いと情報が出るケースもあります。
こういった情報をチェックすることで、今どの地域でどんな病気が流行しているのかを知ることができます。
流行していることがわかれば、外出を控えたりマスクの着用を徹底したりと、対策することもできますね。
まとめ
妊婦さんがおたふく風邪にかかってしまうと、つわりなどと重なればいつも以上に体調が悪化してしまうケースも少なくありません。
胎児にはほとんど影響がないとはいえ、妊娠中の感染症ほどつらいものはありません。
・手洗いうがいなど基本的な予防法に取り組む
・外出時はマスクを着用
・人ごみはできるだけ避ける
など、妊婦さんでもできる予防法を実践し、おたふく風邪にかからないようにすることが大切です。
家族には予防接種を受けてもらうこともポイントです。
小さなお子さんがいる場合は、子どものうちに予防接種を受けさせてあげるとより安心ですね。