今まで気にならなかった夫の行動がイライラしたり、ちょっとした言葉に傷ついてしまうということが妊娠中にはよくあります。これはほとんどの妊婦さんに起こる現象なので、心配する必要はありません。
むしろ、きちんと対策をすることで良好な関係を保ち、赤ちゃんを迎える家庭環境を作っていくことができる絶好のチャンス。原因と対策を知って、より良い夫婦関係を築いていきましょう。
目次
ハッピーなはずなのにイライラする! その原因は?
1.ホルモンバランスの変化
赤ちゃんを授かって幸せなはずなのに、無性にイライラする。それはすべてホルモンのせいです。特に妊娠初期には、流産を防いだり、妊娠を維持するために黄体ホルモン(プロゲステン)が分泌され、眠気や体のだるさを感じます。
ホルモンバランスが大きく変化することによって、情緒も不安定になりますし、なによりも妊娠することによる体や生活への変化に対する不安、出産に対する不安からマタニティブルーに陥る妊婦さんも半数はいると言われています。
2. 人生が変化するという見えない不安
どれだけ望んでいた妊娠であっても、これによって自分の人生が180度変わるのではないかと、妊娠して初めて不安に思う人も少なくありません。
大好きな仕事を続けていけるのか、今まで通り友達との時間を楽しめるのか、赤ちゃんをちゃんと育てられるのだろうか、など予測できない不安を自分が抱えているのに対して、一番身近にいる、しかも妊娠・出産というイベントを“協働”しているはずの夫は何の変化もない。それに対して憤りさえも感じるという人もいるほどです。
3. 生活を制限しなければいけないというストレス
妊娠した途端に生活に制限がかかってきます。自転車や旅行はやめておいたほうがいい、お酒やタバコは論外、カフェイン、ジャンクフードも控えた方がいいだろうなと一般的に言われている制限をほとんどの妊婦さんは始めるでしょう。それに対して、目の前で夫はビールを飲んでいる。タバコは吸わないにしても、友達とスポーツに行ったり、何の制限もない。腹を立てないという方が無理というものでしょう。
4. 妊娠を機に生活に変化
妊娠を機に結婚、同居を始めたり、仕事をセーブしたり退職したりすると、生活の大きな変化にストレスを感じていたりします。特に気持ちの不安定な時ですから、自分が望んでいたはずの変化なのに、マイナスに感じられたり、こんなはずじゃなかったと後悔することもあるかもしれません。
5. 出産に対する不安
赤ちゃんを産むのは、誰しも最初は不安です。ちゃんと産めるのか、元気な赤ちゃんか、痛くないのか…。見えない不安があるわけですから、怖くなったり、眠れなかったりすることもあります。
同じように親になるはずなのに、夫はもちろん出産しません。脳天気にお腹を撫でられたり、過保護に扱われたりすると、八つ当たりと分かっていても苛立ちをぶつけたくなる時は誰にだってあります。
夫じゃなくても、家族や友人など気心の知れた人に相談をすると、案外気持ちがスッキリとするものです。遠慮せずに甘えてみるのもひとつの方法です。
6. 長い長い妊娠期に対するストレス
出産は苦じゃないけれど、9カ月間も妊婦でいるのは嫌という人が結構いるぐらい、妊娠期間は長いです。食生活やスポーツなど制限がかかることに加えて、お腹が出てきてオシャレな服が似合わなくなったり、妊娠線ができたり、髪や肌の艶がなくなったり、妊娠による身体の変化は意外にもたくさんあります。
それ自体も大きなストレスになのですが、夫が若い女性をチラリと見たり、容姿に関して心ない言葉を言ったりすると、普段なら言い返せるのに心が折れてしまう、ということもあるのです。
イライラを成長に変える! 5つの対策
1. 開き直る
こんなにもパートナーに対してイライラするのは、他ならぬホルモンのせいなのです! イライラした態度を取ってしまっても大丈夫。「ホルモンのせいなのよ」と開き直ってしまいましょう。
2.休息を取る
体が疲れやすくて、イライラしているということも多いに考えられます。眠くなったり、だるくて疲れたと感じるときは少し仮眠を取るなどしましょう。仕事をしている人も、上司に相談して休息を取りながら、妊娠期のだるさを乗り切るようにするといいでしょう。必要であれば、かかりつけの産婦人科医から休息が必要な旨の診断書などを発行してもらうといいですね。
疲れ、眠気、それに端を発する苛立ちは、体からの「休んで」というサインなのです。
3.コミュニケーションを取る
自分がこんなストレスにさらされているのに、パートナーはそれとは無縁に暮らしているのが苛立つ、と思うのならば早急にそれを伝えましょう。女性が妊娠期を通して、徐々に母親に変わっていくのとは異なり、男性には赤ちゃんが生まれるまで父親になるという実感はありません。妊娠している女性の辛さや疲れやすさなども理解していません。妊娠している女性が本の情報やマタニティスクールなどを通して、母親になっていくことを勉強していく一方で、男性にはその機会も圧倒的に少ないのです。
赤ちゃんが生まれていきなり父親にはなれませんから、ゆっくりと教育をしていくつもりでコミュニケーションを取り、より良い関係になっておくことが赤ちゃんにとっても心地よい家庭環境となるはずです。
「気分が悪くなるから、目の前でビールを飲まないでほしい」、「かがみにくいから床拭きはやってほしい」、「疲れたから家事を手伝ってほしい」などちゃんと説明をすれば、男性にもちゃんと伝わります。赤ちゃんが生まれる前に家事の分担ができていれば、産後も少しは楽になるはず。
マタニティの本を読んでもらったり、エコーの写真を見せて子供の名前を一緒に考えたり、自治体や産婦人科主宰の父親学級、マタニティスクールに一度行ってもらって第三者から妊婦さんの大変さを話してもらうのも効果的です。
4. 制限をゆるめる
お腹の赤ちゃんのために良いものを食べなくてはいけない、甘いもの、カフェインは取っちゃダメ、ビールなんて論外!とがんじがらめになっていませんか?
もちろん、正しい食生活が赤ちゃんにとっていいのは言うまでもありませんが、ストレスを溜め込むのはママにとって良くありません。たまにはビールをコップに少し、甘いケーキも食べてしまいましょう。タバコは論外ですが、少量のアルコールや甘い物であれば、たまになら赤ちゃんに影響を与えることはありません。パートナーと一緒に外食をするというのも、ストレス発散になりますね。
5. 病院に相談する
あまりにも不安が強くて眠れない、イライラがつのる、わけもなく涙が止まらない…。症状がひどい場合は、病院で相談してみましょう。赤ちゃんに影響のない漢方薬でイライラを収めたり、眠れるようになるお薬を処方してくれる場合もありますし、相談することで気が晴れるということもありますよ。
まとめ
女性が妊娠と同時にさまざまな環境、体、心の変化を感じるのとは異なり、男性はどうしても傍観者になりがち。それに対して苛立ちを感じる妊婦さんも少なくありません。
でも、逆の立場に立って考えれば、男性は父親になるための機会を与えられていないのです。自分の体にどういう変化があって、どうして欲しいのか、きちんと伝えることで、一番身近な夫はより良い協力者となり、最強のパートナーとなっていく。
そうすれば赤ちゃんが生まれてからも、コミュニケーションはスムーズにいきますし、赤ちゃんにとってもいい家庭環境になることは言うまでもありません。妊娠の長い9カ月間を赤ちゃんと自分のものだけと突き放して考えずに、夫が父親として成長していくための大切な時間だと考えて、パートナーシップを築いていきましょう。