目次
「乙」という漢字について
字画数:1画
音読み:オツ
訓読み:きのと、おと
「乙」の意味や由来や成り立ちと特徴
十干(じっかん)には、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類の要素があります。
「乙」はこの2番目である“きのと”を表しています。
本来、「乙」がどういう意味を持っていたのかは分かっていませんが、古代の中国語の発音では“きのと”を表すことばと発音が似ていたために、当て字的に用いられたものと考えられています。
「乙種免許」のように、現在でも“分類されたなかの2番目”を表すために使われています。
また、“若い”“かわいい”という意味でも使われ、「乙姫」「乙女」などがその例です。
これは日本独特の表現で、「おとうと」の「おと」と語源は同じではないかと考えられています。
また、「乙な味」のように“ちょっと気が利いている”“粋である”という意味で使われるのも、「おとうと」から転用されたのではないかと言われています。
漢字の成り立ちについてですが、「川」の中央部分の縦線は、もともと川の流れを表していました。
「乙」はその流れの部分だけをかたどったものです。
川の流れは、両岸の形や川底の地形によって、まっすぐには進まないものです。
このことから、「乙」は、真っ直ぐではない、わずかに曲がり滑らかではない様子を表しているのではないか、という説もあります。
名づけで使われるときの読み方には「いつ」「お」「くに」「と」があります。
「乙」には、“かわいい”という意味や“粋である”という意味がありますから、もともと女の子の名前に向いている漢字と言えます。
「おと」という響きは、大らかで人に癒しを与えます。
それでいて、どこか小粋な印象も。可憐な少女にお似合いの名前をつくることができそうです。
和の雰囲気もあることから、京都の舞妓さんの姿を思い描く方もいるのではないでしょうか。
「いつ」と読ませると、まっすぐで力強いイメージになり、意志の強い自立した女性に育つでしょう。
向上心も旺盛で、常に自分を磨くことを怠りません。
現代女性に求められる、強さやたくましさを持つ女性に育って欲しいと願う方には、おすすめの音の響きです。
その他の読み方についても見ていきます。
「お」は先頭字でも止め字でも、包み込むような母性を感じさせます。
赤ちゃんがお母さんの胸に抱っこされて、安らかな寝息をたてているようなイメージです。
癒し系の女の子に育って欲しいとの願いを込めて。
「と」は、面倒見の良い優等生です。しっかり者で、良妻賢母型の女性に育つでしょう。
「乙」を使った熟語
不乙(ふいつ)
意味:十分に意味を説明しきれていないこと。
手紙の終わりに書く言葉。
乙矢(おとや)
意味:弓道で射るときに使う2本の矢のうち、2番目に放たれる矢のことをさす。
乙夜(いつや)
意味:現在でいうと、午後9時または10時からの2時間の間のことを指す。
亥(い)の刻。
乙種(おつしゅ)
意味:甲・乙・丙などに分類されたときの2番目を指す。
乙御前(おとごぜ)
意味:末の娘のことを指していう言葉。
また、若い美少女の意味もある。
乙姫蝦(おとひめえび)
意味:体の長さは6センチほど。
体の色は透明で、エンジ色の横じまが入っているのが特徴。房総より南の太平洋やインド洋に生息している。
乙類焼酎(おつるいしょうちゅう)
意味:焼酎の種類のうちのひとつ。
単式蒸留機で1度だけ蒸留した焼酎のこと。
芋や麦、蕎麦など原料の味や香りが残るのが特徴で、九州や沖縄地方でよくみられる伝統のある焼酎の作り方。
泡盛もこれに含まれる。
甲論乙駁(こうろんおつばく)
意味:甲が意見を出すと、乙がそれに反対し、たがいにああだこうだと言い合うばかりで、いつまでたっても話しの決着がつかないこと。
「乙」の説明の仕方
例えば電話で自分の名前を名乗った際に、「どういう漢字を使われますか?」と尋ねられることがあります。
そんな時のために、漢字の説明の仕方を何パターンかストックしておくと、いざという時に便利ですよ!
※ 例「乙葉(おとは)」の場合
・A「おとは、乙女の乙です」
・A「おとは、甲乙の乙です」
・A「おとは、乙姫の乙です」
自分の名前を説明するときも、女性ですからできれば綺麗な音の響きを持つ言葉を使いたいですね。
「乙姫」などは、女性の名前の例えに出すには、ぴったりではないでしょうか。
「乙」を使った名前の有名人・芸能人
天津 乙女さん(元宝塚歌劇団月組)
あべ 尚乙美さん(歌手)
乙葉(タレント)
勝島 乙江さん(女優・声優・吹き替え・ナレーター)
雛月 乙葉さん(女優)
樋ノ内 乙澄さん(女優・モデル)
坂本 乙女さん(坂本龍馬の姉)
「乙」を使った名付け候補
乙(きのと)
乙妃(いつき)
乙海(いつみ)
乙羽(おとは)
乙葉(おとは)
乙未(おとみ)
乙女(おとめ)
乙花(くにか)
美乙(みと)
莉乙(りお)
まとめ
「乙」という漢字についてくわしくご説明しました。
大切なお子さまの、名づけのお役に立てれば幸いです。