目次
「呂」という漢字について
字画数:七画
音読み:ろ
訓読み:――
「呂」の意味や由来や成り立ちと特徴
「呂」は、「背骨」の絵から生まれた漢字です。
背骨の節々にある盛り上がった部分。
あれがふたつ縦に並んだ状態を表しています。
そのことから、「長い」という意味になりました。
しかし、この意味は現在では使われていません。
古代中国で、ある時期において必要に応じてこの文字が生まれて、この意味付けがなされたのでしょうか。
今は中国で名前の姓に使われたりするくらいで、日本でも当て字程度に用いられるだけのようです。
ですから「長い」という意味になった由来も実のところはよくわかっていないのです。
中国では名前に「呂」を用いている有名な人は三国志で有名な「呂布」、武則天で知られる「呂雉」でしょうか。
日本では呂が姓で用いられることはないので、もともと音だけだったものを文字にするために「ろ」を「呂」に当てただけのようです。
例えば、「風呂」「呂律」などですね。
「呂律」は「ろれつ」と読み、「呂律が回らない」などと言われます。
舌が緊張などでうまく回らず言葉がはっきり言えない状態を表す言葉です。
でも、その言葉に「長い」の意味は、やはり含まれてはいないのです。
では、どこから「長い」の意味になったのか。
もともとの漢字の由来を辿ると「長寿」を願ったものではないかとされた説があることがわかりました。
まだ生後の生存率が少なかったある時期、親が子供に、背骨の延長である首の骨がしっかりするまで(首がすわるまで)生きてほしいと願ってつけた幼児名が「呂」であって、やがてそれが姓になったのではないかという説です。
ですが、時代が進むにつれて子の生存率が上がり、この「長い」の意味は薄れて行ったとされています。
「呂」といえば、先に名前を挙げた武則天「呂雉」のことですが、彼女は中国三大悪女のひとりと称されて様々な悪い逸話が残されています。
けれども、若干信ぴょう性に欠けるものも少なくありません。
例えば、呂雉がもっとも残酷だというイメージを植え付けた「人豚」の逸話です。
夫の死後、夫の寵愛を受けていた側室の手足を切り落とし、目をくり抜いて、耳と喉を薬で潰してから便所の中に入れて、それを見ながら笑って暮らしていたというものです。
ですが、これは現代医学の見地から不可能だったと言われています。
まだ「手術」という西洋の外科的技法もない時代に手足を切り落として長く生かしておくことはできず、こういったことは実際にはなかっただろうというのが歴史研究家の多くの見方なのです。
政治的背景が複雑だった時代ですから政敵を排するための多少の権謀術数はあったのでしょうが、それも呂雉の賢さを裏付けるものだと考えられています。
呂雉は盤石ではなかった夫の治世を支え、夫の死後は自ら政治を行いました。
後ろ盾のなかった呂雉が頼りにしたのは自分の一族だけでした。
そのため、呂雉の一族が国を我が物のようにしていたと後世では伝えられていますが、歴史家の司馬遷は呂雉の治世をこのように記しています。
「天下は安定していて、罪人も少なく、民は農業に勤しみ、暮らしは楽になった」。
夫とともに目指していた国の在り方をずっと守っていたのです。
そして、亡くなる時には家臣が彼女に皇帝という字を墓碑銘につけようと言うと、彼女は「皇后で」とお願いしました。
あくまでも夫に添い遂げた妻でありたいと願ったのです。
このことから、もし「呂」に他の意味を付け加えるならば、女性の鑑である「献身」がふさわしいのではないかと思うのです。
「呂」を使った熟語
風呂
意味:温泉や沸かした水を満たした浴槽。
語呂
意味:言葉や文章がリズムよく続くさま。
同じ音が続いたりして耳に心地よい語句。
呂律
意味:話す時の声の調子。
舌の動きを表すことが多い(例:呂律が回らない)
風呂桶
意味:木で丸く桶のように作った湯船。
またはお風呂でお湯をすくったりする小さな桶。
風呂敷
意味:物を運んだり手に持ったりする時に包む四角の布。
石風呂
意味:石の浴槽。
または焼いた石に水をかけて蒸気を浴びる蒸し風呂。
「呂」の説明の仕方
電話や役所の受付などで名前を伝える際、どういう漢字を書くのか聞かれる時があります。
その場合、どのように説明すればよいのか悩みますよね。
ここではその例を紹介したいと思います。
例えば、あなたの名前が呂子(ながこ)だとします。
・「ながこのながは、お風呂の呂です」
これは簡単ですね。
「呂」はいろんな言葉に使われています。
自分が説明しやすいように例をいくつか考えておくとよいですね。
「呂」を使った名前の有名人・芸能人
紀 比呂子さん(女優、声優、タレント)
亜呂奈さん(元プロテニスプレイヤー、女優)
古村 比呂さん(女優、歌手)
戸田 比呂子さん(女優、声優)
夢麻呂さん(俳優、タレント)
「呂」を使った名付け候補
美比呂(みひろ)
緋呂未(ひろみ)
呂芽(おとめ)
呂子(ともこ)
呂恵(ふみえ)
比呂子(ひろこ)
真緋呂(まひろ)
胡呂(こふえ)
陽呂(ひろ)
呂羽花(りょうか)
千妃呂(ちひろ)
呂華(ともか)
心呂(こころ)
深呂(みとも)
香呂(かろ)
呂英(ながえ)
燈呂恵(ひろえ)
呂宇古(りょうこ)
比呂尹(ひろい)
李呂葉(いろは)
美呂(みふえ)
呂与(ともよ)
呂此(ながこ)
呂花(おとか)
呂絵(ともえ)
まとめ
「呂」は、「長寿」の意味を持っていた漢字です。
健康に何事もなく無事に成長して長生きしてほしい。
それは親が子供に一番に願うことではないでしょうか。
ですから、この漢字をお子さんの名前に用いることは、ご両親の気持ちをそのまま名前に反映させることができます。
名前とともにいつもご両親の愛情を感じられるのですから、とても素敵なことですね。
愛情に満ち溢れた中で、健やかに育ちますように。