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妊婦は山椒を食べて大丈夫?妊娠中の山椒の5つの注意点
英語でジャパニーズ・ペッパー(日本製のコショウ)と言われる山椒は、日本を代表する香辛料のひとつ。
鰻のかば焼きに振りかけたり、佃煮にしておにぎりの具にしたり。
ちりめんと和えても、山椒独特の香りや刺激が更に食欲をそそりますよね。
料理にだけでなく昔から薬としても重宝された山椒ですが、実は妊婦さんが食べる時はちょっと注意が必要です。
今回は何気なく口にしがちな山椒について、妊婦さんが知っておきたいことや注意点を次の5つにまとめました。
・辛みと香りのお陰で、つわり中でも料理が食べやすくなる
・辛みが胃を刺激し、胃液等の分泌が促進されて消化力がアップ
・胃腸が弱い妊婦さんは山椒を避けて(辛み成分が胃腸の粘膜を麻痺させてしまう)
・生薬は妊婦さんNG
・アロマ(精油)も控えた方がいい
「注意しないとダメなの?」と意外な感じもする山椒について、1項目ずつみていきましょう。
ちなみに中国発症の花椒(ホワジャオ)と山椒は同じミカン科サンショウ属ですが、産地や種類が異なる植物。
”花椒”と”花山椒”、名前が似ていて紛らわしいですが別物です。
花椒は主に麻婆豆腐といった四川料理で使われます。
ここでは産地が日本である「山椒」に特化して解説します。
辛みと香りのお陰で、つわり中でも料理が食べやすくなる
山椒は料理に季節感や刺激をプラスしてくれる身近な食材であり、香辛料です。
木の芽は煮物やお吸い物、田楽に。
花は花山椒として器を飾ったり、佃煮に。
果実は佃煮やちりめん山椒に使われますし、乾燥させた実の皮は粉山椒や七味唐辛子に利用されています。
見た目や香りがいいだけでなく、昔から肉や魚の臭みを消したり、食材が傷むのを防ぐ役割も担ってきました。
妊婦さんの場合、食の悩みは深刻です。
つわりになると、多くの食べ物が口にできなくなったり、臭いに敏感になったり。
急に特定の食材ばかり食べたくなったり、清涼感が欲しくなったり。
いろんな悩みが出てきます。
また、体重や健康管理のために塩分や油分を控えたり、野菜を多く取るようになるといった食の内容も変化しますよね。
そんな時、山椒が持つ肉や魚の臭いを抑える効果や、独特の香り、心地良い辛みがつわりの不快感を和らげてくれることも。
さらに、調味料を少なめにした薄味の料理も、山椒で美味しさをアップさせることができます。
ハーブやスパイス類で禁忌とされているものが多い中、ほんの少しで料理を変えてくれる山椒は、妊婦さんに嬉しい香辛料です。
辛みが胃を刺激し、胃液などの分泌が促進されて消化力アップ
ことわざに「山椒は小粒でもぴりりと辛い」とあるように、ほんの少しでも十分な効果を発揮してくれる山椒。
その辛み成分は舌や胃を刺激し、胃液の分泌を促進させ、消化力を高めてくれます。
食欲も増すので、体が弱っていたり、夏バテしている時に嬉しい刺激です。
妊婦さんにとっては、つわり中はもちろん、大きくなった子宮に胃腸が圧迫されて生じる食欲不振にも嬉しいアイテム!
わずかな量で強い効果を発揮する山椒は、マタニティライフの食事に欠かせない存在になるかもしれませんね。
胃腸が弱い妊婦さんは山椒を避けて
ほんの少しで強い効果を発揮する山椒ですが、胃腸が弱い妊婦さんは利用を避けましょう。
というのも、山椒の辛み成分は単なる刺激ではありません。
心地良く感じる刺激ですが、実は、舌などを麻痺させている刺激なんです。
山椒はその昔、麻酔薬として利用されたこともあるんですよ。
刺激に強い人は大丈夫ですが、胃腸が弱い方の場合、山椒の刺激で強い痛みを感じたり、口の中や胃腸の粘膜が麻痺して、消化吸収能力が低下することも。
胃腸が弱い人、胃腸が弱っている人、つわりが終わったばかりの人、体調を崩している時などは避けるようにしてくださいね。
どうしても使いたい!という場合は、本当にわずかな量に留めておきましょう。
(参考:山本勝之助商店の紀州山椒専門店)
生薬の山椒は妊婦さんNG
山椒は食材・香辛料として利用されてきましたが、薬としても重宝されてきました。
漢方薬の原料になる生薬として活用されることも多く、今でも乾燥させたものや、エキス、精油などの形で市場に出ています。
漢方薬は薬の一種。利用する時は、専門的な知識が必要です。
生薬は漢方薬の原料ですから、生薬の取り扱い・利用にも十分な知識と配慮が欠かせません。
山椒には、胃腸系の不調を改善する効果があると言われています。
しかし、薬は医師や薬剤師の指導のもとで服用するもの。
漢方薬の中には妊婦さんNGの物も数多くあるので、個人が独断で利用することは禁忌!
薬効が期待できるほど成分を濃縮させた生薬も、漢方薬と同様に妊婦さんNG!
食材と薬剤としての使い道次第でこれほど差があるんですね。
もし、どうしても必要で利用したい場合は、必ず産婦人科医に相談しましょう。
自己判断で利用すると、山椒の成分を過剰に摂取することになって悪影響が出る恐れがありますよ。
山椒のアロマも妊婦さんは控えた方がいい
山椒はミカン科の植物で、精油はいい香りがします。
「ストレス解消」「リラックス」「集中力アップ」といった効果を期待し、アロマに利用されています。
しかし、妊婦さんは利用しないのがベター。
アロマとして利用する精油には、香辛料の山椒とは比べものにならない量の成分が濃縮されています。
この成分を香りとして吸い込むことで、どのような影響を受けるのか、明確なデータがありません。
軽く香りを楽しむだけなら大丈夫という医師もいれば、薬と違って作用や効能が明確になっていない成分を吸い込むのでリスクが高い、という医師もいます。
妊娠中はできるだけリスクを負いたくないもの。
積極的に山椒のアロマを利用することは避けた方がいいでしょう。
まとめ
妊娠中でも、山椒を料理の添え物やスパイスとして利用するのは問題ありません。
つわり中や、食欲が落ちている時の気分転換や食欲増進に役立ちます。
ただ、胃腸が弱い方は刺激によって不調をきたす可能性があるので避けましょう。
また、薬効を期待した生薬という形の山椒や、作用・効能が明確になっていないアロマの利用はおすすめできません。
妊婦さんの山椒の利用は、ちょっとした刺激や彩りを楽しむ範囲にしておきましょうね。