妊娠初期に微熱や鼻水などの症状が出て、「風邪ひいたかな?」と思うこともしばしば。
でもそれって、風邪ではなく妊娠初期の症状かも。こちらでは、妊娠初期症状と風邪の違いについてまとめてみました。
この記事のポイントはこちらです。
- 風邪と間違えがちな6つの妊娠初期症状
- 妊娠初期に出る咳や喉の痛みについて
- 妊娠初期の風邪薬の服用について
風邪か妊娠初期の症状か迷った時には、ぜひご参考にしてくださいね!
目次
風邪と間違えやすい!6つの妊娠初期症状
風邪によく似た妊娠初期の症状。処置を誤ると、お腹の赤ちゃんに危険を及ぼす可能性もあります。
妊娠初期にはどんな風邪と似た症状が表れるのでしょうか? 主な症状とその原因を5つご紹介します。
①微熱が続く
妊娠初期(4~15週)には、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が活発になります。
卵巣から分泌されるプロゲステロンは、受精卵が着床しやすくなるよう体温を上げて子宮内膜を柔らかくし、厚くフカフカな状態にします。
妊娠初期は、このプロゲステロンの働きによって、個人差がありますが平熱プラス0.3~0.5℃程度体温が上昇。だいたい36.5~37.0℃の間で推移します。
12~13週位になると、胎盤が完成し、プロゲステロンが卵巣ではなく胎盤から分泌されるように。
それにつれて分泌量も徐々に減少していくため、その頃から平熱に戻ります。
したがって、妊娠初期に微熱があっても問題ありません。
しかし、熱が36.5℃より下がり、その状態が続いている場合には、残念ながら流産してしまったかもしれません。
また、37℃を超える熱が継続する場合は、風邪か他の疾患にかかっている可能性も。
このような場合は、医師の診察を受けてくださいね。
②くしゃみや鼻水が出る
妊娠初期の症状として、くしゃみや鼻水が出たという先輩ママさんも少なくありません。
それは一体どうしてでしょうか?
女性ホルモンは脳の中の視床下部→下垂体→卵巣という流れで指令が伝達されて分泌されます。
視床下部は、自律神経の機能を調整する役割もあります。
妊娠初期にプロゲステロンの分泌が活発になり女性ホルモンのバランスが崩れると、伝達を送る視床下部にも影響を及ぼし、自律神経も乱れることに。
自律神経には、緊張状態の時に働く交感神経とリラックスした状態の時に働く副交感神経があります。
交感神経が働いている時は、鼻の中の血管を収縮させて鼻水が止まりますが、副交感神経が働いている時は、鼻の中の血管が広がって鼻水が出やすくなります。
妊娠によって自律神経が乱れることで、副交感神経が優位な状態になり、くしゃみや鼻水だけでなく、よだれや涙も出やすくなるんです。
また、この妊娠初期の自律神経の乱れによって、花粉症などのアレルギー性鼻炎が悪化することも。
妊娠中期になると、プロゲステロンの分泌が落ち着くので女性ホルモンのバランスが安定するため、この症状は現れにくくなります。
しかし、気になるようでしたら、市販薬に頼るのではなく、医師に相談してみてくださいね。
③身体がだるく眠気がする
妊娠初期に眠気やだるさを感じる方も多くいらっしゃいます。
私自身もかなり眠気を催しました。
この症状も、やはり黄体ホルモンのプロゲステロンが多く分泌されることに起因します。
妊娠初期になるとプロゲステロンの分泌が増えるのに伴い、プロゲステロンの代謝によって作られるアロプレグナノロンという物質も多く生成されます。
この代謝物質が、強い睡眠薬に匹敵する催眠成分を持っているため、眠気やだるさが誘発されることに。
妊娠中期になりプロゲステロンの分泌が減っていくと、この症状も収まります。
④頭痛がする
妊娠初期には女性ホルモンのプロゲステロンの分泌は増えますが、エストロゲンはまだ分泌が少なく、妊娠中期からだんだん増えていきます。
エストロゲンと同じ視床下部でコントロールされているセロトニンという神経伝達物質は、エストロゲンの分泌量に影響されますので、妊娠初期には分泌量が少ない状態です。
片頭痛は、血管が拡張しても収縮しても起こります。
セロトニンは血管を収縮させるなどの働きがあるので、分泌量が少ないと、脳内の血管が拡張し、血管の周りにある神経を圧迫。
それによって頭がズキズキと痛くなるわけです。
頭痛が酷い時は、氷枕などで頭を冷やすと拡張した脳の血管が収縮し、痛みが改善されますよ。
妊娠中期からはエストロゲンの分泌が増えるため、セロトニンの分泌も増え、片頭痛が解消されます。
また、妊娠初期には、胎盤の形成やお腹の中の赤ちゃんの成長のために多くの鉄分が必要になります。
しかし、妊婦さんの体内の鉄分量が少ないと、鉄分が欠乏し貧血に。
その貧血によって血流が悪くなり、脳の中に充分な酸素が供給されなくなることで頭痛が起こることもあります。
⑤嘔吐する
妊娠初期には、吐き気や嘔吐の症状が見られることも。
これは「つわり」であり、妊婦さんの半数以上が経験するものです。
吐き気、嘔吐の他、食欲不振、食の嗜好が変わるなどの症状が表れます。
つわりは、食べ物を少しずつ分けて食べるようにすると、症状が軽減されることが多いです。
食欲がなくても、お腹の赤ちゃんのために水分をしっかり取ることと、あとサプリメントで結構ですので葉酸を摂取することに留意してくださいね。
もしも発熱や下痢などの症状がある場合は、ノロウイルスやインフルエンザなどの疾患にかかっている可能性があります。その場合は、早急に医師の診断を受けてくださいね。
⑥寒気がする
先輩ママさんからは、妊娠初期に寒気を感じたという声もあります。
風邪をひいた場合にも寒気がすることがありますので、間違いやすいですよね。
妊娠初期の寒気はどうして起こるのでしょうか?
妊娠初期は体温が36.5~37℃位に上昇します。
上昇する前より外気との温度差が広がることで、寒さを感じやすくなることが原因です。
また、妊娠初期の血液中の鉄分不足による貧血が原因で、寒気を感じることも。
寒気の他、めまいがするなど貧血と思われる症状がありましたら、早目に医師の診断を受けてくださいね。
妊娠初期に咳が出る?喉の痛みも妊娠の兆候?
咳は、肺などの呼吸器を防御するため、吸い込んだウイルスなどの異物や気道に溜まった痰などを排出しようとする反射運動です。
ホルモンバランスの乱れとは関係ありませんので、妊娠初期に咳が出る場合は、風邪などのウイルス疾患が原因の可能性が高いです。
ただし、妊娠初期の自律神経の乱れによって鼻炎になった場合、鼻水が喉に入ると咳き込むことがあります。
咳がつらい時には、医師の診断を受けましょう。
喉の痛みの原因は、風邪や咽頭炎、扁桃炎、また咽頭がんなどの病気によるものや声帯の炎症などいろいろありますが、妊娠初期の症状としては該当しません。
喉に痛みがあり、咳が出る場合は、風邪の可能性が高いです。
妊娠初期における市販の風邪薬の服用は避けて、医師の診察を受けてくださいね。
妊娠初期の風邪のような症状って、いつから始まって、いつ終わるの?
風邪の症状に似た妊娠初期の症状は、いつ頃から始まって、いつ頃終わるのでしょうか?
微熱は、排卵日つまり妊娠2週から妊娠初期の間ずっと続きます。
また、くしゃみや鼻水、眠気、頭痛については、受精卵が着床し、プロゲステロンの分泌が促進されてホルモンバランスが崩れ始める妊娠3週以降からその症状が表れやすくなります。
個人差がありますが、つわりはだいたい妊娠5週あたりから始まります。
これらの症状は、妊娠中期の安定期に入ると収まります。つわりや頭痛などから解放されますし、その時期になると流産のリスクも軽減するため、精神的にかなり楽になりますよ。
ただし、鉄分不足の貧血による頭痛は、安定期に入っても鉄分不足の状態であれば、頭痛の症状は収まることなく継続します。
病院で適切な処置を受ける他、妊婦さん自身も、鉄分の多いレバーや赤身のお肉・お魚などを積極的に摂取するなど、しっかり鉄分の補給を行ってくださいね。
風邪っぽい妊娠初期症状で風邪薬を飲んでも大丈夫?
「妊娠初期の症状なのか、風邪の症状なのかがわからないので、とりあえず市販の風邪薬を飲んでみようかな?」とお考えではありませんか?
風邪薬の中には、お腹の中の赤ちゃんに影響を及ぼす成分が含まれていることがあります。
それに、妊娠初期の症状の多くはホルモンバランスの乱れが原因のものですから、風邪薬ではなかなか治りません。
また、妊娠初期の症状を風邪と間違えて、うっかり風邪薬を飲んでしまうということも。
妊娠4週までであれば、もし飲んでしまった薬の影響があればその受精卵は着床しなかったり、流産することもあります。
一部の抗ウイルス薬などの中には、成分が体内に長く留まるものも。
そのような薬を飲んでしまった場合には、医師に相談しましょう。
妊娠4~12週は、お腹の中の赤ちゃんの脳や心臓、手足、目などの器官が形成される大切な時期。そのため、薬によっては赤ちゃんの奇形や流産など深刻なトラブルを引き起こす
可能性があるので、特に注意を払う必要があるんです。
もしもこの期間にうっかり薬を飲んでしまった場合は、なるべく早めに医師への相談をおすすめします。
まとめ
ご紹介したように、妊娠初期の症状には風邪に似た症状がいくつかありますが、私も、妊娠初期には「この症状は何だろう?」と迷うことがしょっちゅうでした。
迷った時には医師に相談して適切な処置を受けましょう。
妊娠初期は、お腹の中の赤ちゃんの器官が作られる大切な時期ですから、素人判断で風邪薬を飲むのはタブーです。
また、妊娠がわかる前に薬を飲んでしまった場合にも、念のため医師に相談してみてくださいね。