妊娠後期には胎児の成長が著しく、胎動も大きくなっていきます。
元気な胎動は嬉しいものですが、時には顔をしかめるほど苦しい痛みを感じてしまうこともありますよね。
今回はそんな妊娠後期の胎動についてお伝えします。
- 胎動とは?
- 胎動の強弱でダウン症や障害児か判別できる?
- ダウン症の主な症状と確率
- 胎動の種類と逆子の判別、危険な胎動
妊娠後期の胎動は激しく感じることもありますが、激しいのは赤ちゃんが元気な証拠です。
少しでも赤ちゃんの状態を理解できるように、まずは胎動についての知識を身につけましょう。
目次
そもそも胎動って何?
胎動とは、子宮の中にいる赤ちゃんが動くことでママが感じる胎児の動きです。
お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれ、胎動も激しくなり、痛みを覚えるほどよく動くようになります。
「胎動が痛くて辛い!」という人も少なくはないはず。
一般的に妊娠20週ごろから胎動を感じはじめる妊婦さんが多いと言われています。
中には15週ごろの早い時期に胎動を感じることもあります。
妊娠初期の胎動は腸の中でガスが動いたような、はじけたような感覚に近いと体感する妊婦さんが多いです。
そのため、妊娠経過が進むにつれガスじゃなくて胎動だったのだと気づく妊婦さんもいます。
悪阻(つわり)が終わり、はじめてお腹の赤ちゃんの胎動を感じるようになったときの喜びは計り知れませんよね。
胎動の強弱でダウン症や障害児が判別できる?
胎動が強いと障害児、胎動が弱いとダウン症のリスクがある、というような話を耳にしたことはありませんか?
この話は本当なのでしょうか?
答えは「ノー(判断できない)」です。
ダウン症児は筋力が弱いため、胎動が弱いと言われているようですが、
実はこれ医学的根拠のない迷信になります。
もちろん、胎動を元に障害児かどうかについても判別することはできません。
ダウン症とは
ダウン症は染色体の異常によって起こります。
21番目の染色体が2本ではなく、3本有るために、「21トリソミー」とも呼ばれます。
染色体の突然変異はランダムに起こるため、どの妊婦さんにも起こりうることです。
ダウン症は正式には「ダウン症候群」といいます。
ダウン症とはよく聞きますが実際にはどういうものなのでしょうか?
ダウン症の主な症状
ダウン症では以下のような症状を伴います。
- 全身の筋力が弱く、運動機能が低い
- 成長が遅め
- 全天性の心疾患を持つ
- 知的発達の遅れ
- 鼻が低く、顔が平坦である、切れあがった目尻など特徴的な顔つき
- 手のひらに「ますかけ線」という手相が出る、足の親指と人差し指が離れている、後頭部が平らというような身体的特徴がある
ダウン症になる確率
全体の妊娠において700人~800人の内1人がダウン症になる可能性があります。
ですが、妊婦さんの年齢が高くなるほど、ダウン症になる確率もあがっていきます。
妊婦さんの年齢が
35歳ー1/450
37歳ー1/250
40歳ー1/100
上記のように妊婦さんの年齢が上がっていくほど、ダウン症になる確率もあがっていきます。
一般的に35歳での初産、40歳以上での出産を高齢出産としています。
高齢出産になると卵子の老化から妊娠しにくくなる、ダウン症の確率があがる、といった妊娠や分娩においてリスクが高くなると考えられています。
ダウン症は卵子や精子に含まれる染色体数の異常によって引き起こされます。
このため、受精の瞬間に発症の有無が決まっており、年齢が上がるほど染色体数の異常が起こりやすいことが分かっています。
関連記事⇒妊娠後期に胎児の障害が発覚。胎児の異常やダウン症の不安を乗り切る2つの方法
胎動の5つの種類と逆子の判別
ママが感じる胎動がどんなものかによってお腹の赤ちゃんの動きを予想することができます。
胎動が激しい理由は、以下の通りです。
トクン、トクンという規則的な胎動
これは赤ちゃんが子宮内でしゃっくりをしている時の振動です。
妊娠後期では赤ちゃんは呼吸の練習をしたり羊水を飲んだりしています。
外への生活に向けて練習している時にしゃっくりを起こすことが考えられます。
そのため、しゃっくりが多いからといって心配する必要はありません。
ゴロン、グルンという感じの胎動
これは赤ちゃんが子宮内で寝返りのように体の向きを変えている時に感じられます。
グニュー、グイーンと伸ばされる感じ
これは赤ちゃんが手や足を曲げ伸ばししている時に感じられます。
皮膚がつっぱるような、内側から延ばされるような感覚です。
いきなり感じる衝撃のような感じの胎動
これがいわゆるキックされている胎動とされています。
中には外から聞こえるとなどの刺激に驚いてビクッとなる動きの時もあるようです。
ブルブルと震えるように感じる胎動
これは赤ちゃんがおしっこしたときに起こる動きです。
おしっこをすると体温が下がるため、体を震わせる熱を生む動きを生理的に行います。
これは大人も子供も、お腹の赤ちゃんも同じですね。
一言に胎動といっても、妊婦さんが感じる胎動は色々です。
お腹の赤ちゃんの様子はエコーでしか見ることができません。
ですが胎動から赤ちゃんの動きを予想することが出来ますね。
胎動の位置に見る逆子の判別
妊娠後期になると心配になるのが逆子かどうかです。
「胎動の位置が変わった!?もしかして逆子?」
と不安に思う人も多いでしょう。
大体妊娠8カ月ごろから、逆子かどうか診断をしていきます。
- キックの胎動がお腹の上らへんよりも、恥骨やお腹の下で感じられる
- しゃっくりの胎動が下でなく、お腹の上で感じられる
この2点が逆子かどうか判別するのに役立つでしょう。
妊娠後期で逆子と診断された場合には、逆子体操やツボ押し、お灸などを取り入れてみましょう。
関連記事⇒妊娠後期に腹痛が続いてつらい!腹痛の原因と対処法、危険な症状や陣痛との見分け方
妊娠後期の危険な胎動
妊娠後期の胎動では下記の2点が危険な胎動になります。
- 胎動が減少した
- 胎動の位置が急激に下に変わった
普段とは違う胎動を感じたら、上記に当てはまるかチェックしてみてくださいね。
胎動が減少した
妊娠後期のお腹の赤ちゃんは約20~30分ほどのサイクルで起きたり眠ったりを繰り返しています。
臨月になると、赤ちゃんの頭が骨盤にはまり胎動が減少することがあります。
しかし胎動が極端に減少することはなく、一日を通して全く胎動が無いということはまずありません。
胎動が極端に減少した、全くない時には何らかのトラブルが起きている可能性があります。
- へその緒のトラブル
- 胎盤のトラブル
- 母体原因によるトラブル
赤ちゃんに命となる胎盤やへその緒にトラブルが起きているとき、母体が糖尿病などの病気になっている時には、胎児へ酸素が上手く運ばれなくなります。
胎児が低酸素状態になる胎児機能不全が疑われます。
早急な処置が必要になるので速やかに病院を受診しましょう。
胎動の位置が急激に下に変わった
臨月や出産が近くなると赤ちゃんの頭は骨盤にはまり、いわゆる下がった状態になります。
それとは別に、急激に胎動の位置が下に下がった時には、子宮が下にさがってしまう子宮下垂が起きている可能性があります。
子宮下垂は胎動の位置が急激に下がったと感じるほか、恥骨らへんに膨らみを感じることがあります。
子宮下垂は重くなった子宮を支えきれず子宮が下がってしまう状態をいいます。
悪化すると子宮脱が起きるほか、早産になる可能性もあります。
時期的にお腹が下がるには早い、出血、不快感などの症状があるときには子宮下垂が起きている可能性があります。
子宮下垂には処置が必要になるので、早めに病院を受診しましょう。
関連記事⇒妊娠後期はいつからお腹が下がる?見た目の変化はどれくらい?お産に向けてしておく7つのこと
胎動10カウント法
妊娠中に胎動を感じられるようになったら、胎動カウントをする時間を持つようにしましょう。
そうすることで胎動が少ないのかをはじめ、赤ちゃんとのコミュニケーションともなります。
やり方は、1回目の胎動から10回胎動を感じるまでにどのくらい時間がかかるかを計ると言う簡単なものです。
胎動カウントを行う際は、ママは楽な姿勢をとり、ゆったりとした気持ちで臨みましょう。
日ごろから胎動10カウントをし、どのくらいの時間がかかるかを知っておくことで、胎動減少といったトラブルを判断する目安になります。
まとめ
妊娠後期に入るとダイナミックな胎動を感じることができます。
「胎動が激しすぎて心配。。」
「動きすぎなんじゃないかな?」
「胎動位置が変わった気がする」
というように、元気な証拠である胎動も普段とは違う動きだと気になりますよね。
急激な胎動の減少や胎動位置の下垂は、危険な状態の目安となることがあります。
ですが胎動の激しさや少なさで、ダウン症や発達障害などの障害児であるかを判断することはできません。
また胎動の激しさを陣痛の兆候と考える人もいますが、予兆は人によってさまざま。
胎動は出産ギリギリまで続くため、前駆陣痛と勘違いしてしまうママも多いようです。
なによりも胎動はお腹の赤ちゃんをより身近に感じられる瞬間ですよね。
ママが感じた胎動がどんな感じだったかによって、お腹の赤ちゃんの動きを想像することができます。
1日1回は胎動を感じる時間をつくり、コミュニケーションをかねて胎動カウントをするのが良いでしょう。
残りわずかな妊娠期間、胎動を感じられるのも残り僅かです。
ゆったりとした気持で胎動を感じる時間を過ごすようにしましょう。