とろろは、ご飯のお供に嬉しい食品のひとつ。
好きな方も多いですよね。
しかし「授乳中に食べると赤ちゃんがアレルギーになる!」「母乳の質が悪くなる!」という話があります。
実はこの話…ウソなんです!
授乳中にとろろを食べても母乳に影響することはほとんどないので安心してくださいね。
この記事では、
- とろろが持つ、授乳中の女性に嬉しい栄養素
- とろろの原料「やまいも」でアレルギー症状が出る人がいる
- 食べたり、触ったりしてアレルギー症状が出る人は、とろろNG
- アレルギーがある赤ちゃんの場合は、授乳中のとろろは避けよう
- とろろを食べても、健康な赤ちゃんがアレルギーになったりしない
- とろろを食べたから母乳の質が悪くなるのはウソ
こうしたことを紹介していきます。それでは見ていきましょう。
目次
とろろが持つ、授乳中に嬉しい栄養素
とろろとは、一般的に「山芋(やまいも)」と呼ばれるイモをすりおろしたもの。
イモを生で食べる数少ない食品です。
実は「やまいも」という名前のイモはなく、ヤマノイモ科という種類のイモ全てをあらわしています。
そのため、スーパーで簡単に購入できる長芋(ながいも)も、有名な自然薯(じねんじょ)も、同じ「やまいも」と呼ぶことができるのです。
どのイモも栄養価は似ています。
実際に、じねんじょに含まれている栄養素を見てみましょう。
<じねんじょ100gに含まれている栄養素の抜粋>
(引用元:食品成分データベース)
とろろ一人前は約100gなので、表のミネラル類、ビタミン類、食物繊維などが一食で摂れることになります。
注目したいのは、カリウム、ビタミンE、食物繊維。
カリウムは産後女性の悩みでもある、むくみの改善に効果的です。
ビタミンEは抗酸化作用が強く、血液の状態をよくしてくれます。
不足すると、血行が悪くなり、冷え症や肩こり、頭痛の原因に。
血行が悪くなると母乳の出も悪くなるので要注意!
そして食物繊維は便秘の予防・解消に重要です。
授乳中の女性が1日に摂りたいカリウムは2,200mgなので、とろろ一食で約1/4。
ビタミンEは1日当たり7mgが目安なので、とろろ一食で半分以上摂れます。
さらに食物繊維はバナナの倍!
ごはんにかけるだけで、これだけ嬉しい効果が得られるとろろ。
ぜひ普段の食生活にプラスしてみたいですよね。
関連記事⇒産後のむくみが辛い!産後の足や顔のむくみの原因と解消術10選
とろろの材料「やまいも」は2タイプのアレルギーがある
授乳中の女性に嬉しい栄養素を簡単にプラスできるとろろですが、アレルギーには要注意!
とろろの原料である「やまいも」は、アレルギーが出やすい食材のひとつです。
しかもこのアレルギー、実は2タイプあるってご存知ですか?
その1.とろろを食べると蕁麻疹が出たり、口の中が痒くなる食物アレルギータイプ
ひとつ目のタイプは、食物アレルギータイプ。
とろろを食べて、口の中が痒くなったり、蕁麻疹がでたり、嘔吐や下痢、顔や喉が腫れるといった症状が出たら、やまいもが原因の食物アレルギーの可能性があります。
アレルギーが出やすい食材なので、加工食品などにやまいもを使っている場合は「やまいもを使っています」と表記するように国が注意喚起しています。
(引用元:アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック|消費者庁)
やまいもの場合、ほんの少量を食べただけで呼吸困難やアナフィラキシーショックに陥る卵や小麦ほど、激烈な症状は出ないと言われています。
重度の症状の報告も少ないことから、軽く思われがち。
しかし、アレルギーの人は食べる量が少なくても症状が出ます。
また重症かどうかは、その人次第!
アレルギー症状が出る人は、生のとろろ、焼いたやまいも、加工食品の中に入っている粉末状のやまいも、どれでも関係ありません。
やまいもの成分自体に反応するので、アレルギー症状が出る人はやまいも自体を避けましょう。
病院で検査を受けたことがない人でも、口の中が痒くなったり、気持ちが悪くなった経験がある人は、とろろを食べないようにしましょう。
その2.やまいもに触れるとアレルギー症状が出るタイプ(接触皮膚炎)
ふたつ目のタイプは、接触皮膚炎というタイプ。
とろろを作るには、やまいも(ながいも、じねんじょなど)を手で持ってすりおろしますよね。
この時、手が痒くなる人がいます。「かぶれる」という現象ですね。
やまいもが触れた部分の皮膚が赤くなったり、水疱ができたり、腫れたり…
皮膚が炎症を起こすのが、接触皮膚炎タイプのアレルギーです。
治療には、ステロイド系の塗り薬や、抗ヒスタミン薬を飲むことになります。
これらの服用は、授乳中は極力避けたいですよね。
やまいもに触れて痒みが出た経験がある人は、とろろNGなので注意しましょう。
関連記事⇒赤ちゃんにアレルギー症状がでたらどうする?乳児のアレルギーの原因と6つの予防策
授乳中にとろろを食べても、健康な赤ちゃんがアレルギーになることはない。
やまいもはアレルギーがある、と紹介しました。
時々「母親がとろろを食べると赤ちゃんがアレルギーになるのでは?」と不安に思う方がいます。
これは大きな間違いです!
やまいもに限りませんが「食べたからアレルギーになった」のではありません。
「アレルギー反応が出る体質だから、症状が出る」
これを忘れないでください!
母親がとろろを食べると、やまいもの成分が母乳に含まれます。
健康な赤ちゃんは、その母乳を飲んでも全く問題なし!
もし、赤ちゃんが「アレルギー反応が出る体質」だった場合、母乳の中のやまいもの成分に反応する可能性はあります。
赤ちゃんに食物アレルギーが分かっている場合以外は、母親が授乳中にとろろを避ける必要はありません。
むしろ「アレルギーになるかもしれない!」と不安に思って、特定の食品を避ける方がNG!
アレルギー科の医師達は以下のように注意喚起しています。
食物アレルギーの発症予防のために妊娠中と授乳中に母親の食物除去を行うことを推奨しない。食物除去は母体と児に対して有害な栄養障害を来す恐れがある。
どうしても不安でたまらない場合は、小児科やアレルギー科で相談し、食物アレルギーがあるかどうか調べてもらいましょう。
その結果、アレルギーがあると分かり、避けるべきと医師に指導された場合は、食品を除くようにしてくださいね。
とろろを食べたから母乳の質が悪くなるのはウソ
「母乳の質が悪くなるから、授乳中はとろろNG」という話が聞かれます。
しかし、これはウソ!
とろろを食べて、母乳がドロドロになったり、赤ちゃんに飲ませてはいけない母乳になったりすることはありません。
とろろを食べると、やまいもの成分が母乳に含まれるのは確かです。
だからと言って、母乳が悪くなる!というのは言い過ぎ。
そもそも、母乳の質を左右する原因は多種多様で、たったひとつの食材だけで決まるものではありません。
<母乳の質に影響するもの>
- 睡眠不足
- 水分不足
- 体調不良
- ホルモンバランスの崩れ
- 冷えによる血行不良
- ストレスによる自律神経の不調
- 栄養バランスが悪い食事
こうしたこと全てが母乳の質に関わります。
とろろひとつで母乳がダメになる、なんて気にしない!大切なのは、生活全体を見回すことです。
栄養バランスを整えるのに役立つとろろを、わざわざ避ける必要はありません。
まとめ
とろろには授乳中の女性がとりたい栄養素がいっぱい!
ご飯にかける1人前でミネラル類やビタミン類、食物繊維をまとめて摂ることができるとろろは、食事のバランスを整える心強い味方ですよ。
ただ、とろろの材料であるやまいも(ヤマトイモという種類のイモ全般)で、アレルギー症状が出る人がいます。
やまいもに触れて手が痒くなったり、食べて蕁麻疹や嘔吐、下痢といった症状が出る人はとろろNG!
また、赤ちゃんにアレルギーがあると分かっている場合も、授乳中のとろろは避けた方がいいですね。
しかし、母親にも赤ちゃんにもアレルギーがない場合は「母乳の質が悪くなる」「アレルギーになるかも」といった心配は無用!
おいしく食べて、栄養バランスを整え、しっかり母乳を出すようにしましょう。