目次
「伎」という漢字について
字画数:6画
音読み:き、ぎ
訓読み:わざ
名乗りの場合には、「くれ」「し」「たくみ」という読み方があります。
他の漢字と組み合わせて様々な名前に使うこともできますし、「伎」一文字で名前にすることもできますよ。
枝を支え持つ人をかたどって「わざおぎ」を表す
「伎」という字は木の枝を支え持つ人の姿をかたどった漢字です。
その昔は、何らかの木の枝を持って舞い、神に祈りを捧げるということがよく行われていました。
現代においても、伊勢神宮では御神楽の際に榊の枝を持って舞う「人長舞」を見ることができます。
このことから、「伎」は木の枝を持って舞うことで神を招く「わざおぎ」を意味する漢字となったと考えられています。
演劇や音楽、舞踊に長ずる人を意味する
「伎」という漢字が用いられている漢字といえば、多くの人は「歌舞伎」を思い浮かべるでしょう。
歌舞伎は私たちがよく知る日本の伝統芸能であり、現代でもたくさんの歌舞伎役者が活躍している様子を歌舞伎座ではもちろんのこと、テレビで窺い知ることができますよね。
歌舞伎役者は、昔こそ女性が活躍していた時代もあったものですが、今では男性しかなることができないものであるということは皆さんもご存知でしょう。
そのため、歌舞伎というものは男の世界であり、男らしいものの象徴でもあります。
役者たちが男だけで真剣に稽古に励むことから、歌舞伎というものが現代においても輝いているのでしょう。
このようなことに由来して「男らしく真剣に生きていけるように」という願いのもと、男の子に「伎」という漢字を使った名前を付けてあげるのも良いですね。
また、「伎」は「伎芸」という言葉があるように、歌舞伎に限らず様々な演劇や音楽、舞踊のことを表す漢字でもあります。
このことから、何かしらの芸能に長じた人物になるようにという願いを込めて「伎」という漢字を名付けるのも素敵なことではないでしょうか。
何かしらの才能が開花することを願って
「伎」という漢字は芸達者な人を指す言葉というイメージが強いですが、単にその才能を示す漢字でもあります。
そのことは、「伎能」という言葉があることからも窺い知ることができるでしょう。
「伎能」という言葉は、今でこそ「技能」と書かれることが多い言葉ですが、その昔は「伎能」と書かれることの方が一般的でした。
「伎能」は現代よく用いられる「技能」と同じく、物事を行う腕前そのものを指す言葉です。
そのため、伝統芸能などの芸術分野に関することに限らず、あらゆる能力を指す言葉でもあります。
神様は1人ひとりの子どもに何かしら人より秀でた能力を与えてくれているという話をよく聞きますが、それと同時に、その能力が何なのかは親も子ども自身もなかなか気づくことができないという話もよく聞きます。
でも、親としては神様がせっかくくれた子どもの能力を見出して、その能力を更に伸ばしてあげたいと願うものです。
そのような「子どもに秘められた能力が開花するように」という親の切なる願いを込めて、「伎」という漢字をわが子に名付けてあげてみてはいかがでしょうか。
ゆるやかでしなやかな人になるように
「伎」という漢字が芸達者な人やあらゆる技能を表す漢字であることから、「なんとなくお堅いイメージがあるな…」と思う人もいるかもしれません。
しかし、「伎」という漢字は時に「ゆるやかな様子」を表すこともあるのですよ。
男性には大木のようにどっしりと構えていてほしいと願う人は多いと思いますが、大木というものは強風が吹くと思いの外あっさり折れてしまうものです。
一方、柳のようにゆるやかでしなやかな木は風に合わせて柔軟に揺れるので、強風が吹いても折れることはありません。
「柔よく剛を制す」という言葉があるように、ゆるやかであることは案外強いものなのです。
このことから、「ゆるやかでしなやかな人になるように」という願いを込めて「伎」という漢字を名付けてみるのも良いのではないでしょうか。
「伎」を使った熟語
伎楽…日本最古の外来芸能。笛・三鼓・銅拍子の伴奏にあわせて野外で行われた仮面音楽劇のこと。無言で滑稽なしぐさを演じる。
伎芸…工芸や美術などの技術。もしくは、歌舞や音曲などの芸能のこと。
伎能…物事を行う腕前のこと。
雜伎…民間に伝わる様々な伎芸。
歌舞伎…近世初期に発生し、江戸時代に最盛期を迎えた、音楽・舞踊が一体となった日本の古典演劇。
橦末之伎…軽業のこと。
「伎」を使った芸能人、有名人の名前
磯矢 阿伎良さん
阪井 久良伎さん
「伎」という字を人に説明するときは?
基本的に「歌舞伎の『き』」という説明で通じます。
しかし、それでも伝わるかが不安であるという場合には、「人偏に支えるという字を書く漢字」という説明の仕方を覚えておけば間違いないでしょう。
「伎」を使った名づけ候補
伎(たくみ)
麻伎(あさき)
壱伎(いつき)
歌伎(うたき)
伎一(きいち)
伎都(くれと)
紘伎(こうき)
伎季(しき)
孝伎(たかき)
紡伎(つむぎ)
成伎(なりき)
陽伎(はるき)
祐伎(ゆうき)
優伎(ゆうぎ)
麗伎(れいき)
まとめ
芸達者な人や様々な能力を表す漢字である「伎」は、将来わが子が何かしらの才能に目覚めて大成することを願う人にピッタリの漢字です。
また、「伎」という漢字が持つ「ゆるやか」という意味も、世間の荒波の中で強く生きて行ってほしいと願う親心を表すにはうってつけでしょう。
皆さんも「伎」という漢字に様々な願いを込めて、わが子に似合う素敵な名前を考えてあげてくださいね。