「矢」という漢字について
音読み:シ
訓読み:や
画数:五画
姓や名前に用いられる場合には、他にも読み方があります。
「ただ」「すなお」「ちか」「なお」「とおる」などです。
目次
「矢」の意味や由来や成り立ちと特徴
漢字の由来は、「糸を張って飛ばす武器」。
成り立ちは、「人」「弓」「先の尖ったもの(矢)」の3つが合わさった象形文字です。
人が弓で矢を飛ばす形から、この漢字が生まれました。
特徴は、弓そのものより先の尖った矢を表していることです。
3つあった象形が、いつの頃からか「矢」そのものだけを示すようになりました。
意味は、「弓で飛ばして目標に当てるもの。先が尖っていて敵を攻撃する」。
部首に使うと違う意味になる
「矢」は武器を表しているため戦いを象徴する漢字だと思われていますが、実は「矢」には他の意味も含まれているのです。
それは「正しい」「直し」「正し(くする)」などの肯定的な意味です。
また「破魔矢」のように悪いものを打ち破る神聖なものともされてきました。
「矢」の漢字単体では表れない意味ですが、部首にすることによって変わります。
矯(正しくする)、䂓(正す、手本となる)などがその漢字です。
「矢」を使った熟語
「矢」は武器を表すため、熟語の数はそれほど多くは見られませんでした。
矢の形態を表すもの、攻撃を主体にしたもの、防御を表すものなどの戦うことを意味した熟語がおもだっていました。
また四字熟語では、戦いの混乱の様子を表わした熟語も見られました。
二字熟語・・・遺矢 一矢 遠矢 横矢 乙矢 掛矢 弓矢 諸矢 正矢 徒矢 矢筋
矢座 矢場 矢先 矢銭 矢束 矢代 矢文 矢並 矢偏
三字熟語・・・犬矢来、角矢来、弓矢神、小矢部、真巻矢、破魔矢、
四字熟語・・・滅多矢鱈、無闇矢鱈、
「矢」の漢字は熟語よりも、名詞や表現、格言などに使われることが多いようです。
「矢」の説明の仕方
口頭で名前を伝える際、どういった漢字を書くのか聞かれる時があります。
例えば、あなたの名前が「亜矢(あや)」だとします。
その場合、「矢」をどのように説明すればよいのでしょうか。
ここで例を挙げてみます。
・「あやのやは、弓矢の矢です」
これは簡単ですね。
「弓矢の矢」と言われて、わからない人はいないでしょうから。
「矢」を使った名前の有名人・芸能人
山田 直矢さん(やまだ なおや・明治から昭和期の鉱山学者)
柴山 矢八さん(しばやま やはち・明治期の海軍軍人、階級は最高位の大将)
菅野 矢一さん(すがの やいち・昭和期の洋画家)
仲代 達矢さん(なかだい たつや・俳優)
武田 鉄矢さん(たけだ てつや・歌手、俳優、タレント)
伊佐 庭如矢さん(いさにわ ゆきや・初代道後湯之町長、道後温泉の観光地化に尽力)
庄司 紗矢香さん(しょうじ さやか・ヴァイオリニスト)
松村 亜矢子さん(まつむら あやこ・元アーティスティックスイミング選手)
土屋 矢之助さん(つちや やのすけ・幕末期の長州藩の武士、吉田松陰と親交)
白井 矢太夫さん(しらい やだいふ・江戸時代中期の武士、鶴岡藩の財政改革に尽力)
平野 早矢香さん(ひらの さやか・元女子卓球選手)
名付けの多様化は喜ばしいこと
男の子に「矢」の漢字を用いる場合、ほとんどの親が最後の止めに使います。
そうした方が、見た目も響きもカッコいいからです。
では、女の子の場合はどうでしょうか。
多くは三文字の真ん中に漢字を用いることが多いようです。
それは、名前の見た目を考えてのことでしょう。
男の子でも女の子でも「矢」を頭にもってくるのは抵抗感があるのでしょう。
この漢字は、よくも悪くもアクが強いからです。
けれども、キラキラネームや当て字が広まるようになってからは、名前の概念は多様化しました。
つまり、バリエーションの幅がグンと広がったわけです。
その恩恵を受けて、この「矢」の漢字を頭に使ったり止めに使ったりするのも、ありなのではないかと思っています。
名前の見た目を大切にしながらも、声に出した時の響きを重視して、「矢」をつけてみるのもよいかもしれません。
「矢」を使った名付け候補
亜矢(あや)
矢那(ちかな)
美矢(みや)
耶矢子(ややこ)
真矢(まや)
矢弥(なおみ)
早矢香(さやか)
矢子(ちかこ)
弥矢(やや)
実矢子(みやこ)
矢李(なおり)
矢真(しま)
華矢(かや)
矢々花(ややか)
矢緒(なお)
矢余尹(やよい)
紋矢(あやや)
矢栞(なおい)
矢摩祢(やまね)
芽依矢(めいや)
矢瑚(ちかこ)
矢嘉(やよい)
美矢佳(みやか)
矢也架(ややか)
津矢子(つやこ)
「矢」は男の子だけのものではない
「矢」という漢字を名前に使おうと考える時、その漢字の持つ意味から男の子に適しているのではと思われがちです。
実際、男の子の名前の止めに使われることが多いです。
けれども、この漢字は「武器」を表すその半面、「正しさ」「人の手本となる公正さ」「誓う」「他人に施す」などの誠実さや優しさの意味も込められています。
そのことから、女の子にもこの漢字を使われることが多くなってきました。
まとめ
「矢」に含まれる意味を理解すると、女の子にも男の子にも、この漢字を使うことに抵抗はなくなったと思います。
男の子なら困難に負けない強さを、女の子には他者に優しくできる慈しみの心を。
それぞれの意味を込めて名付けをしてあげてくださいね。